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暗くて卑屈で不器用な世間知らずだけど、詩の才能だけはある受けの仁科。そんな仁科に興味を持ってグイグイ距離を詰めて体まで奪ってしまった攻めの広尾。
仁科にとっては初めての大恋愛で浮かれすぎて勉強も詩もおろそかにしてしまいます。不器用なので一度に色々頑張れない。自立心が強く将来設計もしっかりしてる広尾はそんな仁科に幻滅し、自分が抱いたためにあいつを駄目にしてしまった…とすがりつく仁科を拒み、距離を置きます。
一度は別れるけど、自分を取り戻しまた詩を描き始める仁科。金ひかる先生の絵は受け攻めはっきりしてるので、振られた時の仁科は確かにダメダメだったけど、なんとも哀れで例えるなら美形ののび太君?結果的にはショック療法で成長できたから良かったけどかなり気の毒でした。
一度目の諍いは仁科にも悪い所あったけど、留学の件でもめたのは確かに広尾も仁科を追い詰めすぎて悪かったと思う。誰もが広尾みたいにしっかりしてるわけじゃないし、仁科がああいう奴だってわかってた事じゃん。叔父の島村先生が言うようにもっと相手の話を聴く態度も学んだ方がいいと思う。相性がいいのか悪いのかよくわからないこの2人はこれからも色々揉めては解決していくのかなと思いました。
書き下ろしペーパーも読んでの感想はやはり、甥の恋人が男でも全く動じず祝福してくれる大人の男の島村先生が1番素敵だと思いました。島村先生スピンオフないのかな?
表題作と、その後を描いた続編の2中編収録。
「ソネット」
受け視点。
主人公は芸大の大学生・仁科。
詩人志望。
人付き合いが苦手で、内向的で、ネガティブで。
俺の書く詩なんて…
就活もしないで詩なんて…
どうせ才能もないし……みたいに自己肯定感が低い。
そんな仁科と、休学してのフランス留学から帰国した同じゼミの広尾が出会う。
広尾は自立心が強いリアリストで、心の強い男。
そんな真逆の2人が。
…というお話。
初めは広尾に気後れして嫌っていた仁科だけど、突き放されたり優しくされたり、翻弄されて。
「詩を書き続けろ」と心で一番欲していた言葉をくれた広尾に恋に落ちる。
免疫のない仁科はあっという間に初めての恋、初めての快楽にどんどん溺れる。
ところが。
恋ばかりで詩を忘れた仁科は、一気に広尾に愛想を尽かされるのです。
ここはずっと仁科視点なので、広尾の冷たさが際立つ。
捨てられて、追い縋って、見限られて。
そして言葉が再び湧き出てくる。
やっと傷心を見つめ直した頃…
結局、広尾の方が!なんですよね。
仁科の詩心とでもいうのか、彼の生む言葉たちが織りなす優しく穏やかな詩の世界に強く惹かれているのは、広尾の方なんです。
だから、自分がいるから仁科が書けなくなってしまった、離れなければと突き放したけれど、もう大丈夫となって再び仁科との恋に戻る…
「無垢な詩人に告げる愛のことば」
その後を攻め視点で。
とにかく広尾っていうのは言葉が足りないというか、自己完結しすぎなんですよね。
単に虫のいいオレ様男、ではないのですが、自分の心が強いが故に人の弱さをはかり切れないというか。
仁科が自己が強くなくて弱気な事はわかってはいるけど、自分の価値観しかなくて仁科を突き放してしまう。
この続編では次の長い留学に仁科を連れていきたい、だから仁科も覚悟を決めろ、と強く言ってしまって、結果仁科は追い詰められてパパ活しちゃうという…
ほんとは甘々な男なのにね。
そんな広尾の一面も知って一緒に助け合う2人になってほしいな、と思う2人でした。
金ひかる先生のイラストもいい。特に口絵が最高でした。
ひのもとうみさんの作品が好きなので読了しました。
主人公仁科は芸大の文芸学部で詩作をする少しエキセントリックな学生。
担当教授島村の甥っ子でフランス留学帰りの広尾と心を通じ合わせます。
最初は広尾から仁科にしかけますが、誰とも恋愛したことがなかった仁科はそのはじめての愛欲に溺れてしまします。
大学も休みがち詩作もスランプで一行たりとも書けない…
それでも、仁科は広尾がいればよかったのですが、広尾は日本の詩人を発掘してフランス語に翻訳して広めたい野望があり。
詩を紡ぎだす仁科にひかれたのであって、詩をかけない仁科は広尾にとって価値が無い。しかも自分のしかけた色恋に溺れてしまったと。
責任を感じたんだろうけど、いったん、別れを切り出します。それが唐突であまり説明もなく大変冷たいのです。広尾傲慢で冷たい…
そこから、仁科は落ち込んで苦悩しながらも乗り越え詩を書くのです。
復活した仁科の作品を読んで、広尾が追いかけてまたくっついたのですが、将来仁科の詩の才能が枯れたら、広尾は興味なくなっちゃうのかもね。読後もやもやはしましたが、金ひかるさんのイラストは素晴らしく特に口絵が非常に気に入りました!ので、イラスト込で萌でした。
芸大に通う仁科幸は、作詩をメインとしながらも自分の将来を決めかねていた。
周りの同級生はどんどん就職先を決めていくけれど、自分はただこのまま漫然と試作を続けていていいのかどうか……悩んでいた。
けれど、言葉は仁科の心の中に次々と浮かび上がり、「書く」ことには仁科は迷いを持ったことがなかった。
そんな仁科の前に突然現れた男・広尾柾史は、仁科とはまた別の視点から詩に関わって行こうとする男だった。
彼は、「詩の翻訳家になりたい」という明確な目標を掲げ、また、それに向かって何度もフランスに留学していたり……等目標に向けて着実に歩いている男だった。
そんな広尾と、ゼミの教授から同じ課題を与えられた仁科は資料の少なさから、一緒に課題をやることになってしまう。
最初、今までの人付き合いの経験の少なさから、何でもすぐに口にしてしまう広尾に苦手意識を抱いていた仁科だったけれど、次第にそういう広尾のマイペースなところに惹かれていく……
そして、課題の打ち上げの日、酔った2人はついつい身体の関係を結んでしまう。
そこから先、恋愛経験も少ない仁科は、転がり落ちるように広尾に夢中になっていく。
全てが広尾中心の生活で回っていて、詩も全然書かなくなり、授業にも殆ど出ない。
恋愛以外何も見えなくなってしまった仁科に対し、別れを告げたのは、先に手を出してきた広尾のほうだった。
「自分が何を言っているのか考えろ」と諭され、「もう会わない」と仁科の部屋を追い出された仁科はその現実が受け入れられず、しばらくは仁科のことを追いかけ回すことになる。
しかしながら、それも大学が休みに入り、仁科がフランスに留学してしまうまでの短い間だった。
最後の日に、完全な別離の言葉を告げられてしまった仁科は仕方なく、広尾のいなかった頃の元の生活に戻ろうとするけれど、心がぽっかりと穴が空いたようになってしまい、今まで通りうまく試作ができない。
何を描こうとも言葉がまったく出ない状況に、仁科自身も焦りを感じるが、自分の力では何ともならず、ただ悶々と月日だけが過ぎていく。
そんな時、師事する教授から渡されたのは、広尾と一緒にやった課題の詩の日本語訳で……
という話でした。
恋によって身を崩した詩人と、そんな詩人に恋してしまった男の話。
結局仁科は、その訳詩によってもう一度書くことを取り戻して、その作品を見て、別れたはずの広尾が尋ねてきてハッピーエンド。
でも多分、本当の2人の山場はこれからで。
歩くテンポも、目的意識も全然違う2人は、なかなか考えてることのベースが違うから、ちゃんと言葉で伝えたつもりがすれ違っていたりして、うまくいかないところも多々あって。
それが原因で、仁科が無理していたり……で。
まだすっきり「共に歩む」っていう感じではないところで終わっているのだけれど。
それでも、仁科は広尾のことが好きで、広尾は仁科のことをとっても大切に思っている……ということが大事なんだろうな……と思います。
仁科が倒れちゃったシーンは、バイトの鬼だった個人的には、お前、其の日は本当にバイトがない日なのか? 大丈夫なのか?? って心配しても始まらないことを考えたりしたのですけど、まあ2人の将来の幸せの方が大事ですよねって。
マイペース攻めに振り回され続けるちょっとぼんやりな受けの話。
8割方は確かに広尾の方が正しいけれど、全員が全員、広尾のペースで生きれると思うなよ! と思ってしまったり。
気持ちのすれ違いの含まれてるBL小説が好きな方にはオススメします。
芸術家だからこそ。
仁科はいろいろめんどくさい性格で、
だからこそきれいな詩を書いて、
初めての恋に肉欲ごと溺れて、詩の書き方も見失う。
広尾は仁科の詩の才能を愛していて、
でも肉欲に抗えず仁科を抱いてしまったけれど、
自分への恋に没頭して、詩を忘れてしまった仁科に危機感をいだく。
二人とも大学生という、もう子供ではないけど、でも、大人にもなりきれていない。
だからこそ、お互いに足りない物があって、一時離れなければならなかった。
展開にとっても納得がいく。
あと、挿絵が、仁科のキャラとか、とってもイメージが合っている。
金光先生の挿絵って、作品イメージと合っていると感じることが多くて、意外と好き。