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渡海さんの新刊はファンタジーもの。
ファンタジーもの、と言うとちょっと語弊があるかな。オカルトな、といった方が正解か。ミドリノバエさんの描かれた表紙やタイトルにも興味を引かれ、発売を心待ちにしていました。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
人にとりついた「憑き物」を払う祓い屋を生業としている陸海は、祓い屋として高い能力を持ち、そして己の信念に従って祓い屋をしている。そんなある日、祓い屋の能力を聞きつけたという一人の少年が彼のもとにやってくる。
若干17歳のその少年・温は憑き物を飼いならし、その力を使って巨額な富を得てきた古久喜家の12代目の当主だという。温が言うには、彼の中に憑き物が巣くっており、18歳の誕生日を迎えたら温はその憑き物に孕まされるのだという。
憑き物を自分の利益のために使役する人物を好まない陸海はその依頼をすげなく断るが、温は何度も訪ねて依頼してくる。温のため、ではなく、その憑き物を滅するために渋々温の依頼を受けることにするが―。
というお話。
序盤、温という少年が掴みどころがなくてですね。陸海と共に温に対して不信感を若干抱くんです。が、彼らがともに「憑き物祓い」を行うために行動を共にするようになると、そこから少しずつ温という青年の中身が見えてくる。そして陸海という青年の中身も。
彼らはともに「憑き物」の存在によって人生を狂わされてきた。二人とも過酷な過去持ちさんなのです。けれどそれに対抗する手段が、二人は異なる。
陸海は憑き物を払うことで。
そして温はー。
憑き物の存在によって陸海は人と関わることを避けて生きてきた。そんな彼が温と出会い、少しずつ変わっていく。
ベースとしてはシリアスでダークな内容です。そこに加わるのが憑き物が温に仕掛ける「とあること」。古久喜家に居ついている憑き物はとある理由から温を孕ませようとしていますが、その下準備として憑き物が温に仕掛ける行為がゲスいです。夜な夜な身体をまさぐり無理やり快楽を引き出させる。温にとって屈辱で自尊心を傷つけられる行為なのですが、それを助けるのが陸海さん。
憑き物によって乱される姿を、陸海に見られ、助けられる温の心情を慮るとなんとも切ない…。でもそれがまたエロティックなんですよ。背徳的な行為、ということもあるのですが、その憑き物を温から引き離そうとする陸海の「行為」がエロい。
この行為によって、より一層陸海と温の距離が縮まっていく。
お互いにダメだと思いつつ惹かれていく、その一端を担っており激萌えしました。
身体を憑き物に浸食された温が助かるすべはあるのか、とハラハラしつつ読み進めましたが、いや、そうきたかー!という結末を迎えます。個人的には凄く大団円な終わり方だな、と思いました。
なんて言うんですかね。
愛、があるんですよ、そこかしこに。切なくも、さまざまなカタチの愛が、ここにはありました。
キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良し。
めちゃめちゃ面白く、そして萌える作品でした。
いやぁ面白かったです。あっという間に読了しました。とにかく設定も秀逸ならば読後感も良かったです。
ひと月前に「御曹司は獣の王子に溺れる」を読んだんですが、そちらと同じくらいに面白かったです。
温という少年がとにかく不憫で健気で可哀想なんです。
そしてそんな温を初めは厭い憎みさえしてた陸海が、彼の本質を知るに付けて絆されて行く様子に萌えました。
陸海の憑き物よりそれを利用しようとする人間が嫌いな面も好きだと思ってしまいました。
温の生い立ちを知れば知るほど可哀想で、陸海と一緒に買い物に行く様子とか料理に挑戦して外の世界を楽しもうとする様子も面白かったんです。
また温の身の内に存在する憑き物が徐々に変わって行く様子にワクワクさえしました。
あとがきにその後の陸海とか温のこれからについて、渡海奈穂先生がつらつらと考えてるとあったので続編を是非お願いしたいです。
温の憑き物に自らの呪具で反撃された借金まみれのあの方がどうなったのかも気になるし、陸海と温のコンビで活躍してたら楽しそうだなとも思いました。
シリーズ化しても良いくらいの作品だと思います。
好きな作家様なので例によってあらすじノーチェック。タイトルがトリッキーで、一体どんなお話だろうかとワクワクしながら読み始めたのですが…
さらさらと読めてしまう文章、物語の構成、BLで描くオカルト、そして敵対関係にある二人が体を繋ぐエロス。どれもがあまりにも完璧すぎて、読後「神」評価ってなんだっけ?としばらく意味飽和状態でした。
オカルトと書きましたけど、代々憑き物によって繁栄してきた古久喜家の禍々しい因習を断ち切るというのがストーリーの趣旨で、受け攻めを登場させる順番とか、各々のキャラ付け、視点の入れ替えによる描写が巧みなんですよね。最初、攻めは受けだと思っていたし、越阪部の使い方も上手いなぁと。
BLはハッピーエンドじゃなくてはならない掟?も、するりとかわす結末は素晴らしい…‼︎勧善懲悪はエンタメの中にだけ成立するカタルシス。この世に存在するもの全てに意味があるとするなら、たった一つが欠けても世界は崩壊してしまう。悪を排斥しない、逆に手懐けて一緒に愛してあげる。……BLの目指すところじゃないですか。ちなみに、最後にはちゃーんとラブ描写有りで、そこを外さないところも期待を裏切られず、なんだかホッとしました笑
夏にピッタリな、低体温系カプ。心をどこかに置いてきてしまった陸海が、イノセントな温に絆されていく様子が見ものです。中身は結構、熱い男たちのお話かも。
夏だ、ホラーだ、悪霊退治だ!という気分の時にピッタリな作品。キャラ文庫のホラーBL大好きです。渡海さんのホラーも怖くて好きだし、スタイリッシュなミドリノエバさんのイラストも素敵。
ホラーBLってホラーストーリー重視でエロは事件解決後の最後におまけ的にってパターンが多く、ホラージャンル好きなのでそのタイプも好きですが、今作はエロ配分がストーリーに沿っていて序盤から淫靡な雰囲気なのが良いです。憑き物に内側から犯される若き当主(受け)と腕の良い憑き物祓い(攻め)だけど、彼も家族を全て失い心に傷を負っている…という設定も良かったです。
ラストも「祓ってお終い」という普通の悪霊退治ものとは少し変わった結末で意外でした。受けは17歳と若くて辛い状況で育ってきたにも関わらず、芯の強い気丈な性格で攻めに対して最初は強がっていたのにだんだん惹かれていってしまう様子に萌えました。
あとがきによると続編の構想もあるみたいなので出版されたら是非また読みたいと思います。
何かの喩えじななく、本当に憑き物のお話。
2人の心情が切なくて、どうなるの〜と一気読みでした。
受け様は、17歳の温。
憑き物を飼っていた旧家の当主であり最期の1人。
取り憑いている憑き物を祓ってもらうために頼ったのが、攻め様である祓い屋の陸海。
大事な人を、憑き物やそれを使役する人間によって奪われた陸海。
身内により、贄のように当主にされ、飼い殺しのような生活を強いられてきた温。
憑き物に自ら関わってきた家系の温に対し、最初は冷たい態度だった陸海だけど、一緒に過ごす内に、本当の温の姿を知り、情がうつっていく。
受け攻め両視点で進むので、2人の変わっていく気持ちがよくわかり、とてもよかったです。
温の身の内にいる憑き物を祓うやり方が、とっても淫靡。
温に執着し、しがみつく憑き物を無理やり剥がすのではなくすいとるΣ(゚∀゚)
もちろん祓うためなんだけど、想像したらなんだか見ちゃいけないものを覗いてるような気がしちゃいます。
最後の強力な憑き物の対し、陸海は祓えるのか、どう決着をつけるのか、めっちゃドキドキしながら読み進めました。
別の祓い屋が横から手を出してきた時は、なんだこいつ〜〜って思わず憑き物の応援をしたくなり。
その後の陸海の慟哭。
こんな攻め様の姿が大好物なので、萌えマックスですσ(≧ω≦*)
祓うためじゃなく、ただ純粋に愛しいという気持ちでの愛の行為。
まさか陸海の口から"純愛"なんて言葉が出るとは( 〃▽〃)
イラストはミドリノエバ先生。
お話にぴったりの分があるイラスト。
特にラストのえちシーンでの陸海が、大人の男の色気がダダモレの表情で、めっちゃ萌えました(///ω///)♪