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夏色初恋ダイアリー!!
大学の同級生同士。気遣い屋の攻め×思ったことをすぐに口に出す受けのモダモダ恋愛。
受けの塁が攻めの槙志から「ヒカリ」という人物に間違われたことで二人は友達になり、サークルも同じオセロのサークルで、一番近しい存在になります。
塁は槙志のことを知るにつれ、彼にとって大事な相手らしい「ヒカリ」との関係が気になるようになります。それに並行して徐々に互いが友達以上の存在になり、槙志が塁に不意打ちでキスしますが、二人ともそれについては触れないまま友達以上恋人未満の関係がしばらく続きます。
夏休みに槙志の実家のある離島に塁が遊びに行き、槙志の母に「ヒカリ」のことをこっそり訊ねたことで槙志が激昂し、家を出て行った塁を槙志が追いかけて、「ヒカリ」について説明し、同時に好きだと告白します。
「ヒカリ」というのは、槙志が子供の頃、両親が共働きで忙しく、寂しさから頭の中に作り出した架空の友達のことでした。塁に似ていたのは、そういう顔が好みなのでは、と結論付けられています。
塁も好きだと告白しますが、付き合い始めて以降、ぎくしゃくしてしまいます。初めて性的な流れになったときも、塁が槙志の恋愛経験を訊き、高校生の頃付き合っていた彼女と初体験を済ませていて、彼女とは自然消滅で疎遠になった話を聞き、盛り下がって家に帰されてしまいました。
塁を悩ませたくないという理由で槙志が「お互い頭冷やそう」と提案し、またちょっと距離ができますが、槙志が従妹を家に泊める電話をしているのを、女の子を連れ込む話をしていると勘違いした塁が泣いて「絶対別れない」と言い、冷却期間は終了し、その流れでベッドインしました。
恋愛するより仲のいい男友達といるのが楽で、ずっと二人でいたら、自然と友情が恋愛になっていた、という話として、すごく自然にも思えるし、でもなんとなく納得いかない部分もあって、いまひとつ話の波に乗れないまま読み終えてしまいました。
最初に槙志が不意打ちでキスをする場面は、言葉にしたくない曖昧な関係というのもわかりますが、その理由をはっきりさせないまま塁が自分の母親や槙志の従姉に嫉妬するので、嫉妬するより先にキスした理由を本人に聞いてほしいと思いました。あと、自分の母親や、同じ家で姉弟同然に育った従姉に嫉妬するのは、ちょっと共感しづらいです。
「頭冷やそう」と槙志が言った理由である「塁を悩ませたくない」についても、悩んでもらうのも嬉しいという結論に至ったからベッドインという流れになったのでしょうが、「ヒカリ」について告白したときとの違いがあまり感じられず、個人的には「あっさり解決したな」とちょっと拍子抜けしました。
個人的には、嫌いなところはないけど、「好き」とまではいかない作品でした。
大学生同士の甘酸っぱくて可愛らしい恋のお話…かと思いきや。
前に進んでいくことへの迷いやそれぞれの葛藤以外のところにもハラハラする種があって、
メリハリのあるストーリーとなっていました。
"人違い"をキッカケに始まった新たな友情は大学生活を鮮やかに彩るモノになって、
タイプは違うけれどその息の合った掛け合いを見ているだけで彼ら自身が日々を楽しんでいるのが伝わります。
でも『ヒカリ』のことをずっと気にしている塁は槙士との距離感を測れなくなっていき、いつしか空回りするように。
槙士のことを思って『ヒカリ』に再会させてあげたいという気持ちと、それとは別に自分の中に生まれた行き場のない感情の答えが欲しくて周りに探りを入れてしまう様子がとても独りよがりに映ってしまってモヤモヤ。
槙士への想いや塁自身の迷いが表れていた結果なのはわかるけれど、本人にぶつかる前に母親に聞くのは絶対違うよなぁと思ってしまった。
ただ。そういう未熟さも含めて成り立つストーリーだったようにも思います。
幼さの抜けきらないふたりが、お互いの存在によって少しずつ成長していくこと。
その部分を見守れてとても嬉しかったなと思いました。
一穂さんは作家買いしてるはずなのにこれはなぜか読み逃していました。最近は人気お仕事シリーズのスピンオフ作品などで大人キャラの話が多いけど、本来こういう一冊完結の青春物語もお上手な方です。行ったり来たりすれ違いで色々もどかしくもキラキラしたピュアラブストーリーでした。
2人の出会いは大学の入学式。人懐っこくて愛敬のある性格の受けの塁に対し、大人びて落ち着いた雰囲気の攻めの槙志。しかし槙志は意外にも非常にデリケートな面を持っていて…というお話。キーワードになる槙志の昔の知り合い?の「ヒカリ」の存在が明かされた時には驚かされました。
2人は大学でオセロサークルに入るのですが、2人の恋愛も片方が優勢だと思っていたのに一気に展開がひっくり返ったりする所もオセロになぞらえていて上手いと思いました。大学で出会った2人が「一緒にいて楽しいな。相性最高の親友だな」と思っていたのに好きが強くなりすぎて友情が恋愛に発展してしまうというBLの王道が丁寧に描かれていてキュンキュンできます。「さよなら親友、こんにちは恋人」。だからあのタイトルなのかー。
ネタバレなしで書きます。
大学生のお話です。
派手派手しさはないですが、日常系がお好きでゆったりとしたストーリーがお好きならばハマるかもしれませんよ。
槇志は離島出身で、一人暮らしの大学生。
オセロが趣味で、サークルにも入っています。
真面目であまり外で自己主張しないですが、確固たる信念のありそうなタイプ。
塁も槇志と同級生ですが、性格は正反対。
女の子にはちょっと奥手だけど、明るく素直で誰とも仲良くなれる得な人格。
視点は塁で進みます。
ふたりは大学での入学式で出会います。
槇志が『ヒカリ』と塁を間違え、声をかけてしまったのがきっかけです。
同じサークル(オセロ)に入り、度々槇志のアパートに遊びに行く。
男女だったらきっとすぐ恋人になれていたであろうほどに、育った環境はまったく違うのにお互い不思議と一緒にいて自然な存在。
おまけに夏休みには槇志の里帰りについて行き、一緒に島へ行くという密着ぶり。
はじめは『ヒカリ』を昔の友達かなにかだと思っていた塁も、槇志との中が縮まれば縮まるほど『ヒカリ』が何者なのか気になってきます。
『ヒカリ』が何者なのかは読み進めるとわかると思いますので書きませんが、某昔の名作にあったかなーという感じです。
わたしは金さんのイラストの感じがあまり好みでないために最初どうかなーと思っていたのですよ、ごめんなさい(苦笑
でも読み進めると槇志の少し感情を抑えた感じだとか、ピッタリでした。
塁の癖もすごく可愛いの、すごく好きです。
そして、オセロって意外に奥が深いのですねー。
角をとれば有利だと思ってました。
大人になってからまったくやる機会がなかったので、ビックリしました。
この本の発売時期は、まさに新入学真っ盛りの4月。
実にタイムリー。
大学入学したての時に印象的な出会いをして、
普通に、友人としてつきあい始めて、
そして夏休みが終わるまでの、ほんの半年間ほどのお話。
そう、このお話の出会いが「大学」って所がポイント。
これが、中学や高校だと、そもそも恋愛って物の存在に気付くまでに時間がかかってこじれちゃうだろうし、社会人だと、青臭すぎる。
恋愛経験が全くなくても、それなりにあってもおかしくない18歳。
自由度の高くなる、時間とお金。
この絶妙な、時と場所の設定。
また、金ヒカルさんの挿絵の二人がいいの。
この、子供でも大人でもない感じ。
ぴったり。