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表題作神様も知らない

時永佐季,26歳,モデル事務所社長
音澤司,26歳,花屋(ガーデナー)

同時収録作品神様も知らない

加納慧介,28歳,刑事部捜査第一課刑事
音澤司,26歳,花屋(ガーデナー)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

若い女性モデルが謎の転落死!? 捜査に明け暮れていた新人刑事の慧介(けいすけ)。忙しい彼が深夜、息抜きに通うのは花屋の青年・司(つかさ)の庭だ。自分を語りたがらず謎めいた雰囲気を纏う司。刑事の身分を隠し二人で過ごす時間は、慧介の密かな愉しみだった。けれどある日、事件と司の意外な接点が明らかに!! しかも「もう来ないで下さい」と告げられ!? 隠された罪を巡る男達の数奇な運命の物語が始まる!!

(出版社より)

作品情報

作品名
神様も知らない
著者
高遠琉加 
イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
神様も知らない
発売日
ISBN
9784199006418
3.9

(71)

(30)

萌々

(22)

(12)

中立

(2)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
12
得点
276
評価数
71
平均
3.9 / 5
神率
42.3%

レビュー投稿数12

もっと早く読めば良かった

高遠琉加先生、すごい。
時間のある時にゆっくり読もうと思っていた過去の自分に、そんなことはいいから早く読めと言いたくなります。
第1巻を読み終えた今、早く続きが読みたくて仕方がありません。
「気が付いたらあっという間に読み終えていた」感覚に陥りたい方はぜひ。

高遠先生といえば、事件やミステリー要素、謎めいた特殊なテーマを描くのが本当にお上手な作家様だと思います。
全3巻で構成されたこちらの神様も知らないシリーズ。
まず序盤から気になるエピソードが少しずつポツポツと断片的に描かれ、これは何かと関係があるんだろうなと想像をしながら、疑問を浮かべたまま読み進めるわけなのですが…
どこか薄暗いベールに包まれたまま、ひんやりとした一定の温度を保ったまま淡々と進んでいきます。
派手か地味かで言うのなら、大変失礼ながら派手ではない。
けれど、非常に読ませる力があるお話でした。

ミステリーや事件ものって、伏線や点と点が繋がった瞬間が1番面白いと思うんですよ。
それで言うと、全3巻の1巻目にあたる今作はおそらく序章。
点になりそうな部分は描かれていても、はっきりと何かに繋がるようなカチッとはまるものは描かれていないんです。
まだ描かれてはいないのに、謎めいたストーリーと登場人物たち、散りばめられた点の数々にどっぷりはまってしまう。
本当に面白いです。ページを捲る手が止まらないとはこのこと。
BL的にどう…というのはきっとこれからなのかもしれませんし、1巻の時点ではストーリーが面白かったとしか言いようがないのです。
過去に何かがありそうな彼らと広がる伏線が一体どう繋がるのか?
引き続き最後まで追いかけたいです。

1

「エデンの園」と「失楽園」

紙本購入。
続編を電子版にしようか思案中。
電子版には、挿絵が無い。
高階先生の画を楽しみたいけど・・ 
・・セール中なので、電子版でいいかな??
推理ものは、分冊にせず、完結したなら合本化してほしい

神様も知らない、の「神様」にかかるものは「エデンの園」、
主人公の司は、13才から蛇=佐季に魅入られ「失楽園」の住人になっている。 
夜と昼間。印象が変わる庭がある家。
佐季、流、慧介、司……。

オレ様刑事との出会いで、迷宮入りの事件が蒸し返される。
昼間の世界に、引き戻されつつある司。

司は、何方を選んでも、痛みが残る選択になりそう。 

二巻は、過去篇。
3巻で、完結編。司の選択結果の巻。

0

夜の庭に沈む恋たち

ずっとずっと大事に寝かせていた作品。決して積んでいたわけではありません!
完結巻「ラブレター」の佐季と目が合ったの…遂に読む日が来た…

物語のカテゴリーとしては、サスペンスもの。
刑事が犯罪を調べ、完全だと思われていた事件の綻びから犯人を追い詰めていく。
そこに犯人の哀しみと愛が綴られます。
冒頭13才の少年2人の会話が配されて、2人が何か大きな秘密を共有していることが最初から明かされています。
そして時間軸は現在に移り、1人の女性が殺された事件へ。担当の2人の刑事、そして被害者が所属していたモデル事務所の社長が登場します。
元モデルの社長・時永佐季の美貌。
彼になぜか注目し嗅ぎ回る先輩刑事の流(ながれ)。
流に従いている後輩刑事の慧介。

そして、慧介が住んでいる祖母の家の庭に入っている若い庭師(花屋)・司。
司の寂しくひんやりした心象風景。そして彼の心を占めているのが佐季なのです。
夜の庭でしか会えない佐季と司の、秘密の関係。
そんな司の心に分け入っていくのが慧介なのですが、明るい太陽のような慧介にも人には明かせない秘められた部分がありました…
流の鋭い嗅覚で暴かれていく佐季の奇妙さ、司の抱える暗さ、事件の展開が、思わせぶりな伏線として絡み合い、推理物としても非常に面白い作品になっています。
BL的には、佐季と司の関係性と、互いに惹かれあっていく慧介と司の描写です。
本作の終盤に、慧介が彼らしくまっすぐに司に向き合います。佐季と過去に囚われている司は、怯えながらも今だけ、今だけ…と慧介に抱かれる、このラブシーンは何も気付かずただ優しくしようとしている慧介に対して、怖い、動けない、絶望、罰せられる、許されない…そんな司の対比が何とも切ない。
そして流は何を掴んだのか⁉︎
…というところでこの1巻目は終わり。

全3巻読んだ後の感想としては、やはり発端の杉本麻里事件が弱い。
司の人物造形は素晴らしいと思う。佐季の底知れなさ、秘密の感じもいい。
流の執念深さがいい。
慧介は…彼の過去にこういう哀しみを配さなくてもよかったかもしれない。ドラマが過剰になった気がする。
全体にバッドな結末を思わせる空気が流れている。必ず佐季の何かが暴かれ、司が絶望に沈む…そうなりそうな風景。
推理物としての面白さも抜群の1巻目。

1

あとがきは軽いネタバレだった…

重苦しい事件モノ…なのに個人的に萌えが滾りそうな程詰まっていました。

一巻ではまだ想像に過ぎないけど、過去何かしらの十字架を背負った少年2人の現在進行形な共犯関係は、まるで白夜行か松本清張か?ってくらい哀しい背景がありそう。
このパターンって犯罪ダメゼッタイ!精神が揺らぐんだよ…それしか生きる術が無かったんだ、と思うと犯罪を重ねる犯人に同情してしまうの。

内容を纏められなかったので(汗)箇条書きで印象に残った所を。

佐季の美貌(美貌の犯罪者はヒキが強い)

コーヒーの黒い水面に映った満月を飲み干すと会いたい人に会える

佐季が月なら慧介は太陽
月と太陽の間で揺れる司
切迫した状況なんだけど羨ましい

夜の庭を舞台に少しずつ近づいていく司と慧介…イイ

慧介の誰にも話した事のない出生の秘密(私はご両親の子だと思う泣)

ジゴロ崩れな風貌の流(ながれ)の謎の魅力
慧介とのバディ関係もグッド(慧介が番犬&尻ぬぐい役)

繁華街での大捕物のシーン 臨場感あってカッコよかった 機動隊訓練で鍛えた慧介の機敏さヤバイ


司にハッピーなエンドが待ってるとは思えないのが読んでいてツライ。
慧介は確かに太陽みたいな男性かもしれないけど、司に対してそこまで特別なにかをしているわけではないのに、ちょっとした優しさや反応に一喜一憂してる司はどれだけ日陰で暮らしてきたんだろう、と切なくなってしまう。
佐季に関してはそこまで感情移入しなかったのですが司は…なんか幸せになって欲しいキャラ、出来れば慧介とうまく行って欲しい!と思いながら続き読みます。

*あとがき読まないほうが良かったと後悔。この作品に関してはまっさらな状態で続き読みたかったなあ。

1

1巻はあくまで序章

自身が"答えて姐さん"でたてた「伏線の張り方、回収が上手い漫画・小説を教えて下さい」という質問で教えて頂きました。
以前にもこの小説は見かけていて、パッとあらすじを読んで「なんか難しそうだし、BLっぽくないなぁ」と敬遠していたのですが、今回勧めていただいて、よし!と気合を入れて読みました。

あらすじを読んで素通りしていた過去の自分を、助走つけて殴りたいほど強く心を動かされました…
というか、全3巻読み終えた後は、本当に助走つけて殴られたのではというほど衝撃を受けました。
内容を詳しく書くとネタバレになってしまうのが非常に口惜しいところ。
人によっては地雷要素があると思います。
いや、でもこの本に限っては、BLにおける誰が攻めで誰が間男でとかそういうの、全てぶっ飛ばして純粋に、作り込まれたストーリーを楽しんでほしいです。
登場人物のそれぞれの思いが複雑に絡まって、張り巡らされた伏線を綺麗に回収しながら、結末に向かって転がり落ちていくその文章の運びは鳥肌ものです。

自身は、BL小説だからこの本を読んだわけですが、こんなに心を揺さぶられたのに、BLというジャンルであるが故に滅多やたらに人に勧めることが出来ないということがジレンマです。
BLというジャンルに収まっていることが惜しくなる、そんな小説です。

5

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