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コミック
千夜一夜物語になぞらえている部分もあり、殺伐とした話になっていくのかと少し構えましたが、表紙で手を繋いでいる2人の様子からも見て取れる通り、全体的にはとても穏やかな甘さの作品でした。過去に妻子もセフレもいた男に惚れ込んで、悲惨な結末を迎えたことがトラウマになっている葵。翔太がシェヘラザードの如く、時間をかけて忍耐強く彼の硬くなった心を溶かしていく様子に、胸が温かくなりました。
この手の話は過去の男が軽薄な人間であることが多いですが、葵が好きだった男は実は葵と人生を歩む覚悟を決めていたかもしれなかった、というところがいいなぁと。今となっては推測することしかできないけれど、彼には彼の葛藤や決断があったはず。翔太がただ嫉妬したり悪者に決めつけたりせずに、そういうところを思いやれる人であったことが、また素敵だなと。恋人になった翔太と葵は笑いあり思いやりありの日々で、和気藹々とした2人の日常がまた素敵でした。
重い。
物語の筋立てはなんとも陰惨だし、男の筋肉描写もなんとも重々しい。
表紙左の男性は、なんとなくたおやかで女性っぽくも見えるけど、物語ではさてどうなるか…
「シェヘラザード」
冒頭、アラビアンナイトの寓話がビアズレー調のイラストで語られ、耽美的。
愛を裏切られた王が、愛を永遠にするがゆえに男たちを殺めていく夜。
癒し系バーテンの葵。一歩店を出ると人格一変!そんな店の用心棒?翔太は葵に惚れる。
ある日男を買ってヤリまくってる葵を目撃して…
だけど葵はなぜか「ホモ」を憎んでて…
大臣の息子シェヘラザードが進んで王と寝る。シェヘラザードは千の話を王に語り…
葵は夢うつつに翔太の首を締め付けるようになってきた。それでも逃げない翔太に、オーナーが葵の過去・秘密を打ち明ける。恐ろしく、壮絶で、悲しい過去の話。
シェヘラザードが王に真実を打ち明ける。さあ首を刎ねてください………
翔太を信じることができない葵の姿。トラウマに囚われ、記憶を心に閉ざし「あの」瞬間から一歩も進めなかった葵。
ひとつづつ思い出す。思い出して緩んでいく。翔太は身代わり、否いけにえのように葵を救う。
「Acid」
翔太x葵の安定の日々。
葵は翔太の誕生日を知らず、焦って「お祝い」に翔太を掘ってやるという…
ええ、ええええ〜っ!リバ見たい〜!(結局リバはナシ。残念だー‼︎)
お詫びのしるしか、翔太と同じ五分刈りに。すっごく似合ってるけど、BLというよりゲイゲイしくなってしまった。
「おはよう、おやすみ」
翔太が早起きの訳。それは甘くてかすかに苦い理由で。
「assala:m alaikum」
「あなたに平安あれ」という意味です。
翔太が親と絶縁している葵をひとつの幸せに導く。
『生きててくれてありがとな』
このシーンでは涙が出てきちゃいました。
あー、いい話だなぁ。
というのが読み終えて最初に思ったことです。
ドキドキとかきゅんきゅんとか感じて
日常の疲れを癒すためにBLを読んでいますが、
こちらはそういう部分とはかけ離れた作品でした。
確かにエロいしガチムチにも程があるしって感じなのですが、
そこじゃない!!
過去のとある事件から強いトラウマを持つにいたった葵と、
彼に恋してしまった翔太のお話で、
これにアラビアンナイト風の昔話を織り交ぜて進んでいきます。
最初はこれがよく読み取れなかったのですが、
進むにつれて琴線にじわじわと効いてきます。非常に巧みです(何様)
それに加えて、受けである葵の心情の変化に関する表現が圧巻。
セリフやモノローグで「説明」するのではなく、
表情で、行動で、周囲の登場人物達とのやり取りで、
葵の気持ちがストーーーーーンと胸に落ちてきます。
葵が一度は決別した父親と電話で話すあたりから(翔太〜〜〜)
うるうるきだしてラストでは滂沱。ホントよかったねぇ…。
『千』の評判がよかったので、『ライアテア』を手始めに
いくつか岡田屋さんの作品を読みあさったのですが、
一読の価値ありだと思います。深い。
お話のレビューとは関係ないので申し訳ないのですが、
こちらのような過去の名作をどんどん電子化していただきたいものです。
『千』シリーズがとても良かったので作家買いしてみました。『千』シリーズよりも絵柄が若い。構図もちょっとぶれているところがあったり、ガチムチなキャラが出てくるので苦手な方はいらっしゃるかも。しかし、ストーリーはさすがの一言で、グッと引き込まれてしまいました。
美人で、危うい魅力を持ったバーテンダーの葵。
そんな葵に惚れちゃって、彼に良いように使われている用心棒の翔太。
葵の抱えているものは何なのか、鬼灯からちらりと垣間見れる葵の過去は何なのか、この二人がどうなってしまうのかページを捲る手が止められませんでした。
そして翔太が漢なんです。
どんな酷いことをされても、葵を支え、立ち直らせようとする彼の男気にほれぼれ。『人を愛する』というのはこういうことなんだなあ、と。
葵が、セックスをすることで現実逃避していたことから、確かに性描写はかなりある。が、前半のただ行為の没頭していた時の葵と、葵の昔の恋人や気持ちが通じた後の翔太とするセックスの時の表情なんかがまるっきり違っていて、その表現力の高さにびっくりしました。
激しい描写は描かれてはいますが、根底にあるのはまさに『魂の救済』で、非常に奥深いお話でした。
ところどころで出てくる千夜一夜物語もいい。
読み始めた時は「?」と思いましたが、ああ、なるほどと思えるナイスな演出でした。
萌えっていう意味ではBL的に辛いかもしれないです。
ガチムチっていうより完全にボディービルダーの域。
しかも途中で二人とも五分刈りになってしまいます。
(そしてスポーツ刈りくらいまで伸びる。)
しかし、ストーリーの骨太さが素晴らしい。
心に傷を追った人を愛するということ。
そして再生させるということ。救済されること。
肉体の力。日常の力。意志の力。
恋人の、親子の愛の力に感動させられました。
これでもかとガッツリ泣かせに来てます。
あとがき、この方がシルバーラブ(SL?)を書いたらどうなるんでしょう…
やはり想像を超える素晴らしい作品を出してくるんでしょうね。
他の物語でもいいのでぜひ読んでみたいものです。
途中で挿入される千夜一夜物語を
最後にもういちど読み返すとなるほどなぁと思いました!