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叶わぬ想いを抱き続けている美人受けと、そんな彼を真っ直ぐ慕う年下攻めによる、切なくもしっとり優しいお話になります。
で、こちら、芸人シリーズで現代ものになります。
今作だけで問題無く読めます。
ちなみに、先輩落語家として真遊がちょこっと登場しますが、彼も色々悩みつつ、頑張ってるんだなぁって印象。
このシリーズを読むと毎回思いますが、悩んだり迷ったりしながら芸の道に邁進する若者達が、とっても眩しいですよ。
あとこちら、年下ワンコ攻めと、そんな彼を翻弄する色っぽい美人受けになります。
受けがなかなかのビッチな上、主人公では無く別の相手に想いを寄せているので、苦手な方はご注意下さい。
主人公を好きになると言うより、ほだされて受け入れるって感じですしね。
ちなみに、ビッチ受けが実は純情と言うパターンは、私にとって大好物だったりします。
とても楽しいです。
内容ですが、駆け出しの落語家・守博×花街の太鼓持ち・弥助による、芸人シリーズ新作であり、主人公成長ものです。
駆け出しの落語家・守博。
師匠に連れられて訪れた京都の花街で、関西最後の太鼓持ち・弥助と出会います。
彼の独特の艶っぽさと、太鼓持ちとしての仕事ぶりに強く惹かれる守博。
ひょんなキッカケから親しく付き合うようになるうちに、自身の気持ちが恋だと気付きー・・・と言うものです。
この「太鼓持ち」ですが、宴席で客をもてなす男芸者とも言われる職業になるそうです。
で、元々弥助は落語家だったものの、廃業して太鼓持ちになったと言う異色の経歴の持ち主になるんですね。
涼やかでどこか艶っぽさが漂う、美人受けって感じでしょうか。
対して、攻めとなるのが駆け出しの落語家・守博。
彼はイマイチ華が無く、伸び悩んでいる生真面目な青年になります。
と、こんな二人のしっとり切ない恋愛を軸に、守博の落語家としての成長が語られると言うのが、今作の主な内容でしょうか。
う~ん・・・。
こちら繰り返しになりますが、色っぽい年上美人に、ヘタレワンコである攻めが翻弄されると言う関係性なんですよね。
弥助と言うのはどこか寂しげで影がありと、年下のワンコならコロッとやられちゃっても仕方ない魅力の持ち主で。
また、守博は守博で自身の実力不足に悩んでいてと、ワンコでありながら明るい系では無くヘタレ系。
そのため、終始しっとり切ない雰囲気で進むのです。
で、これがすごく心を打たれて。
こう、守博ですが、これぞヘタレワンコの鏡と言った感じの、良いショボくれっぷりなのです。
悲しければボロボロ泣き、意地悪されても一途に慕い続ける。
告白時ですら格好よくは決まらず、「好きです。好きなんです。すんません」みたいな。
で、しょうがないなぁ的に受け入れて貰えれば、尻尾をブンブン振って大喜び。
どれほど冷たい心の持ち主だろうと、これはほだされちゃうだろうなぁって感じなんですよ。
読者も、「しょうがないなぁ」と、すごく可愛くて仕方ないんですよ。
えーと、ダメな子ほど可愛いってヤツで。
と、二人が結ばれるまでが表題作で守博視点。
ここから、書き下ろしで弥助視点による「その後」になります。
で、こちらは表題作より甘さ増量。
表題作では一応守博と結ばれつつも、まだ好きな相手に想いを残していた弥助。
彼のこの長い片思いに決着がつき、更に努力の結果、落語家として頭角を表し始めた守博との、ちょっとしたスレ違いなんかが語られます。
これ、表題作で弥助と言うのは、かなりクールでちょっと意地悪で、どこか寂しい印象だったんですよね。
それがこちらでは、ずいぶん可愛くなっちゃってましてね。
人気者になった守博が浮気してるんじゃないかとヤキモキしたり、僕の恋人は格好ええなぁ的にデレデレしたりと、やたら甘い印象だったりします。
表題作では足りなかった甘さを、ここで存分に補給出来るんじゃないでしょうか。
まぁそんな感じの、しっとり切なく読ませてくれる年下ワンコもの。
守博が芸人として成長して行く様も、とても面白かったです。
久しぶりに久我先生の芸人シリーズ!めっちゃ良かった・・・京都花街を舞台に落語家と太鼓持ちのしっとり恋話で、「雑誌掲載分150pほど(攻め視点)+その1年後の受け視点のお話80pほど+あとがき」です。関西弁読むのが大丈夫な方でしたら是非!久我先生の芸人もので「頬にしたたる・・」が神なので、それと比較すると萌2になりました。
落語家として独り立ちして3年目の守博(もりひろ)。地味な語りで今一つパッとせず、上品な華のある師匠の名をけがしているんちゃうかと、めっちゃ後ろ向き。ある日師匠に連れられていった京都のお茶屋で太鼓持ちの弥助(やすけ)に出会います。印象に残っていたら後日師匠の楽屋でまた出会って、思い切って「お茶でも」と声をかけ・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
涼風(攻めの師匠)、受けのボーイフレンド、置屋の女将等。
栗梅亭真遊、真寿一や、涼水(兄弟子)、山川小藤や瀬島芸能(名前だけ)等、落語仲間に加えて過去作登場人物・関係先がちょこちょこ登場して嬉しいです。
**じんわり良かったところ
攻めは実直まっすぐ不器用かつ、いつでも自信なさげなワンコでめっちゃ可愛い・・・ぺしょんとなった耳やしっぽがありありと目に浮かぶしょげ方をしてくれるので、いじめっ子気質も上がろうってもんです!
そんな攻めなので、年上余裕こいてる受けは時折攻めをいじめていて、それもまた面白い!もともと受けは別の年上男性に一途に惚れている(しかも叶う訳のない恋に耐えている)ので、チャラいという印象は全くないのが良い!
京都ならではのエピソードを絡めてはいますが、めっちゃ全面に出てくる華々しい事件などはなく、じわーーーーーーーっと染みてくる二人の恋心がむちゃくちゃ良かったです。また攻めの噺の成長する様子もとても良いです。久我先生のテイスト全開。関西弁読むのが苦手な方でしたら、朗読してあげたいぐらい好き(笑)。ほわっと気分上がる好きなお話でした!
久我先生の芸人シリーズ、落語家さん編です。
今回は、地味でちょっと伸び悩んでいる若手落語家さんと、京都の花街の置屋に籍を置く関西でただ一人の幇間のお話。
色っぽい年上の受けと、ヘタレわんこな攻めが、体の関係先行であれこれするお話なのですが、、、。
時間軸では「酸いも甘いも恋のうち」の真遊と小藤がくっついたちょっと後、スマホも登場する、ほぼ現在、「酸いも~」の二人もちょっと登場しますが、そちらを読んでいなくても問題ありません。
当然今作の主人公も、その二人が付き合っていることなど全く知りません。
さて、今回のお話は、もともと主人公が地味で花もないし芸も今一つという所から始まるので、お話自体も地味でもっさりした雰囲気です。
この主人公が、元噺家の、関西最後の幇間という美しい年上の男を好きになって、徐々に成長していく、その過程を楽しむお話です。
そして、「におう桜のあだくらべ」の古い大阪弁とはまた違う、京都よりの関西弁が素敵です。
芸人シリーズの一つだけど、他が未読でも読める作品。
タイトルの「七日七夜」とは、祇園祭の無言詣の七日間のことだそう。花街の女性がこの期間、四条御旅所に欠かさず参拝するという風習で、お参りをしているその間、誰とも口を聞かなければ願いが叶うとか。
守博は年に一度しかないその無言詣で、叶うはずのない恋を叶えようとしていた弥助の邪魔をしてしまい、怒らせてしまう。
そこから弥助のセフレや片想いの相手のことを知り、一気に距離を詰めるのだけど、もともと他に好きな人がいても、体の欲求はそれはそれとして、他の男と処理していた弥助。
守博の自分に対する気持ちを知っただけで、自分は年下はタイプじゃないけど、とりあえずしてみよう、的なノリで跨がっちゃう。
初な年下ヘタレ攻めと、経験豊富な年上誘い(襲い)受けというのが、なんかありがちというか、よく見るパターンでいまひとつ萌え切れず…。
受けが、結構割りきった感じで遊んでた風だったので、ノンケの年上男性への片想いに苦しんでいた、という健気さや切なさみたいなのは、あまり伝わらなかったのが残念。まあ、相手が攻めの師匠なんで、あまりそこを強調されても萎えたかもしれないが。
この、さほど好みじゃないけどエッチしてみて、その後で愛が芽生える、というパターンって、体の相性がよかったから芽生えたのか?そうじゃなかったらこの二人はどうなってたのかな、とちょっとモヤッとしてしまうので、自分はあまり好きじゃないのかも。いや、大人なんだからそっちが大事ってのはわかるんだけども、なんか生々しいよな…。
後半の受け視点の話では、攻めにすっかり夢中になっている受けが見られてよかったし、落語に関する部分も面白く読めた。
ただ、個人的には久我先生のキャラは、包容力ある大人な年上攻めの方が好きだなー、とこれを読んで気づいてしまった。
年下ワンコ攻めが好きな方なら、満足できる一冊かと思われます。
久我さんの落語家シリーズです。
今回も現代もの。
おまけに落語家同士ではなく落語家×幇間(太鼓持ち)なんです。
「シリーズも長くなると色々と出してくるなぁ……凄いなぁ」と思います。
今回は上方落語と江戸落語の違いについても何度も出て来るんですよ。上方落語はあまり馴染みがないものですから大変勉強になりました。初蝉(守博)は『江戸落語だったら大物になるパターン』の人なんですよねぇ。だから高座でウケないことを気に病むくだりが出てくる度に、私の頭の中には「?」が何度も浮かんでしまって。「上方で生まれ育った人じゃないと、この感覚は解らないかもしれない」と何度も思いましたよ。
で、LOVEの方なんですけれど。
弥助にはとても共感したんです。
クールにふるまっていながらも、実らぬ恋をいつまでも手放せないあたりなんかとても可愛い人だと思う。
初蝉の方が何故弥助に惚れたのかが良く解らなくて。
多分『一目ぼれ』っていうやつなんでしょうけれど。
初蝉が真面目一辺倒の誠実男なのもあって、そこの部分が不思議なまま最後まで行っちゃってしまい、ちょっとのり切れない感じがありました。
ただ、このシリーズはLOVE要素で「おおおおお」とならなくても面白く読めるものですから、また続けていただきたいと思っております。漫才シリーズもそうでしたけれど、芸人さんの世界は非常に興味深いのですもの。コンビを組む漫才よりも書きづらいかもしれませんが、是非!
すみません、蛇足です。
北沢きょうさんのイラストは美しいのですけれども。
ただですねぇ、濡れ場シーン背景に芍薬の花が乱れ飛んでおりまして。
ごめんなさい。吹いちゃったのね。
あくまでも趣味の問題ですが、これはちょっとあまりにも時代がかっているのではないでしょうか?
それとも、狙ってやったことでしょうか?
そこの部分がとても不可解でもやっとしております。