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逃げても逃げても追ってくる恋
表紙の綺麗な青と雨森ジジ先生の可愛らしいイラストに惹かれて購入しました。読んでる最中は何度も泣けてきて、ページを読む手が震えて大変でしたが(笑)たくさんのエールを貰えた気がします。野原滋先生の伝えたい言葉がいっぱい詰まっている本の様に思えました。
キャラクターにクセがあるというか、話が重たい部分も有るので好き・嫌いは分かれそうな作品かなぁとは思いますが、とても素敵な本です。(話は受け視点です。)
--(以下ネタバレ含みます)--
攻めの千明は、子どもっぽくて、気遣いはあまり出来ないけど、周囲に弟みたいに大切に優しく守られてきたという感じで、自分の気持ちに素直で単純。人懐っこいデカイわんこ~と言う感じで、可愛いです。彼に慣れるまでは、突拍子の無い所を見て、「???」と思ってましたが、いつの間にか、とっても好きになってました。周囲にちーちゃんとか呼ばれてるの見て、自分の中でちーちゃんが定着しました。攻めです!!(笑)
受けの銀次(ぎんちゃんって呼ばれてます)は、可愛くて大人しそうに見えますが、素直じゃなく言葉遣いは少し荒い・・・ような?ツンデレ?可愛いです。
重い喘息持ちで彼の生活は、千明に出会うまで、平日は仕事。休日は体調を崩さない様に家で休むという、本当に氷の上を恐る恐る歩いている様です。
弱い身体の自分を周囲が心配し過ぎないように気を遣っても、遊ぶ約束にキャンセルが続けばみんな自分から離れていくことも、病気で苦しまなきゃいけないことも、自分は異性を愛せない悲しみも仕方ないって、何かを楽しみにすることすら諦めなきゃいけない姿が見ていて切なくて、悲しくて苦しかったです。
でも千明が明るいぶん、二人のかけあいはボケとツッコミで面白く、シリアス一色でなかったので、読みやすかったです。
攻めも受けもどちらも凄く好きなんですが、祐一という(当て馬でも何でもない)、銀次の親友が、とても好きでした。銀次と同じ病院にいた人で、ハガキの「生きてるぞ。お前も頑張ってるな。」という部分が好きです。「頑張れでもなく、頑張ろうな。じゃなくて、頑張ってるな。」って、生きている、一生懸命やってるって知ってるぞって言ってるみたいで、何でか嬉しかったです。そして九州の桜の木の話は、何度読んでも、気持ちが揺さぶられます。
個人的に普段は攻め→受けという話が好きなんですけど、このお話は受けが片思いから始まるし、攻めの執着というよりも心配だから追いかけてきて、その後に気持ちが付いてきた様なイメージがあるのですが、自分の好みなんて関係ないぜ!(笑)って位、千明の優しさと真っ直ぐな姿に、そしてそれを見て銀次が前向きに頑張ろうとする姿に、祐一の存在にとても励まされました。
当時、相当落ち込んでいた時期があったのですが、その時に自分の読みたかった、言って欲しかった言葉が、気持ちが、ちりばめられていて本当に嬉しかったです。
空に語りかけるシーンなど、本当に素敵なシーンが沢山あるので、何度も何度も読んでいます。辛い時とか、どうしようもない気持ちになった時に、好きなシーンを見るだけで、もう少し諦めないでみようって思えます。
全部が明るくて楽しくてハッピーな話ではないので、全力でお勧めです!とは言えないですが(ごめんなさい!)私にとっては、今もですが当時の自分が凄く救われた本であり、これからも大切にしたい本です。
最後に、成田のシーン・・・大爆笑しました。改めて読むと、本当に千明のおかげで、結構コメディになっていて笑えます。あといつか九州の折れても毎年咲く桜を見に行きたいです。蒼い空と一緒に!
この作家さんの商業デビュー作になる作品だそうですが・・・
個人的にはかなり好きなお話でしたねぇ~、重くなりがちな設定も攻め様の破天荒で
天然的な性格のせいで重くなり過ぎず、だからと言って内容が軽い訳でもなくて
初めから終わりまで一気に読める程内容的に素敵なお話でした。
受け様は、虚弱体質の重度の喘息持ちで、酷い発作の度に死を覚悟するくらいなんです。
それでも成長と共に少しずつ自分で体調のコントロールが出来るようになり
叔父の病院で事務系の仕事を出来るまでになっているのです。
そして叔父の友人が開業するにあたり、受け様は短期間の応援に行くことに
その町で偶然見つけた居酒屋で毎日夕飯を食べている時に、攻め様と出会うのです。
受け様はゲイでその店の店主が好みだったのですが既婚者だと知り、でも好みの男が
出してくれる食事を好みの男を見ながら食べる事で満足していたある日、
受け様の座った席が自分の席だと猛然と言い張る子供みたいな攻め様と知り合いに
受け様は見た目と違って結構乱暴な言葉使いをするタイプなんですが
今回のイラストの受け様を見るとギャップ萌えまで感じちゃいます(笑)
そして毎日店で会うようになり、話すうちに何故か攻め様に懐かれちゃう。
でも、受け様の好みのタイプからはかけ離れていて、恋愛の対象にはならない。
攻め様の懐き方も子供やワンコみたいで思い通りにならないと我侭三昧なんです。
攻め様のバックグラウンドを知らなければホントに頭のネジが抜けてる感じの
おバカ攻め様なんですよね。
まさに天才と○○は紙一重って言う言葉はこの攻め様の為にあるような言葉です。
恋愛面でも、子供なんですよねぇ~、受け様に対する思いを自覚してなくて
ただ、子供の様にいつも傍にいたくて、一緒に遊びたいんですよ。
でも受け様は病弱なので付き合う事がなかなか出来ない・・・
でも、攻め様は非常に優しい子でもあるので、次第に受け様の面倒を見る係りに・・・
受け様も、好みのタイプから外れてる攻め様なんですが懐かれ過ぎて、次第に可愛く
思えてきて、挙句好きになってしまう。
でも攻め様の好きと自分の好きが違う事を感じて・・・・
中盤以降は互いに相思相愛なんだけど、気持ちのベクトルが噛み合っていなくて
かなりワタワタしちゃったりしますが内容的には甘々なラブストーリーなんです。
受け様が本物のワンコくんを躾けてる感じもしてコミカル要素もあるんです。
飽きのこない内容と展開で面白かったです。
臆病で意地っ張りな受け様と直情型で素直で天才君の攻め様とのラブ
そして二人の周りにいる人たちの暖かさなんかも感じられる作品でした。
次回作を楽しみにしたい作家さんです。
先月出ていた新人さんの本なのですが、最初に読む時、冒頭に登場するどうにも攻めとなる男子の何か病気なんだろうか?と思うほどの、悪意はないんだけどずけずけと人の心を踏み躙る、まるで子供の様な24歳の描写が不愉快に思い、そして雨森ジジさんの幼いイラストに違和感を感じて、読む順番を後回しにしておりました。
やっと、腰を落ち着けて受け入れる体制ができてもう一度開いた時、このお話に釘付けになり、最初不愉快に思った性格もなんのその!あげくには彼等の気持ちが痛いほど伝わってきて、何度か一緒に涙する始末。
もっと早くにきちんと本と向き合えばよかった、と思ったのですが、気持ちのリズムの巡りもありますし、今、こうしてこのお話を読めてよかったとしみじみ感じております。
最初に不愉快に感じた子供の様なという、工務店勤務の千明は実は「天才となんとかは紙一重」と言うまさにその言葉のままの人物だったのです。
頭がよくて数字が大好きで、大学院まで行って、ほんとうはNASAにも呼ばれていて、行く寸前に父親が病気になったために、それを少しも惜しいとも思わず周囲の引きとめを無視して大学も辞めて父親の手伝いをして工務店に入ったという・・・!?
すごく直情的で、それは決して負の方向に向いておらず、自分が基準なのが周りを引きずりこむのにたけている、ある意味、憎めないまるで子供のような思考と性格。
頭はいいのに、そんな性格だから周りの人々も彼を心配して世話を焼くのと同時に、でも彼は人を恨んだり憎んだりとかそういう感情のない人(多分)だから誰からも好かれていて、許されている。
対する、受けとなる銀次は小さい頃からぜんそく持ちで、それはとても酷く命の危機さえ招いたこともあり、その為に普通の健康体でしかできないことを色々とあきらめて、自分の中で完結させるクセが付いている。
友達にしても人との交わりにしても、自分の体がいうことを効かない限り駄目になってしまうことが多いので、周りに、自分に期待を持たない様にして生きている人。
そんな二人が出会うとどうなるか?
あくまでも自分基準でしか考えられない千明が銀次の事情を知らないで、それを押しつけようとする。
銀次は、誘ってくれるのは嬉しいけどそれに答えられなかったら相手が残念に思ってまた自分を誘ってくれなくなるかもしれない、それによって自分も傷つくから、最初から期待させない方がいい、、、そういった反応と対応をする。
だけど、千明はそれでもあきらめたり切り捨てたりすることなく、銀次を遊びに誘ってくれる。
銀次の体の事情を知っても遠慮することなく、それでも、駄目だった時はまだ今度、と次がある。
元々ゲイの銀次ではあるが、千明はタイプでなく、最初に行きつけにしていた飲み屋の板さんがタイプで、千明は範疇外だったはず。
それに、ノンケだしあり得ないし、と言い友達であることを選択したはずなのに。
千明の天然ぶりと、銀次の意地っ張りが切ないんだけど、この二人の性格からすれば、このくらいゆっくりスローペースなのは仕方がないし、絶対にこんなにも時間は必要だって、思えるからそれがまたいいのです。
小さい頃小児病棟に入院していた6人の子供のうち生き残ったたった二人。
この二人で励まし合って、それを勇気の支えにしていた銀次が、その片方を事故で失った時の悲しみは胸に迫ってきて一緒に銀次と泣いていました。
喘息による不安神経症と強迫性神経症、過呼吸発作でまた喘息の苦しみ。
結構この当たりの症状を持たれている方は多いのではないかと、だからなのか、銀次の不安がとても身近に感じられてそれが良く解ると言ったら失礼かもしれませんが、臨床感をますのでした。
でも、あきらめで生きてきたとはいえ、それに銀次も甘んじていません。
それなりに彼の対処法で立ち向かって充分に、それなりに彼らしい前向きだったと思います。
彼の意地っ張りは理由があってのこと。決してネガティブではなかったと思います。
そしてバカがつくほどの千明の明るさがそれを救ってくれました。
彼は恋愛ってしたことがなかったんですね。
そして、自分のものにしたいとか離れたくないとか、特別な意味で意識した相手がなくて、それが銀次だときがつくまでに、結構多くの人を巻き込んでますw
でも、彼に悪意もなにもないまっさらな純粋な気持ちであることを周りの人々がしっているから、とても温かい周りの人々になっていて、何かなごみます。
千明のバカワンコな一途な純粋さに銀次が救われて、銀次によって「待て」「おすわり」とか躾けさせられてるような千明の、この二人の組み合わせは、実にほのぼのとして心があったかくなる話しでした。
最初に感じた雨森ジジさんのイラストですが、銀次はぜんそく持ちで線が細い。千明は也は大きいけど子供のような性格。
そう考えると、彼等の姿をデフォルメした絵と思えば、このイラストはこれで違和感なく見ることができました。
こんな攻め、初めてですね(笑)
最初はねー、なにこいつ!?って、思いましたけど。読み進めてくうちに、なんかもう愉快になっちゃいましたね(笑)
読み終わってから数日たちますが、いまだにアメリカに旅立つときの雄叫びが忘れられません(笑)強烈だったなぁ…。
ひとつだけ、受け入れられなかったのは、祐一が亡くなったときに銀次と恭司がしたことです。
これはちょっと、無いわーって思いました。はっきり言ってイヤな気分でした。恭司が未婚ならまだ良かったかもしれない。でもねぇ…でき婚て。しかも離婚してもいいて。
女として、ふざけんなって思いました。
それくらい、銀次を大事に想ってるってことなんでしょうけどね。だったら、でき婚はないですね。本命が銀次で、でもムリだから遊びまくってるって設定でよかったじゃん。
この場面だけは、許せなかった。
でも、他はほのぼのとしてて面白かったです。
この作家さんはデビューして間もないのですかね?
他の作品も好きになったものがあるので、これからが楽しみです☆