昭和初期、万歳黎明期の大阪に花開く、興行師×藝人の恋。

頬にしたたる恋の雨

頬にしたたる恋の雨
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神30
  • 萌×224
  • 萌3
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
14
得点
257
評価数
60
平均
4.3 / 5
神率
50%
著者
久我有加 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
志水ゆき 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403523090

あらすじ

寄席を解雇された落語家のもず・こと文彦は、寄席の主・瀬島から万歳(まんざい)への転向を勧められる。
その頃、万歳は落語より格下に見られていた。
抵抗を覚えつつも、台頭し始めたばかりの“新しい万歳"を
理屈抜きで面白いと感じた文彦は、気の合う相方も得て万歳の道を歩み出す。
同時に、時に厳しく時に優しく己を導いてくれる瀬島に恋情を抱くようになり……?

(出版社より)

表題作頬にしたたる恋の雨

瀬島頼秋,寄席・演芸場主人
妻夫木百舌こと絹谷 文彦,元三流落語家の万歳師

その他の収録作品

  • 恋風
  • 心掟
  • あとがき

レビュー投稿数14

ほんまによろしいなあ

関西人としてはたまらん一冊でした。(関西弁で書いてみる~)
志水先生挿絵狙いでgetしたんですが、本編に完璧にやられました。

言葉もええですが、上方万歳?(今の漫才?)のルーツみたいなもんなんですかね?
それが丁寧に描かれててめちゃよかったです!
また攻めさんの瀬島いうおっさんが根性すわった ええ男で・・・
たまらん。
受けさんの相方の団子いう男子も、ちんちくりんらしいんですが(笑)また芯のあるええ男で、これはほんま惚れますわ。

本編もほんまよかったんですが、私は、同時収録されていた戦後の団子の子供たちの話にやられました。号泣。万が一これから読む人がおったらあかんので、書きません。でも絶対そこは泣きます!
もしこの本読んだことない関西人腐女子で昭和知ってる人がおったら、ぜひご一読を!

10

大阪弁がたまらん

この、古い大阪弁の、なんとも言えないやわらかさ。
大阪弁の敬語好きとしてはこれだけでも萌×3!!
もちろんストーリーも二重丸。
昭和初期の大阪の寄席を舞台に、万歳がやがて漫才になる黎明期を描いています。
広い意味で、久我さんの他の漫才シリーズに連なるのでしょうか。

主人公の百舌は、よく言えば謙虚、でもなかなか前向きになれない性格で、こんな百舌なので、結ばれる相手が漫才の相方ではなく、もっと大人で包容力のある席亭の瀬島で、私生活と仕事と、まったく別の々に安定を得るこの展開も、安心感があってよかったです。

これをドラマCDで聞いてみたい。
百舌を置川さん、団子を遊佐さん、そして瀬島は石川さんで!

6

雀影

自レスです。
百舌役希望の声優さんのお名前を間違えて書いてました。
置川→置鮎
置鮎さんの大阪弁好きなんです。

読み応えのある一冊

久我有加さんの作品は恋の押し出しに続いて2作目でしたが、こちらのほうが読む時間2倍くらいかかりました(笑)ページ数は50ページくらいしか変わらないのですが、落語や大阪言葉が馴染みのない都民であるのと、古めの時代背景こその漢字の多さが理由です。(恋の押し出し が極端に読みやすかったというのもありますが笑)
内容としては、主人公であるもずの心境や成長が丁寧に描かれていて、いい意味でBLの要素がなくても純粋に楽しめるほど引き込まれるストーリーでした。落語・漫才という馴染みのない世界が舞台なのに素人にもわかりやすい語り口が魅力的です。志水ゆきさんの挿絵も美しく、ストーリーによく合ったイラストに引き込まれました。比較的さらっと読める作品が多いディアプラス文庫ですが、読み応えのある一冊を探している人にぴったりだと思います。

5

芽吹いた新芽が花開くまで

なかなか笑いをとれず伸び悩んでいた落語家が、席亭に万歳(昔はこういう字だったんですね…)への転向を命じられ、紆余曲折を経て、漫才師として才能を開花させるまでのサクセスストーリー。
私は久我先生の関西弁キャラがすごく好きで、これはもう、自分が萌え転がるだろうことがわかっていて読んだのだけど、期待通り。堪能した。

関西弁での情事のシーンって、なぜこんなに色っぽくて艶っぽいのか。自分が関西圏の人間じゃないから余計にそう感じるのか、もう受けは可愛いし、攻めはいやらしいし、萌えすぎてどうしていいかわからなくなる。「コンジョワル、せんといて」とか「見てんと、弄(いろ)て」とか、いやいや、マジでえっち過ぎないすか…。

で、事後のシーンがまた甘ったるくてめちゃめちゃいい。受けを膝に抱っこしておにぎり食べさせるとかさー、で、そのまま攻めが受けの耳を弄りだしちゃうとかさー、大事すぎでしょ。なんなの?って感じ。あま~。
年上の大人の男の人が、恋愛経験値の低い年下の受けを大切に育てて甘やかして可愛がるというのが大好きなので、ほんと、ゴロゴロ萌え転がるしかなかったよね。あ~。たまらん。

攻めが受けの芸名の名付け親にもなるんだけど、「芽吹く」からとって「妻夫木(めぶき)」というのがまた粋でいい。攻めは落語をやっていた時の受けを「灰色のちっぽけな小石」だと喩えて茶化したりしてたんだけど、小さな石ころからやがて芽が出ていつか花が開くように…って願いが込められている。こういうところからも、受けへの深い愛情を感じる。

脇役も素敵なキャラばかり。受けの師匠とか、漫才の相方の団子さんとか、人情味溢れるキャラで読んでいてほっとする。
団子さんの息子を通して、主要キャラのその後を描いた「心掟」は涙なくしては読めないお話。ふたりが夫婦のように添い遂げ、団子さんの子どもたちを我が子のように大切に想っているという描写に、胸が熱くなった。自信を持って人に勧められる名作。

3

「わしはおまえが かわいらしいて いじらしいてたまらん。」

時は昭和初期、漫才の黎明期。

老舗の三男坊の文彦、藝名もずは、ようやく中座に上がり落語家の端くれとなったが
なかなか笑いを取ることができず、芸がどんどん萎縮してしまっていた。
そんな時、席亭(寄席の主人)である瀬島から万歳(まんざい)への転向を勧められる。
当時万歳は、落語より格下の色物と見られていた。
文彦は落胆し抵抗しながらも、やがて時代の求める新しい藝・万歳の道を歩み出す…

芸に対しては妥協を許さない厳しさを持ちながら、
一方で自分の良さと可能性を認めてくれ、背中を押して支えてくれた瀬島。
どんどん瀬島に惹かれていく文彦だが、
瀬島には何年も前にスペイン風邪で亡くなった、忘れられない妻がいる。
そんな中、色物藝人への転向を不快に思う何者かによって
文彦が暴行を受ける事件が起こる。
それを瀬島に助けられ、保護され優しく労られて、互いの関係は少しずつ…

個人的には、もずの落語の師匠栗梅亭主真寿市がすごくかっこ良くて素敵だった。
万歳の相方の団子さんも、名傍役。
見てくれが三枚目なので、BL的には難しいがw小説の主役になりうるキャラだと思う。

志水ゆきさんの表紙とカラーの扉絵も色っぽくて素敵でしたし、
何より古い柔らかな大阪弁が色っぽくて、何とも雰囲気があって萌えました〜
最後の「心掟」では、戦後もう40代〜50代になった二人を垣間みることができます。

9

昭和初期の雰囲気が見事に再現

昭和初期、まだ落語以外の芸能がイロモノとして扱われていた時代、
台頭し始めた漫才に転身した、落語家のサクセスストーリー。
うう、、この2行でまとめてしまうとなんと色気のない、つまらない文なのか(涙)
その中にはいろんなものがわんさと詰め込まれています!

まず、時代設定。
ほら、文章を読んでいるだけで街を歩く人々と、街頭の灯、長屋の風景、演芸場のもぎりが目に浮かんできませんか?

そして、人物描写。
呉服屋の三男で、無理を言って芸の道にはいった主人公”百舌”
きっと物腰やいい振る舞いはおとなしい品のある様子で、高座にあるときは若干緊張した硬い様子、でも、漫才のときはきっとツッコミとボケをスラっとかわすスマートさを見せるんだろうな~という芸の部分と、
ちょっと硬質でとまどいながらも、好きになった人の前で溶けてしまいそうになる瞬間の艶っぽさ。

百舌の相方になる芸人で、ちょっとずんぐりしてでもぱっちりした二重の愛嬌のある団子。
真面目で真摯で優しくて、人情もあって、その体型と人柄がまさにマッチしている、その二人の漫才の掛け合いはまるで目に浮かぶような。

そして、百舌の恋人となる寄席の主である瀬島の、百舌と見守る男前さと、時折見せる嫉妬の姿。

他にも百舌の師匠の凛とした姿は脳裏に姿が想像でき、とてつもない存在感と色気をかんじさせる。

そんな設定の元、登場人物たちが大阪弁(でいいですか?)で会話するその臨床感が実に、実によく見せてくれる物語だったのです。
こんなに色っぽい大阪弁は久々かもしれません、っていうか初めてか!?

寄席で中座を勤めるもずは師匠から「頭も心も柔こうするんや」と言われたあと、主の瀬島から寄席に出なくていいと言われ、漫才をやらないかと持ちかけられる。
落語とその他芸能への差別の気持ちがどうしても生まれてしまうもず、
落語へのこだわりがすてきれないもずは、相方にと紹介された団子と語らいながら、瀬島に優しくしてもらいながら、漫才に転向する意思を固める。
しかし、落語から漫才へ転向した百舌への風当たりは厳しく嫌がらせが・・・

とまあ、こんな具合で進んでいくので話の展開としては、わりと容易なものではあります。
ただそれを上回って圧倒的に魅力的に見せてしまうのが大阪弁と、時代背景です!
これは本当に、見事だなと言わざるを得ない。
百舌が、同じ男としての大阪弁で瀬島と会話していても、どうして彼が女性のような言葉に見えるのか?
と、考えたときに、それは落語界にいたということと、呉服屋の息子だったということ(育ちがいい)そして、瀬島とは上下関係があるということ。
イラスト効果もあるかもしれないし、受け子になるからというのもあるかもしれないが、しかし、その背景を考えれば多少女性っぽい部分の理由付けにはなるだろうか?

本編の年代設定が昭和6年。
戦争の暗い足音がヒタヒタと近づきつつある前夜、人々は楽しみを求める、そんな時代背景が漫才の人気を押していく黎明期であるという、これに継いで、もちろんその後もきになるわけです。
それが【心掟】戦後の話で、団子の息子が以前百舌の兄弟子であった遊馬へ落語の弟子入りをするということで、芸能出版社の新人記者が取材に来るという話です。
主人公達からみて第三者の話を通して、辛かったであろう戦中の主人公たちのその後を知るという設定。
なかなかに心憎い話に仕上がっておりました。

8

BL小説としても素晴らしかったですが

なんといっても、人情の深さにやられました…。
作中で、私は4回泣きました。
(個人差があるとは思いますが)
思い出し泣き出来そうなくらい感動してしまい、
ああ、こんなに胸にせまる作品を書かれる作家さんなんだと思い知らされました。

久我さんといえば、文章内に“双眸”が度々出てくるので
今まで気になってしまったという事があるのです。(すみません)
こちらでも出てきていましたが、
今作は気にならない程物語に入り込みました。

団子の悪口に聞き捨てならず、それまでの迷いをうっちゃり万歳をやると断言し
料理屋の客から拍手をもらった文彦。

団子との初めての万歳を披露する舞台で客から罵声を浴びせられたが、
師匠である真寿市が姿を見せ、瀬島が舞台の方へ走ってくる男を捕らえる。
団子のアドリブで無事台本通りの万歳を済ませる事が出来、
終わった後は安堵のあまり抱き合い、二人で泣く姿。

念願だった、一流の寄席の高座に上がれるようになった事。

最後の、団子の息子・和男の話…。

瀬島と文彦の愛は勿論のこと、団子と文彦の人間愛にも注目していただきたい!
相方との運命の出会いを!!

そして大阪言葉…。
これ、萌えない方がいらっしゃるのかしら?と思う程良かった!!
めちゃくちゃ雰囲気ありました。

ああ、良い作品をまた読めて嬉しいです。
志水さん、色気のある大人の男の挿絵が流石でした!!

やはり、過去に少しばかり「…苦手かも…」と思っても(またもやごめんなさい)
色々読んでみるべきですね!



6

色と艶の一編

昭和初期の大阪が舞台の芸事BL。
主人公は落語家の栗梅亭もず、こと絹谷文彦。呉服屋の末っ子で育ちが良くて線も細い。
寄席の席亭である瀬島頼秋に、落語は諦めて娯楽の新しい風である「万歳」をやってみないか、と誘われる。
「お仕事BL」としての「芸」への取り組み方とでもいうのかな、百舌と団子の2人はとても真面目でいつもお互いを敬い、周りに気を遣い、一つのネタを客席との呼吸とも合わせながら練り上げていく手間を惜しまない。売れてもお座敷遊びなどにはうつつをぬかさず。この清潔さが好ましくて、百舌と団子のコンビを応援したくなるのです。
元々ネガティブで弱気、それでいて落語に対してプライドのあった百舌(文彦)の仕事での成功と、頼秋との恋愛も手に入れて、というサクセスストーリーでもあるのだけれど、実にたおやかな筆致と柔らかな大阪の言葉、何とも女性的とも言える文彦のいじらしさ、それらが萌えの波状攻撃となって読者を取り込んで行く、という感覚でしょうか。
CPとしては、攻めはスーパー攻め様系年上の包容力満タンの瀬島。受けが文彦。
2人の危機は一度もなく、瀬島がいつでも優しく激しく文彦を愛する展開で実に甘い。文彦の「弄て」(いろて)と言う誘い文句には瀬島ならずとも悶絶モノです。
瀬島に可愛がられてひたすらに感じる文彦に一種の女々しさ、のようなものを感じるかも知れませんが、2〜30年後?の団子の長男が中心の物語「心掟」にて、瀬島と文彦が強い絆でずっと添い遂げている様子が伺え、文彦の心の中の強い強い芯が感じられます。
実に素晴らしい。神寄りの萌x2。

6

昭和×大阪弁

話の筋は他の方が書いてみえるようなので、せいぜい私は個人的な興奮を書き殴りたいと思います。

まず、まさか大阪弁にここまで破壊力があるなんて……方言萌え属性はなかったはずですが、少々怪しくなって参りました(笑
ぱっと見ただけでは意味が分からない、多分今は使われてないのかな?というような大阪弁もちらほらありましたが、その意味を類推することで逆に自由に妄想が膨らむという。
全体的にも古めかしい大阪弁は、時にしどけなく(←ここ大事。本当に色っぽかった…)時に賑やかに、話を盛り上げてくれましたvv
時代物ゆえに、変にそれが浮かないのも良かったのかなと思います。

また、話の流れは至って穏やかで大人しめ。現代でやればイロモノになってしまうのかな、という漫才ネタで、しかもれっきとしたサクセスストーリーなのですが、これも時代物だからでしょうか……華やかというよりは、昭和初期という背景に品良くしっくりはまり込んでいる感がありました。
そして大きな波乱や派手な感情の起伏がある訳でもなく、順当に予定調和が続くのに、飽きや物足りなさはこない物語。盛り上げどころ、締めどころを心得た話そのものが上手いのと、何より萌えでお腹いっぱいだったからでしょう(笑
一番ドラマチックな話かと思われる戦中~戦後のエピソードも、過去として第三者(当事者でもありますが……)に語らせており、その雰囲気を壊していないのが良かったですね。
何でもありで刺激的な、エンターテイメント性の高い昨今の――私が好んで読んでるだけでしょうか?――BLの中で、久々に萌えと雰囲気だけを楽しむことが出来ました。

そうそう、昨今のBLといえば毒や癖のある人物に「おぉ」と唸らせられることが多い気がします(これも私が……以下略、ですが)。
それに対してこのお話では、どの登場人物も良い意味で角がなかった。相方・団子を始めとする、ともすれば詰まらない脇役になってしまいそうな"いい人"達――癖のないキャラクタが魅力的だというのは素晴らしいと思います。

さて、色々書きましたが結局は、昭和×大阪弁ばんざい! これに尽きます(笑

受けのもず、こと文彦のやや卑屈な女々しさ(最初の方だけですが…)やいじましさ、それに全体を通して恥ずかしげもなく胸を張る義理人情。
普段BLで出てくるとどうにも白けてしまうそれらも、昭和と大阪弁の効果かわざとらしく感じることはなく、むしろ雰囲気を出してましたね。捻くれ者の私ですが、珍しく素直に受けとって楽しむことが出来ましたvv

5

大阪弁萌え

舞台は万歳黎明期の昭和初期。
落語家をやめ万歳師への道を歩むことになったもずと、影になり日向になり文彦を支える興行主の瀬島の、物語。

えっちシーンはついでのよう(ちゃんとエロいですが)に思えるくらい、もずが万歳師として成功していく王道展開が面白かったです。
BL的には、ノスタルジックな上下関係が好きな方にオススメします。

時代背景を活かした内容も良かったですが、時代設定に合わせた表現(漫才→万歳、芸人→藝人など)も好感持てました。
後日譚が、登場人物たちの戦後の様子がわかるエピソードになっているのも、うれしい限り。

それから、大阪弁の使い方が大阪弁フェチにはたまりませんでした!
現代では(たぶん)あまり使われていない大阪弁も含め、いい味だしてます。
「いろとくなはれ」なんて、同じニュアンスの言葉が標準語にないだろうし。
(触ってください&嬲ってください&可愛がってください、みたいな感じ?)
ただ、大阪弁に興味ない人には、どうなんでしょ?と心配な気もしましたけど。

4

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う