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岡田屋鉄蔵のデビュー作が完全版で登場!
岡田屋先生の描く、踊る男達の濃厚な絡み合い、堪能させて頂きました。筋肉の隆起、その陰影、濃い体毛。岡田屋先生のタッチは、攻め受け関係なくどこをとっても男を感じさせてくれるところが魅力だと思っています。序盤ではアンジーの方が艶っぽいと評されることが多く、ヒロはもろガテン系の体型なので、アンジーが受けなのかなと思ったのですが、ノンケ相手でも積極的な彼はとにかくヒロを可愛がりたいようで、良い意味で予想を裏切られました。
アンジーがタンゴを踊る際の最強のパートナー・ベネも、この作品の中ではとても大きな存在感があって。アンジーの恋をさりげなく援護してくれたり、2人が関係を持ってからも何の壁も作らず明るい態度で見守ってくれたり、そして言わずもがなアンジーと組んで踊る時には、アンジーを引き立て、また彼に引き立てられる、まさに人生の相棒といった感じで、作品に爽やかさと女性ならではの柔らかさを足してくれていた気がします。彼女の最期が望まぬ展開になってしまったことは実に悲しいですが、アンジーもヒロも、歳を重ねても永遠に彼女の魂を傍に感じ続けていたので、少しでも報われていればいいなと願います。タンゴを愛した3人の生き様が、情熱的で刹那的で、穏やかな情に溢れていて、読み応えのある作品でした。
タンゴの男だけでは消化不良な部分が収録されています。
幕間に入る岡田屋先生のメッセージを見てしまうと、これでもまだ全てを語ったわけではないことが分かるし、岡田屋先生がいかにこの作品を深く愛しているかが分かるので、もっと読みたくなってしまう。
いずれ二人の人生をもっと見れたらいいなぁと思いますが、今は一般紙で充実した作家活動をされているようなので、それはそれで嬉しい。
彼らが添い遂げたのだろう、ヒロはアンジーが身を任せられるほどタンゴを踊ったし、アンジーももちろん踊り続けたという未来が、作者様から明確に提示されただけでも満足です。
2016年は筋肉BLが来る?的な記事がちるちるのニュースコーナーに上がっていましたが、私の中には今まさに来てます、筋肉。
井上佐藤さんや内田カヲルさんの漫画を読んでガチムチもBLなら結構イケるな〜程度だったのが、岡田屋さんに出会って以来すっかり筋肉質な男達の虜に。
この作品に関しては、ヒロ(表紙の坊主頭の方)が表紙のビジュアルからは想像つかないくらいとってもキュートなので、余計にハマってしまいました!
タンゴ(アルゼンチンタンゴ)が題材ですが、井上佐藤さんの「10DANCE」のようなダンス漫画ではなく、タンゴ音楽の歌詞をベースに、アルゼンチンタンゴの精神に生きる男の人生を描いたものです。
私はタンゴとフラメンコの違いもちゃんと分かっていないような人間なので、最初思いっきりフラメンコと勘違いしていたのですが、アルゼンチンタンゴというのは当時アルゼンチンに移り住んできた移民達から生まれて根付いた土臭い音楽だそうで、彼らの不安や哀愁が漂う物悲しい歌詞と旋律が特徴だそう。
そんな音楽からのインスピレーションで生まれてきた登場人物達のお話なので、根無し草のような不安定さや孤独感と共に描かれる愛にグッときます。
作中に引用される「孤独の歳月」の歌詞がまた良いのです。
読み終わってすぐさまどんな曲なのか探しました。
お話としてはハッピーエンド。
ラストには子供達に囲まれて幸せそうな老後を送る2人の姿が描かれています。
だけどその一方で2人が最も大切に思っていたであろう人との別れもあって、人生のままならなさもしっかりと描かれています。
このコミックは掲載雑誌の休刊でやむなく連載終了となってしまったデビュー作にエピローグを加えて一応完成の形を取っているとのことなんですが、少なくとも4〜5巻分はあったであろうと容易に想像出来る大作の真ん中をごっそり抜いて、2人の出逢いと始まり、30年後のラストシーンだけを1巻に収まる長さにして描かれているので、読み物としては正直すごくもったいない感じがあります。
骨太なストーリーにグイグイ引き込まれていたので、これからだ!というところで終わってしまう本編に思わず「えええええ(T_T)」となりました。
すべてを描き切れていたならば、一体どんな壮大な物語になっていたのだろうか。
順番に描こうとされていた脇キャラ達のサイドストーリーもきっと面白いものだろうと。
もし機会があるのならいつかどこかで描いてくださるといいなぁ。
あとがきが合間合間に挟まるのですが、重大なネタバレも含むので一読目は読み飛ばされることを強くオススメします。
つい最近になって映画「ブエノスアイレス」(制作:1997年・香港)を観て、男同士の恋愛と哀愁漂うタンゴの調べとの意外なまでのシックリ感に心を掴まれ、私の中ではもうタンゴと言えば男同士がデフォに。
今回はそのタンゴつながりということで、この作品に辿り着きました。
主人公2人は基本リバップルです。
ただ、2人の関係においてイニシアティブをとっているのは、ラティーノのアンジー(表紙右)のほう。彼はダンス教室でタンゴを教えるダンサーです。
そして相方のヒロ(表紙左)は、ダンスは初心者の元柔道選手。日本人の父とラティーナの母を両親に持つハーフなんですが、柔道をやってたせいか坊主頭、見た目は激しくごつい日本人、という風情ですね。
ええもうね、見てください、表紙の2人のオス臭い額を!
本を開けば、鎧のごとき筋肉を纏ったガチムチな肉体が盛り盛り!
すがすがしいほど女の視点をかなぐり捨ててるっていうか、これはもう、男から見た理想の男の肉体そのものって感じがします。
が、しかし――
私はこういうの求めてないぞ~と思ってたのに、読み終わる頃にはこの筋金入りのゲイの世界に魅了されているんだから不思議。
鍛えぬいた肉体って美しい(涎)・・・急激にその境地に至ってました。
キャラの人間くささも魅力ですね~。
岡田屋さんは江戸期の時代物を得意とされている作家さんなのに、ラテン系キャラがすご~くしっくりきてる気がするのは何故なんでしょうか?
個人的なお気に入りはアンジー(≧▽≦)
男臭いルックスは勿論、手練れた口説き方に惚れ惚れしちゃいます。
こなれてるのに、温かくて、プレイボーイなんだけど恋に真摯で・・・とにかく最高!
きっと誰もが彼を好きになる・・・そう納得できるキャラなんです。
おっと、肝心のタンゴのこと。
表紙絵のイメージでダンスもの?と思ってましたが、これ、ダンスがメインの作品というわけでもありませんでした。
この作品の中で「タンゴ」とは、単にダンスや音楽の1ジャンルではなく、人生の波風・喜怒哀楽、人の生きざまそのものとしても表現されているような気がします。
掲載紙廃刊等のハプニングで、当初の構想が実現できなかったということで、序盤とエピローグしかないような少し物足りない構成になっているところが残念ではあるんですが、それを差し引いてもこの物語に惹き込まれるのは、人の生きざまから人生の哲学を掬いあげようとした試行錯誤の片鱗を感じとれる作品だからかもしれません。
大河的な太い幹を持つ物語というか。大局観があるから、メッセージがきちんと伝わるんですよね。
でも、欲を言えばやっぱり、アンジーとヒロの、恋の紆余曲折を読みたかったな。神じゃないのは、そういう理由です。
しかし、骨太で硬派、そしてガチムチな岡田屋作品、今回で大好きになりました!
この絵でこの設定なら男女ものでいいんじゃない?という作品はもう食傷気味だっただけに、このディープさがたまりません。
BLの枠組みからははみ出してるのかもしれないけど(特に筋肉面でw)、そこがイイ。
現在は青年誌で複数連載を持たれていてお忙しいようですが、できたらもっとBLを描いていただきたいし、BLに新しい潮流を生み出していただきたい・・・そんな、ドーンと大きな期待をしてしまいたくなる作家さんですね。
新作BL熱望してます!!
やっと読めたー。
読みたい読みたいと思いつつようやく。
タイトルの「タンゴの男」のわりに踊ってるシーン少ない!!
と思ったら、あとがき読んでその理由に納得。
ふたりが踊っている表紙を眺めて想像するしかない。
あとは最終章のシーンかな。
最終章はちょっと泣いた(´;ω;`)
BL読んでてよく思うのが歳とったらこのふたりどうなるんだろー?
っていうのがあって、若い頃はそれでいいかもしれないけど、お互い歳とって老けてきても大丈夫なの!?って。
この最終章でその答えのひとつを見られたような気がする(*´ω`*)
それにしても最初の構想通りのものも読んでみたかった!!
いろんな人の人生を。
最後のベネに涙。
素敵な人でした。