ボタンを押すと即立ち読みできます!
表紙買い。
坊主頭の高校生が表紙って新鮮で思わず買ってしまいました。
都会からの転校生・ノアのことを知るほどに惹かれていく蒼太の心情がゆっくり描かれていてとても良かった。
ノアも蒼太のことが気になりながらも過去の出来事から踏み込めずにいて。
この友達以上恋人未満な焦れ焦れした感じがキュンキュンします。
とある事故で記憶障害が残ってしまう蒼太。ノアへの気持ちだけが思い出せないままのモヤモヤした日々。
結局蒼太は思い出せないんですよね。でも好きな気持ちは心の中に残ってて、何度忘れてもきっと好きになるって。このセリフが素敵でした。
キス止まりでエロはなし。それが作品の雰囲気に合っててまた良い。でもキスはけっこう強引だったりするのも萌える。
同時収録作「ホリゾン・ブルー」は蒼太のおじいちゃんのお話。
こちらの方が先に描かれたそうです。
戦後を舞台に蒼太のおじいちゃんと義兄の恋になりきれないBL。切ない!けど凄くグッときました。これも愛のカタチなのかな。
と、4月にレビュー書いていうのもなんですが。
◾︎伊藤蒼太,高校2年×堂崎乃亜,東京からの転校生
商業BL漫画を読み始めた初期も初期に読んだ思い出の作品です。今読み返せば後半は"よくあるネタ"…よく自分はレビューで劇薬と表現してますが…を使っちゃってて。劇薬、使えば面白くなるけれど、ある種ありきたりにもなってしまう諸刃のエッセンス。
すったもんだあったので、社会人になった2人が僅かですが収録されているのは嬉しい。
友達の厳雄が男気マンで非常に良いです。
東京の可愛いおなごの代名詞がエビちゃん。時代。
◾︎ホリゾン・ブルー
表題の過去編。戦後の苦しみを描いています。戦争の雰囲気をまとうと、やはり8月が効いてくる。
こういうBLになりきらなかった作品も好きで、表題より好きかもしれない。
絵が好みでした。
東京で男絡みで問題を起こして田舎に転校してきた男の子(イケメン秀才スポーツマン)と転校先の同級生ものですね。ありがちですねー。この設定でどう進むのか。
蒼太がいい子ですね!坊主でお爺ちゃん子で幼なじみの親友もいて。
スカしてた転校生ノアも蒼太と一番最初に友達になれて良かったです。
ノアはこっちでも適当にやり過ごして卒業して東京に戻ればいいやと投げやりだったのですが。蒼太と仲良くなって楽しく過ごせましたね。
そして蒼太は女の子より男が好きで。幼なじみだけには言ってあって。こっそり見守ってくれてます。
やはりお約束というか蒼太はノアを好きになりガンガン行くのですが、もう恋愛はしない友達がいいと言われ…。でも段々ノアも蒼太を…。
そんなときに祭りで蒼太が頭を打ち軽い記憶障害になって。そうきたかー。
蒼太はノアとのことを忘れてしまいましたが、何かあったような気がしてならない。
ノアも忘れられたショックからかお互いの遠距離恋愛を防ぐ為か何度蒼太に聞かれても、二人に何もなかったと言い続けて。
切ないですねえ。
でも蒼太の何度でもノアを好きになるって言葉が!
そして最後には恐らくノアが社会人になった頃に東京で再会したとたんチューして!!
無事に恋人になれて続いてたんですね。
何もかもを見透かしてるお爺ちゃん恐るべし。でも孫を見守ってるからこそですよね。
あるあるな設定からいい運びになりました(何様?)
ほのぼの系でもシリアスでもハッピーエンドが読みたい時にオススメです。
良書。
純愛というか奥手というか。
キス止まりの関係が初々しいやら読んでいて気恥ずかしいやらで大変心をくすぐられました。
何度も手に取って読みたくなる作品です。
『八月の杜』
海辺の小さな田舎町にワケ有りで転校してきた乃亜と、坊主頭の蒼太の物語。
なんといっても蒼太がとってもいい子!
精神が健やかで芯がしっかりしていて優しくて、好きな相手(乃亜)に対して真っ直ぐぶつかっていく健全さ!
対して乃亜は転校してきた当初は人付き合いもなく近付きにくい雰囲気を醸し出していたけれど、蒼太と仲良くなるなかでどんどん心を開いていきます。
仲良しの男子高校生の日常のひとこまがとてもリアルに描かれていて、二人の距離が近付いていく様子が無理なくスッと心に入ってきます。
蒼太は乃亜の体がふいに近付いてドキドキしたり、体育の授業の着替えでドキドキしたり、告白した勢いと弾み(?)でキスして「すんません」と叫んで逃げ帰ったり(笑)
どれもこれも甘酸っぱい青春の1ページといった趣で読み手の私は胸がキュンキンュンして仕方ありません。
そんなある意味順調に日々を過ごしていた二人に、事故による蒼太の記憶障害という出来事が起こります。
結果的に全ての記憶は戻らないのですが、戻らないという現実を受け入れて関係を再構築していく姿が私にはとても眩しく映りました。
記憶を失ってもまた同じ人を好きになる、記憶はなくても心が覚えてる。
そんな王道ストーリーではありますが、主人公二人をはじめ、周囲のいい味を出しているキャラクター達が物語を手垢のついた“知っている物語”ではない透明感のある作品に仕上げているように思います。
特に蒼太のおじいちゃんがナイスキャラ!
そのおじいちゃんの若き日の物語が『ホリゾン・ブルー』
社会人になった二人のその後が少しだけ描かれていてホッとしました。
なんだかんだ隣で一緒に人生を歩んでくれたら、と幸せなエンディングを望んでやまない物語。
『ホリゾン・ブルー』
戦後の若き日のおじいちゃんと、戦争で視力を失ったたけしさんの物語。
たけしさんはおじいちゃんの妻の兄。
恋、というには淡い想い。でも静かにすべてを受け入れて傍に居るおじいちゃんの姿に孫の蒼太の在り方が重ねて見えます。
おじいちゃんがたけしさんにした“さっさと眠れるまじない”のカタチを借りたたった一度のキスが切なく、秘めた恋心の発露の先が行き止まりであっても、この一度のキスが生涯心に在るのだろうと思わせるシーンでした。
悲恋とは違うけれど、報われることはなかった恋が余韻深く私の胸にも響きました。
2作品とも心の機微が丁寧に描かれています。
純度の高い物語をお探しの方にお勧めします。
タイトルのおかげで八月になると読みたくなる本でして、再読。
都会からやってきた訳あり転校生ノアと、田舎の純朴な高校生蒼太とのお話。
女の子に興味が持てないと自覚している蒼太がノアに惹かれて衝動的に告白しちゃうも、ノアは過去のトラウマから恋愛はしばらくしないと決めており、早々にあっさり玉砕しちゃいます。
でも振られても蒼太は自分の想いを否定することもなくノアに接する様子が青臭くて、まさに青春だなぁって。
潮の香りが漂う海辺の田舎のゆるやかな雰囲気の中で少しずつ、少しずつ二人が歩み寄っていくのがいいんです。
坊主頭は好きじゃないけど、蒼太は坊主頭がキャラ的にとてもピッタリでいいと思う。
そして途中で蒼太が記憶障害になり、ノアと蒼太の関係を忘れてしまいます。
初めて読んだ時、安直というか古典的な手法を何故この作品で用いる?と否定的に思った記憶がありますが、結局蒼太の記憶が戻らないからまぁいいか…と。これがノアの言葉とか何らかで記憶がパーッと戻ってしまったらかなり評価を下げるところなんですが、結局記憶は戻らなかったので。
記憶がまた無くなったとしても「きっとまたお前のこと好きになると思うよ」と打ち明ける蒼太がいいです。
周囲の人々も暖かくてとてもいいです。理解のあるおじいちゃん、ゲイである事を打ち明けても変わらず接してくれる友達、蒼太とノアをこっそり応援してくれている仲間たち。田舎だけど閉塞感がまったく無いのは周囲のキャラのお陰です。
ノアが自分のことを「サイテーだよ。」と自嘲したのを聞いたおじいちゃんが「サイテーと思う心があるうちはまだ大丈夫、それすら思わなくなったらサイテー人間仲間入り」と答えるのですが、おじいちゃん良い事言うなぁ!と思いました。
同時収録の【ホリゾン・ブルー】
蒼太のおじいちゃんのお話。といってもおじいちゃんが主人公ではなく奥さんの兄、つまり義兄が主人公です。戦地で被弾の末、失明をし妹夫婦の家庭へ身を寄せて暮らす義兄。
義兄は大勢の仲間が死んでいったこと、そして愛した男が隣で息絶えた日を忘れることが出来ず、死への願望に取り憑かれています。
ちょうど終戦記念日にこの作品を読んだので、お腹にズーンとくるものがありました。