「きみは俺がいなくなったらどうする?」

夜の寓話

yoru no guwa

夜の寓話
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×26
  • 萌6
  • 中立5
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
4
得点
67
評価数
23
平均
3.2 / 5
神率
17.4%
著者
杉原理生 

作家さんの新作発表
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イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813012290

あらすじ

「俺がきみを本気で抱いたら、きみが壊れる」
「壊してほしいのに?」
「きみは楡崎圭吾と別れたほうがいいよ」
画家である亡き父の偲ぶ会があった夜に知り合った男から、早坂蒼はそんな言葉を投げかけられた。それがすべての始まりだった。
楡崎圭吾――彼は、亡き姉の夫であり、いまはひとつ屋根の下で暮らしながら、蒼を抱く男でもある。常に倦怠感を身にまとい、なにを考えているのかわからないが、初めて出会った子供のときから、蒼は圭吾に惹かれ続けてきた。互いに強く想いあいながらも、独占欲を押し殺し、むしろ終わりをさぐりあうかのように、一種の緊張感のなか、ふたりは身体を重ね続けている。けれど、ひとりの男の登場により、ふたりが築き上げた均衡は壊れはじめて……
(出版社より)

表題作夜の寓話

楡崎圭吾,35歳,亡き画家の娘婿で画廊経営
早坂蒼,27歳,亡き画家の息子で画廊経営

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数4

アンニュイ攻め

杉原先生の攻めが好きです。
本作はじっくりと読める時間的余裕と心理的にムラッとくるようなBLに浸りたい時に読みたいですね。

以前、電子で読んでいたのですが、やっぱり紙で欲しいなと思います。もう、BL本の収納スペースがえらいことになっているので、なるべく電子版にも挿絵付けてください笑

本作は作者の『世界が終わるまできみと』に近いものを感じます。受け攻めの物語ではあるけれど、かなり家族が関与してくるところや、ミステリーっぽい要素があるところ。でもやっぱり、結末は穏やかで優しいのです。『世界が〜』も、ものすごく好き。

木原先生をして美青年好きのお墨付き?作家様ゆえ、メインカプはため息が出るほど美しい二人です。彼らの妖しくて官能的で、すぐにでも壊れてしまいそうな関係性を第三者の男が暴いていきます。この人物は物語の進行に一役買っているのですが、二人よりも先に登場するので、読者は騙されがち!

楡崎は頽廃美のカタマリみたいな男です。現代物でこれだけ品良く耽美感を醸し出せるのって、作家様だから可能なんだろうなと思いました。序盤から少しずつ伏線が張られているけれど控えめなので、楡崎のキャラクターがよりミステリアスに仕上がっているような気がします。

他方、子供時代の蒼は明るく気丈な性格でした。圭吾と出会ってからずっと彼を意識してきて、大人になるにつれ狡くなっていきます。蒼の一途さはあと一歩で執着に転じそうなギリギリのラインをせめぎあっているのに、なぜかそうならない。そこに子供の頃に見せていた彼の潔癖さが表れていると感じました。どこまでも罪つくりな楡崎と蒼の同居生活は義務的で、二人はまるで憎しみあっているかのようにも見えるのに…。

少しずつ二人の関係性が見えてくると、無邪気な頃の蒼の思いが、変化を遂げながらも時空を超えて相手と一つに繋がったと感じた瞬間、切なさが溢れてきます。もう、時差でキュンキュンさせられてしまうなんて、久しぶりでした。

画家、その娘と息子、画家の腹違いの弟。画家の友人で美術評論家とその甥。このお話には登場人物が多く、人間関係が錯綜しています。彼らを惑わしていく楡崎圭吾という男が選んだ最後とは?一気に読むと、ハマればかなり作品の世界に引きこまれること間違いなし!電子だとページ数が目測できなくて、二度目なのに読み終えるとかなり時間が経っていたのでびっくりしました。

作者のまろやかな文章が好きなのですが、今回は珍しく硬い箇所がところどころに感じられて、ゆっくりと噛み砕きながら読み直していたからでしょうか。それだけ力作だったからなんだろうなぁ、と思います。

冒頭の星空の描写から、最後の一行にたどり着いて物語が終わった時、胸が震えました。

こういうお話にエロスを見出すタイプです笑

1

生き残った二人には

結局の所、この2段組の長い物語、思わせぶりにいろいろなキャラが登場したり、因縁の事件とかあったりしたようでも、
圭吾と蒼の二人が、
お互いに運命の相手として出会ってしまって、
お互いにそれを認め合った。
それに尽きるお話。
まあ、ラブストーリーは総てそれだけ、そこへ行き着くためだけのお話なんだけどね。

それにしても、結末の圭吾と蒼の二人は、あまりにも無傷すぎて、
なんの覚悟もなく、ただ好奇心で蒼に近づいちゃった冨田は、まあ、自業自得としても、
これで、これから二人は末永く幸せに暮らす、で、いいのか?って
まあ、杉原さんのジレジレハラハラは好物なので、とっても楽しくは読んだんだけどね、
最後、なんでも死で昇華しすぎじゃないかって、ちょっと思った。

1

あとになって効いてきます

星空をイメージして作られたというこの作品は、その意図が確かに伝わったのではないだろうか。
元々、この作家さんには映像的、色や風景を連想させる文章もさることながら、登場人物自体がそのイメージを持って存在するので見えやすい。
ただ、今回「星空」というイメージには、主人公の一人である圭吾はどこまでも吸い込まれそうな深い夜空を、星空というには余りに暗い、どちらかというと暗闇を連想させ、
むしろ、蒼のほうが真っ直ぐに一生懸命輝いている星をイメージさせる。
まだ星になれない恒星が、小さくても輝く星にあこがれるように、圭吾は蒼に惹かれていたのではないか?
と、全てを読み終わった時に感じたのでした。

この冒頭に冨田というフリージャーナリストが登場します。
思わず彼が主人公で、ひょっとして彼が蒼を奪っていく役割になるのだろうか?という予想をしましたが、それは見事に裏切られました。
また、圭吾と蒼の関係においても、倦怠期カプのような雰囲気がまん延して、一体この物語の終着がどこにあるのか、全てが明らかになる終盤まで辛抱強く、のらりくらりする圭吾に付き合わなくてはならないのです(苦笑w)
しかし、ダラダラと展開されるわけではなく、ヒントが落ちているのを、読者は読み進める中で、それを回収していく作業が必要になってくるのですね。
作家さんとの、登場人物達との、我慢比べ大会です!さながら・・・

この物語の中で一番の曲者は圭吾。
蒼は、そんな圭吾を手放したくなくて引きとめているようでいて、本当は離れがたく思っているのは圭吾ということ。
富田が現れて、彼等の過去を探りだしたことで、初めて見せる蒼への執着と情熱。
それまで、そんな熱も見せなかったのに、離れなかった二人。
圭吾を引きとめる蒼の気持ちに、色々な家族のしがらみ以外に”愛”以外一体何が存在するんだろうか?
人間的に正体を見せないのは圭吾ですが、愛という点では蒼のほうがわかりにくいかもしれません。

単なる雨降って地固まる話ではありませんでした。
色々なものを背負ってしまった二人の再出発のお話になっていたのだな、と思うのでした。
読んでいる最中は、じつに温度が低く、何度も投げ出しそうになったのですが、読み終わるとじわじわ~と押し寄せてくるものがあるのです。
それがこの杉生作品の良いところなんでしょうね。

3

ちょっと中途半端な感じ

主要登場人物は、楡崎圭吾、早坂蒼、富田康之の3人。
う~ん、しかし、誰が主役だったの?というくらい散漫な印象でした。
ドロドロな家族設定や閉じられた世界の閉塞感はあるのですが、それぞれの執着心がなんか甘い(ラブラブという意味ではありません)過去の事件も最後にとってつけた感ありでした。
いっそ彼が殺人犯でそれでも・・・という刹那的な話でも良かったような気がします。
作者が悪者になりきれなかったというところでしょうか?
カテゴリー的に仕方ないかなぁ・・・とは思うのですが、何から何まで中途半端な印象が残りました。

0

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