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あらすじ買い。なんじゃこのあらすじは、トンデモ話か? と思っていたら、違いました、きゅうきゅう胸が痛くなる、そして最後はその開放感で幸せになれたお話でした。他のレビューア様が書かれてますが、私も自分が今まで読んだ渡海先生の作品の中ではぶっちぎりで大好きです。
書き下ろし280P弱。このままでもとっても好きだけど、でろ甘ショートがあるともっと嬉しいなあ。
舞台は特殊設定(新種の病原体?)入っている分だけ、リアル日本から少しずれています。
綾木市というところで不思議な野生動物の死体が出、イカレタ人間が出始め、環境部廃棄物処理課に所属する幟屋が何とかするべく、引きこもり宮澤の所へしつこくしつこく訪問し・・・とお話は始まります。
攻め受け以外の登場人物は
攻めの職場仲間、受けの母親、謎の病原体に感染した患者など、少々。ほぼ二人で進みます。
この攻め、登場シーンの中の挿絵では、面構えはもろ「その筋の方?」と思わせるんですが、むちゃくちゃ気配りする&面倒見が異常によい。引きこもりの受けが段々懐くのもめっちゃ納得ですが、なんだこの面倒見の良さは?と思っていたら、凄惨な過去に起因していました。ひゃーです。
攻めにも入れ込んじゃいましたが、もっと入れ込んだのが、受け。特殊能力持ちで制御できないが故の苦悩を小さいころからずーーーーーーーーっと持ち続け、引きこもりながらも、よくここまで無事になんとか成長した!と思います。自分の息子に発達障害の疑いがあった時期があり、受けの母にも、もう言葉がないです。苦しかっただろうなあ。受けが「やくにたたなかった・・・」とぼろぼろ病院で泣くシーン(笠井先生の私的神絵あり)は悲しくて無念でこっちもぼろ泣きでした。
そんなぎゅーーーーーーーーーーーーっという緊張感が最後の方まで続くので、やっと一息つけたシーンでは、攻めの余裕のなさにふきだします(笑)強面なんだけど、可愛いんです、あんまりにも必死なんで。
ここまでも素敵なんですが、最後の最後がもっと素敵。受けが男前ー♡せいぜいあんたに寄生してやる なんて可愛げのない言い方して、もうきゅんきゅんです、ここ。
謎の病原体が気になるので萌2かな と思ってましたがレビュー書いてる間にやっぱ神~と思いました。シリアス、せつないものが大丈夫な方は是非ご検討を♡ほんとよかったです。
久しぶりに頭が冴えるようなお話でした。
渡海先生の作品は「運命かもしれない恋」で目覚めました。
前作「狼は闇夜に潜む」がとても良かったし、新刊「空はちゃんと晴れてる」も注文済みなんですが、こちらの作品はあらすじからSFちっくな印象を受けてたので、何となく手が伸びてませんでした。
しかしこれがとても面白かったんです!
SFちっくというより、精神的な恐怖をメインに置いたお話で私の大好きな分野でした。
幼い頃からの央を取り巻く環境を知ると心底辛く怖かっただろうな。
そしてそれは大人になっても変わらない。
完全引き籠りを実現して静寂な生活を築くことが出来るようになった今も「それ」は聞こえる。
央にとって家から一歩出ることは耐え難い苦痛なんです。
そこへ「ハイノリ」の解明に協力して欲しいと、市役所勤務の男・幟屋がしつこく訪問して来ます。
初めて正面から自分を受け入れてくれる幟屋に、央は自分自身と戦いながらも協力を受け入れていくのですがー。
ハイノリの世界観が面白ろ怖くて、なかなか尻尾を出さない展開にイライラじゃなくワクワクして大変面白かったです。
そして孤独を抱えてきた二人が「ハイノリ」によって引き合わされ、少しずつ距離を詰め心を通わせていく過程がとても自然に描かれていてこちらの展開もとても良かったです。
「寂しい」という感情は誰のものなのか、どこからくるのか、ラストでわかった時この作品の面白さにやられました。
タイトルがまたいいですね。
それにしても、幟屋(のぼりや)が読みにくかった…。
最後まですんなり読めませんでした ^^;
タイトルでずっと気になってました。あらすじで心配しつつ読み始めたら、すっごく良かったです!読み応えあります!
人の心のあり様と言いますか、自意識との葛藤と言いますか、心の成長による依存やらとにかく心理描写がすごいんです!
央視点で始まりとにかく辛くて可哀想で。そんなところへ訪ねてくる正義感の塊でコミュ力おばけな市役所職員の幟屋に手のひらの上で転がされて。
少しずつ幟屋に心を開いて役に立ちたいと思うようになっていく央が、微笑ましいやら自意識と葛藤してて可愛いやら。
自分の言い分を初めて信じてくれてこんなにしてくれる人が現れたら!そりゃ引きこもり名人級の央は依存しちゃうよね。
しかし幟屋の視点になると、えーーーー!
そんなつもりだったの?そんなふうに考えてたの?ひどい!央が可哀想、傷つくよ、きっともっとひどいことになるよ!
だけど幟屋も葛藤してたんですね。
そもそもこうなったのにも原因があって…。彼も色々あったんですねえ。
多分このレビューを読んでも何のこっちゃで役に立たないと思うんですが、「寂しさ」を思い出す、誰かを必要とする愛することを知る純粋なお話なのかな?そういう自然な感情が生まれたり思い出す。
ただ、特殊な設定なのでそこに意識を持っていかれますが、二人の成長も見どころです。
市役所職員に、引きこもり青年と言う、一風変わった組み合わせでのオカルトものです。
男らしく整った容貌の攻めに、美人受け。それを笠井先生の美しいイラストでと言う事で、ビジュアルが素晴らしいです!
そして萌える!声を大にして言いたい!!萌えるーーー!!!
包容力がある攻めと意地っぱりな受けが、協力して事件を解決するんでしょ、となめてかかると、意外な展開で驚愕するんですね。でもそれがめちゃくちゃ萌える!!!
ややありがちで単調な印象でストーリーが進み、こちらが油断しきったぐらいで意外な展開、・・・からの萌え爆発です!緩急の付け方が素晴らしい。
ベテラン作家さんだけあって、このへんがホントお上手だと思います。
内容です。
人に寄生して体を乗っ取る謎の生命体、通称「ハイノリ」。ハイノリの被害拡大を防ぐ為、市役所職員・幟屋は、動物の「声」が分かるとされる引きこもりの青年・宮澤に協力を要請しますが-・・・。
こちら、多分オカルト系になると思うのですが。
幼少期から動物の声なき声が聞こえてしまい、そのせいで引きこもっている青年・宮澤と、市役所職員・幟屋の変則的なバディものでもあります。
人の体を乗っ取ってしまう「ハイノリ」の正体とは一体何なのか-。
小動物から始まり、中型、大型と徐々にその対象を大きくし、最終的には人間を乗っ取り始めるハイノリが、なかなか不気味な印象です。この推理サスペンスと言うか、謎解き部分も興味深く読ませてくれるのですが、何と言っても萌えるのが、二人の関係!!
引きこもり青年・宮澤の方は、まぁ意地っぱりでツンデレ。
最初は幟屋に対して警戒心バリバリなのに、彼に気を許してからの言動が可愛いったらありゃしない!スネて甘えて独占欲を見せ、役に立とうと懸命に頑張る・・・。
対して幟屋ですが、こちらは包容力があり誠実。ーに見せ掛けて・・・と、一筋縄ではいかない男。表紙をご覧になれば分かると思いますが、悪い顔をしております!!
しかし、最も萌えたのがその部分。
普通に包容力のある攻めが、その特殊な能力故に社会に適応出来ない青年の心を開き、共に「ハイノリ」に立ち向かう・・・。
そんな、最初は誰でも先の読める、ちょい退屈な展開でしかないのです。
しかし、中盤で攻めの意外な本心なんかが分かり、驚愕する。間をおかず、受けの健気さに毒気を抜かれ、絆される攻め。ここがホント上手い!!
幟屋の本心なんかがが分かった時点で、わりとイラッとくるのです。しかしそんな彼が、宮澤の涙なんかを見てオロオロする。愛しく感じて、自分のそんな感情の動きに動揺する。そして、猛烈な後悔に浸る・・・。
個人的に鼻持ちならない攻めが、受けによって改心すると言うか、愛を知ってペースを崩されたり、オロオロしたりするのがめちゃくちゃ好みで萌えるのです!!
その後の幟屋による、宮澤の甘やかしっぷりにも大変萌えるんですね~。
ここから幟屋の「ズルイ大人」発動で、すれ違いなんかがあって若干イライラもあります。
しかし、彼も覚悟を決めた後は、なりふり構わない行動や、リミッター振り切っちゃった素直すぎる言動で萌えまくるので、まぁ良しと言う事で!
あと、結局「ハイノリ」の正体ですが、これも都合良すぎない感じで締めくくられていて、納得の解決でした。
一回りも二回りも強くなった宮澤と、逆にちょい尻に敷かれそうな勢いの幟屋。めちゃくちゃ甘いラストにニヤニヤしっぱなしでした。
笠井さんの表紙に釣られて購入しましたが、海渡さんの作品の中でもぶっちぎりで面白かった。内容はすでに書いてくださっていますので感想を。
とにかく設定が面白い。
虫、小動物、そして人間。
生き物が「なにか」に乗っ取られ、性格が変わり、そのうち死を迎えてしまう。
そんな恐ろしい「なにか」を調べているのが市の職員である幟屋。
その「なにか」を追求するうえで存在を知ったのが13年間引きこもり生活を送っている央。彼の力が必要だと判断した幟屋さんは、頑なに外へ出ようとしない央を、何とか口説き落として調査に協力してもらおうとするがー。
央の抱える特殊な能力(本人にとっては弊害でしかない)とは一体何なのか。
生き物を乗っ取る「なにか」(作中では「ハイノリ」と称されている)の正体は。
SFというのかオカルトというのかちょっと特殊な設定なのですが、さすが海渡さんというべきか、ぐっと読ませる文章力はさすが。どうなるのか気になり、ページを捲る手が止められませんでした。
「ハイノリ」=警察用語の「背乗り」という事で、ややオカルト風味でホラー的な怖さはあるものの、この作品が描いているのは「人の孤独」。
過酷な過去を持つ幟屋さんと央、そして人々が抱える寂しいという感情。
そういったものが根底にあるために、怖いというよりは切ない、という感想が先に立ちます。
そして、BLという観点で読んでも、孤独な魂を抱えた幟屋さんと央が少しずつ寄り添っていく過程に激萌えしました…。
「ハイノリ」が幟屋さんに寄生しなかった理由が哀しく、けれどそこまで孤独だった幟屋さんが、央という存在を得て孤独を昇華していく。あとがきで海渡さんも書かれていらっしゃいますが、より救われたのは、央ではなく、幟屋さんの方だったのだと思います。
SFものとして読んでも、BLとして読んでも面白かった。
あと特筆すべきは笠井さんの挿絵。
今作品の表紙はリアル書店でも手に取りやすいマイルドな絵柄で、中身も濡れ場は終盤に一回あるだけと、エロ度はかなり低い。
なのに、イラストにほのかににじみ出る色香がヤバい…。
カッコいいし、彼らの孤独も読み取れる。
そして二人の表情が、ストーリーの進展とともに変化してく様は圧巻。彼らの気持ちの変遷を見事に描き切っています。
表紙をめくってすぐの口絵ですが、表裏共にカラーのイラストが描かれていて、これが悶絶ものです。マジで悶えます。
絵師さん買いした作品でしたが、めちゃめちゃ面白かったです。