• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作夜間診療所

橋場敬,23歳,ジャーナリスト志望の大学生
上嶋清美,35歳,大学病院を辞め夜間診療所を開く

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

エリートコースからドロップアウトした医師と、ジャーナリスト志望の大学生――。属する世界が違う二人のアダルトラブ。
(出版社より)

作品情報

作品名
夜間診療所
著者
水原とほる 
イラスト
新藤まゆり 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199005930
3.4

(17)

(2)

萌々

(3)

(12)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
58
評価数
17
平均
3.4 / 5
神率
11.8%

レビュー投稿数7

したたかずるい大人には、こんな純な年下が似合う

訳あって、繁華街での夜間診療所を開いて1人で運営している医師・上嶋。
ヤクザの怪我の治療でぼったくったり、逆にホームレスや夜の街の外国人女性はツケで診たり。街でもなくてはならない診療所になっている。
そこにある晩怪我でやってきた若い男・敬になぜか懐かれ…
…と展開していきます。
上嶋は、ゲイ。
年下好きではあるけれど、一回り下の敬とどうこうという事もない…はずだったのに。
とにかく敬がグイグイ来るんですよね。
敬はジャーナリスト志望で、学校の休み毎に紛争地帯近くのキャンプにボランティアに行ったり。
そんな敬は、若いのに自分の芯がしっかりあって、命の重さも人の使命もしっかり心に刻んでいる。
また子供のように素直な面もあって、そんな敬が一心に求めてくるもんだから上嶋もどんどんのめり込んでいくのだが。
そこに上嶋に資金援助をずっとしてきた元カレっていうのがいるわけ。
この男・敦彦がねぇ…
彼は別れた後もずっと上嶋に執着してて、また関係を持たなければ診療所をつぶすぞ、みたいに強要してくる。
そして診療所が全ての上嶋は、なんと応じるんですよね〜。
敬が中東に行ってる間に、一度は別れて忘れた前の男の抱き方にまた慣らされる…
三角関係BLはよくあるけど、ここでの上嶋みたいな存在はちょっと珍しい。
そりゃ敬に対してはもうダメだな、とは思っているんだけど、自分の一番守りたいのは診療所なのだからこの行為は当然、言い訳はしない、と。

さて、敬が帰ってきて。シュラバです。
ていうか、何も弁解しない上嶋と、黙って出て行く敬。敦彦は高笑い?
でもないの。敦彦も上嶋にすがるんです。心も戻ってくれ、なんて。
考えてみれば上嶋って誠実なのか不誠実なのかよくわかんない。男より診療所だ!という医師としての矜持みたいなのはホネがあるけど。
結末としては、敦彦がひとまず引く。
でも定期的にちょっかい出してきそう?

最後に。
この一途な年下ワンコ、同じ新藤まゆり先生イラストの別先生作品のアレを思い出させる。アレも私は大好きな作品なんだけど、先にアッチを読んじゃってるから既視感の分星一つ減で「萌」で。でも面白かったです。

2

ここ最近の水原作品の中ではダントツに好き

登場人物三人ともみんな好きすぎるー。
私なら敦彦を選ぶ!
でもこれは最終的に選ばれなかった敦彦に同情票を入れたくなったからで、もし主人公が敦彦を選んでたら、「私なら敬を選ぶ!」とかほざいてた気がします。
そのぐらい、どちらもそれぞれに魅力的な攻めでした。
よくあるパターンなら、この敦彦を最悪な攻めとして描いただろうなと思います。てゆかそういうBL、山ほど読みましたぜ。そうしなかったのがイイ。
ほんとタマランですね、こんな魅力的な二人から迫られるって状況、人生一度くらい私にも起きないかしら。

でも主人公の受けは、二人の魅力的な攻め以上に魅力的でした。この受けだからこそ、いい男二人から迫られるんだなって納得。
図太さと繊細さのさじ加減が絶妙でした。
元カレに賃料を安くしてもらってる診療所をまんま使い続けてるっていうの、笑っちゃいましたね。ケジメをつけようとするより「手切れ金がわりにいただいたもんだ」とかなんとか開き直って、この先もこのままナアナアでいかないかなと思ってて。まあ結局そのせいで首を締めることになるんですが。
最初から、診療所と引き替えにセックスすることを恥じることも厭うこともないという部分も、むしろ魅力的に見えました。
妙に潔癖な受けより、ずっとカッコいい。経験豊富な35歳の受けだからこそ成り立つカッコ良さ。これ、ティーンの処女みたいなことを言い出すおっさん受けだと萎えちゃうからね~。

とにかくめっちゃ面白かったです。
ここ最近の水原作品のなかではダントツに好きです。

7

どっちもイイ男★

橋場敬(ジャーナリストを目指す大学生)×上嶋(35歳の外科医)で
最終落ち着くのですが、上嶋の元彼の敦彦がイイ男で...
彼は上嶋の5歳下だから敬よりはもちろん年上で、
大人の余裕で敬をあしらうわけです。
でも、上嶋はもう敬のことが好きになっていて、自分に見向きもしない。
思うようにいかない敦彦は脅しをかけて無理矢理上嶋を抱いて
敬から奪おうとする。

ここだけピックアップしてみると、なんともサイテー男なんですが、
本当はまだ上嶋を好きで、年下の敬からなんとかして取り戻そうと
必死なだけなんです。
始めは体だけでも奪ってやろうと思っていたのですが、
「あんたしかダメなんだ。心ごと俺のところに戻ってこいよ」
と弱気になっていく敦彦が切なくなります。

かと言って、敬も年下ワンコの本領発揮で、1ヶ月間中東に旅立つ時も
「俺が留学の間、誰にも心奪われないでね」と言い残し、
帰ってきたら帰ってきたで「先生、会いたかった。」
尻尾ブンブン振ってる姿が目に浮かぶwww

この2人、健気なところは似てるんですよねぇ~
大人なやり方と子供っぽいやり方の違いがあるだけで...
両方の行動とセリフにキュンキュンしながら、
やっぱり敬とくっつくんだよなぁ~敦彦もイイ男なのに...と
敦彦の肩持ちたくなっちゃいました。
まぁ、これが最終敦彦とくっつくのなら、敬の肩持ってただろうけど。

あぁ、でも上嶋の家で3人が鉢合わせしたシュラ場は敬がかわいそうで、
これは全面的に上嶋が悪いって言うか、ズルいんですよ!
診療所とマンションを敦彦から借りているから
急な立ち退きを強要しないかわりに体を差し出せって条件に、
口では拒絶しつつも体は相性がいいからダラダラ続けている。

そんなズルい男に、自分の気持ちを告白するような「羞恥プレイ」
をしてまで引き止めようとする敦彦のそのセリフは、
転げ回るぐらい私の心をガッツリつかむキュン萌えセリフでした★
あぁ、やっぱり敦彦捨てがたひ...
一見クサそうなセリフが、今までの強気な敦彦からは程遠い、
本気で上嶋を取り戻そうとする縋り付くような泣き言に聞こえて
かわいく思えてきますww
でも、最後はキザに敦彦らしく「あなたは俺にとってプライスレスです」
と表面上引いてみせるとこがこれまたイイ男!
敬もあのシュラ場からたった数ヶ月で大人になったって言うか、
物分りよすぎる反応でズルい男を許してしまう。
つくづく先生に甘いなぁ~2人とも!

ラブ方面以外にも、戦場ジャーナリストやテロの現実、
医療ミス裁判のことなど、真剣に考えさせられる場面もあり、
でも重過ぎない程度に要約されていて、うまくストーリーの
重要な部分に組み込まれていたと思います。
それでもやっぱり、イイ男2人のセリフにキュンキュンして下さい★

1

この先生好き

内容の説明は皆さまのが詳しいのでパス
某人気の場末診療所シリーズを思い出します。
あのカップルも好きですが、個人的には先生はこっちの方が好みです。
歳食って、修羅場も潜って、多少ヨレてはいますがしたたかに医療の現場に
踏みとどまっている姿がいい感じです。
ちょっと下半身がゆるめなのといまさら初恋なんていってるのが心配ですが、
攻め君が大きな男に成長しそうなので任せて安心かも。
元彼君を含めてまわりの皆もいい味出してておもしろかったです。

1

問題が盛りだくさん、でも暗くない。

大学病院をドロップアウトし、都心の繁華街のはずれで夜間診療所を開いている医師・上嶋とジャーナリスト志望の苦学生・敬のお話です。
はじめは医者と患者の関係だったのですが、敬が足しげく診療所に顔を出すようになり二人の関係は年の離れた友人に、さらに恋人へと変わっていきます。
真面目で正義感溢れ純粋な敬は、どんどん上嶋になつき自分の手の内を見せ、35歳の上嶋も「初恋」だと言うほどに、心では切なく求め合うようになるのですが・・・

ただそれが、スムーズに運ばないのがこのお話のおもしろいところで、
まずは二人とも秘密を抱えていること、
上嶋の元カレ・敦彦を切り離しては上嶋自身が生きていけないこと、
敬が事件に巻き込まれることなど、あれやこれやと問題が山積なのです。

多くは先が読める展開ではありますが、
診療所での上嶋の仕事や敬が関係しているジャーナリズムの世界、繁華街の裏事情や大病院の問題など、真面目に“問題提起”されているような場面があると思えば、
敦彦や敬との結構奔放なエッチシーンもふんだんにあり、楽しく読めました。
主人公の二人+敦彦以外にも、医療器材メーカー営業の杉浦くんや年増のオカマ・ナオミさんたちもいいキャラ出してくれています。

で、敬×上嶋はめでたしめでたしで結構なのですが、なんだか敦彦がかわいそうになっちゃって・・・
ちょっとずれてはいるけれど、とにかく上嶋が好きで仕方がない人なので、なんだかだた振られて上嶋のお財布的な存在に甘んじさせるのはもったいない気がするのです。
それから、上嶋が大学病院を辞めた理由が、私にとってはインパクトが薄かった・・・
「敬に秘密にしておきたかったことがその程度のことだったの?」って思っちゃったのです。
これって私がモラルに反しているのでしょうか?

ちなみに、ジャンルとしたら何に属するのかを考えて見ましたが、含まれている要素が多いのでなかなか難しい。私の本棚では医療ものに入れたいと思います。

5

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP