誘惑なんてホストには簡単なはずが!?

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表題作純情不埒

森川唯司
ホスト
佐倉和己
歯科医

その他の収録作品

  • 純情とゲーム
  • 理性と落下
  • あとがき

あらすじ

「ユイジにお願いがあるの。うちの旦那を誘惑してくれない?」
 上得意客から、年上の歯科医・佐倉を堕としてくれと頼まれたホストの唯司。首尾よく佐倉の自宅に入り込み同居生活を始めるが、不器用で繊細な佐倉に強烈に傾く自分を感じて!?
 なんでもそつなく器用にこなす、そんな仮面の下に隠れた自分が、本当の恋に揺さぶられて『好きだ』と叫ぶ――たくさん泣いたあとに幸せになれる、ふるえるような感動作登場!!
(出版社より)

作品情報

作品名
純情不埒
著者
高遠琉加 
イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048705417
3.2

(24)

(2)

萌々

(6)

(11)

中立

(5)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
72
評価数
24
平均
3.2 / 5
神率
8.3%

レビュー投稿数7

恋とはもがくもの(その意味では王道)

高遠琉加さんの作品は、好きなものがたくさんあります。それは文体が好みであるという事や、設定が絶妙だという事にあるのですが、本作「純情不埒」も安定の「高遠作品」であると思いました。

「純情とゲーム」
好きな感じの文体に、お金のために男を誘惑するホスト(実は誠実な男)、といういかにもドラマの起きそうな設定。
攻めの森川唯司は根は誠実で、ゲイ疑惑のある受け佐倉和巳を陥れようとする事に罪悪感を抱き、大人で真面目な佐倉に惹かれていくんだけど、佐倉は唯司の思惑に気付いて一度は突っ撥ねる。
それでも佐倉に全身で向かっていく唯司と、年下の男の激流に流される男。ここはなかなか萌え。

「理性と落下」
佐倉目線。
唯司と通じ合えて良かった、と思えた佐倉だけど、彼の過去と、弁護士になった唯司と今は同居している状態なのに未来の別れを勝手に不安がってる姿がイジイジと描かれて、何とも読んでいてドキドキしてこない。
やはりネガティブすぎる佐倉の造形のせいだろうか。
ノンケの先輩にいいように利用?された10年以上。恋愛観が卑屈になるのも当然か…とも思うけど、ギクシャクした関係を打破しようとする唯司のやり方も、ショック療法すぎて私にはどうも納得できなかったな…下手したら佐倉の精神が崩壊一歩手前まで行っちゃうところだったよ!
「純情とゲーム」だけなら「萌」、「理性と落下」だけなら「中立」、一冊としては「萌」評価とさせていただきます。

3

ちょっともやっとする

続編とあわせて中篇2本が収録されています。シリアスタッチな、年下攻めホスト×年上歯科医のお話です。

「純情とゲーム」
雑誌掲載時は表題「純情不埒」でしたが、改題されたとのことでした。
唯司の目線で進みます。ホストの客である多香子から、有利な条件で離婚したいから夫をホモだと証明してほしいと依頼され、佐倉と接触することになります。思いがけず同居することになったものの、唯司は佐倉を思ったように誘惑できない。時間ばかりが過ぎていくうちに、多香子とのことが佐倉にばれて、出て行って欲しいと言われてしまい…。

「理性と落下」
佐倉の目線で進みます。
前作を佐倉目線で簡単に振り返ってから、後日談が始まります。弁護士になった唯司。忙しくモテる彼を見るにつれ、自分と別れて普通に女性と結婚した方が良いと考えます。元彼氏と誤解されたのを機に、別れを告げて…。

まず、続編は、せっかくだったら「純情」をつけた題名にして欲しかったです。理性が崩れ落ちた、という感じでもなかったので。

良くも悪くも女性キャラの活躍があっての作品だと思いました。佐倉の妻・多香子、佐倉の妹・瑞希、唯司の友人・ミキ。彼女達が何も行動しなかったら、二人は出会わなかったし、両思いにもなれなかったし。
彼女たちの姿がイラストに描かれていれば、もっと厚みが感じられたかもしれません。

二人だけであれこれ考えもだもだしている印象で終わったのが残念でした。ミキか瑞希が、仕事のできる豪快な女性だったら「何やってるの!」と背中を叩かれたかもしれません。佐倉は臆病な悲観主義者ですし、唯司も頼りがいがある男までは行きませんでした。どうにも迫力に欠けた二人でした。

続編で、唯司が佐倉の本音を引き出すためにとる手段も、いまひとつでした。瑞希を巻き込んだのはともかくとしても、食事会ではご両親の前で佐倉(兄)と付き合っています、と宣言をするのかと思っていたので拍子抜けでした。

佐倉と元彼氏(先輩)も、「2年で何度寝たのだろう」という表現が出ているのに、佐倉の挿入は唯司が初めてというのも違和感がありました。

女性陣をもっと強くしてコミカルテイストにするか、シリアスなら悪役を登場させて二人をかく乱させて欲しかったです。ほろりときた場面もあったので、なおさら中途半端に思えて残念でした。最後にラブな後日談SSででも緩和して欲しかったかな。

3

年下の彼氏

中立と趣味じゃないの間くらいです。
最初はよかったのですが、あまり攻めキャラが好きになれなかったのがネックだったかも。

前編後編からなる二編の小説。前編は攻めの唯司視点、後半は受けの佐倉視点です。
内容は面白くないという程ではないけど、わりとよくあるお話かなあ?と思い、けっこうあっさり読み終えてしまいました。

ホストの唯司はお金ほしさに、客である女性からゲイである旦那と離婚したいから誘惑してほしいと頼まれます。
唯司はその旦那である佐倉に近づくのですが、佐倉の純粋さに次第に惹かれていくというストーリーです。

人の依頼を受けて受けに近づくけど惚れてしまう…という展開はけっこうあちこちで見たことがあるので、少し物足りないかな?と思いました。
これで受け視点なら騙されていたことに気づいて深く傷つく展開になりそうですが、攻め視点なので代わりに騙していることに対する罪悪感があります。

でも、唯司がお金が欲しい理由なども途中から予想がついてしまうので、根っからの悪人ではないというオチも(悪人だと嫌だけど)ふくめて全体的にどこかで見たことある展開の域をでないかなぁ…と思います。

後半は佐倉視点のお話です。純情不埒の続編で、唯司が社会人になったお話。
こちらでは前半では理解しきれなかった佐倉の過去の辛い失恋や、何故好きでもない女性と結婚したのかなど、佐倉の健気さなどが辛くてじんときました。

佐倉視点のほうが個人的にはBLとしては萌えました。
弁護士になってテレビに出て有名になり、唯司が自分の手の届かないところに行くのではないかと不安になる佐倉。
自分の妹の瑞希と頻繁に会っていることも不安に拍車をかけます。

ここまでなら、わりとありきたりの域だとしても安定したBLで楽しめたと思わなくもないのですが、最後の唯司の行動が私は許せなくて読んでいて腹が立ってしまったというか…。

ネタバレになりますが、佐倉は喧嘩して出ていっていまった唯司から、しばらくして妹の瑞希と付き合ってると告げられます。
結婚の話になるかもしれないから、家族全員で食事しようと言われ、心が張り裂けそうな中笑って祝福をする佐倉。

もちろん嘘なのですが、勘違いとかでなく、はっきり「嘘に決まってるだろ」、とラストに言われ…これは自分がされたら死ぬほど傷つく…。

本音が知りたいからって、他の人と付き合っているところを見せるという行為があんまり好きじゃないです。というかかなり苦手な部類です…。
しかも唯司の、「あなたが本音を言わないから悪いんだ」みたいな姿勢って、ちょと酷すぎるのではないかと思いました。
カッコイイと思ってた唯司が一気に苦手に感じました^^;

ワンコ系でなく強気系の年下、健気な年上という組み合わせが好きで、作家さんも好きな方だった分最後のこの展開が少し残念でした。
けれど文章力は安定したせつない系のお上手な作家さんですので、強気年下×健気年上のスタンダードがお好きで、多少攻めが酷くても大丈夫、ならオススメできるかもしれません。

0

面白かったけど若干消化不良

久しぶりに高遠琉加さん読みました。
やっぱり文章が好きです。
でも内容は若干消化不良だったかな。面白かったんですけどね。

前半は攻め視点です。
ホストな攻めが、女性客に頼まれて、お金のために彼女の夫(受け)を誘惑するお話。
偶然にも助けられて、とんとん拍子&自然に受けに近づいて親しくなっていく過程はすごく面白かったです。仲良くなればなるほど、真相がバレたときのことを考えてハラハラドキドキ。
でも後半部分のポイントである「真相がバレる」という重要な盛り上げどころがイマイチだったかなァと思いました。
脇役の女性陣があまりに都合よく動いてお膳立てしてくれるところとか、攻めの「実はいい人」っぷりが強調されすぎなところとか。
後半の受け視点でも、脇役がお膳立てを整えてくれすぎなのが気になりました。
受け自身が踏み出す場面が見たかったな。

1

自分の嗜好を突きつけられた!

 はい。
 うじうじ浮け、好きですね。
 自分自身が卑屈でめちゃくちゃうじうじしてしまう人間なので、この手の登場人物には異常に共感してしまいます。

 頭の片隅では、思ってることを言うなり態度で示さなければ絶対に伝わらないし、現実にはこんなに相手の思いに気づいてくれる恋人はいないだろうし、普通だったら別れるだろっ! 
 って、頭では分かってるんですよ~~。
 
 頭では分かってるのに、攻めがうじうじを理解してくれた途端、涙がボロボロ流れるのです。

 あぁ~~これはどうしようもないな、と思いました。
 このスイッチは、自分の人格形成の上でのふかーいところに繋がってて、頭でどうこうというものではなくて、ポチッと押されちゃうみたいです。

 現実ではありえねぇよって、わかってるんですがねぇ~。

 BLを読むことって、自分の心の奥の方に繋がってるなーとつくづく思いました。

0

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