イラスト入り
面白かった。BLだけを見るとありふれた流れだが、部長という立場の仕事を絡めて世界を拡げ、読み応えのあるお話になっていた。部長視点で、会社周りの上層が持つ情報が入ってくるところが良い。康太の初々しさも可愛くて良かった。
導入は今では書けない話かな、という印象。部長と康太が関わりを持つ理由がなんとも……生贄を育てるため?と思ってしまうような。康太の気持ちがついてくれば問題ないが、そうでなければ一人の将来を勝手に導くお節介な話。
そんな思惑のことなど知らない康太は、部長の期待に応えようと頑張り、気持ちが分かりやすすぎる。落ち込んだり喜んだりが激しくて、心配になるくらい。
逆に部長の鈍さは何だったんだろう。青木の言う通り無意識のブレーキなら、好かれていると思うだけで、自分の方も気持ちを持って行かれると分かってたってことかな。
康太と付き合い始めてからは、冷静に策を練る部長。康太含め各方面に嘘を吐いていたり隠し事をしていたりとズルいが、康太に手を出した時点で、立場も野心も捨てざるを得ない状況になる覚悟も必要なのは分かっているはず。なので、どちらかというと応援気分で見ていた。
ついに康太に最大の秘密がバレると、思わぬ展開に。康太が辛い気持ちをぶつけるように部長を犯すという……うーん?これがリバ?傷付き殴り、その流れでぶち込むのはただの暴力。
その後辞表を出す部長にちょっと引いたが、まあ丸く納まって良かったのかな。
巻末の「可愛い男」でも康太は部長に上手く丸め込まれてる。反逆(?)はさらに数年後かな。分からないけど、この二人は精神的な力関係がいつか逆転しそうな気がする。その瞬間を見てみたいと思った。
本作は十年前の作品らしいが、今ではいろいろ言われるだろう内容が普通に描かれている。会社内の人間関係にNG事項が増えすぎて、特に上司と部下のBLは難しそう。そりゃ異世界に飛ばしたくもなるだろう、とか考えてしまった。
結果、リバ作品でした
なんとも甘酸っぱい大人のオトコたちのお話でした
スパダリ感ある攻めが、大人の狡さをみせながらもジタバタしているところが可愛いかった
仕事では出来るオトコなのに、ソツなくいろんなことをこなしているのに、なんか少し残念なところもあってそれがまた愛おしいです
受けは乙女‼︎可愛いらしい、あざとさと紙一重で天然ぶりを発揮しとても素直な好青年でした
リーマンものなんですが、受けのおぼこさが存分にでている作品でした
印象的な表紙に惹かれて、内容をチェックしたところリバがあるというので読んでみましたが、印刷会社を舞台としたお仕事BLとしてもなかなか面白かったです。
初恋の女の忘れ形見・康太を引き取って、娘婿にしたいと密かに願う印刷会社の社長。
自社の工場で働く康太を本社の広報部へ異動させ、一流のビジネスマンに育て上げたうえで婿入りさせようとします。
育て役として白羽の矢が立ったのは部長の日下部。
成功条件として取締役のポジションを用意され、育成役を引き受けます。
部長がマイフェアレディのビギンズ教授役なんだけど、自分が愛でるためではなくあくまで献上するための育成なんです、最初は。
部長は40間近でそこそこの肉食ゲイなんだけど、特定の相手は作りたくないし、そもそも康太は好みではないし……とクールに任務を遂行するはずだった。
……はずだったのに。
真面目で素直な康太が、以前からたまに会う自分を一途に想っていてくれたことを知り、グラグラ揺れた末に「最初の男になってやる」と言ってしまう部長。
そしてあくまで「最初の男」として、ワンナイトで終わるつもりだった。
……はずだったのに。
一途で健気な乙女ワンコの康太の可愛さにいつしかメロメロになってしまう部長。
周囲に一目置かれるほど仕事がデキる男が、予想外の恋にはまり、段々ままならない状況に自ら陥っていく姿はなかなか愉快です。
そしてついに康太を手放したくないと考えるまでになり、恋も仕事もどちらも手に入れる!と決意する部長は、かっこいい。
で、お目当のリバ。
熟練のタチおじさまがDT康太に抱かれてしまうなんておいしいわぁ〜、早くリバって〜!とウキウキしながら読み進めていったら……。
部長と社長が裏で画策していたことを知り「騙してたなんて!」と怒りに任せて、部長のお尻にえいっ!とブッ挿すレイプ展開でして……。
おぅ………。
ちょっと期待してたのとは違う………と思いましたが、康太がこういう行動を取ってしまったのは自分の責任だとわかってる部長。
まるっと受け止めて、その後責任を取ろうとしている姿が潔くてかっこ良かったので、これはこれでアリだなと思いました。
ただですねぇ‥‥
恋人同士になっても、部長が受けになるのは月1回程度なんですよ。
ジャンケンでその日のポジションを決めちゃうくらいのリバップルが好きなので、月一回抱かせてやってるみたいな、微妙〜に上から目線を感じる部長には正直いただけませんでした。
40間近のゲイ心だのメンドくさいこと言ってないで、もっと素直に抱かれちゃいなよ〜〜〜!!
そして残念というか、小説読みとして訓練不足だなと痛感した点は、康太の言動と絵のイメージが自分の中でうまく融合できなかったこと。
漫画だったら、見るからに漢なのに大きな身体を縮めての子犬思考&乙女発言をするワンコ受けというギャップをとても楽しめたと思うのだけど、小説だと、時折挟まれる挿絵で我に返るというか、えっ!?この漢顔であの乙女セリフ言ってたんかい!みたいに一瞬たじろいでしまう自分がいました……。
(あ、イラストはイラストでとても素晴らしいんですよ。表紙の男がメイン受けの康太です。)
ちょっと期待とは違う点もありましたが、なかなか面白かったのでオススメです。
仕事にアツイ男は素敵です。主人公は業界3位の大手印刷会社に勤める広報部長の日下部。彼は仕事にも色事にも貪欲なんです。仕事の能力を買われて納得のいく役職につければ、転職に躊躇はない。どこでもやっていけるデキる男なのは確かだけれど、フットワークが軽いもう一つの理由には、彼の性的指向によるところもありまして。
日下部は社長直々の指示により、工場勤務の若い作業員、水科の教育係に任命される。オドオドして自信がなさそうな水科の中にアンビバレントな魅力を見出した日下部が、指導者として冷静なアドバイスを与えながら、その裏で無自覚にも水科にハマっていくところが面白い。
水科は見方によっては文句なしの美形だけれど、性的にコンプレックスがあって、ソッチ方面においては奥手で純情。そのギャップにガッチリ捕えられちゃった上に、相手が自分を慕っていると知ってしまったら、純正ゲイの日下部にとっちゃそりゃ据え膳も同然。食わないわけにはいきませんよねぇ…。最後の方の水科は、わたしには溺愛されまくりのオトメにしか思えなかったよ。。
このお話の目玉はリバですね。リベンジパターンにDTが乗っかっている点がなかなか新鮮でした。やはり受けとめる側には広い心がないとイケません。んー、個人的には攻めが受けに転じた後に、開発されて目覚めちゃってくれたらいうことないんです。そんであわよくば受け専になってほしい。(←オヤジ受け好き)このお話では攻めにまだ抵抗があるように描かれていて、後はご想像にお任せします♡で終わっている感じなのかな。
わりと尺長めの先生のお話を読んだばかりだったので、今作はコンパクトに感じました。しかしながらやはり心理描写が秀逸で、お仕事の部分と恋愛を絡めるバランス具合が絶妙で読みやすい。脇キャラも濃くて、彼らと絡むエピソードも好きなんです。なんなんでしょうかこの、どれを読んでも楽しませてくれそうな安心感…。
トピでおすすめいただいた作品でしたが、先生の作品を読むモチベーションをグググイッと高めてくださいました。ありがとうございます!また楽しみが増えて困っちゃいます(苦)
久々に来ました「神」評価! 面白かった〜!
リバスキーな私は、「リバ」と聞くともう読みたくてたまらないのですが、以前から読みたい読みたいと思いつつ、やっと購入できてもうワクワクで読んだわけです。
そしてそのままのテンションで読み終えることができました。大満足です。
まず、攻めの日下部部長と受けの水科君、どちらも魅力的です。
日下部はいわゆる「大人の男」で、仕事が出来る。真っ当な野心があり、かといってズルさはなく、頭もよく切れる。そして隠れゲイ。
水科は社長の初恋の女性の忘れ形見で、社長のある思惑のもと工場から異動してくる。彼も実はゲイ。この辺はご都合がニオッてくるかなあ…
DTの水科が教育係の素敵中年日下部にポーっとしちゃうのはよーくわかる。はじめはタイプじゃないし、と眼中に無かった日下部だが!
この日下部が落ちるその時の情景がイイんです。
『季節によって姿を変える陽の光のように、康太の表情にまた変化が訪れた。(中略)今、頬に映るのは、 (ー) 夏の終わりの西日だ。』
そして、『最初の男になってやる』
ひゃ〜!
結局関係は続き、会社でも買収話などの業界再編に絡む日下部のキレ者の仕事っぷりが語られ。イヤ、日下部さんかっこいいっす。
水科も元々の素直な性格と恋するワンコ全開で、一生懸命さが伝わってくるのです。
で、なぜにリバが成立するのか?(ネタバレします)
社長は自分の娘と水科を結婚させようと考えて、日下部に取締役のポジションを用意して水科の教育を任せた。それを知った水科が『女とは無理だーひどいよ……』と日下部をレイプ!
ここからの日下部がまたイイ男ぶりを発揮するんですね〜。
隠していた色々のことを全て水科に晒して、愛してる、と告げる!(ヒイッ!)
そうです。結局はハッピーエンドとなります。水科もイイ男に育っていく予感です。
「可愛い男」
月に一度は攻め受けを交代するようになったお二人さんの甘〜いエピソード。
日下部部長はトシを感じてちょっと焦り気味です。
リバ、というと攻x攻の攻防系がどうしても多いですよね。この作品もそんな感じが見られます。でも、私の理想のリバって、攻めとか受けとかにこだわらず愛しさと快楽の融合というか追及というか、「この男と溶けて解かしたい」という、そういうのが読みたいんです。なかなか無いですが…
この「部長の男」もその辺は足りないのですが、日下部の潔さと水科の純情さ(すぐ泣いちゃう男がこんなに可愛く感じるとは…)がめっちゃ良かったので「神」評価とさせていただきます。