10年経っても俺を好きならその時にまた考えてやるよ

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表題作キャッスルマンゴー 2

十亀俊司,AV監督
城崎万,家がラブホテルの高校生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ラブホテルの息子・万と、悲しい過去を背負うAV監督・十亀の、痛いくらいに真剣な恋、ここに完結――!

花火大会で女の子と一緒の万を見かけて以来、十亀は万と距離を置くようになる。
突然そっけなくなった十亀に不安を募らせる万だったが、そんな折、母が倒れてしまう。
家計に悩みこっそりとラブホテルの経営をするが、素行の悪い客のせいで大切なホテルが焼けてしまい――!?
互いを想う気持ちが大きいほどにすれ違ってしまう不器用な二人の物語、感動の完結!

(出版社より)

作品情報

作品名
キャッスルマンゴー 2
作画
小椋ムク 
原作
木原音瀬 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
シリーズ
キャッスルマンゴー
発売日
ISBN
9784864420600
4.2

(352)

(188)

萌々

(89)

(45)

中立

(19)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
51
得点
1450
評価数
352
平均
4.2 / 5
神率
53.4%

レビュー投稿数51

もう少し十亀側の描写があれば

何も言わず避けるとこから始まる2巻。コミュニケーション不足が原因のこうしたすれ違いは読んでて楽しくない…。人間なんだから話し合おう?って思います。言葉を使わず曖昧に避け続ける決断力のないキャラは合いません。
城崎の方は高校生が抱えるには重すぎるお金の問題にぶち当たり、十亀どころじゃないです。十亀の影の支援はどうだったんだろう…城崎が嬉しくて助かったのは事実でも、自分の無力さを痛感してより一層苦しくもなる気がしました。じゃあどうすれば?っていうと解決策なんかありませんが。とにかく城崎の境遇がしんどいお話でした。
最後はちょっとバタバタ。もう少し十亀側の描写が欲しかったかな…。大人になったから良いの?ずっと待っててくれたから?あの別れの後の再会なのに…すんなりくっついても安心できません。最後まで言葉が足りていませんでした。
それでも読み応えは十分にある作品だと思います。

0

うわぁ〜これは、響いた!

読み終わった感想が、すっごく良かったぁ〜とにかく、良かったぁ〜!だった。

この作品、10年前なんですね。
全く、色褪せる事無く〜評判も良く、人気な理由がわかりました。
途中、泣けました・・・。

ドラマを見ていた感じになりました。
無駄に、エッチなシーンがあるわけでもなくきちんとあらすじがあり、本人達や家族に視点があり、とても読み応えがありました。

BLではあるけど、普通にBL好きじゃなくても問題なく読める作品でした。

素晴らしい作品をありがとうございます!


0

もうこれは映画。

映画の名作を一本見終わったような、重厚な読了感。
この物語を思い出すといつでも、すぐに彼らのいた世界に沈み込み、肺が甘酸っぱい水で満たされ、切なく甘く溺れるような感覚になります。

1

10年後じゃなくてよかったーーー( ノД`)シクシク…
や、再読です。再読なのにいまだに叫ぶ。
昔読んだ時より好きになりました。

なんだろうね。
最初は弟からゲイでありエロビ監督のアイツを引き離したいだけだった。
嘘をついて関係をもったフリをした。
思いのほかやさしくて心地のよい場所。
こうういうのがすごく沁みる。

1巻では、思ったより優しいなぁなんて読んでた十亀さん。
これがまた厄介。
執着しない、すぐ手放す。自己完結。
冒頭でも叫んだけど、ほんと10年後じゃなくてよかったw
ライオンにはあまがみぐらいされてくればよかったのよw

小説もずっと積んでるので
早めに読みます。

1

良かった。良かったね…涙

十亀の万への誤解と気遣いですれ違ってしまい、かなり辛い展開の前半でした。
仕事が忙しいからと距離を置かれて、メールの返事もなくて…万が不憫で不憫で。
さらに度重なる不幸で心が折れそうでした。

お互いに好きな気持ちがあるから、きっと幸せになれるはず!と読み続けましたが、後半にかけても悲しい展開で常に涙目…。
切ない展開も好きだけど、早く幸せにしてあげて〜って気持ちで一杯でした。

雨の中の抱擁&キスシーンは涙無しでは読めません。
人前でキスするとか…って思っていた万からのキス。最高でした。

苦しい展開が続いてのハピエンで感無量でした。
『リバーズ・エンド』も読みたいと思ってます。

1

ヤバい尽くしでごめんなさい

本の厚みに指が耐えられず ヤバい親指が死にそうですw


花火大会を断った日から十亀の態度がおかしい

始まりは嘘でもだんだんすきになってた 目まぐるしく変わる自分の感情に自分の感情に追いつけないまま十亀のつれない態度にとりつく島もなく 不安な気持ちに追い討ちをかけるように母が倒れる


親の都合や家庭の事情でゲイビに手を出すとかよくあるシチュなのに安易に手を出したものの拒否反応や周りの動きをこれでもかっていれてくる辺りこの厚みになってもしかたないのかもね


なのに なぜッ 最後まくった?

大人のクセに大事な言葉はいっさい言わず ただ相手のでかたに乗るだけ

失ったものが大きすぎて素直に何かを受け入れることができなくなった?
でもそこを言うならもう少し注釈や葛藤がほしかったッ!


柵の多い高校生の方が真剣に悩み迷い 執着を持たない大人と対等に渡りあう

どちらが子どもで どちらが大人か
止まってしまった時を動かせるのは彼らだけでしかないんだろうな

ってことで ついてきた特典ペーパーに最後のモヤモヤを何とかするべくチャレンジ 本編で叶わなかった熱海旅行っぽい出だしに「活字はやっぱいいや」って己の1番ヤバい性癖 めんどくさいからどうでもいいや が出てしまった ←半日後がんばって読んだら溺愛具合がヤバかった

※ 本を閉じて帯の後ろで気づく【リバースエンド】に十亀の語られなかった過去だと? 気にはなるが 活字中毒にはなれそうもないし これだけでもういいかな

2

納得のいく焦らし方

 2巻で自分の中の評価が一気に上がりました。前巻では2人の関係の始まり方にもやっとしてしまいハマりきれなかったのですが、一旦そこを受け入れてしまえば、2巻は共感できるシーンも多く、話の展開にとても引き込まれました。

 甘さは終盤までほとんどなくて、万の苦悩にかなりページ数を割かれています。母が入院したことで、ホテルの管理、家事、入院費やお見舞い、弟の面倒などをすべて抱え込むことになってしまった万。親戚は頼れと言ってくれるけれど、最初に彼女達がラブホへの嫌悪感を口にしているのを聞いてしまった万は、絶対に頼らないと意地になってしまう。この気持ち、分かるなぁと思いました。高校生ぐらいの時ってもうバイトもできるし、いざとなったら1人でも大人と同じように生きられるだろうって思っちゃうんですよね。実際はすごく大変なのだけれど。そして、大人のさりげない、でも無神経な一言に無性に腹が立って口も聞きたくなくなったりする。

 ですから、万がぎりぎりというか、もはやキャパオーバーするまで1人で何とかしようとする気持ちは、痛いほど分かりました。一方の十亀が、悟から入院のことを聞いて色々こっそり手を貸しつつも、万に一切接触しないところは最初はとてももどかしく感じました。が、彼もそういう万のプライドとかを考慮していたのかなぁとも思ったり。加えて十亀は人に執着しないことを大前提に生きようと決めている人だから、万には本当に気の毒だけど、十亀は彼に対してもそこを貫き通してしまったんですよね。ある意味では一貫していて芯が通っている。頑固、とも言えるんですけどね。そんな痛々しいほど頑張ってしまう2人だからこそ、最後にやっと心が通ったシーンが本当に嬉しくて。ここまで2人を追ってきて良かったなぁと心から思いました。

1

キャッスルマンゴーの繁盛を願って

1巻からの続きから始まります。
夏祭り以降、急に素っ気なくなった十亀に困惑する万。
母が倒れ、部屋はボヤで焼け、満身創痍の万だけどもはや頼れる人はなく…という切なすぎる展開。

人を頼るということは、相手が自分に好意がないとできない…という万の気持ち、少し分かります。
だからこそ、肝心な時に急に素っ気なくなった十亀に腹が立ちました。
万も万で、相当な意地っ張りですけどね…

万の状況を知って影ながらサポートする十亀だけど、万が本当にして欲しかったのは側にいてくれることだったんじゃないかな…
それでも、辛い中よく頑張ったと思います。

長期撮影でケニアに行くことになった十亀に人知れずお守りを贈る万と、お守りを包んでいたノートを大切にとっておく十亀…
万の幸せを願って離れた十亀も、本当の気持ちは万にあったと思います。
1年後の再会でも突き放す十亀に、無事に帰ってきたことで涙する万…
やっと2人は結ばれ、一緒に暮らしてるのでしょうか?万の待つ部屋に十亀が帰ってきてのendでした。

それほどラブラブな様子は見られない2人だったけど、お互いを大切にしているのが伝わってきました。
そして、万のことを面倒くさいという十亀ですが、本当は十亀が一番面倒な人だと思います。

とにかく、切なくて苦しいけど素敵なラストで安心しました。
この先8年6ヶ月といわず、ずっと2人で支え合って生きていって欲しいです。

2

優しさでつながる世界

夏祭りで女子と一緒の万を見た十亀は、万から一方的に距離を取り始めます。理由もわからず戸惑う万に、追い討ちのように、母の入院、ホテルのボヤ騒ぎと、次々と困難が降りかかります。
こういうときこそ傍にいて欲しいのに。「頼るって、相手が自分のこと思ってくれてるってわかってないとできないんだよな…」と涙ぐむ万が、切なくて。そして万は、十亀が自分を無視するのに弟には会うのを知り、悲しくて、だんだん自分の気持ちを自覚していくのです。小さなエピソードの積み重ねで万が恋に気づいていく描写が、上手いなあと思いました。「結局十亀さんは僕より悟の方が好きなんだ」という万の呟きは、恋愛初心者らしくて、幼くて、ちょっとだけ笑ってしまいました。

でも、実は十亀は万をすごく気にかけているのです。ホテルの修理代を稼ごうと万がAVに出演しようとした時は、自分の仕事を放り出して止めに来たし、友人・二宮に密かに頼んでホテルをただで修理させたり。

なぜ十亀がこんな態度なのか。ヒントが吉田のセリフにありました。「監督は恋愛に臆病なんですよ」「自分の好きなものにまで執着しないでどーすんですか」。吉田は穏やかな人柄ですが、鋭いです。そして、吉田がいたからこそ、十亀と万は一年半近く離れてもつながり続けたのだと思います。
十亀に告白し突き放された万は、海外へ行く十亀のために買ったお守りを手渡しできず、名前も書かずにレポート用紙に包んでポストに入れます。このレポート用紙が十亀が吉田に預けた荷物の中にあり、吉田はピンときて、万に渡してやるのです。「受け取ってくれてた」と万が胸いっぱいになるこのエピソードに、2巻で一番ジーンときました。十亀の手が触れたレポート用紙をお守りにして、万は大学受験を頑張り、無事合格します。

恋も人の縁も、ときに細い糸のようで、切れそうなとき、つないでくれる人がいるから続いていくのだと、吉田に教わったような気がします。そうして読み返してみると、悟、万の友人・春日、十亀の旧友・二宮、ラーメン屋台のおっちゃん、叔父叔母夫婦でさえ、二人にはかけがえのない人たちだと思えてきて。人は一人で生きているわけじゃない。気づかないうちに優しさに支えられてつながっているのですね。そして、そういうメッセージをおくびにも出さないこの物語が、またいいなあと思ってしまいます。

帰国した十亀に、吉田のはからいで荷物を渡しに行く万(ここでも吉田のアシストが光ります)。それでも頑なな十亀。万にもらったお守りを大切にしていたくせに。最後は、言葉じゃなく、万のあふれる涙に心が突き動かされるところは、映像の仕事に関わる十亀らしいと思いました。

やっと結ばれて、半同棲の暮らしをしている二人が少しだけ出てきて、物語は終わります。明かりのついた部屋を見上げ、眠る万を愛おしそうに見つめる十亀は、幸せそうです。でも、二人にはもう一山あるのですよね。小説の方をまた読みたくなってきました。

5

再読で評価が3段階UP

1、2巻まとめてのレビューで失礼します。

タイトルの「マンゴー」に食べ物センサーが反応して購入したこちら。
初回から4カ月あけて再読してみたら、「しゅみじゃない」→「萌2」に変わりました。

最初に読んだときは主役2人の性格が受け付けなくて…。十亀がさんざん万に失礼なことをしておきながら、弟の貞操の危機!となっただけで「お前は謝らないのか」って何様やねーん!と嫌いセンサーが作動。万も自分じゃ何もできないのに意地張ってばかりで、十亀にも過剰反応だしで嫌いセンサーがこちらも無事作動。主役両方嫌いで終了、だったのですが。

十亀も万も不器用で不憫で。十亀の状況で生き抜ける自信がありません。家族全員一気にいなくなったら…なんて想像しただけでもう…。
万の方も上の子って言うだけであんなにつらい思いを…。自分、次女なので万の弟ばりに甘え上手の頼り上手です。すみません。となぜか謝りたくなってしまう。「信用できないと頼れない」ってどれだけ傷ついて来たの!?とりあえずおばちゃんとこでごはん食べて行きなさいよ!って言いたくなってしまう。前回嫌ってごめん。でもやっぱり無理しすぎだし、意地張りすぎだと思う。

主役2人に対する印象は180度変わったものの、変わらないものもありました。
弟、いくつなんでしょう?中学生に見えない子供っぽさとサイズ感。小学生でも中学年くらいにしか見えないのですが…。父親のお葬式のとき、万と2、3才違いにしか見えなかったけれど、そうすると万が高2だから中2以上になってしまう。見えないんですよね、10才超えているようには。
父親がいなかったせいで大人の男の人に甘えたい気持ちは分かるのだけど、十亀への懐き方に何だかイラっとする。自分も姉にそう思われていたのかとドキッとする。
十亀には弟に似ているから弟にできなかった分まで可愛がりたいという理由があるのも分かるし、弟も父親に甘える感覚だというのも分かるのですが、万に肩入れすればするほどイラっとする。ものすごい当て馬効果でした。

こころに傷を持って、それでも必死で生きてきた2人がようやくたどり着いた安らげる場所。万の胸の中で眠る十亀を見つめる万の目線の優しさに、気付けば涙が。

一回読んで「嫌いだわー」と思った方はぜひとももう一度試してみてほしいです。
実は結構早い段階で本棚整理中の「手放すリスト」に入れていたのですが、本棚に戻しました。そんな変化が起こるかもしれませんのでぜひ。

2

悩んだりすれ違ったり停滞したり

前作から続き、2巻では主人公の万くんが、悩み、立ち止まり、ぐるぐるしています。目の前のことにうまく対処できないで意地を張ってますます事態を悪化させて…。外から見てると「あーあ」と思いますが、あの年頃では仕方のないことですよね?

展開的には多少、納得いかない点もありはしますが…。…親戚の人は店の手伝いはしないとしても資金のことなどについての確認くらいはするだろう?とか、外に煙が漏れるくらいの火事なら全く気づかれずは難しくない?とか…(それがきっかけになって、管理者不在で営業したことがバレて営業停止処分なんて更なるどん底が来るか!? と読みながら思ったし)

特に十亀は、万よりずっと大人の癖にもっと万の気持ちに気づいてやれよ! お金出せばいいってことじゃなくて!! …とこれを読んでいるだけでは言いたくなりますね。そこはリバーズエンドまで読めば、心情的に納得できたりもするのですが。

やはりシリーズで読みたい作品ですね。

3

辛い先にある幸せ

あーこの本は一気に読んだ方が良いタイプの本だなぁと思いました。そうしないと1巻の辛さが心底身に沁みすぎてダメージ半端ありません。2巻のストーリーでやっと二人の強さや想いに救われます。そんな二人だからこそ乗り越えられた困難だと思います。普通の人間なら砕けてしまっています!1巻がしんどかった分強いて言えばもっとラブラブで幸せな二人の姿を描いて欲しかったです。バランスで行くと辛いが8でハッピーが2くらい、一気読みしないと本当に心が折れちゃいますよ!

3

大好きな作品なんですよ!

嘘から始まった関係だったのに、気付けば惹かれて、大切な存在になって・・・
だけど不器用で、すれ違って、悩んで・・・そんな二人がやっと結ばれます!
本当にハッピーエンドで良かったです!!
十亀が万に言う「10年たったら~」は十亀なりの優しさですよね。
十亀だけじゃなく、この作品は脇の登場人物も皆いい人なんです。悟も春日も吉田さんも二宮も。とても優しい世界です。何だかほっこりして泣けます。
万、本当に良かったね・・・って思えました!!

この作品が気に入ったら、「リバーズエンド」も是非読んでいただきたいです。
漫画では詳しく描かれなかった十亀の家族や高校時代、それからこの作品後の万と十亀のお話です。
「キャッスルマンゴー」「リバーズエンド」の順で何度も読み返しています。
そして読み返す度に幸せになれる!
ストーリーも絵も大好きな作品なので、未読の方は是非!

4

すれ違う二人

十亀を思う万、万を思うがゆえに距離をおく十亀。
二人の距離がどんどん離れていってしまう2巻。
いったいどうなるのかはらはらさせられました。

十亀から避けられはじめ理由が分からず戸惑い悩む万に、家庭の災難までもが降りかかていきます。
そして自分へのメールに返信してくれない十亀に相談できずにいる矢先、弟の悟と十亀が会っている姿までも目撃してしまった万の心情はなんともせつない・・・。

それでも母と弟を守ろうと、必死に頑張る健気な万を応援したくなります。
最後の展開はちょっとあっさりしすぎていたけど、いい作品でした。

1

揺れ動く気持ちの終着駅

この物語は2巻で完結するわけですが、
この2巻は、木原音瀬さんの作中での人物の気持ちの揺れ動きの描写が
光った巻になったと思います。

万<よろず>(受け)の気持ちの揺れ動き、
十亀(攻め)の気持ちの揺れ動き。
それぞれが緩急つけてお互いへと動き続け、ラストまで目を離せず
一気に読ませてくれました。
やはり木原さんの気持ちの描写に関しては
「巧い!」としか言いようがないです。

ストーリーは、序盤で万が十亀への連絡が取れずに不安に思う中、
万の母が心臓病で倒れます。
ラブホテルというものを厭う叔父・叔母の力を借りたくないと
万は高校生にも拘らず、万は何とかお金を工面しようと必死になります。
そんな折、ラブホテルの一室が火事に遭い、
余計にお金の工面が必要となり、
万はなりふり構わずお金を稼ぐことで以前より一心不乱になります。

ここは万の焦りが伝わってきます。
何にも代えがたいラブホテルを守れなかった自分。
悟を養わなければならない自分。
どうしても足りないお金……。
自分が万の立場だったら、焦燥感でいっぱいになっていたと思います。
母親は重病で入院、頼りになるお金がない……
そんな事態は耐えられなかったと思うのです。

でも!
だからといって、AVへの出演を決めるなんて、
そんな自分の意に染まないことは、してはダメ!絶対だめだー、万!><
進んでやりたい人もいるだろうけど、そんなにも嫌なのに、
お金のために耐えようとするなんて…。
心は既に十亀への気持ちでいっぱいなのに…。
胸が痛くなります。

しかし、自分のチャンスをふいにして万を助けに来る十亀。
その他にも、万引きの疑いをかけられた万や、
焼け焦げた部屋の修繕などをして、影ながら万を支えていく十亀。
ここに十亀の万への気持ちの深さが見えます。
こんなにも十亀は万へのことを考えてくれていた…と思うと、
感動すると同時にほっとしてしまいました。

そして、海外へ1年~2年撮影に行くことを決める十亀。
そんな十亀は万を突き放します。
ここは十亀の万への優しさだったんですね…。
バイなら、女性と結婚もできるし子供も出来る。
そんな家庭を万へ授けてあげたかったんですね…。
でも、そんな十亀の心を知らず、ひとり傷つく万を見るのは辛かったです。

十亀が日本に帰ってきて、雨の中逃げる万を追いかける十亀。
そして街の雑踏の中、万に口づける十亀。
しかし、街中だということに気づき、慌てて万を引き離しますが、
万がそんな十亀を「気にするな」というかのように、逆に口づける…。

この雨の中のシーンは良かった!
やっと二人の気持ちが通じた瞬間ですから!
ホント、嬉しかったです。

ふたりがひとつになるシーン。
最初の万の嘘がバレてしまうシーンもありますが、
それでも十亀がそれを一瞬で許し、万を抱くシーンは
「やっと二人の想いが通じた…!」と思い、万感の思いがこみ上げました。

2巻は二人の気持ちが右へ左へと揺れ動いて、
読んでいるこっちは、二人の心の行方が
気になって仕方ありませんでしたが、
最後、ハッピーエンドになってよかったです。

あとがきを読んで知ったのですが、
これは4年の月日をかけて完成したそうですねー。
うわあ、やっぱり名作を生み出すには時間がかかるんですね。

良作でした。

5

ちっちゃい大福

1巻に比べてちっちゃい大福率が少なかった~(^-^;
そして、吉田さん婚約者ってあんなに美人なのか~(^-^;

ハッピーエンドで感動しました。
ですが、ちょっと、物足りない感が……あります。
万くん、ストレスとかで倒れてとか期待しちゃったんで……
もう少し、悲しいお話にしてら十亀さんと結ばれて欲しかったなぁ。
十亀さん、ゲイなら昔の恋人現れて修羅場まではいかないけど……思い込み激しい万くんにもっとダメージをあたえて欲しかったなぁ。
最初から清い関係と言うか、可愛いくて初々しい関係だったので十亀さんの態度が些細な事きっかけで急に素っ気なくなったりしたのはわかるんですが、十亀さんの過去とかもうちょい触れて欲しかったです。
リバーズエンドを読めば十亀さんの過去がわかるんでしょうけど、この2巻でもうちょい引っ張って欲しかったです。
素人の癖に偉そうな事ばかりとかって、自分でも思うんですけどね。
1巻がとっても良かっただけに、ちょっと、それたなぁって思ってしまいました。
でも、読んで良かったです。食事作って勉強して十亀さんのベッドで寝ちゃう万くんは可愛いですよね。
やだな、もう、可愛い過ぎるぜ!この野郎ってね♪

2

涙涙で・・・

最初は好きだなんて嘘だった・・・
弟から引き離したい一心でついた嘘。
でも、いつの間にかその嘘が本当に・・・

これでもかと言うほど、不幸が降りかかる万。
お母さんの病気、火事、お金・・・・
高校生の万には重すぎる。でも、人を頼らず自分でなんとかしようと
もがけばもがくほど、悪循環で・・・
お母さんが入院中はホテルは休業しなければならず金銭的な問題に頭を抱える。
仕方なく夜間のみ予約制お得意様だけの営業を始めるが
客のたばこの火の不始末によりメリーゴーラウンドの部屋で小火を出し
その部屋の修理代、母の入院手術費用が必要になり
お金欲しさにAV出演を決心するが・・・

その上、夏祭り以来十亀に距離をおかれるが、弟とは会っているようで・・
自分でもよくわからない悲しかったりイライラする気持ちに悩む万。

家族のために自分を犠牲にし頑張る万。
その上奨学金のために成績は落とせない、そして十亀のことを思うと心が揺れる。
もう途中から涙がぽろぽろ出てきて・・・
好きなんかじゃなかったのに、でも今は好きで好きで仕方がない。
なのに、十亀は離れて海外の仕事に行ってしまいます。
悩んで悩んで、辛い涙を何度も流して、万は一回り大きい青年に成長します。
不幸を絵にかいたような・・・という言葉がピッタリと思ってしまいました。
何もかも投げ出したくなる、そんな衝動に何度駆られただろうか。
様々な困難とどうしようもない恋を抱えて翻弄する万が愛おしくさえ思えました。

十亀の帰国後、再会した二人はやっと気持ちが重なりめでたく結ばれます。
最後の幸せそうな万の表情に、今までの辛いできごとが嘘のように思えてしまいます。
恋人と一緒に過ごせることが、こんなにも人を幸せにし笑顔にすると
改めて実感させられた作品でした。



5

大人げないかも。

一巻はとても面白かったのですよ。
素直になれない高校生と、不器用な大人が近づいていく課程が丁寧に描かれていて。
で、お祭りで彼女連れの受を見て、攻はいきなり手を引く訳ですな。
その様が全くもって大人げない。
これ、受けの為を思ってみたいな事になってますが、攻自身の為ですよね。自分が傷つきたくないから、いきなり疎遠になるという。
そういうキャラじゃないと思っていたので、此処がとても残念です。受がやる分には、そういうキャラなんで納得いくのですけれど。
もう少し、攻が余裕ある大人だったら良かったなあと思ってしまうのです。

攻は大人だけどそういう子供っぽい面もあるのよ、そこが魅力なのよと云われると、自分には合わなかったなあと思わざるをえません。
一巻が面白かっただけに残念。

7

すれ違いも回り道も

会いたい、会いたい、と思う気持ち。
けれど子どもにはそれが分からず、大人は後ろめたく思う。
そして会えないまま。

距離を置いたら、いつか忘れるのでしょうか。忘れたら、いつか本当の幸せが見つかるのでしょうか。切なさがないのが、本当の幸せなのでしょうか。愛する人の幸せを1番に考えるのが、本当の愛なんでしょうか。

そんなことではないと分かるために、必要だったんですね。

説教部屋大賞↓
「だから 俺は10年後でいいんだよ」

1

それぞれの持ち味が活かされながら

既に時遅しで十亀の心はセーブされ、万の気持ちは置いてきぼりに。
メールの返信を待つ姿に嫌な感じは消え失せ、すっかり恋する男子にときめいてしまいます。

10代らしい拒絶と浅はかな考えが、どうにかしたいとはやる気持ちに比例して事態はあらぬ方向へ転がってしまいます。
そして頑張っている万の助けにならないと、感じてしまう悟の悔しさが一気に溢れてしまう十亀の一言はとても心に響きます。
そんな事に気付いてしまう十亀自身にどんな過去があるのか。
少しずつ見えてくるのですが、薄いカーテン越しにその気配が感じられる程度。

1巻では万が一芝居打ちましたが、今回は十亀が友人に一芝居打たせます。
万は弟の為を思って、十亀は万の自尊心を傷つけない為に。

高校生の自分に出来ることと出来ないこと。
その妥協点を見つけてからは少し落ち着いた万が、逞しく感じられるようになりました。

10年という月日を二人がどう捉えたのかはわかりませんが、結局1年半程の時間をお互いに想い続け、執着しない十亀が追いかけるに至るまでの流れを考えると胸が詰まりそうになります。

1

みんな、言葉が足りないような

相手が生粋のゲイじゃないと知り、万の将来の為と、
若干の諦めから、距離を置いてしまった十亀さん。
そんな十亀さんにいつの間にか本気になってしまった万。
結局、煮え切らない十亀さんに万が必死に想いを告げることで纏まるのですが
全体的に無難な感じで終わってしまった気がします。
十亀さんがあれ程頑なに、人や物に執着心を持たないようにしていた事を考えると
いっそ本当に10年待っても良かったんじゃないかなどと思ってしまいました。

そして、2巻で一番気になったのが万の気持ちのやり場です。
十亀さんへの恋愛的な気持ちの事ではなくて、若い頃特有の感情だとか悩みだとか。
まずお母さんの入院に際して、万は年齢的にも経済面的にも力が足りません。
そこはやっぱり嫌でも叔父夫婦に頭を下げて頼るのが正解だと思います。
でも、大人達の心ない言葉の数々に万は意固地になって
差し伸べられた手を突っぱねてしまう。

そこまでは両者とも人間らしさがあって違和感ないです。
けれど叔母が後に「意地を張らずに私達に頼りなさい」と諭してくる場面を読んだ時
あなたがそれを言うのか…ともやもやして。
(現実問題、金銭面では頼らない事にはやっていけないとは思うんですけどね)
その後、口さがない事を言っていた割に最終的には
善良な大人の立場に納まっている点に、釈然としない気分になりました。
それから弟にしてみても、何も聞かされず聞けず何も出来ないと悩んでいますが
もう中学生でしょう?家事の手伝いくらいは申し出たのか?
何か出来ることがあればさせてくれと万に頼んだのか?
となんだかリアルな所でもやもや…。悪い子ではないのですが。
その上ちょっとした諍いから、本人ではなく十亀さんに兄の事を嫌いだと言ってしまう。
万の頑張りや優しさを一番身近で見ていたのは君ではないのだろうか…。
その後の十亀さんのフォローもどこかズレているような気がする。
悟がまだ子供なのと、万が頑なすぎるせいもあるのだと思うのですが
微妙にやりきれない気持ちになってしまいました。

フォローは十亀さんと悟の会話以外にも、悟のちょっとした気遣いが窺える描写や
ホテル修理の際二宮さんに色々と言い含められるシーンなどが入りますが
万の根本的な悩みや苦しみが理解されている様には見えません。
万自身そこら辺の事を口にはしないし
理解されようとも思っていないのかもしれませんが。

あとは物語が進む中で、万の方が自分で気持ちを切り替えていった印象。
結局は叔母や悟との関係も表向き綺麗に収束するんですが
あっさりすぎて、え!そんなんでいいのか!?という感じでした。
万の小さい頃からの苦悩や葛藤はあれで決着したと思っていいのだろうか。
十亀さんにホテル経営を肯定してもらったという事だけで、もう充分なのだろうか。
まあ最終的には幸せそうでしたし、いいんでしょうけど
個人的には始終もやっとしていて読後感は良くなかったです。

5

好みは分かれそうだけど読み易い1冊。

ずっしり重みのある2巻目。

花火で万が女の子といるの見ちゃったことで
身を引こうとする十亀。
これですれ違い(っていうか十亀が一方的に避ける)、
万母の入院手術に関するゴタゴタでかき乱され。
なんかもう全体を通してせつな苦しい。

物語の「転」となるような、
ハラハラした展開が続くのが苦手なので、
私あんまり読み返せない。
山場はないといけないけど、
日常の中でこうガンガンに来られるとどうも…。

あとは、母の入院手術で
叔母夫婦に頼れない万。
気持ちは分かるけれど、金銭的なことまで
君が背負う必要はあるのか?
さすがに叔母さん夫婦もお母さんも
そこは気にしてくれるだろうよ、というか
そここそ大人のカバーする領域なのでは?と
気になって仕方なくて受け入れられずで…。

しかし、起承転転転転転転転転結、みたいに
きれいな物語構造で、次を読ませるための
転になる部分が多い作品だと思うので、
すごく萌える人もいると思うし、
しっかりした骨組の物語が好きな方にはおススメです。

あとは絵柄が私には合わず。
文句なくキレイ、しかしキレイすぎるのが
萌えない原因のようでした。
思えば、実は日高ショーコさんの絵も
好んで選ぶタイプではないので、自分の好みに納得。
逆にいえば、美しい絵柄を重要視する人にはおススメ。

7

木原先生入門として最適

木原先生も小椋先生も好きなんで、こりゃーすげぇコラボや!と思い買ったのだが。

すいません、私にはぬるかった~~~!期待しすぎたか。
これ小椋先生の絵だから余計そう感じるのかもしれないですけれど、
木原先生の痛い系が好きな人にはあんまり勧められないです。
小椋先生の絵は神だと思うんですけど、ほのぼのすぎて萌えに繋がらなかったのが残念でした。

そして十亀が、自分と被っていたのも萌えなかった原因の一つ。
自分が十亀側の人間だからこの人に共感できるんだけど、
自分で自分に萌えるとかありえないから、そういうわけで萌えんかったんです。
不運だけど不幸じゃない。その通り!自分にとって当たり前のことをあらためて聞かされるとあ~そうね、という感じになりますよね。ま、そんな感じでした。
ラブホだのAV監督だの、一般人にとっては面白いネタなんだろうな~。
自分は何とも感じないけど世間の人ってのはこんなんが面白く感じるんだな。そしてそこに出てくるキャラがラブホやAVをやっている人たちの一般的なイメージと違って、ちゃんとした人間というのも万人が納得する設定です。
実際、長く続けている人らは本当にちゃんとしてるもんね。
世間が知らないだけで。

いつもの木原先生なら万と十亀がもっとすれ違ったりしそうなんだけど、
そういう木原節が一切なく。
コアなファンの人は木原先生の真骨頂を感じられず、残念に思った人もいるかもしれないと思いました。

しかし内容はものすごくいい。小説も合わせて全部読んで欲しいです。
十亀も万も二人に救いがある点が万人向け。

この作品は木原先生の痛い系が苦手な人にはむしろおすすめです。
今まで読むのが怖くて木原先生を倦厭していた人にぜひ読んで欲しい作品です。
十亀の不幸設定は小説のほうで確認してみてください。そこの部分はキツイと感じる人もいるかもしれませんが、必ず、この二人のキャラに救いがあるので、怖がらずに読んでみて欲しいです。

お話もキャラも万人向けだと感じました。
ただ私向きじゃなかったというだけでこの評価ですが、この作品自体はとても良いと思います。ちなみに自分的には小説(リバーズエンド)のほうはもうちょっと評価高いです。

6

優しい、優しい、作品です。

 十亀と万の出会い。恋人になるまで。最初は、ガタガタだった二人が結ばれる。
 大切なものを失うのが怖い十亀さんが、あの雨の日に、走っていく万をなぜ追いかけたんだろう。なぜ追いかけることができたんだろう。それが愛か。

 最初は、弟にちょっかい出されるのがいやで、代わりに自分が付き合えばいいだろ、ていう、なんとも自虐的な理由で十亀をだまくらかして付き合いにこぎつけた万だった。けど、万の方が徐々に十亀にはまってはまって、万が本気になったら、今度は十亀が万から逃げる。何というめんどくさい男なんだ。十亀。

 まあ、けど、30歳の男が、16歳の。同じ男の、しかもノーマルの子に迫られたら普通かまえるわな。いつ心変わりされるか分からないし。だから、十亀の「10年経っても同じこといってたらそん時にまた考えてやるよ」というセリフは、分かる。
 十亀は、怖いんだ。万を手に入れて、そして失ってしまうのが。

 そしてその1年4ヶ月後の万の答え。「僕の気持ちは変わってないです。あと8年6ヵ月後も変わらないと思います」に続く。
 おー!!万、ナイス!!そしてその後が、リバーズエンドに続くわけか。
 はああー、万くん、これからも、十亀さんを愛してあげて!!

4

素晴らしい作品

キャッスルマンゴーという作品は
私の読んだBL本の中でもベストと言える
素晴らしい作品だと、2巻完結を読破して更に
感じさせてくれました。

発売が何度も延期になり、ようやく発売になって
一部書店で売られるも完売入荷待ちが相次いでいる状態で
私もなんとか手に入れた…そんな感じです。


驚いたのはまず厚み。2巻は通常のBL本の1.5倍くらいの厚みがあります。

コミックに付いていた付録のSS。
付録とは思えないクオリティです。このSSだけで悶えました。

リバーズエンドの方にもおまけ漫画が挟まっていて
相互リンクも素晴らしいです。
全部合わせてキャッスルマンゴーだとおもいました。

小説は携帯できるように本屋さんの包装紙を再利用して
ブックカバーをつけてみました。

表現するなら本当に上質なBLです。
1コマ1コマ、1行1行を大切に読みたいと思わせる
そんな繊細な素晴らしいBLに、私は終始感動しました。
そして悶えながらバッタンバッタン転げ回りました。家で。(笑)

個人的に木原先生は、どちらかというと作品雰囲気が殺伐としている感じを
今まで私は受けてきました。
逆に小椋先生はやわらかいポワポワした漫画を多く描かれてるイメージ。
そのお二人が合わさると、こんなにも神がかった作品になるんだと
衝撃を受けました。

はっきり言ってコラボしたときの破壊力は53万倍(笑)
こんなにも凄くなっちゃうんだ!という衝撃なんですよ。

このお話は決して明るい話ではないのに、悲壮感がない。
暗い部分を多く含んでいるのに。
皆さんには馴染みのない業界を取り上げられていますが
個人的に多少知識のある身としては本当に染み入るような感じで
「ほー。へー。」と、ただ頷くだけに留まれない…そんな話なんです。
なのに、終始どこか温かい。
本当に不思議な本です。

間違いないです。この本が今年のマイBL大賞です。

なかなかこのクオリティの作品は難しいですし
これを超えることも恐らく難しい…。

好みはあると思いますが、私のBL本の歴史を塗り替えた…
そんな貴重な一冊です。

4

男同士を再確認

結構な厚さがあり読むのに若干苦労しました
というのは、目によくないのですが、寝ながら読むことが多くて
厚い本は腕が痛くなるというただそれだけなのですが

痛いのを完全忘れるほど
素晴らしい作品なのは
十分わかっていたのですけど

二巻は万のまわりの環境と十亀の過去も描かれており
コミックにしては難しい内容でした
木原さんの作品ならではの
暗い部分と文章だからこそ
表現できる情景があるような
気がずっとしたままの
読み進めるでした

十亀は万の今後のを考えての距離感を持ちます
万がよくこらえたなとつくづく感心しました

短くない時間ですし
直接連絡をとることができないわけですから、
きっと十亀は帰国しても
自分から万に連絡をとることはなかったでしょうから

背の大きな2人の抱擁シーンは
華奢じゃない男を十分に感じさせてもらえましたし
すね毛もあるあたり余計に
十亀のワイルドさを感じることができました

2人とも甘えられない中前進してきているので
これからはお互い甘えて良いなぁと思える相手であってほしいなと
思いました

我慢することになれる事なく
わがままいって喧嘩してほしいですね

2

すれ違い

2巻です。やっと十亀のことを意識しだしたというのに、ここにきて急に
態度を変えられた万くんは、どう感じたのでしょう……。

万が近づこうとすればするほど、十亀は離れていく。
それも万のことを想えばこその判断でしょうし、十亀の生い立ちや過去を考えれば
何事にも執着せず、すぐ諦めてしまうのも理解出来ます。
ですが、万くんはまだ高校生なんです。初めて人を好きになり、戸惑っているときに
理由も告げず距離を置こうとするなんて……。

更に母親の病気、ホテルの火事、と追い打ちをかけられるような事が次々と起こり、
重圧に押しつぶされそうになってもひたすら耐えて頑張る姿が、健気で、愛おしかった。
万くんが、どんなにつらくても十亀のことを諦めず、想い続けていてくれてよかった。

大好きな台詞や場面がありすぎて全部は挙げきれないけれど、特に印象だったのは
「家族を亡くしたばかりの十亀さんに会いたかった、話を聞いてあげたかった」と、
回想するシーンです。健気な万の想いに、胸がキュッとなりました。

お互いがお互いに出逢えたことで、肩に背負っていた重いものをおろせるように
なったんじゃないかなあ…と、思いました。この本に出会えてよかった。

うわー!また読み返して泣きそうになりました。素敵だったー!

4

びっくりした

こちらの本、発売日に買って読むのを楽しみにしてたのに、すっかり忘れて本棚の奥に眠ってました。
昨日発掘した時の驚きと後悔ったらもうね(笑)


さくっと感想。
十亀も万も面倒くさいキャラクターで、非常にやきもきさせられました。分厚い本の最後の最後にやっとくっ付きますが、それまではずっとすれ違い。
頑固で意地っ張りな万にイライラしましたが、後半必死になっていく様子は可愛かったです。
十亀の過去を知っての、『もしその頃の十亀さんに会えるならーー』のくだりに泣いちゃいました。

弟悟の可愛さがハンパない!素直な良い子。あんな弟がほしいなぁ。

2

リバーズエンドを読みたくなる

(リバーズエンド読んでません)
1巻と2巻を一気に読みたかったのですが、
なかなか時間がなくてちょっと間が空いて読んだのですが、
私の中で1巻がものすごい大ヒットだったので、
あれ?それほど2巻で盛り上がらないぞ?
と思ってしまいました。

あと、お互いに色々あるのはわかるけど、
意地を張りすぎではないかと思ってしまいます。
もどかしいのは好きなのですが、なんだかだれてしまったような気がします。

そして、一番思うことは、
十亀さんの感情がよくわからないということです。

しっかりリバーズエンドを読んでからレビューをしようかとも思ったのですが、
とりあえず漫画を読んだ感想という感じでうけとって下さい。

3

守ってあげたい

 十亀俊司という人は、まるで仏道に帰依した高僧のようだ。
 愛別離苦を知り、怨憎会苦を知り。
 四苦八苦を知り、生老病死を知る。
 生と死が一続きであることを知り、諸行無常を知る。
 何一つ自分の思い通りになることなどないとわかっている。
 そして執着という煩悩が本当は人間をもっとも苦しめるのだと悟っている。

 そういうところが周りの人間にとっては、はがゆく、ときに寂しさを感じさせたりする。それでも。十亀という人は、決して自分の境遇や不運を誰かのせいや社会のせいにしない。すべて自ら飲み込んでゆくのだ。

 十亀のような苦労を一つも経験してない人間に、一体何を言う権利があるというのだろうか。
 万に10年後~と話すとき、本当に静かに10年待ちそうな十亀が悲しい。
 だけどそんな十亀に若さで力いっぱいぶつかっていく万が可愛い。
 そして頼もしい。愛おしい。
 ラストの方のシーンに万の胸に頬をうずめて眠る十亀が切なくも微笑ましい。
 そして彼を守るように微笑む万が素敵だ。
 ここはまさに一巻の車での抱っこと対を成しているんだなと、後で気が付いた。
 年下だから守られるとか、年上だから守るではない。
 対等な関係がそこには確かに或るのだ。
 そして万は十亀を精一杯守って、時には甘やかしていこうと心に決めているようだ。
 頑張れ!万!

 このコミックスのまず表紙が素晴らしい。
 多分、『御所車の部屋』なのではないのかな?と思うのですが、色味が素敵で、金魚の屏風が美しい。
 裏表紙の車での二人がまた可愛い。ボロ車の描写がまたいいんですよね。
 そして折込のカラーもまたすごく可愛い。微笑ましい。
 帯も綺麗なのです。凝っている本作りをしてくれています。
 また各話の表紙がすごくいいんですよね。
 何度も読み返していくと、その意味をまた考え直したりして楽しい。
 
 小椋さんはシリアスの場面の表情も絶品なのですが。
 私は実はギャグシーンの可愛いちっちゃい十亀さんとかすごく好きです。
 シリアスとギャグ絵のメリハリって漫画を描く人にとって実はすごく大切なんじゃないかなと常々思っているのですが。
 小椋さんも間違いなくそちらの才能も豊富だなあと今回しみじみ思いました。
 また、主人公たち以外の脇役の個性も凄く大事で。
 吉田さんや悟や二宮を筆頭に素晴らしいキャラクターたちがこのお話を大いに盛り上げています。
 
 何度読んでも飽きがこない。お手元においてほしい素敵なコミックスになりました。
 そしてぜひ『リバーズエンド』も読んでほしい。
 彼らの愛の行方をこれからも見守りください。


 守ってあげたい。ほかには何一つできなくてもいい。
 守ってあげたい。あなたを苦しめるすべてのことから。
 ’cause I love you
 
 
 
 
 

 
 
 

 

7

小説とご一緒に。

『リバーズエンド』は絶対読んだ方がいい。
余計なことは喋らない十亀という人がどんな人か、それでやっとわかる気がする。
もう絶対しあわせになるべき人ですよ。
十亀さんの世界に万が現れたのは、万の人生に十亀さんが登場したのは、何よりも幸福なことだと思います。
ものすごく辛い経験したからなのか、もう染み付いてしまった性分なのか、うっすらと諦めみたいなものを持ってる飄々とした人が、どうしても手放せないってものに出会う物語って、ほんと胸にくるものがある。

お互い、ベタベタ甘えたらいいんだ。

4

すれ違いながらも伝わる思い

原作・木原さんと作画・小椋さんのコラボです。
どちらも好きな作家さんなので1巻を読んだ後は雑誌でも追っていました。
所々、未読部分はありましたがまとまると2巻は分厚いです♪
1巻では、子どもの残酷さで十亀に嘘をついた万。
彼は不器用で寂しがりやの子どもでした。
十亀は、大人で年も離れています。
そして、複雑な過去があり少し臆病になっている部分もあります。
キャッスルマンゴーは、終始、万の視点で話が続いていきます。
誤解、すれ違い、それだけでなく、十亀の迷いや思いやりが若い万には上手く伝わりません。
母の病気、ホテルの火事、自分で家族を守りたい・・・その心にで押しつぶされそうになりながらも頑張る万の姿がせつなかった。
十亀サイドの人たち、二宮と吉田の存在が万と上手く立ち回れない十亀を助けてくれたように思います。
すれ違いは多々ありましたがハッピーエンドで良かったです。

木原さんの書き下ろしペーパーは後日談。
約束していた熱海ラブホ巡り(笑)
本編では行けなかったラブホテル。
当初の約束とはちょっと違いましたがこういう形でも読めて嬉しかったです。
万が営業モードで部屋を選んだところは笑えましたがなるほど納得です。

4

けなげ

続き。

1巻は、とってもとっても気になる終わり方を
していましたよね。
多分読んだ方みなさんが、不穏な空気を感じつつ・・・
なんじゃないでしょうかねw

やっぱり・・・十亀さんはオトナでした。
万の事を一番に考え距離を置こうとする。
でもそれがもちろん万に伝わるわけでは無いので
万の方は、打ち解けつつあるはずの十亀さんが
そっけなくなってくるわけですから
不安だったり疑問だったりするわけですよね。
この擦れ違いに・・・ドキドキハラハラさせられました~。

この2人は、2人だけじゃ絶対うまく纏まらなかったでしょうね。
十亀の事情を知っている人・万の事情を知っている人
周りのこういう人達のおかげで・・・な感じを受けました。

なので十亀・万はもちろんのこと、周りのキャラ達も
とっても魅力ある人達が出てくるところもステキなお話だなと思いました♪

5

至って普通の話だと思ったのに…

 夏祭りの夜、万が女子達と一緒にいるのを目撃し、その場を後にする十亀。さらに、万の母が倒れ、家事を一手に引き受けることになった万。どうしても親戚に頼りたくない万は、アルバイト、そしてAV出演まで…。

 自分に降りかかったことを全て一人で抱えてしまう万と、万に近づくことをしない十亀。二人がずっとすれ違ったままで、もどかしさを抱えながらずっと読んでいました。正直、二人とも好きなら二人とも素直になればいいのにとも思いました。しかし、その根底には、私が万とも十亀とも何の関係のない、他人だからそう思ったのだと、読んでいる途中から気づかされました。
 十亀は万に対して、「無理してこっちにくることはない」とつぶやく台詞があり、彼が万に興味がないわけでななく、あえて避けているということが分かります。加えて、十亀の過去を知っていればなおさら、家族という形を大切にしたり、こだわったりする十亀に同感すらしました。

 ラストで、ようやく十亀は万の気持ちを受け止め、結ばれます。もちろん、全てを知った上で二人が選んだ道です。もうここまでに来るまでに、万にあえて執着しない十亀や、気持ちを上手く伝えられない万にちょっとじれったさを感じもしましたが、二人で全てを飲み込んで、一緒になったという結末は「読んでてよかった」と心から思います。本当にもどかしい二人がじれったいのですが、ラストのほとんど絵だけで見せる表現方法が上手いです。

 2巻では、1巻で十亀が白い花を海に手向けた理由がようやく分かります。十亀の思い描く家族像を万がかなえてくれることをどこかで期待している私です。

5

十亀の三白眼がいい!まさにドラ猫です(笑)

1巻から2巻まで随分長かったので、これはひょっとして出ないのかもなんて危惧しましたが、この分厚さ…ほんとうに読ませてくださりありがとうございますと、ここでお礼を。
互いに不器用で気持ちを伝え合うことができない二人をもどかしい思いで読みましたが、この万もまた、十亀ほどではないにしても、不運です。
父を亡くし、形見のラブホテルの経営状態は逼迫していて、母が倒れ入院。
小学生の弟のためににも、学業と家事と家業を全部ひとりでやろうとして空回りする万は、奇しくも当時の十亀と同じ高2。
十亀と違って、周りから手を差し伸べてくれる大人がいるのに、うまく頼ることができない万にもどかしさを感じますが、高校生なんてそんなものかもなあ。
十亀がもっと強引で包容力のある男だったらどうだろうかと考えたりもしてみたけど、それじゃあ木原さんのお話にはなりませんな。
人に執着しない十亀は、あっさり万を手放そうとしたりするんだけど、案外情熱的な万は何度も食い下がる。十亀にとっての相手は、物分かりのいい大人ではなく、万みたいな子でちょうどよかったのかもしれません。
漫画だけでも読み応えのある作品ですが、このあと小説を読めば心に刺さる度合いは、かなり深いはず。
しばらく忘れがたい二人になりそうです。

5

万の頑張る姿

ん~・・・・
1巻は凄く良かった。だから2巻を楽しみにしてたんだけど。

十亀、あまりにも急に態度を変えすぎじゃないだろうか。
それこそ手のひらを返したような。
吉田に指摘されて理由を説明していたけど、その言い分も分からなくは無い。
「リバースエンド」も読んだので、十亀の過去からの
何事にも執着しないバックグラウンドも理解できます。
だけど、相手は十三歳も年下の高校生。
理由も告げずに急によそよそしくするなんて、余りにも可愛そうじゃない?
はっきり言って、自分勝手で大人げないです。
十亀の株、2巻で急降下です。↓↓↓

今巻は万が本当に可哀そうでした。
十亀の気持が分からずに悩んでいた上に、お母さんが倒れた事から連鎖して色々事件が発生。
誰にも頼れず、一人で必死で頑張ってる万の姿が痛々しかった。
でも、高校生の万に出来る事は限られていて、
結局周りの大人たちがさり気なく助けてくれます。
一途で一生懸命な万の姿に、心打たれました・・・
こんな時に、心の支えになるどころか負担になってどうする、十亀!!

それでも十亀、仕事を放り出して万をAV撮影現場から連れだしたり、
万が嫌いだと言う悟を、さり気なく諭したり、
火事の後始末を、名前を名乗らずに援助したり。
と、自分の勝手で放り出したくせに、結局影で万を助けてます。
本当は万の事好きなんだったら、素直になってあげて!と焦れました(笑)
雨の中で、万が十亀に気持をぶつけて抱きついた時と、
よろずからのお守りを見つけた時の十亀の表情、
すごく切なかったです・・・

とにかく、ハッピーエンドで終わって良かったです!
万が、最後まであきらめずに頑張った姿に感動しました。

5

嘘から出た真

キャッスルマンゴー、第2巻。最終巻。
雑誌掲載時には目にしていなかったのですが、これは単行本で一気に読めて良かったなと思いました。
1巻の終わり方もぐっと息を飲みそうになりましたけど、2巻は最後までじれったくて切なくて。
これを連載時に読んでいたら悶え死んでたんじゃないかと思います(笑)

今回も、思った事を。

前回の時、あれだけ万に肩入れ出来ない自分が居たのに。
今度は「頑張れ万」と思いながら読んでいました。
色んな過去、色んな出来事、色んな経験があって、十亀は人や物に執着しない訳だから、本当に十亀を手に入れたかったら、彼を必死で死ぬほど追い掛ける他ないと思ったから。
しかも自分には十亀に嘘がある訳だし、十亀は自分の思いを掻き消す大人だし。
万は苦しく切なく逃げ出したい思いでいっぱいだっただろうけど、自分のついた嘘が愛情に変わっているのなら、それぐらい頑張れよ!と心底思ったのです。

八年六か月変わらない。
一言で言っても、実際にはとてもとても長い年月です。
でも、今の万には、それぐらい十亀が必要な訳で。
裏を返せば、一年四か月、周りにどれだけ魅力的な人間が居ようとも、万の気持ちは真っ直ぐを向いていた訳で。
不安で押し潰されそうになった夜だってたくさんあっただろうなって思います。
遠く離れた異国で仕事をしている十亀。
身体は大丈夫かな、事故にあってないかな。早く無事に帰って来て。会いたい。
そんな思いを何度しただろうと考えると、胸が痛くなる。

本当の気持ちをぶつけて、十亀は追い掛けて来てくれた。
掴まえてくれた。
もうそれだけで、万の気持ちは報われたぁとしみじみ感慨深くなるなるばかりでした。
(勝手に親心的な・笑)

2人が体を重ねるシーンも、ご飯を作って十亀の帰りを待つ万も、起きて「おかえりなさい」と呟くシーンも、全て素敵なんだけれど。
裸でお互いをギュッとしてる場面は本当に印象的。
人間の温もりを沢山必要としている2人だから、もっともっと温めあって欲しいなぁと思わずには居られませんでした。

怖いシーンなどないのに、ずっと息を潜んで読んだ2巻でした。
2人の幸せがずっと続くなら、万の嘘も、結局は100点満点の働きをしたんですね。

読むのが怖かった「キャッスルマンゴー」。
今となっては読んで良かった、の一言に尽きます。

7

何故特典ペーパーにしたのっ??

AV監督・十亀俊司×実家がラブホの高校生・城崎万です。

初め、発売日が未定になったり延期になったりでハラハラしましたが、無事に
発売してくれて本当によかったですっ!!

とうとう完結しましたよっ!!
かなり紆余曲折ありましたが・・・十亀に避けられたり、母親が入院したり
母親の入院中にホテルの部屋が火事になったり・・・。

でも結局は、大人の力(十亀・叔母さん・十亀の友人)を借りて解決できたり・・・。←歯がゆいかもしれないけど高校生だから仕方ないですよね・・・。

で、これで付き合う事になるのかと言えば、そうではなく、2年の月日が経ちます。
そこで初めて結ばれる事になるんですが、その肝心の濡れ場シーンが全面的にカットされていました・・・。

個人的には非常に残念でした・・・。゚(PД`q*)゚。
そこを楽しみにしていたのにー!!って感じです。
しかも前巻で「十亀は万を抱いてないって気づいてたらいいなぁ~」とレビューをしたのですが、彼は全然気づいてませんでした(笑)
まぁそれはそれで面白かったんですけどね(ノ∀`;)

それに特典ペーパーの方でかなり甘い話になっているので、ホント残念です。
私は初回版を購入したからよかったですが、後に購入された方がペーパーを
読めないだなんて!!
できれば特典ペーパーをコミックに載せてほしかったです。←小説なんですが、コミックにして載せてほしかったです( ゚ω゚;)

6

先入観なしで読みたかった1冊

情報を一切皆無で挑みたかった作品なのでやっと念願かなったりです。
ノベルの『リパーズエンド』を読んでからレビューしようか迷いましたが
とりあえずこの1冊を読んだ感覚で書かさせていただきます。
『キャッスルマンゴー』自体が感性と感覚で捉えるお話という意識があったので
読む時もなんか神聖な気持ちで読んだ感じがします。
まず、凄く厚い1冊にまとめて下さった出版社様に感謝です。
1巻では十亀が万に近づいていった印象でしたが2巻では万が十亀の気持ちに
近づいて行きます。
最終話が本当に感慨深いというか・・・神です。
1巻を通して読むべき作品だと言う事をすごく実感しました。
十亀にとって万とういう人物が1人の男として認められたというか
同じ所に立ったんだなと。
1巻では万が十亀の懐で、2巻では十亀が万の懐で染み入っている様が
凄く印象的でした。お互いを懐に入れて、年齢とか関係なくお互いが守るべき
愛するべき存在なのだと。
1巻と同じようなシチュエーションでもお互いの心が動いたあとでは
こんなに甘いのかと。
自分の気持ちに一途になった万が本当に可愛く、男だな~と思います。
結局十亀は逃げてたわけですし。
木原先生の原作をここまで表現してくださった小椋先生、本当にお疲れ様でした。
作者様の意図を汲み取るのが上手な作家様だとは思いますが大変な作業だったと
思います。
皆さんがレビューを書きたくなるようなBL作は本当に貴重だと思います。
何回読んでも新しい発見のある作品なので是非お手元に置いて頂きたい1冊です。

5

木原さん原作のわりにはやさしい印象でした。

前作では芽生え始めた万と、何かを感じた十亀で終わっていたのですが。
十亀……そう、なっちゃいますか。
万が歩み寄りというか好意を寄せていくのに比例するように十亀の方は引いていって。
それは、もちろん十亀なりに万のことを思って、「真っ当な人生」を送らせてあげたいと思うからでもあるんだけども。
何がその人にとって幸せかなんて、その人にしかわからなくて。
端から見れば、真っ当ではなくても幸せな人生もあるわけで。
けれど、その前に遮断してしまうような。
確かに想う感情はあるのに引いていく。
作中で部下にも言われてましたが、十亀は何事にも執着が足りないんですよね。
それでも、いざ万のピンチとなれば、つい体が動いてしまうような。
無視しきれない衝動はあって。
なのに、距離を置きたがるほどに臆病になっているようで。
想えば想うほど離れていくような十亀がせつないです。
そして、万。
万の気持ちはもう完全に十亀に向かっているのに。
誤解を解いて、自分の気持ちをちゃんとぶつけて。
それでも気持ちは噛み合わず。
自分には優しくない十亀が悟には優しかったりで、どんどん自分の感情に振り回されるような万がせつない。
万は1巻の頃よりかなり印象が変わったような気がします。
いや、勝手に私がそう思い込んでただけかもしれませんが。
なんていうか、これだけ自己主張というか自分の気持ちを言う子ではないイメージでした。
それが十亀に対してはちゃんと自分の本気を伝えて。
もしかしたら、十亀が引いていくから押さざるを得ないのかもしれませんが。
それでも真面目な優等生のようだった万が男に恋をして必死になっていく姿は見ていて応援したくなる。

木原さん原作ということでなんていうかもっと痛いお話になるのかとドキドキしながら読んだ2巻でしたが、思ってたよりもやさしい物語だった気がします。
まぁ、それなりに万は大変なことになってたりもするんですが。
それでも「痛い」までは全然遠いような。
ムクさんの絵柄もあるから余計にやさいく映るのかも。
最終話のラストから2P目の十亀のやさしい顔が非常に印象的でした。

余談ですが、ムービック第6事業部解散ということはこの作品のCDももう出ないということなんでしょうね。
お話の途中でCDが聞けなくなるのは非常に残念で仕方ありません。
どこか拾って下さるところがあればいいのですが…。

5

焦らしプレイに身悶えました

1作目でこの二人はいったいどうなるんだろうとドキドキの新刊待ち。
発売日が何度も変更になり、焦らされまくる、更に作品を読み始めてまた焦らされる。
AV監督と高校生の恋だもの、焦らされるのは当然と言えば当然だし、
嘘から始まった大人でも子供でも無い高校生が、必死で生きてる姿も、
必死で恋に揺れ動く心も、大人だから相手の為にはいない方がいいのでは?
なんて、自分に言い聞かせるみたいな思いで離れようとする大人。
でも、きっかけは受け様が花火デートしていたのを見たからショックを受けてる。
そんなヘタレ感から始まってる気がする。
確かめ方もやっぱりヘタレ気味だったから、高校生の受け様なんて理解出来ないよね。

でも、何に対しても執着出来なかった攻め様だけど、受け様には言葉以外で
執着が見えてた作品だと思いました。
互いの心が繋がる寸前で、でも攻め様は海外へ撮影に行かなければならない。
受け様に10年後も同じ気持ちだったらなんて言葉を残して・・・
何処までヘタレなんだと!大人って理由じゃ納得出来ない。
それでも、結果的に二人には離れてる時間が必要だったのだと思える。
再会して、変わらぬ思いを攻め様に伝え、おお~またヘタレるのかっ?てところで
攻め様本気モードしちゃってくれます。
随分焦らして焦らしてくれましたけど、納まる所に納まった感があってとても良かった。
そして、甘さ控えめの不足分は番外ペーパーで補充する、やっぱり焦らし作品です。

5

完結

待望のキャッスルマンゴー2巻です!
私はリバーズエンド本編+プロローグ→キャッスルマンゴー2巻→小椋ムクさんのペーパー→god bless you→木原音瀬さんのペーパーという順番で読みました。

1巻があんな終わり方だったので続きが気になってしょうがなかった!本当はこの2巻をすぐにでも読みたかったのですが、悩んだ末リバーズエンドを先に読みました。やはり、漫画の2巻より先にリバーズエンドを読んで良かったです。
十亀の過去を知った上で2巻を読むのと、知らないで読むのとでは十亀の印象が違うのではないでしょうか。正直、私も小説を読んでいなければ何故あんなにも十亀は諦めが良すぎるのか不思議になるかと思います。そして急に万を避けだす十亀にモヤモヤしていたに違いない!1巻の甘さは何処へやら、という感じですからね。
でも小説を読んで十亀の過去、心の傷を知っているとその行動の訳が分かるので、2巻の展開をより受け入れやすくなる気がします。
実はここまでリバーズエンドの方でも同じ感想を書いています。上記の順番で読んだもので、この2巻の感想を語るには小説の内容も不可欠なのです。

本当に小説を読み終えた直後にすぐにこの2巻を読み始めましたよ。これは時間を空けてはいけないと思いまして。小説で号泣しすぎたので、漫画の方で出す涙は残っていないかと思ったのですが、そんなことはありませんでした。むしろ、十亀の過去を知っているからか余計に気持ちが入ってしまい、読み終えた時のティッシュの残骸は小説の時と同じくらいでした。

この2巻の見所は、何と言っても不器用ながらも頑張っている万の姿ではないでしょうか。十亀に何度突き放されても諦めず気持ちを伝える万に心打たれました。
はっきりと突き放されるのは2度ですね。海外へ行く前と帰って来た後。あそこは胸が痛かった…万の泣き顔に私も涙を堪えられませんでした。

キャッスルマンゴーは万の粘り勝ちですね。決して流されたと言う訳ではなく。十亀にも万を想う気持ちは十分あります。だからこそ「十年経っても~」という言葉が出てきたのだろうし。
でも、リバーズエンド収録のgod bless youを読んで分かる通り、十亀の執着しない諦めの良さは健在です。万が十年かけてこの男を変えてくれる事を願ってます。

あと、個人的にすごく好きなシーンがあります。二宮に十亀の過去を聞かされてショックを受けた万が、その時の十亀に会っていたらと考えるシーン。あれはすごく良かった。万の想いにじーんとしてしまいました。この後の、「キス!?」と我に返るのがまた可愛くてたまりません。

最後に、小椋さんの描くキャラクターが本当に素敵でした。これ以外は絶対に考えられません!

10

ぶきっちょ×ぶきっちょ

見ていてじれったい二人でしたが、最後はハッピーエンド♪
不器用故の成り行きでしたね。

美青年の万くんが、恥じらったり、泣いたり・・・S気がある攻めさんだったら、ガンガン攻められそうですね~なんてちょっと妄想してみたりして(*´∇`*)

まぁ、そんなのは私の頭の中だけ・・・じゃなかったですね。
初版特典の、木原先生著の小冊子にはちら~っと、そんな場面ありましたね。
でもでも・・・可愛すぎて攻めきれてない・・・でも、そんなところも良い!!

正直、木原先生のお話は暗い感じが強くて、少し敬遠していましたが、ちょっと読んで見ようかな?とおもいました 。
ちなみに。小椋ムク先生のイラストは大好きです。
受けと言っても、ナヨナヨした感じが無く、均整の取れた色気があります。
BLは基本、本の中の世界と思っている私ですが・・・リアル男子(格好いい人限定)もありかな?と思ってしまった。

7

切なくて堪らなくてほろり。

4年の歳月を経て完結ということでなんだかそれだけでもすごいなーと思うのに改めて原作・木原音瀬、作画・小椋ムクという事実を確認しちょっと興奮しながら手に取りました。

最初の2人の関係と言えば、万の弟・悟に接する十亀の態度が許せなくてどうにか2人を引き離そうと、嘘の状態を作り出し、嘘の告白をして付き合う形となった2人。同じ時間を過ごす中で万は確実に十亀に惹かれていきました。早くに父親を亡くしたこともあると思いますが、大人の十亀の今まで感じたことなかった優しさや思いやりに惹かれているのに、十亀は万が女性といるのを見てそれ以降そっけなく避け続ける結果となるのです。
万はそれでも十亀のもとを訪ねたり、メールを送ったり。一方で万の母親が病気で倒れてしまったため家のことはもちろん、ホテル・キャッスルマンゴーの経営も自分ひとりで全て背負いこむ日々が続きます。
そんな中で万がある事件に巻き込まれるわけですが、これをきっかけにさらに2人の関係には溝ができすれ違いが生じていく。

とにかく万の十亀に対する想いが溢れててすごく切なかったです。これまで素直じゃなかった万が健気に想い追い続け、最後は十亀からひどい言葉を浴びせられてでもあきらめなかった万の粘り勝ちですね。切なくて切なくて後半ほとんどすすり泣いてましたよ私w
万のラストの告白に私も惚れましたー!

リバーズエンドを読み終えた後にこの「キャッスルマンゴー」を読みなおしたのですが、ちょっと印象が変わり、よりこの作品の魅力を感じることができたと思います。十亀さんの過去が描かれた「リバーズエンド」は絶対に読んで欲しいですね。十亀さんが自分のこと、万に関してどうして最初からあきらめたような行動をとり、固執しなかったのか理解することができます。より「キャッスルマンゴー」に切なさや愛しさを感じれますよっ!

4

待ちに待った・・・

2回も発売日がずれてジリジリしました(汗)
連載されたのを読んでいなかったので、やっと終わりがわかってホッとしてます。
私は最後はハッピーエンドじゃないとイヤなので、この終わり方は大満足です。
(木原作品はアンハッピーが多いという噂なので実は読んでいない・・・。ムクさんの絵が
好きで読み始めた作品です)

最初から二人の擦れ違いが切なくて。。。
せっかく熱海に行こうねーって時にいきなり訳もわからず十亀に突き放された万がかわいそうでした。
小説のほうを後から読んで「なるほど」と思ったのですが、最初万を避ける十亀のかたくなさが
理解できなくて。
相手のことを思いやる・・・プラス、全てにおいてあきらめることに慣れていたのですね。
離れていてもお互いに相手の事を片時も忘れたことはなかったのに。

執着心を見せない十亀に対し、万は自分が十亀が好きだと気づいてからあきらめなかった。
抱きついた身体を突き放されても、知らないうちに引っ越されても。知らないうちに海外に行ってても。

吉田の計らいで、長期ロケから戻ってきた十亀とやっと会えた万。
「8年6ヶ月たっても(十亀が好きという)気持ちは変わらない。」
泣きながら走り去る万をやっと追いかけ、抱きしめる十亀。あぁ、よかったよ(泣)
全てにおいて執着のなかった男と、どうしても離れたくないと思った男と、きっとお互いに必要な存在だったのですね。

ストーリー的には、甘くもなく、萌えも少ないですが、重厚で読んだ後に心地よい疲労感が残る・・・
そんな作品でした。

・・・・しかし・・・・吉田さんって超いい人(笑)8割方この人のお陰で二人がくっついたと言ってもいいと思う!
あと小説にも出てきた十亀の友人、二宮もいい感じで助けてくれました。Wいい人(笑)

コミックには木原さんのミニストーリーがついています。
やっと念願の(?)熱海に行ったお話し。これはちょっとエロいです(笑)十亀の言葉攻めが(笑)
小説にはムクさんのミニ漫画がついてました。万の卒業式の朝・・・かな。ほのぼの~。

万目線の「キャッスルマンゴー」と十亀目線の「リバーズエンド」両方を書き上げた木原さんと
コミック・挿絵を担当されたムクさん。お疲れ様でした!!

18

たぶん、この絵が必要

ようやく発売になったこの本。
届いてみて、まず普通のコミックスより、ずいぶん厚いのにビックリ。
2,3と分けるか、1冊でなんとしても終わらせるか、迷う分量。
発行が遅れたのも納得。
でも、待っただけのことはある、納得の1冊でした。

万は、整って大人びて見える容姿ですが、実はまだ、高校生の子どもで、
考えていることも世間知らずで、
そして、責任感だけでは、子どもにはどうにもならないこともある。
一方、悟は、まだ身体も小さく、明らかに、まだ守られているべき子ども。

頑なで、甘えられない子どもの万の姿かたちには、この、小椋さんの、大人でもなく、子どもでもない、絶妙なバランスの絵が不可欠だったと、終わってみてつくづく思う。

木原作品ってどれも最終的に、何があっても分かちがたい、番の伴侶を得る物語だと思っているのですが、このキャッスルマンゴーも、とうとう万が粘り勝ちしましたね。
よかった、よかった。

15

絵がアカン

ダメだ・・・・。
絵が受け付けない。
せっかくの コノハラ作品なのに・・・・。
勿体無い。
どうも私はムク先生のかわいい絵が苦手です。
話もイタクナイ方でしたね。
もっとドロドロチックが好きなんで頼りなかった!!
心にガツンとこなかった!!
パンチを効かせて欲しかった!!
う~~~~~ん・・・・。
最後もラブラブで終わっちゃったしなあ。
いつもみたいに読者側に考えさせられる終わり方にして欲しかったです。
大学生だったから甘いタイプにしたのかなあ。
残念。

5

ああ、幸せ・・・!!

すれ違い、色んな障害を乗り越えて結ばれる作品が好きな人にお勧め。

親が経営しているラブホテル(お父さんの遺産)を母と弟と一緒に守っている万と、AVビデオ監督の十亀の年の差ラブ。

万は十亀が最初は嫌いだった。でも、十亀がゲイだと知ると、かわいい弟が危険だと思い、十亀を弟から遠ざけるために、とあるきっかけを作り自ら十亀と付き合うことに。
少ししたら別れるつもりでいたのに、一緒に過ごすうちに十亀のことが気になりだし好きになっていってしまう。
万が大人な十亀をだんだん好きになっていく過程もとてもいいんです(^^)
それからというもの、万の方から十亀の家に行ったり、キスしたり、ラブラブモードがしばらく続いていく。しかし、十亀はまだ何も知らない。。

ある日、友人から頼まれ、花火に女の子たちと行くことになった万。楽しそうにしている姿をたまたま通りかかった十亀に見られてしまいます。

それから、十亀は万の将来を思ってわざと万にそっけなくしたり、「高校生なんて面倒くさい」といってますます万を遠ざけてしまいます。

その間、万の母が倒れたり、悪い客のせいでホテルが家事になったり、万も体調を崩したり、お金ほしさにAV男優になろうとしたり、十亀がケニアに撮影に行くことになったり、、、とにかく2人にはいろいろあったのです!

お互いすれちがい、傷つき、色々な障害を乗り越えて。。。。ついに結ばれます!!
Hシーンは美しかったです。全部見せないところがまた萌える(>3<;)
「はじめてだからやさしくしてほしい」と、顔を赤らめながら言う万にも萌え。。
というか、本当に初めてだったのね。。

十亀、万をこれからずっと幸せにしてあげて~~~

期間もあったからか、2巻は分厚いです。
その分書き下ろしがあるかと思いきや、ありませんでした~~(ちょっと残念)が、、
その後のちょっとラブラブな2人が描かれているミニペーパーが付いてました♪♪

6

これで全てがつながる

【リバーズエンド】も小説として、同時期発売となったことで、この【キャッスルマンゴー】の世界が完成したと思います。
両方読まれた方はきっと同じ事を感じられたのではないかと思うのですが、こちらのコミックは高校生の万視点だっただけに非常にBLでした。
小説は、BLと呼ぶにはあまりにそれが薄く、どちらかというと十亀俊司という人間の生き方の話だったと思います。
そんな点を考慮すると、このコミックでは、どっぷりと万視点に入れ込んで、彼の気持ちになって、切なさと健気さを存分に味わうことができる。
十亀はそうなんだ、という裏付けを持っているから、余計に彼等の恋愛が響いてくるものになるような感じがしました。

万の抱えるモノ
十亀の抱えるモノ
それらがスレ違いを産んで、追い詰めて、そしてひとつの到達点に至る。
十亀の元同級生の二宮の存在、十亀の同僚の吉田の存在、
それが彼等の後押しになっているのは、いかに彼等が人を愛すること、愛されることに不器用かという証明でもありましたね。

父を早くに亡くし、父親が大好きだったから、父の宝物であり家族の愛のよりどころであるホテルを存続させたい、盛り立てたいという目標のある万。
彼は、家族を大切に思う気持ちがゆえに、いっぱい我慢をしてしっかりしなくちゃ!と知らない間に気張っている。
それが十亀の出現により、弟を守るためという名目が実はミイラ取りがミイラになってしまう経過をたどってしまう・・・自分でも知らない間に。
直接的に頼っているわけではないけれど、監視という名目の元、彼の元でひと時の安心出来る場所を手に入れていたのです。
それが、夏祭りに友人とダブルデートのような形のダシにされていたことを知らずにもくげきされて、執着の薄い十亀は万を手放そうとして、
理由のわからない万は、不安になっていく。
そんな時に倒れた母の病気の心配と、家の切り盛りの心配。
大人の本音を聞いてしまったがための、さらなる自分で何とかしなくてはならないという重圧に追い討ちをかけるホテルのボヤ。
悟は十亀と親しくしてるのに、自分だけ爪弾きにされているような疎外感。

もう、万視点でずぶずぶに入れ込んでしまって、もういいよ、頑張らなくても。
誰かなんとかしてあげて!
切なさMAXで追いかけてきます。

万が十亀に執着を見せたことで、彼は少しは変われることができたのでしょうか?
万の一途な愛が、十亀の救いだと思えました。
そして周囲の人々のあったかさと。。。

この点がすごくBLだな~と思えた所以です。
恋愛が中心にある。そしていつもの木原小説のように痛い人も登場するにはするが、それは今回のこのコミックの中ではあまり登場しない。
わりと善意の中で展開していくからです。

十亀の執着の薄い理由、そして彼がその後どうなったのか?小説で見届けることにしましょう。
ムクさんの絵柄が、とてもよい雰囲気を出していました。
十亀の無表情と、感情が出たときの差。
ちび絵や、コミカル画風で緩急を取るうまさ。
もうこの絵以外では十亀と万は想像できません。
(悟のかわいさと、吉田の人の良さも注目でしたね♪)

20

沁みわたる~

やっとやっと入手することができました。
そして、待ちに待った分、ページが多く、厚いのが嬉しい。

1巻目から間が結構あいたのですが、全く色あせない物語。
こういうのって、とても貴重なのだと思う。
これは、木原さんと小椋さんの作品なので、良いものに違い無いのですが、
改めて、この作品には、小椋さんでないとならないものだったな
と感じずにはいられません。

万には、女性と付き合えた方が幸せだろうという想いから、
距離を置く、十亀。
万にとっては、急に距離を置かれ、突き放されてしまったことのショックなのですが、
それでも、自分からぶつかっていく強さを感じます。

2人の距離感、離れていたものが近づくことを感じることができ、
心にしみわたる作品でした。

8

色々な意味で焦らされた

今作品は、作者にとって、初めてしっかりとした"男の子らしい男"同士の恋愛を描いており、また長編でした。読者の私達も、前作から二人がどうなるのか、気になって気になって、完結/今巻を待ちわびていていたこともあり、「やっと発売」と思われた方も少なくないでしょう。当初の発売日が延び、今月末という予定も、昨日TSUTAYAに行ったら並べてあったことも(嬉しい)驚きです。

さて、内容にも焦らされました。思わず次のページをめくる準備をしながら読み進めたくらいです。楽しみにされている方も多くいらっしゃるので、ネタバレは最小限にします。が、とにかく、十亀俊司は城崎万が女の子といるところを目撃したが故に誤解し、城崎万を避け始めてからが長いのです、でも二人には必要な長さであったとも言えます。

最初の誤解が発端となり、十亀俊司は城崎万の将来を気遣い(そして何より人を本気で好きになることを恐れ)城崎万を避け始めます。城崎万には、避けられる理由が分からない。けれど、彼の中で十亀俊司への気持ちが強くなっていきます。その誤解が起きたのも束の間、それぞれの立場で、お互いに人生の分岐点とも言える出来事が起こり、しかし誤解に重なる誤解(城崎万は、十亀俊司が悟を好きである、と勘違いする)が故に寄り添うことができず、時間だけが過ぎていきます。しかしそれでも城崎万は十亀俊司への想いを強く意識し、十亀俊司はその自覚と共にどんどん臆病になっていく。読者はただひたすら彼等の「すれちがい」に焦らされます。

しかし、やはり周囲の人間の助けが大きく、城崎万も想いを自覚したら、そこは高校生なのでしょう一途なのです。一方「過去持ち+大人な」十亀俊司は、その一歩が踏み出せず、城崎万を傷つけてしまします。しかし、最後には、読者の望むカタチが待っています。ふたりが多くを乗り越え再び出逢う場面は、ぐっときます。

終始胸がツキツキ/ハラハラするので、もっと安心して和めるクッションが欲しかったかな。あまあまではありません。Hも最小限ですが、初回特典ペーパーについてくる木原音瀬先生の超短編小説の中で、あまあまな二人を読むことができます。あのペーパーに救われました。マーブルコミッックスなのだから、もうちょっと漫画であまあまでも良かったかな、とは正直思います。総合的に小説を読んでからコミックを読まれた方と、そうでない方との内容の理解度とふたりの感情の把握の度合いは大きく違うと感じました。「これは、小説も読んだ方がいいかな」と思う方もいるのではないでしょうか。

何がともあれ、作者や編集が大変だった作品には、その苦労と強い思いが作品を通じて伝わるものです。このように前作から期待され、読者からの熱烈なファンコールがあった作品を描くことの、良い意味でも悪い意味でものしかかるプレッシャーを良く乗り越え、完結してくださったと思います。次回作にも是非期待したいと思います。




14

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