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君に愛されたいんだ
事前情報無しで読み始めて…ありゃ〜……
私の苦手設定でした。
「記憶喪失」。
気分が下がりつつ読んだのですが、さすが剛しいら先生。内に激しさを秘めた静かな愛の行方を描いて悪くない、いや良いといえる作品。
私が嫌いなのは、途中で事故かなんかで片方が記憶喪失になる設定。
これが来ると創作に対しての「逃げ」を感じる。大怪我とか体に受けるダメージ、それに伴う経済的社会的なダメージ、そこはすっ飛ばして体はピンピン心だけ愛を忘れ…って、そんな事あるかいって白ける。個人の感想です。
本作は設定がすでに病院。担ぎ込まれた溺水患者は元々重い心臓病で、助かった後記憶が失われている。発見者の医師はそんな儚い彼にどうしようもなく惹かれて…
まるでBL人魚姫のよう。
そこに、もしかしたら母親殺し?というサスペンス感も加わるけれど、全体の印象は一貫して月明かりに照らされる海の静けさ。
付き合ってた女性も目に入らなくなり、青年にのめり込んでいく医師。
自分からは特に望まず静かに従う青年との関係は、心の深さに反して抑制的で、いわゆるセックスシーンも無い。だって心臓病ですからね。
ドラマチック過剰な設定を使いながら静寂を感じさせ、挿入エロ無しでも2人の性の昂りを読ませる。
そんな剛しいら先生の技巧を感じました。萌x2寄りの「萌」で。
作品の内容は、心理描写を楽しむ抒情的なもの。
2009年刊のこの作品は、月の満ち欠けと生命の関りが軸。
時間の経過も、月の満ち欠けの描写で推測できるように書かれています。
月夜の晩に、内科医の一樹が海岸へ犬の散歩に出かけて見つけた波打ち際で倒れていた男性を助ける。
心臓病で記憶喪失のその人に、仮の名前「浩之」を付けて面倒をみることにした医師・一樹。
月を眺めながら、「生まれて、死んで」と呟く浩之。
・・とミステリアス。
人魚王子・浩之を取り巻く周囲の人達の心の揺れの描写は、耽美風。
結末は、あとがきを読むと当初は、JUNE系のデスエンドになっていたそう。
でもBLファンタジー風の夢多いハピエンで〆たのは、著者自身に向ける願いもあったからかも。
「残された時間」
「進行性だけど、延命率も上がている」
等の文から、著者は主人公と自分を重ねて死生観を書いているように感じてしまった。
予後の時間が分かる病を持つ人の祈り、悔いを残さないように生きたいと時間密度を高めたいと願う著者の気持ちがこもっている作品なのかな?と思える作品でした。
続編「ペーパームーン」
設定とムードだけで最後まで押し切ってしまった筆力を誉めるべきなのか? そこから先が読みたい、という手前で、すべてが終わってしまって肩すかしというか、がっかり。
あとがきで触れているバッドエンドというか、別の結末は勘弁してください。
少なくともわたしは、BLにヘビーなドラマを求めていません。
月明かりの下、浜辺に倒れているのを見つけた美青年は、記憶を失っていて、さらに心臓病。
ようやく素性がわかったら、母親が他殺体で見つかったと、、、、
ここまででも充分てんこ盛りな設定で、さらに
この美青年を見つけたのが、大学病院で医師になりたての男。
これでもかのケータイショーセツ風設定、さすがに剛先生、文章は読みごたえあるし、読みやすいし、まあ、悪くはないです。
一樹の彼女としてちゃんとした大人の女性が出てくるところもいいし、
気持ちを確かめ合った後に同衾するにも、身体に無理をしない愛し合い方を探そうとして、安易に「結ばれました」ですまさないところもいい。
そして「ビョーキデシンジャッテカワイソー」で終わらせずに、結末が明るいところもいいです。
でも、やっぱり、このてんこ盛り過ぎるほどの設定に挫かれちゃった気持ちは如何とも、、、、、でした。
と言うわけで、とりあえず
ケータイショーセツ的な物に無理なく感動できる方におすすめ
海辺に倒れていた青年を助けた医師の一樹がどんどん青年に惹かれていく過程が好きです。
同僚医師(女性)と関係を持ちながらも今一歩踏み出せないところに現れた青年に一目惚れって感じ。
彼は誰なのか?途中からは犯罪の匂いがしてきてドキドキしました。
もうひとつのラストは昔のJUNEだったらそっちでしょうね。
今はBLはファンタジーと思っているので読み終えたあとに幸せでいたいからこっちで良かったと思います。
最近気になるのが、金さんの直線的に変わってきた顔です。
史堂さんもそうでしたが、だんだん人形っぽくなってきて残念です。