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表題作お婿さんにしてあげる

西園寺秀人,某財閥の長のご烙印で受様の従妹の元夫
大貫幸哉,過去に財産を乗っ取られた花屋オーナー

その他の収録作品

  • びっくり箱の様な
  • あとがき

あらすじ

花屋を営む幸哉は母親の治療費のため一度だけ寝た後に秀人の前から姿を消してしまう。9年ぶりに再会した秀人は暗い目をしていて…。
(出版社より)

作品情報

作品名
お婿さんにしてあげる
著者
黒崎あつし 
イラスト
高星麻子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
お嫁さんになりたい
発売日
ISBN
9784344823747
3.1

(8)

(0)

萌々

(1)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
25
評価数
8
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

──このっ、頑固者!!

スピンオフシリーズ四作目とのことですが、この作品だけでもなんの違和感もなく読めました。
けっこうヘビーな幼少期のはずなのに、持ち前の明るさと面倒くさがりの幸哉のおかげで悲観的な内容にはなっておらず、楽しめます。

昔一緒の屋敷で暮らしていた、自分にだけ懐いてきた年下の秀人。
好きだと思いを真っ直ぐにぶつけてくる秀人の前から姿を消してしまった幸哉。
9年後に再会を果たすが、自分にだけ懐いてくれていた秀人は雰囲気が変わってしまっていた───。

男らしくなった年下男子に振り回され、でもお兄さん気質というか、寛容な幸哉の振る舞いが救い。
もうね、秀人の頑固さが酷すぎ(笑)
でも、頑なになるのは分かってしまう。高校生の頃なんて、子供じゃないと言ってもまだまだ未熟で、自分のことしか考えられなかっただろうし。
しっかし再会してからの幸哉に対する態度は酷いもの。
つまりは、秀人は大人になっても、甘やかしてくれた『ゆきちゃん』に甘えていただけ。
いつも『しょうがねぇなぁ』と許してくれた幸哉だからかな。

なかなか誤解が解けずジレジレしましたが、やっぱりというか仲直り(?)のきっかけは幸哉からで、ほんとどこまで甘える気だ秀人!と憤ったものの、秀人相手じゃ仕方ない。
不器用で頑固で生真面目なとこが幸哉は可愛くて仕方ないのだから、お似合いのカップルなんです。
幸哉は幸哉で諦めるのが早く脳天気すぎるところもあるので釣り合いがとれた二人なのかも。

これからもお互いがお互いに呆れながらも、『そんなところも好きだから』と甘ーい生活を送るんでしょう。
お幸せに~。

2

重い設定軽い話

これだけシリアス設定でありながら                        
ここまで軽く仕上げる事が出来るのはある意味凄い!               
この受け様がおかれた環境やその後の背景はかなり
重めのシリアスなものだと思うのですが・・・
強欲な父親から母親が追い出され、
でも父親には甘やかされていたようですが、
その後父親が亡くなり、またしても強欲な叔父が
現われて、母親と暮らしたい受け様を無理やり
母親から引き離し、受け様の財産を全て奪い取り、
そして、大好きだった攻め様と二度と会えないように
画策されて・・・かなり重いでしょう?
でも読んでるとまるっきり重さを感じないのです。
その後に攻め様と再会しますが、攻め様は受け様から
裏切られたと思い込んでるので手ひどく抱かれます。
攻め様は子供の頃から頑固な人設定ですが
受け様が誤解を解こうとしてるのに頑なに拒む。
受け様は、攻め様を昔から頑固だったからと・・・
う~ん、なんかちょっと違うくない?って思いました。
あまりにも思い込みが激しいのでびっくりですよ。
受け様もかなり暢気と言うか、面倒くさがり屋さん。
それも筋金入りですからお互い様設定かも。

1

受けの性格の明るさが救い

 大貫幸哉は、資産家の家に生まれた。
 大貫家は代々、資産のある家の娘と結婚して家を維持してきた家系で、幸哉の母親もまた、資産のある家の娘だった。
 ところが、実家が保証人になったことで資産を失ってしまうと、あっさりと放り出されてしまう。

 跡継ぎであった幸哉は、家に残ったけれど、その父もまもなく、資産家の令嬢と再婚する前に亡くなってしまう。
 そこで、幸哉の伯父が出張ってきた。

 幸哉の母親は幸哉を取り戻そうと必死に頑張ったけれど、伯父による誹謗中傷の嵐を前に、幸哉は一度は離れ離れになることを選択する。
 いつか、自分が立派に社会人になったら、一緒に暮らそうと母に伝えて。

 それから数年、自分が持つ父の遺産を狙う伯父にさしたる抵抗もせずにおとなしくしていた。
 けれど、そんな中、新たな変化が訪れる。
 資産家の愛人の息子である、という秀人が幸哉の家に一緒に生活することになったのだ。
 取り澄ましたような顔をして、一言もしゃべらずにいる秀人に興味が沸いた幸哉は、秀人に声をかけたことがきっかけで、二人の距離は急速に近づいた。
 秀人は、幸哉に懐き、数年後、あろうことか「幸哉のことが好きだ」と言ってしまう。

 ちょうどその頃、幸哉の母親が病に倒れた。
 幸哉はその母親を助けるために、伯父から出された条件を飲み、誰にも告げることなく屋敷を後にした。

 それから九年後、母を亡くし、一人で細々と花屋を経営している幸哉の下に、秀人が現れた。
 彼は、幸哉が自分を裏切って家を出たのだと伯父に信じ込まされていて――

 という話でした。
 幸哉を訪ねてきた秀人は、持ち前の頑固さで幸哉の言うことを一切信じようとしなくて、無理やり幸哉のことを抱いてしまう。
 幸哉も幸哉で、秀人のことを憎からず思っているために、抱かれることに抗いながらも、部屋を替わったり、ホテルに逃げ込んだり――ということができずにいてというちょっとしたすれ違い話。

 でも、基本的には幸哉があっけらかんとしてあけっぴろげなので、そんなに暗くなりすぎずに、とてもいい感じでふんわりとした話になっています。

「しょうがねえなあ」と言いながら何でも許してしまう幸哉のこだわらなさが、物語的にも大分救いです。
 そして何よりも、幸哉のいたずら好きなところがかわいくて、くらくらします。

1

そこはちゃんと怒らないと!!

2011年刊、『お嫁さん~』シリーズ4冊目。
この巻は前作の登場キャラとの繋がりが薄いので、シリー全部読むのはちょっとしんどい、でもどれか一冊試しに読んでみたいって場合に勧められるかな。
ちなみに受けキャラが30歳近いせいか、6作中で一番ベッドシーンが多かったかも。
無理矢理抱くに至る攻めキャラの動機が何かヘンなものだったが。

幸哉側に事情があったとはいえ、弟のように可愛がっていた秀人に黙って姿を消した9年後。
気まずい再会に表面上はふてぶてしい二人だが、お互いが相手を意識し出した頃の思い出で止まっているせいか根本は甘々だ。
すれ違っているのに唐突に別れる前の10代の頃に戻る瞬間が出てくるところに甘酸っぱさを感じる。

この話でもシリーズお馴染みの『ヤバいうえに鬱陶しく絡んでくる親戚』ってのが登場する訳だが、幸哉の叔父が突き抜けて銭に汚く、悪びれないツラの皮の厚さにはむかつくばかりの強欲者だった。
更に歯痒かったのは、そんな叔父に甚大な被害を被っているはずだというのに、正当な怒りをぶつけずに過ごせている幸哉の思考だ。
自身がおおらかに努めて負の感情を持たない性格にしても、限度があるだろ!!って点におかしさを感じた。

秀人もなぁ、幸哉の事をずっと好きで諦めきれなかったはずなのに、何で叔父の策略に乗せられてしまうんだ?
この二人、親から引き離されて育ったという不遇な生い立ちがあるにしても、根本的な部分がずれていてヘンだった。
怒るべきところはちゃんと怒らないと駄目だと思うがね。

シリーズ6作中、『花嫁いりませんか』とこの話は結構好きなんだけどね。
特に今回はどこか憎めないカップルなのに、話全体の詰めの甘さが気になる。

0

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