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昭和初期、万歳黎明期の大阪に花開く、興行師×藝人の恋。
落語・漫才を題材にしたBLがあるらしい…ということは以前から耳にしていたのですが、Kindle Unlimitedにてようやく読了!
いや、思いがけず最後に感動が待っていました。心に染みた…。
物語は、昭和初期の漫才(万歳)黎明期。
古い大阪弁が柔らかくて色っぽい。方言BL好きな方は一読の価値ありです。馴染みの薄い時代設定と題材だったのですが、読み進めているといつの間にかすんなり世界観に入っていました。
志水ゆき先生の表紙がしっとりして素敵ですが、イメージ通りで素晴らしく良かったです!黒基調ですが暗い重い世界観ではありませんのでご安心を。
受けの百舌(もず)は真面目で謙虚だけど自信がなく、最初は頑なな態度が目立ちましたが、万歳への転向を決めた辺りから徐々に柔らかくなっていきます。元々持っている品の良さ、はんなりとした柔らかさを持っている愛らしさがある人。
攻めは余裕のある大人で、仕事面では厳しくプロとして接しますが、プライベートでは受けが可愛くて仕方ない。ふたりともオンオフでしっかり線引きしています。そのプロ意識がとても良い。
お仕事面での話しが軸になっており、百舌が万歳師になるまでの葛藤、万歳を始めてからの花開き方が見事です。百舌と団子の万歳コンビは2人の人の良さが伝わって、なんだか憎めなくて可愛くて面白いんだろうなぁ~と想像してしまいます。
恋愛面では段階を追って、しっかりと2人の間の愛情が深まっていくのが感じられました。
行為中、「恥ずかし、恥ずかしい」と受けは無垢なる色気爆発してるし、攻めがちょっぴりイジワルになることに対して「コンジョワル」と柔らかく責める受けが可愛いやら愛らしいやら。そんな受けに、攻めは「かいらしい」連発。そりゃそうだ~~。
脇を固める落語の(元)真寿市師匠、万歳の相方・団子、記者の菱村。みんな粋で芯があって魅力的な方々ばかり。
そして本編も2人が素敵だったのですが、後日談「心掟」では団子の息子目線での語りで泣かされました。
戦中戦後の苦しい時代を彼らはどのように過ごしていたのか、その時代を経て今どのように過ごしているのか…。
正直戦前の設定だと言うことが全く頭から抜けていて、本編の2人だけで終わるのだと思っていたのです。だから最後のお話が、戦争という重く苦しい時代を経た戦後の話しと分かったときヒヤッとしました。
ですが、どうぞご安心ください。重いトーンではなく、終始希望を感じる心温まるお話でした。しっかりとその部分まで書いてくださった先生に感謝です。この時代を精一杯生きた登場人物みんなに出会えて良かった。そんな気持ちになりました。
2012年の作品ですが、私のように未読の方、まだまだ名作BLお探しの方はぜひ!
志水ゆきさんのイラストということで、手に取りました。いや、合うよ〜このお話にぴったりのイラスト。
昭和初期から戦後にかけてのお話ですが、本編は和装も洋装も、文化も混ざって変化しつつある時代のお話です。
文彦は、落語家を目指していたものの、開花せず、万歳に転向することも矜持もあってなかなか踏み切れない。そこへ文彦のことを見込んだ瀬島が支えることによって人気を博すまでの万歳師になっていきます。
もちろん、相方のダンゴちゃんの貢献も大きいんですが。
もう、これは国営放送の朝の連続テレビ小説的な。
ホントに実写化してくれたら、受信料数年分まとめて払っても惜しくない(爆)
大阪言葉の萌も大きいです。関西在住だからかも知れませんが、違和感のない文章になっていて、もしかすると他の地域の方だと読みにくい!ってなるかも知れませんが。古めの言葉遣いなので余計に朝ドラっぽいと思うのかも。
「コンジョワル」萌ぇ…
「かいらしい」うわ、この表現か…
「弄ろて(いろて)」この漢字をこう読ませるか…
エロエロではないのに、エロさマシマシになる。言葉攻め。
しかし、瀬島は今で言うところのバイってことなんでしょうね。文彦もか。
この時代の二人にとっては、団子や菱村という理解者がいることで余計な波風が立たずに過ごせたのかな。
是非ともドラマCDで聴きたい作品でした。
文彦は置鮎さんで!!
昭和初期、特有のノスタルジックさが良い~
落語が主流で、漫才をすることは肩身が狭かった時代。
漫才が力を持ってくまでの過程も面白く、現代とはまた違った旧来の大阪弁のしとやかさがなんもかんとも!!良い!!
落語家としては落ちこぼれだったけど、愛されることで自信と色香が花開いてく様が良い良い!!漫才師として認められているだけなのか…気持が通じ合うまでも切なくてドッキドキしました。紳士な人の雄みの威力よ…
関わる人達との人情味もたっぷりで、応援してくださる方、相方のの温かさがとてもよく、2人の友情、相方の絆には何度も胸を打たれ、心温まりました!!
最後の第三者から見た2人の様子も特別な雰囲気を感じられてほっこり。欲をいうともっとイチャラブ見たかったなぁ~とも思うけど、仕事への取り組み、好きなことへの気持ちとかも読み応えありました。
昭和初期、漫才が流行り始めた時代の藝人と興行師の恋のお話。
受け様は、落語家の栗梅亭もずこと文彦。
攻め様は寄席の主、瀬島。
舞台にあがると固くなってしまい、ちっとも笑いがとれないもずは、瀬島から落語家としては解雇を言い渡され、漫才への転向を勧められる。
漫才は色物と括られ、格下扱いだった時代。
漫才師なんぞなりまへん、と初めは頑なだったもずだけど、新しい漫才の面白さを知り、この人となら、と思える相方のまで紹介され、新しい藝の世界へ。
瀬島がかっこいいんですよ。
時に優しく、時に厳しく。
大人の男だなぁ、いい男だなぁ、としみじみ(*´∀`)
そしてもずはかわいらしい。
古風なお人が恥ずかしがる姿とか、めっちゃ萌える(///ω///)♪
2人の恋模様はもちろん萌えでしたが、周囲の人達の人情ものもよかった。
きっぷのよさとか、勢いのよさとか、この時代を生きてる人達ってこんな感じだったんだなぁって。
あと、相方の団子ですよ!
ものすごーくいい人で、世慣れていないもずを任せられるのは団子しかいませんわ。
漫才の今までの経緯とか知らなかったので、その時代の流れもとても面白かったです。
イラストは志水ゆき先生。
表紙からしっとり大人の雰囲気。
特に好きなのは、瀬島の口の端についた米粒を取る場面のイラスト。
なんなの〜無自覚に可愛らしい。
まじで無性にあれやわ(///ω///)♪
とにまにました場面なので、イラストを眺めては瀬島の内心を思って、ますますにまにましちゃいます。
さて、他の芸人シリーズを読み返してこよう。
興行師×藝人、関西弁で綴る恋。
関西に拘る著者の、これも「久我有加 芸人シリーズ」の一つ
昭和初期、剛しいらさんの「座蒲団」の舞台は上野から日本橋の花街だったけど、
この作品の舞台は上方、漫才黎明期の大阪。
文彦=主人公の「もず」は、「落語の才能が無い、時流に乗れ、漫才に転向しろ」、とウナギを食べながら寄席を解雇されてしまう。
・・ 何故、鰻を選んだんだろう?と調べたら、関東とは違う意味があった。
関西では、鰻を「まむし(真蒸す)」といって、腹開きをする。昔から「腹を割った人間関係」を商人が喜んでいたから。
→大阪で、鰻の会食は、腹を割って話しましょう、の意味。
多分、文彦がアイドル系で見目がいいから瀬島は推薦したのだと思うけれど、
お前は落語を諦めろと言う関西弁は、やんわりした関西弁でキツー
文彦の恋人になるのは、興行師の瀬島。
漫才で、もずの相方になるのは、団子はん。
どこが、どう違うのか言葉にできないけれど、剛しいらさんの座布団で綴られる人間模様は、美貌の師匠が強烈だったけど、
この作品は人肌より冷たい霧雨を感じる雰囲気だった。多分、文彦が繊細で可愛らしい気性だからだと思う。
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★久我さんのブログ「腹八分目」に、団子はん視点のSSあり。
2012-09-23 紐帯(「頬にしたたる恋の雨」番外) https://bit.ly/3jg5V2H
・・他にもSSがカテゴリ「BL小説・掌編 /BL小説・長編」に投稿されていて、とても読み応えあるお得なブログでした。
★漫才黎明期の大阪 は、何時頃なのか調べたら、戦前だった。
漫才作家・秋田實さんの資料が参考になる。https://bit.ly/37ackH4
「久我有加 芸人シリーズ」を全部読んでみたい。