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表題作ふじむすめ

長唄教室の仲間
川村斗馬・20歳
杉森一年
額縁営業の社員、29歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

仕事中、長唄(三味線音楽のひとつ)教室から聞こえた三味線の音色に足を止めた杉森一年は、中で聞いていかないかと誘われる。待っていたのは、三味線の先生である岡本竜市、杉森を誘った竹田楓、そして生徒の川村斗馬の3人との出会いだった。
「一緒に長唄やりませんか?」「俺達、仲間が欲しいんです」
熱心に誘われる杉森。彼らの作り出す空気に不思議な居心地の良さを感じながらも、杉森は誘いを断るために自分がゲイであることを告白してしまい……。

歩田川和果の最新作は、長唄の調べを乗せて描く、心を揺らす純愛ストーリー。
(出版社より)

作品情報

作品名
ふじむすめ
著者
歩田川和果 
媒体
漫画(コミック)
出版社
廣済堂出版
レーベル
Hugコミックス
発売日
ISBN
9784331900611
3.7

(19)

(5)

萌々

(7)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
71
評価数
19
平均
3.7 / 5
神率
26.3%

レビュー投稿数14

ご縁の不思議

BLコミックスとしては珍しい設定。
「長唄教室」です。
ふじむすめ、とは長唄の曲名なんです。

主人公は、偶然長唄を習うことになったど真面目なサラリーマン・杉森(29)。
教室の仲間は全員杉森より年下で、年寄りの趣味、という雰囲気は全くありません。
先生は、竜市(26)。
先輩生徒は、竜市の年下の幼馴染み・斗馬(20)と、作家だという楓(26)。
彼らは杉森が今までに出会ったことのない自由さに溢れていて、「ご縁」という感覚と共に彼らと交流していく杉森の姿。

前半は、生真面目な杉森と居心地の良い緩さを持つ彼らとの友情、的な。
とはいえ、BLとしての舞台装置はあります。
杉森と斗馬はゲイ、という設定。
斗馬は本作においてのイケメン担当なんだけど、竜市の事が好きなのかなぁと何となく匂わせておいての。
「俺としてみる? セックス」。斗馬が杉森に爆弾発言。
斗馬は杉森の事が好きなんです。
これが読者的にかなり唐突で、杉森と一緒になって驚き、嘘でしょ?イヤだめでしょ?と慌てたりする感覚。
クールで無愛想で低温に見える斗馬は、実はとても一生懸命で熱烈。
そのギャップというか意外性にやられる。

仲間になったから色恋は避けたい、身近な人は対象にしない、という杉森。
近くても遠くても同じだ、という斗馬。
どっちが正しいかなんてわかんないし、多分どっちもその通りで、だから殻を破って一歩踏み出す杉森にエールを贈りたい。
強引に勧誘された長唄教室に参加したのとおんなじだね。
ほだされでも流されでも、その先を歩むのは自分。

楓や竜市にいちいちご報告するのは…なんか恥ずい。
お稽古一周年の発表会、成功を祈る!

0

長唄なんてロマンチック

 歩田川先生の作風が改めて好きだなぁと感じました。長唄で繋がる大人達というのも、風情がありますよね。歩田川先生のタッチにも合っている。メインである斗馬と杉森の関係性も、じわじわ距離が近くなっていく焦れったさが魅力的でした。特に、淡々としていて普段はあまり熱が感じられないタイプの斗馬が、根は誠実で、好きになったら積極的に迫るタイプなのがたまらなかったです。2人の関係性にもっと浸りたかったのですが、主な登場人物や場面転換が多いため、少し煩雑な印象を受けたところが唯一残念な点でした。ただ、他のキャラ達のおかげで、人と人との繋がりの温かみも感じることができたので、全体的には満足です。

0

ご存知ですか?長唄

自分が知らない世界とか、持ってない感覚の話は面白いです。
知らない世界は、この1冊の縦軸になっている長唄というもの。三味線以上に長唄が何かよく分からないまま読みました。次に自分が長唄と出会うときに必ずこの作品を思い出すのだろう。

そして持ってない感覚。誰か選ぶならば、自分は杉森の感覚に一番共感できる一方、斗馬にはほぼ共感できない。同じ作者の手から生み出されているのに、先生にしろ楓にしろ、別個の人格だと感じさせるのがうまい。

作品全体ほぼ4人の男、途中からは5人の男…が喋ってるだけなんですけど、なんだか心地良いです。そう、歩田川先生の作品は心地良いんですよ自分には。激情はないけれど、じわじわ染み渡るような、揚げ物じゃなくて煮物みたいな(わかりづらい)。

0

不思議な世界に引きこまれる

BLと三味線?と意外な組み合わせに興味を持ち、
手に取りました。
タイトルの『ふじむすめ』は、長唄の曲名です。

始まり方は唐突で、まるで宗教の勧誘?と思うほど、
強引に言いくるめられる……

そう、この作品は会話劇なのです。
とても多いセリフに不思議な吹き出し、少ない登場人物。
主な登場人物は4人(+1人)。

三味線教室に半ば強引に誘われ、
流されるように始まる関係。

本気で、なんなの?
この人たちなんなの?
と思いながら読み進めました(笑)

だけど、誰も悪い人はいません。
とても愛情に溢れた人たちばかりでした。

主人公は、ゲイの杉森(29歳)
そこにアプローチをかけるのが、同じくゲイの斗馬(20歳)

斗馬が唐突なんですよね^^;
杉森に、セックスしない?って……
でも、よくよく聞いてみると、
杉森のことが好きなんだってよく分かります。

杉森は優しくて、人の感情を読み取ろうとしてくれるいい男です。
ちゃんと内面をみてくれる。

ちょっと絆され、流された感はあるけど、
面倒くさい斗馬を分かってくれて、
好きだと言ってくれたのは嬉しかったです。

大人ぶってるけど、斗馬は本当は寂しがりやの甘えんぼ。
それを分かって付き合ってくれる杉森さんは、
とても大人だと思いました。

とにかく、三味線教室の仲間たちが味があってとても良かった!
ストーリーもあるような無いような……
でも、とても面白かったです^^

心に残る一冊になりました。
先生の既刊も読んでみようと思います。

0

クールな外面の下は意外に…

初読み作家さんです。
絵柄がとても独特で個性的ですね。好みが分かれるかもしれませんが、私は嫌いではありませんでした。むしろ味があって好きかも。
お話はごくごく日常的な出来事が描かれているんですが、主要人物がみんな性格が違って中々魅力的な人達ばかりでした。
小さい頃から家族のようによく知っている3人の三味線をやっている仲間の中に、主人公の受け様が強引に誘われて三味線を始めるのですが、あまりに熱心な勧誘に3人を疑ってしまうとか…うんうん、分かる。普通、そうだよね~(笑)。
台詞の部分がとても多いのですが、それは私たちが普段普通に会話している内容が省略されずに書かれているから。
挨拶の受け答えとか、誰かの意見に同意する相槌とか、やたら丁寧に書きこまれてる。でもそれが自然な会話の流れに感じられます。
こういう台詞の使い方も個性的だと思いました。
この作品で一番印象強かったのは、一見クールでカッコイイ攻め様が、どうにかして受け様を落とそうと迫るシーン。
30ページに及ぶ2人の会話がまるで問答を聞いているみたいでスリリングでした。色々攻める角度を変えて(台詞でですよw)受け様を言い含めようとする年下の攻め様が頑張ってました(笑)。
あんなクールな仮面の下に意外な執着というか情熱を潜めていた攻め様が可愛かったです。

1

大好きな作家さんですが、低めの評価ですみません。

歩田川さんの初読みは「ねくたいや」でしたが、独特な絵で上手いかと云われるとよく分からないのですが、その台詞の運びに感嘆いたしました。そして、この話にはこの絵でないと駄目なんですよ。ARUKUさんとか、明治カナ子さんが私の中では同じカテゴリーです。作風は全く違いますが。
どの話も主に大きな事件がある訳でもなく、会話で話が進んでいきます。そこがとても小劇場系の舞台を思わせるんですよね。(自分がそっち方面だった事があるので、特に懐かしい感じがします)

で、色々読んで多分、これを読んだ当時は今度出る最新作を除く最後の一冊でした。
三味線が好きでそのうち習いたいなあと思っていたので、題材はどんぴしゃ。なりゆきで進む話も、いつも通り。
なのですが、何故か他に比べて響きませんでした。
雰囲気は勿論大好きなんですが、他との違いは自分でよくわかりません。
エディドヤよりは意外性はなかったですが、杉森さんはそっちとくっつくのか、そうか。
彼がいきなりカミングアウトしたのは、何となくわかります。
大丈夫そうな人って、分かるんですよ。どうしてだか。
そういう人たちに意味もなくバラして、楽になりたいっていうのはあるかもしれません。
斗馬が、つかみどころがなさすぎたから入れ込めなかったのかもしれません。
こういうキャラは好きなんですがねえ。
何となくすっきりしないので、低めの評価ですみません。

1

三味線の音色

習い事を始めてみよう!と思っている方、こんな習い事どうですか?
『三味線』(長唄)いかがでしょう?
興味がアリアリでしたら是非ともこのコミックを読んでみては?
あらゆる縁が繋がり『三味線』(長唄)を習ってしまう男性の物語。
友達っていいなとあったかくなるお話がふんだんに入ってます。
応援したくなる恋のお話ももちろんあります。
1冊丸ごとじっくり楽しめました。

三味線の何とも言えない音色がたまらなく好きです。
激しい情熱的な恋の唄だったり。
物悲しい寒々とした悲恋の唄だったり。
日本人で良かったな。

3

確かに面倒臭い

評者はまず一言申し上げたい。
この本と距離を置くならせめて三度は読んでから
断を下して戴きたいと。
さらりとした一読ではこの本の中に生きてる人達の
腹の中は多分見透かせないでしょうから。
悪い人達じゃないんですよ。ただ意識無意識に
かかわらず腹芸を応酬し合ってる人達なだけで。
だからやる事やってとりあえずに収まっても
まだ何か燻ってるんだろうなと中々に安心できない。
それでもそれぞれにどこかしらお約束を何か崩せた様
ですから、これから先は少し違った応酬があるんじゃ
ないかなと。
大人だって何かに寄りかかりたい時はありましょうしね。

4

他愛のない会話、思いやりに溢れた会話が耳に優しく心地いい…。映画のような作品です。

大大大好きな作家さん。
デビュー作で衝撃を受けて以来、ずーっとお慕いしております。(〃ω〃v)
ラフな印象で、幾重にも線を重ねたようなタッチが特徴的な独特のイラストなので、好みは分かれるかもしれません。
そういう点で絵柄に関しては一見拙さがあるものの、妙に色気のあるキャラ、柔和なキャラ、誠実なキャラなど…それぞれの個性がにじみ出るような描き分けがなされていて、すごいなぁ…と感心してしまいます。
拙いわけではない、これが個性で味なのです。
なんだろ…? 明治カナ子さんの作品に初めて出会った時の印象と似ているかも…? あの時も「下手なんじゃなくて、これが個性なんだ…!」と同じようなことを思って感心したものです。

映画を見てるような深みのあるシナリオ、温度のある会話の構成、余韻、間……そういったものが絶妙に組み合わさっていてすごく精緻な読物だと思います。
驚いたのは、そうやって丁寧に丁寧に作られているのがわかるのに、作家の作為をまるで感じない「ナチュラルさ」があるところ。
実際に存在する人たちを描いているのかと思うくらい、キャラが自立してるというか……思考力を持って、作家の手を離れて独自に動いていると思えるくらい、自然な空気感で綴られてます。
それは、すぐ横道にそれちゃうような会話のやり取りとかからも感じられて、実際、おしゃべりってこういうムダが多いもんだよな~…とおかしく思いながら、「それを漫画の限られた紙面の中で再現しちゃってるのがすごい!」と感心してしまうのでした。

あらすじとしては、真面目が取り柄の冴えないリーマンが、ひょんな縁で長唄教室に通うことになり、気さくで大らかで面倒見のイイ連中に囲まれながら、長唄の楽しさをしり、居心地のいい空間を手に入れていく…というお話。

長唄教室への勧誘はやや強引だったので、冴えないリーマンは断る口実として、自分がゲイだということをカムアウトしており、
「あなた方に惚れるかもしれませんよ」と脅しますが、
あっさり「いいけど」と受け入れられてしまいます。
加えて、門下生の一人に「俺もそう(ゲイ)」と打ち明けられ、師範1人、門下3人、うちゲイ2人…という男4人の長唄教室がスタートするのでした。

ということで、カップルは
年下の門下生×冴えないリーマン、という9歳差の歳の差カップルになります。
感情表現乏しくて毒舌だけど度量が大きい年下と、バカ正直で不器用な世渡り下手なリーマン。
このコンビ、意外にも攻めが積極的でアクティブだったのが非常に面白く、ツボです。

初対面で自分のウィークポイントを晒してしまったバカ正直な受け。ゲイである異分子の自分が参加したことで教室の和やかな雰囲気を壊すまいと気を配る受け。
…そんなリーマンを見てるうちに好きになっちゃった無愛想な年下くんが、ストレートに口説きまくるのがすごくよかった。
自分を過小評価し、恋を諦めてる年上リーマンがいろいろ言い訳を並べて断る端から、「あーだこーだ」と突っぱねて、最終的に説き伏せる辛抱強さが素晴らしく、強引で乱暴な物言いはするのに、絶対に相手の意思を尊重する真摯さがあって、受けじゃなくても惚れました。
かっこ良すぎます。

また、ウジウジしたネガティブキャラは嫌いですが、このリーマンのネガティブさはそういうウジウジとは違っていて、とても好感がもてるものだったのも魅力でした。
それは、周りの人間を気遣う「優しさ」と、自分の身の丈にあった振る舞いをすることが染み付いている「自制心」のようなものが混ざり合った逡巡で、闇雲に「自分はダメだから…」と消極的になってるわけではない。
自分のことも周りのこともちゃんと客観視できているので「一人よがりなネガティブさ」ではないのです。
だからこそ、攻めは硬質な受けが放っておけなくて、楽しい恋を端から諦めてるような態度が心配になってしまったのでしょう。
辛抱強く、時には強引に、幾つもの言葉を重ねて愛を乞う年下の男は、健気でカワイイです。
付き合うようになってからわかることですが、意外に嫉妬深く甘えん坊なところがあるのもカワイイ。
ずっと読み続けていたいコンビです。ぜひとも続きを描いて欲しいです。

大らかで人のいい長唄教室の面々が好きです。
そこで交わされる他愛のない会話も、思いやりに溢れた会話も耳に優しく心地いい。
作家の手を離れ、生身の人間のように自由気ままに動くキャラたちがいてこその魅力。
そんなキャラや世界観を、傍観者のごとくさらっと描けてしまう作家さんのセンスや技術に感服いたします。この方にしか描けない手法かと。
イラストが独特なので敬遠されてしまうのかもしれませんが…もっとたくさんの人に読んでもらいたい作品です。

《個人的 好感度》
★★★★★ :ストーリー
★★★・・ :エロス
★★★★★ :キャラ
★★★★★ :設定/シチュ
★★★★★ :構成/演出

5

表に出すだけが、優しさじゃない

歩田川さん、初読みです☆

全体的に細長ー…という印象なんですけど、
読み続けると慣れてきますw
そういう感じね、って。
三味線自体に興味があるので、
それを若人がやってるってだけでも「おぉ!」だし
チーム組んでるって(社中っつうらしいんですが)イカスわ!

最初からゲイだとカミングアウトする杉森さんも凄いけど、
あっさり「いいけど」で済ます三人も凄いw
こんなに鷹揚な人達ばかりじゃないだろうにねぇ…。
ま、斗馬はゲイでしたけどね。

派手な展開はひとつもないけど、
一番年下で一番素っ気ない斗馬が
表情も変えず「俺としてみる?セックス」とか言ってみちゃったり、
わざと酷い物言いしたり…。
そこが萌えます。
そのわりに杉森さんを独占したくて、愛の言葉をねだる年下らしさもあり。

つい流されて入ってしまった三味線の世界だけれど、
過去の寂しい恋愛が相殺されそうな程の恋と温かい人の縁。
寂しいままじゃ、きっと誰も生きてはいけないでしょう。
人間としての好き、と、恋愛感情の好き、が
同時に手に入れられた杉森さん、羨ましいわぁ…。
真面目なあなたが幸せにならなくてどうする!って感じでしたが。

最後、舞台に上がる前の5人がバンドメンバーっぽくて好き。
和でも洋でも、演奏するのには変わりないですものね。
少ーしクセがある絵柄ですが、
優しい登場人物達と
淡々&じわじわ来るお話がお好みであれば楽しめると思います。




5

個性的な絵だけど

とっても読みやすかった。

前の本(エディドヤとか)に比べると、わかりやすい恋愛マンガで、ちゃんとエチまで行きつくし、1年がかりでじっくり連載していただけあって、1冊の本としては非常に満足度高いです。

人物の影側がベタ塗りだったり、シルエットだけの遠景画や、キャラのシンボル付の吹き出しといった、個性的な絵も、画面全体のデザインとしてメリハリがきいているので、見やすくて好きです。
室内を真上から描いたり、床の高さから描いたりと、視点が多彩なところもいいなぁ。
特に、座敷に座っている人物達を、床から見るアングルが好き。

3

じわじわくる

絵柄、吹き出しが独特で慣れるのに時間がかかります。
好き嫌いがハッキリしてしまうのではないかと思われます。

長唄教室の仲間(変わり者揃い)で、タイトルの「藤娘」を目標に稽古していく中
主人公杉森の相手に予想された先生の竜一は超天然な感じに話進むのか?と思っていると
斗馬が絡んできて意外なカップリングでおや??と思っているうちに
どんどん引き込まれ最後には、良かったのかなとじわじわときます。
はぁーーまんまとやられた。
お約束展開の多いBLの中珍しい展開で、楽しめました。


2

クセがあるけどのほほんほのぼのとした…

絵が結構好み。ラフな描線とかざっくりした簡略絵がいかにもこなれていて達者だなと。パセリとか芋までかわいいしw

吹き出しもだけど台詞回し自体もクセがある。段々読み進んで慣れるとそれが味って感じます。
多めの台詞も書き文字もわいわいした雰囲気出ていて楽しいです。

社会人ものだけど雰囲気は大学サークルものっぽい。男子5人(全員成人なんですが)がほのぼのわちゃわちゃとしています。ときに画面の外でスポコン熱血を繰り広げていたりw
師弟だったり疑似家族的だったり友情っぽかったり恋人っぽかったり…いろんな関係性を見せながら物語が進むので大きい事件は起きませんが飽きないです。

攻が受のこと「ほっとけない」って言うんだけどほんとにそんな感じの真面目で臆病で不器用な受もかわいいんだけど、段々浮き上がってくる攻も可愛い。
攻は初めツンデレって感じなんだけど、恋人同士になってからクーデレでした。
「ごめん。面倒くさいことを言った」って謝っちゃうのがまた可愛いんだ。
受攻の二人以外の登場人物もみんな面白い。
おかんだったり専門バカだったりする浮世離れした竜市も、「素直な馬鹿」の松浦君(どんぐり眼に泣きボクロがかーいい(´∀`*))も面白いんですが楓が一番気になる。
人懐こいご陽気者のようで人を観察して気を遣ったりけん制したり…その一方で自分の素の部分は出してない感じがするんだよな。
この人たちの素性や関係性が気になるなー、BLじゃなくても読みたい。

エロシーンが妙にエロティックと思ったらあとがき読んで納得。狙いどおりですね。
特に「眼鏡置かせてくれないか」はエロいよねw
「ざまあみろ」みたいな受の反撃もいいですね(*´Д`)

4

出会いのえにし

不思議な空間が漂う歩川田作品3冊目、今回はエチありますw
影法師みたいな、マッチ棒みたいな登場人物達がおりなす、出会いの物語はとても印象的で、ものすごくじっくりと読みたい本です。
実際、一度目流してよくわからなくて、二度目じっくり読みこんで、三度目解らなかった部分を目を皿の様にしてセリフを頭に叩き込んで、四度目また更にじっくりとかみしめて読んで、これを読み応えといえば、そうなんだろうと・・・w
しかし、いつも自分が陥るトリックにやはりまたはまってしまったよう。
年下ワンコの一途な押せ押せと、ちょっと後ろ向きででも誠実な年上男のラブストーリーだけとりだせば、実に簡潔な物語。
ただ、それに絡む人物に目を奪われて、主人公達と同じように何か裏があるんじゃないか、って疑心暗鬼になってしまったのが難しくしてしまったようです(反省w)

営業中に、ふと足がとまった長唄教室の前。
そこの生徒に声を掛けられて、律儀におとずれてしまった額縁の会社に勤める杉森・29歳。
そこでは男ばかり3人が集まって、長唄をやるメンバーをさがしていたのでした。
杵屋の名を持つ師匠の竜一26歳、その弟のような存在の一番年下の斗馬20歳、自称作家で師匠と同じ歳の楓。
何故かアットホームな雰囲気に、思わず自分がゲイであることをカミングアウトする杉森だけど、彼等は全く気にせず、うち、斗馬も自分がゲイであることを明かす。
そうして始まった、長唄教室通いと、彼らとの楽しいひと時。

杉森が訪れた時、「これも縁というんですよ」という”ごえん”という言葉に出会いの偶然と必然をあらわしているのですが、きっとそれを意図として杉森の会社を額縁会社にしたんだな。。。なんて思うのですがw
この話の中で、恋愛の可能性は腐った目で見るとわんさかあるわけです。
だけど、仲好くいい年の男達がワイワイしてるだけで、全然そんな要素が見えない。
その均衡を破るのが、一番年下の斗馬。
杉森に「セックスしよ」ともちかける。それで大きく色々動いていく。
斗馬にそんな欠片は微塵もみえなかったし、斗馬は皆と一緒にいても笑うでもなく、いつも不機嫌そうに無愛想にしてるから全然そんなことわからなかった!
ひょっとして、彼は観察してたのかな?
恋の可能性としては、師匠の竜一が一番あると思ったのです。
優しくて、天然で、
斗馬は、杉森が竜一が好きだと思いこみ、杉森は斗馬が竜一を好きだと思いこみ。
杉森は、今までそうしてきたようにそうなってはいけないと、自分からそういう可能性を排除しており、斗馬はもうとうにそんな感情は通り過ぎており、きっと頼めば寝ることはできるかもしれないけど、それは嫌だと思っている斗馬にとって竜一は家族のような親の存在であること。
斗馬の感情が見えにくいからよくわからなかったんですね。

結論からいえば、斗馬の押し出し勝ち?
杉森の流され受け?
しかし、彼等がとてもよく会話をするので、そのシーンがとてもキュンとするのです。
マッチ棒みたいな人物なのに、何か色気がある!
やる時は前からがいいと言いながら、下半身もろだしで服で顔を隠す杉森の間抜けなかわいさ、とか、顔を真っ赤にするかわいさとか、会話をしながら進む彼等の好意の色気と真摯さが、
必ずしも「好き」から始まって、それから段階的に進んでいくという正規手順というものの不必要さを感じさせます。
交わって初めて見えてくる視点と気持ちがあるということ。

彼等がそんな関係になっても、長唄仲間は変わりません。
むしろ竜一は子供を嫁に出す母親のようなww
楓も、予防線を張って彼等がくっつかないように何気にけん制していたようにみえていたのに、、、彼が一番たちが悪い?(爆)
途中、面白いキャラの松浦も加わって、無事4人で発表会に出ることができた長唄教室の中間達。
何も壊すことなく、マイノリティであってもうけいれてくれる空間が杉森にはあったという、
”縁は奇なもの味なもの”
まさに、それを表現したお話だったのかな?と思いました。

結構独特な雰囲気なので、個性的ですがこの世界観と表現方法は好きです。

4

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