イラスト付き
作家買い。
野原さん作品というだけでも素晴らしいのにそこに奈良さんの挿絵とか。最高過ぎてテンションMAXで発売を心待ちにしていました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
獣人と人間が混在する世界が舞台。
主人公は猫族の血を引くリュエルという奴隷の16歳の少年です。
獣人は、見た目や属性によって階級がありますが、猫族は希少価値が高く見目麗しいため人気が高い。が、両親も仲間もいないリュエルは奴隷商人に拾われ、そして奴隷として売買の対象になっている。人に媚びればいい扱いを受けると言われるものの、彼は自身のプライドにかけて玩具のように扱われることを良しとしない。
そんな彼に、一人の男性が目を向ける。
砂漠の中を行きかうキャラバン隊の用心棒・エイセイ。
彼によって買われたリュエルはキャラバン隊の奴隷となるが、そのキャラバンではリュエルは一人の人間として扱われることに。そこでの生活を通してエイセイと少しずつ心を通わせていくリュエルだったが、エイセイには胸に秘めた目的があるようで…。
というお話。
ケンカップル、というのとは少し違います。
何しろエイセイという男性は寡黙で自分の感情を露にすることがほぼないからでして。
が、「自分」をしっかり持っているリュエルとは何かと衝突する。この二人のやり取りが非常に軽快で、読んでいてめちゃめちゃ面白い。
そしてリュエルという男の子がとにかく可愛い。
彼の過去や、両親がいないその理由が少しずつ見えてきますが、薄幸と言って良い過去持ちさんです。そうでありながら、彼は逞しい。彼の内面が、というのももちろんあるのですが、実はリュエルもまた、何やら秘めた思いがあって。
エイセイとリュエルの恋の行方、というだけではなく、彼ら二人が抱える「何か」をともに追う展開で、ストーリー自体非常に面白いのです。二転三転しつつ進むストーリーに引き込まれてしまいました。
そして彼らが属するキャラバン隊の面々がこれまた非常に魅力的。
みんな、強く、優しく、逞しい。
リュエル、そしてエイセイ共に過酷な過去持ちさんで、描き方によってはドシリアス一辺倒にも振り切れるバックボーンでありながら、脇を固めるキャラたちの魅力にも支えられ、コミカルでもあり、そしてじんわりとした温かさも秘めた、そんな内容なのです。
序盤から伏線がたっぷりと撒かれ、その伏線を物語が進むごとに回収していく展開で、さすが野原さんと唸らざるを得ない。
で。
エロがまた良い…!
エロ度でいうと決して高い方ではないんです。
二人のセックスシーンは、終盤にあるだけ。
なのに、このエロさがどこから来ているのかと申し上げますと、ズバリ、リュエルのケモ耳・シッポにあります。
エロいのに可愛いとか、最高か。
そしてそこに華を添えるのが奈良さんの挿絵。
もうね、わー!って言いたくなる萌えが、挿絵に詰まってます。
カッコいい。
そして可愛い。
でもって、エロい。
キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良し。
どこをどう切り取っても「素晴らしい」の言葉しか出てこない。スピンオフとか、続編とか、書いてほしいな。
文句なしのパーフェクトな神作品でした。
今回はキャラバン隊の用心棒と
最下層の奴隷として売られていた猫族のお話です。
奴隷となった受様が買われたキャラバン隊で
自分の居場所と大切な相手を見つけるまで。
受様は大陸の西の村で生まれた猫族の獣人です。
戦闘能力は高くても大型の熊や狼などに敵わず、
だんだんと大陸の隅に追いやられてる事となり
受様の村は皆でつつましく暮らしていました。
しかし3年前、
徒党を組んだ盗賊団に村ごと襲われて
村人の多くは殺されてしまいます。
受様は母とともに森へと逃げますが
母は受様を庇った傷が元で亡くなり、
受様も行き倒れたところを奴隷商に拾われ
奴隷として売られてしまいます。
しかし獣人を奴隷として買う人族は
獣人を自分たち以下と嘲って使役するため
従順でない受様は何度も出戻り
安く売られる事となります。
今も受様は繋がれて投げ売り状態でも
反抗的なので奴隷商に殴られていましたが
そんな奴隷商に声を掛けてきた男達が
様々な物を売り歩くキャラバン隊の隊長と
用心棒である攻様でした♪
受様は攻様と目があった瞬間、
耳の奥からザザン、サザンという不思議な音が響き
呆然としてしまいます。
なんと攻様は無表情なまますっと手を伸ばして
リュエルの耳を触り始めたのです!!
リュエルは歯を剥きだして
攻様の手首に噛みつこうとするものの
いきなり丸めた布で受様の口を塞ぎ
もう一方の手で耳を触られてしまいます。
受様が攻様に構われている間に
受様は攻様が気に行ったからと買われてしまい
キャラバン隊が野宿する町の外れまで
連れて行かれる事となります。
キャラバン隊に買われた受様の運命とは!?
生まれた村を失くし奴隷となった受様と
ある目的のためキャラバン隊の用心棒をする攻様の
ファンタジックな恋物語になります♪
受様が買われたキャラバン隊は
町と町の間を行商して渡り歩いており
隊長と紅一点の副隊長が商談を担い、
他はに運びなどの力仕事と用心棒の役割を担って
広い大陸を渡り歩いていました。
受様は奴隷商に拾われてから
いろいろなところをたらい回しにされました。
どこでも奴隷と言うより先に獣人だからと
手荒に扱われている為に人族を嫌い、
人族に反発し続けたがゆえに
最下層の奴隷まで落ちていたのです。
しかし、受様を買ったキャラバン隊では
奴隷も食事も休息も隊員と同じ扱いをされます。
そんな扱いを受けたことの無い受様は
隊長の真意を疑うのですが
隊長は受様はよく働くし、
受様がいると攻様が機嫌がいいから
良い買い物だったとまで言うのですよ。
そんな豪放磊落な隊長を筆頭に
団結力のあるキャラバン隊とともに旅する中で
受様も徐々に彼らの中に自分の居場所を
見い出だしていきます。
そんな受様の変化と
訳有だった攻様の事情にドキドキ、
大陸の覇権争いすらも商いにする
隊長の手腕にワクワク、
潜んでいた伏線が次々と回収され
2人が互いを大切な相手だと自覚するまで
とても楽しく読ませて頂きました♪
ツンツンな受様とぶっきら棒な攻様の
掛け合いシーンではたっぷり笑わせて頂きましたが
ツンツンな態度の受様の尻尾が
攻様の腕に絡まっ手離さないシーンは
MYツボをたっぷり刺激され、激萌えでした♡
奈良先生のイラストも最高でした ヾ(≧▽≦)ノ
表紙からしてうっとりでしたが
中扉のカラーイラストもまた素敵だし、
巻末にはキャララフも有るしで
本作はもうお得度MAXな1冊だと思います。
やんちゃでちょっとおばかだけど自分を持ってる猫族とのハーフの受けと
無口で寡黙で接触に明らかな優しさが滲むわけでもないけどこれは愛や優しさなんだなと思う攻め
家族や一族を皆殺しにされ放浪し最下層の奴隷一歩前まで落ちた受けが攻の目につき彼の所属するキャラバンに加わる
奴隷として扱われる事への嫌悪感反発心からまるで捨てられた猫の様に人間不信に陥っていた受けが
キャラバンの一員として行動する事で成長していくのがメインとして
受けと攻めが抱え持つ秘密と
二人の関わり方
キャラバンの旅路
が絡まっていながらもルチルらしくさらりと読み易かったしだからといって軽すぎない
野良猫の様にフーフー言ってた子がちょっとじつ近づいてきて俺の居場所ここ?ここにいていいの?と言わんばかり距離を縮めていく経過は可愛らしく
途中の尻尾アクシデントの
にゃぁああああん
や
偽物
には笑うを通り越して衝撃でした
めちゃくちゃに可愛いです
アホの加減最高です
又奈良先生のキャラクター造形と挿絵が非常によかった
まさに欲しいとこに欲しい挿絵
切なさ甘さは少なくても満足度はとても高かったです
まず、ストーリーの流れ的にもこの本の厚さが最適。割と薄め。
内容的にエロは薄め。甘さも薄め。本もその分薄め。
いい感じの関係が紡がれていく話でした。
エイセイとリュエルのキャラも設定も良かったです。
奈良先生の絵もバッチリはまってます。
内容は重すぎず、軽すぎず。
ご都合主義にまとまっているわけでもなかったです。
本当にとても良いバランスだと思いました。
ガガリキャラバンのその後が読みたい。スピンとかじゃなくていい。
そう思えるほどにガガリというキャラが魅力的です。
とにかくカッコいいんです。
王様と、どんな風に決着つけたのかしら?気になります。
たぶんお話としては、奪われた宝玉を取り返し生まれた国の再興を図る方が盛り上がるんだと思うんですよね。
エイセイのスパダリ感もその方が増し増しに書けるだろうし。
リュエルのシンデレラ感もキラキラしいものになるだろうし。
でも、そうしないところが野原さんっぽいと思いました。
観念的な『正しさ』みたいなものを追いかけるのではなく、ひとりひとりの『今ここにある幸せ』を選択する主人公達にとても共感しましたし、ちょっとウルっと来たりしました。
で、「うん、野原さん好きだなぁ」なんて思っちゃったりしました。
お話の舞台はアラブというかペルシアというか、砂漠の中にいくつかの王国が、あるいは集落が点在している様な架空世界です。
人と獣人が共存しています。獣人の方が蔑まれている模様。
奴隷制が普通のこととして存在しています。
その中で、国から国を廻って商いをしているキャラバン隊に主人公の2人は属しているのですが……このキャラバン隊が滅茶苦茶良いのですわ。
なんて言うかな。
『夢に描くロマ』とでも言うか『適度にいかがわしく、適度に知的で、合理的だからこそ平等』みたいな。
脱線しますが、このキャラバン隊のリーダーのガガリがめっさカッコいいんですな。
惚れた!
彼のお話が読みたい!
スピンオフ、出ませんかね?
『ネコ型獣人のエロさ』が解らなかった私ですがおかげさまで開眼いたしました。
耳と尻尾……エロいわ。
これも野原さんと奈良画伯のおかげです。
このお話の『軽ろみ』を作り出しているのは、画伯の力が大きい様な気がします。エイセイに尻尾を触られたリュエルのイラストを見て「ああ~、紙本で買えばよかった(電子の線はクルものが少ない)」とつくづく後悔いたしました。
ラフ絵も見られて幸せ。