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表題作期限切れの初恋(CITRON)

村上,ホームレスになった大学の同期 
宇野,商社の会社員

その他の収録作品

  • 木原音瀬 番外編ショート小説
  • Phytoncide
  • あとがき

あらすじ

宇野には忘れられない恋があった。
誰からも好かれていた大学時代の同級生・村上に卒業してからもずっと片思いしていた。
友人の結婚式を機に、この思いを終わらせようと決意するが、そこで会えるはずだった村上が、借金を重ねて行方不明になっていたことを知る。
何もかも失った村上はホームレスになっていた。
宇野は自分の恋を終わらせるために彼を拾ってきて、一緒に暮らし始めるが…。

木原音瀬の同タイトルの小説をコミカライズ。
木原音瀬著、後日談小説(「LibrePremium2012」掲載)と糸井のぞ描き下ろし漫画も収録!

作品情報

作品名
期限切れの初恋(CITRON)
作画
糸井のぞ 
原作
木原音瀬 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
シトロンコミックス
発売日
ISBN
9784799713396
3.2

(75)

(20)

萌々

(12)

(21)

中立

(14)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
27
得点
225
評価数
75
平均
3.2 / 5
神率
26.7%

レビュー投稿数27

二人で幸せに過ごす未来が見えない

原作未読。だからなのか不安が残ったまま終わってしまい、消化不良を起こしてます。大学時代からずっと思い続けている男が、落ちぶれた状態で目の前に現れて…?というお話。
明るい大学時代を描き、大人になった村上への期待を膨らませる宇野の描写は、大きく落とされそうな予感がバシバシです。フリが効いてるのが分かりやすくて怖い。でもそれは思ったより静かにやってきて、宇野は浮浪者のような村上を自宅に住まわせます。
大学時代に深く関わっていたわけでもない村上を、環境が変わり会わなくなってからも思い続ける宇野は、それだけ他の誰も入れない閉じた心で人付き合いをしてきたのかなあと思いました。このままじゃ一生思い続けそう。
村上は宇野のおかげで立ち直っていくのは分かるんですが、あの流れで襲うのは、人としての生命線として縋りついているだけに見えました。ここでエンドマークなので今後に不安しかありません。小説にも納得しかなくて、不安なのは変わりません。
どうやっても宇野が村上のようなタイプと一緒にいて安心できるとは思えないんですが、それでもまだ村上の気持ちが宇野に向いていれば読者としては救われた気がします。なのにそこが曖昧なのが痛い。
この一冊だと表面上はハピエンだけどモヤモヤでした。

0

ここまで落ちていても幻滅しない純愛

 攻めが結構珍しいタイプで、ストーリー展開も読めず最後までどうやってくっつくんだろうとワクワクしながら読み進めました。学生時代にあれだけ皆に囲まれて輝いて見えた想い人の、社会人になってからの末路。漫画本編では詳しく描かれていませんが、最後の小説部分でそういうことだったのかと知り、思わず村上に同情しました。これはここまで落ちても仕方ないなぁと。

 意図せず彼を拾い込んでしまった宇野の、健気というよりは流れに身を任せるような自棄にも見える寛大っぷり。これ以上惚れたくはない、でも追い出したくもない、複雑な気持ちが渦巻いて自分のとるべき行動に迷った故の言動だったわけですが、村上はそれに救われた。本当、人間何がきっかけで人生が変わるか分からないものですね。最後は村上の方からも宇野に対して募っていった気持ちを見せてくれたので嬉しかったです。もう少し恋人になってからの日常も見たかったですが、全体の流れにはとても満足でした。

0

自分の薄情さだけがわかった

大学からの未練を引きずって 彼以外を想えない


粘着質って言えばいいのか 憧れ体質って言えばいいのか

意識した分 抜けられない蟻地獄にでもハマったように沈んでいく自分と 明るく華やか 思ったことをストレートに口にしすぎて 時として高慢に見えちゃうタイプの彼


寄せた想いを殺し卒業 再会したのは6年後

あたしだったら 目の前の転がる無様な男に当時おし殺した想いから 薄ら笑い浮かべて ざまぁ って言っちゃいそう ←性格悪くてすみません


やさぐれた理由はあるにせよ あの魅力的だった男の成れの果て

噂では借金まみれ すえた臭いがした時点で拾いたくもなくなる なのに拾って帰ったのは断ち切りたい想いがあるから


執着って 簡単に断ち切れるもんじゃないのね
そこまでの執着をもって人を好きになったことがないからわからないの こういうの

自傷行為にすら見えてくる 求めてやまなかった男との生活


ちょっとまてッ!
改心したのいつ?

金盗んでるの知って咎めなかったとこ?
死にたいってもらしたとこ?

あたしが薄情過ぎるのかな? ふたりが 愛情過多な人と承認欲求のある人 みたいに見えて 理解しづらい? 飲み込みづらい? 


目に見える改心 当時と変わらない会話 嫌いになるどころか上書きされていく想い
手の届きそうなところまで近づいた笑顔 与えられるものに欲がでる 不安になる


ん~ 悪くないんだけど 互いの不安で互いを縛りつけるみたいで 幸せなのか?

おまけの書き下ろし部分でなおさら どこまでいっても不安が襲う未来しか見えないんだよな…… 正に不毛


またあたし 読み方間違ってるんだろうな…
内容はもちろんだけど 人の気持ちって読み取るの ほんとに難しい

1

縋っただけ、断ち切りたかっただけ

つらい…。
恋のつらい部分だけを搾り取ったような、そんな作品でした。

大学の同期で、いつも人の輪の中心にいた村上。
憧れて、焦がれて、この気持ちは恋だと気付いても、伝える術もなくて…。

宇野は地味でおとなしくて、自分の意見を言うことすらも清水の舞台から飛び降りるような決意がないと出来ないような人です。
そんな彼が恋い焦がれたのは、太陽のように明るくて、ひとを惹きつける村上。
キャンプが好きで、みんなでわいわい騒ぐのが好きで、彼女を大切にする。
漢気溢れる村上に言えるはずのない恋をして過ごした大学時代も遠くなって、すっかりリーマン生活も体に染み付いた頃、大学の同期の結婚式に呼ばれた宇野は村上の惨状を知ることになるのですが…。

もう、痛いし、つらい。
以前読んだときの衝撃がそのまま、読み返しても戻ってきました。
気持ちを伝えられなかったから忘れられない、と思っていた相手が、どん底まで転落している姿を見たら。
かつて恋した相手に幻滅することで、気持ちの整理をしたい宇野と、彼女や友人、近しいひと全てに見捨てられた今、たったひとり、手を差し伸べてくれた宇野に、立ち直るきっかけをもらった村上と、2人きりの生活が何ともつらい。
減っていく引っ越し用の手付金に、「これで嫌いになれる」と安心する宇野の気持ちは、分かるけど分かりたくない。
本当に断ち切りたいなら、手を差し伸べなければいいだけのこと。
それでも差し伸べたのは、繋がっていたい気持ちが勝ったからだと思うのです。

すえた生ゴミのような村上が自堕落に暮らして、宇野の姿なんか目に入っていないかのように振る舞っているうちに、追い出すこともできたのに、手付金がなくなるまで待ったのは宇野。
予想に反して新しいシャツを買って、風呂を借りて、少しずつ人間らしい生活を取り戻していく村上に、また別の人のもとへ行かれる恐怖に怯える前に、離れることをしなかったのも宇野。
何も言わずにいるのは、全部許して受け入れたのと同じなんですよね。

村上の気持ちは分かりません。
前回、初読のときに読み飛ばした巻末の小説も、今回はちゃんと読んでみました。
未だに元カノの面影を追ってしまう。
それでも宇野と抱き合うと満たされる。
「宇野と未来だけあれば」という一言に、愛を読み取っていいのか迷う。
差し伸べられた手が他にもあったら、宇野のところに居続けなかったであろう村上を、信用しきれないまま、読み終わってしまいました。

難しい。
情や恩義は愛と同義ではないと思う。
だけど、宇野のために愛であってほしいと思うんだなあ。

宇野は面倒くさい人間だし、村上は信用できないし。
2人とも人間のひとには見せたくない部分をさらけ出しているから、読むのがつらくて痛いんだと思うし、なぜかこの2人の行先が気になって仕方ない。

思いを重ねることなく、体だけが重なったあとの宇野の一言が重いです。
村上ー、わたしには君が分からんよー。

0

忘れられない恋がありますか?

木原音瀬先生の小説をコミカライズした作品です。
糸井のぞ先生の細い線が、作風に良く合っていると思います。

大学の時に好きだった村上には可愛い恋人がいました。
好きな気持ちを伝えられないまま、恋心を昇華できないまま社会人になった宇野。
卒業後、疎遠になったあとも村上を探し続けるような宇野の執着ともいえる一途な恋心が印象的な作品です。

村上のことが好きで好きで仕方ない宇野が、落ちぶれた村上と再会しても嫌いになれないところが切ない。
たとえ、お風呂に入らなくて臭くても、お金を取られても、何をされても黙って見守ります。
でも、それは優しさだけじゃない。
村上を手放したくないからなんだよね。

静かに見守ってくれる宇野に癒され、人間らしさを取り戻していく村上は、クズ攻めだと思います。
無自覚に宇野の心をかき乱し、宇野の好意につけ込むところは本当にどうしようもない。

そして、描き下ろしの木原先生の小説を読むと、切なさと不安が増します。
元カノに似た女を追いかけ帰宅後には宇野を抱く村上が、自分の気持ちも人の気持ちも信用できない、とっても危うい男だと再認識させられます。
ハッピーエンドなんだろうけど、手放しに喜べない。
余韻に、なんもと言えない哀愁を漂わせます。

でも、やっぱり唯一無二の素晴らしさがある木原作品。
コミカライズも間違いなく面白く、あっという間に引き込まれました。

3

初恋の幻想

泣けるBL→ノベルズ→コミカライズの順で読みました。
泣けるBLの部分でうーん、泣ける?と思っていた部分がノベルズの書き下ろし含めて読み終わったあとやっと消化できた感じだったのでコミカライズだけではまた消化不良感が。。
連作ボリュームで致し方ないし、漫画と小説で表現手法はもちろん違うので難しいのですが、どちらかと言えばコミック→ノベルズのが読む順番としてはいいかもしれない。

(2013.8.2)

0

こんな終わり方があるなんて

小説は未読です。
うーーーん。宇野が切ないです。

目の前で好きな人が恋する瞬間を見る。恋人になった所に居合わせる。朝帰りを悟る。
泣ける!

6年間一度も会わず連絡も取ってないのにまだ村上を好きな宇野。
ケリをつけられなかったから?卒業式にフラれておけばふっ切れた?

堕ちるところまで堕ちたドン底の村上を拾って帰る宇野。これで区切りをつけられたらと。

静かに見守る宇野と、やがて元気になっていく村上。二人のささやかな暮らし。どんどん昔の村上に戻っていく。

でももう宇野は限界で、自分の誕生日を祝ってくれる村上にバイトを辞めて部屋を出てってくれと言います。残酷ですね。
そして村上はまたパチンコへ行ってしまいこんな時にかぎって儲けてしまって余計荒れます。

これ以上君を好きになりたくない。宇野のその言葉に村上は。
これは酷いです。もうページも残ってないのにハッピーエンドじゃないの?どう終わるの?と思っていたら宇野が村上を詰りでも抱き合うところでコミック部分は終わり。

ノベル部分を読んでもやはり村上と宇野の距離はくっついていないようで。
週に何回か体は重ね興奮はするものの村上は宇野をどう思ってるのか。最後の砦であり唯一自分を好きな人間にすがっているのか。
宇野も言葉であまり気持ちを伝えてないようですね。愛されるわけがないと思っていそうで切ないです。
村上にも絶望があって。大手に就職したのに理不尽な辞め方をして自分の為に両親が自殺したと思って。パチンコをしてる間だけは頭を空っぽにできて。
元カノとの結婚を未だに想像したり似てる人を追いかけたり。はっきり言ってこんな攻めは嫌です。

こんな終わり方をするBLもあるんですね。

1

小説を忠実に再現している。

こちらのコミックと小説を一緒に買いました。

二つの違いをまず書きます。
【コミック&小説ともに収録があるもの】
・受け視点の「期限切れの初恋」

【小説にのみ収録されているもの】
・攻め視点の「人でなしの恋」書き下ろし小説
・糸井のぞさんによるコミック「ふたりではんぶんこ」

【コミックにのみ収録されているもの】
・木原音瀬さんによる「番外編ショート小説」
・描き下ろし「phytonicide」

コミック→小説の順で読みました。

コミックだけだと、「期限切れの初恋」でなんだかいい感じで終わったような気もするものの、その後に収録されている木原音瀬さんによる「番外編ショート小説」で、ええっ!?と釈然としない思いがするはずです。結婚したいとまで考えていた元カノへの思いが昇華しきっていないのがありありなので、読み終わってモヤモヤすると思います。

モヤモヤする気持ちを解消するには小説に収録されている攻め視点の「人でなしの恋」これを読むべきです。ここから先の展開を描いています。ただし小説を読み終わったからといって、100%ハッピー!円満解決ばっちり!という気持ちになれるかどうかは、読み手の受け取り方に大きくされますので、保証はできませんが…。

小説とコミックを照らし合わせながら読みましたが、非常に忠実に雰囲気もそのままコミカライズされていました。こんなに忠実に再現されるんですね。すごいなぁと唸りました。

ただしやはり小説の文章量をそのまま漫画に置き換えるとなると必然的に絞る必要性が出てくる訳で、100%そっくりそのままでないのも事実です。

小説の中で非常に印象に残った一文がありました。
大学時代、好きでたまらなかった村上が、転落の末浮浪者になって公園で泥酔しているのを発見した宇野は自宅に連れて帰ります。その翌日の様子です。

「玄関のドアを開けると、中に履き古したスニーカーがあった。昨日は気づかなかったが、見覚えがあった。それが新品の時を、自分は知っていた。」
月日の経過やらここまで落ちぶれたものとかを痛烈に感じました。
それに対しコミックは「村上の靴 見覚えある…大学の時の」となっています。
先にコミックを読んだ時にここの箇所は記憶にも残りませんでした。

今回コミカライズされたものと、原作を二つ読むという事を行いましたが、漫画のほうが視覚的な情報(絵)を得られるので一見楽に感じるのだけど余白とか行間から読み解く力を必要とされるのではないかと感じました。なので活字好きの自分としては、小説を読む方が時間はかかるけれど小説のほうが楽だなぁと思った次第です。

でもコミックはコミックで、登場人物のなんとも言えない絶妙な表情を見せてくれるので、ストーリーが立体的に見えてくる事もありこれはこれでいいなと思いましたと思いました。

2

人間というもの


木原先生の作品は何本か既読なので、こういう切ないとか心が痛むような表現には慣れているつもりだったのですが、コミックになり絵が付いたことによって7年間一人の男に想いを馳せて未だに忘れられない男と、人気者でコミュ力が高くて彼女がいて、しかしある出来事が重なり落ちぶれていった男。
それがコミックになったことによりかなり形を成して読者の心を抉ってきます。

他の方のレビューであらすじは何となく掴めると思います。

私としては、ああ、人間ってこういう生き物だよな‥と思いました。きっと忘れられない人って誰にでもいると思うんです。それが恩人だったり憧れの人だったり、宇野のようにそれが想い人だったり。きっとそれは簡単に振りきれるようなものではなくて、宇野は落ちぶれて生きた生ゴミだと思っても、昔から忘れられなかった村上と暮らしても、宇野は村上を嫌いになれませんでした。

このお話は本当に受け取り方に個人差が大きいと思います。木原作品はどれもそのようですが‥
私はもうこの時点で少しハッピーエンドなんじゃないかなと思いました。
確かに村上が大学の頃の彼女を忘れられなくて、似ている人をつい追ってしまったり、そういう場面もありますが宇野が村上を忘れられなかったように村上もきっと彼女を忘れられないと思います。
人間って、そんなに上手に生きていけるものではないと思うんです。忘れたくても忘れられない。たぶん意味があるんです。
この二人がこの先生きていく上でこの消えない思いは必要なんだろうと。
商業に慣れてしまうと攻→←受
の方程式が作られてしまいますが彼らも男ですので女の子に惹かれてしまうのは仕方のないこと。

私はコミックが良かったら同時発売のノベルズも購入しようと思い買ったのですが、買います。このまま終わるなんて耐えられません。
でも、ハッピーエンドとまではいきませんが一応それなりにキリはついているのでコミックで納得のいった方はノベルズまで手を伸ばさなくてもいいかなと思います。しっくりこない方はノベルズまで即手を伸ばしましょう。

改めて木原先生は本当に人間ってこういうものだよな‥と痛感させてくれる作品をお書きになられます。

漫画をお描きになられた糸井先生の絵もしつこくなく、無駄な表現も無く癖もなくとてもすっきりストーリーに入り込んで読めました。

素晴らしかったです。ノベルズも購入しようと思います!

5

もやもや

丸ごと一冊ひとつのストーリーでした。

真面目な受け様が、ずーっと1人の人を思って
どうしてもその人のことが忘れられない・・・って
確かにあると思いますー。
しかも、一緒に遊んでいた頃の憧れによるキラキラな人なら尚更。

何年も経ってから、あまりにもヒドイ状態のその人と再会して
それでも嫌いになれないって・・・・。
いやまぁ、それも100歩譲って「ある」としまして。
・・・最後の番外ショートストーリー。
もやもやしつつもまぁ・・・と思って読んでいたのも
全部ふっとんじゃいました。
むなしい気分になってしまいました(泣)

2

どこが良いの?

木原さん作品は初読みです。痛い作風の作家さまだと聞いていたのであえて読んでいませんでした。

ごめんなさい、タイトルは作品自体のことを指しているのではありません。村上くんの、どこが良いのかさっぱりわからなかった。自分とは真逆の、太陽のような男。学生時代、宇野くんが村上くんに惹かれたのはよく分かります。でも宇野くんが落ちぶれたあとの村上くんを好きでい続けたのは本当に愛情なのか、と疑問に思いました。手に入れたくても入らなかった、あこがれの存在でしかなかった存在が、下に落ちてきたからこそ手に入る状況に酔っているだけなんじゃないの?とすれた目で見てしまった。

小説版を読んでいないので村上くんの心中や状況はコミックでさらりと触れた部分しか理解できません。でもだからこそ、中立の立場で、村上くんがどうしようもなく傲慢で、自己中な男にしか見えなかった。番外の小説で雛乃に似ている女性を追いかけるシーンがあったけれど、そんなに忘れられないのなら宇野くんのところにいるべきではない。誰も相手にしてくれなかった自分を受け入れ甘やかしてくれている宇野くんに付け入ってるだけでしょ、って思えて仕方なかった。

ただ村上という男は人間らしいとも思う。きっかけがあれば人間どこまでも堕ちていってしまうと思うし、楽な方に流される生き物だとも思うので。そう言う意味で、非常に素晴らしい作品だとは思います。

でもごめんなさい、萌えどころは全く分かりませんでした。

6

小説版ありきの…

「泣けるBL」も、小説の単行本も読んだ後にこのコミックスを読みました。
コミックスに収録されてるのはちょうど、「泣けるBL」掲載時の部分までのストーリーです。

あっさりした絵柄が木原さんの切なくて淡々と日常を描く作風にあっているなーと思いました。
元が小説だからか、ややモノローグが多くポエム感のある感傷的な作品になっている気がします。

小説では、宇野の村上に対する静かな執着がいわば行き過ぎていてw浮世離れしている風にも感じたのですが、コミックスではイラストとして描かれることで、その辺が和らいでいるようにも思いましたw
漫画だと、華やかな大学生時代の村上→拾われたばかりの荒んで汚い村上w→宇野の甲斐甲斐しい世話により人間らしさを取り戻してきた村上の移り変わりwが、視覚的にわかって、あまりの変わりっぷりに見比べながら読んだりして小説とはまた違った楽しみ方もできましたw

番外編小説は、短いですが切ない。
コミックスと、小説描き下ろし部分をつなぐエピソード。
このふたりの今後はその小説版描き下ろし部分でさらに進展をみせますのでwやはりこのコミックスは小説版ありきのものなのかなと思いました。
同時発売された小説版とあわせて楽しむ分には、新たな発見もあっておもしろいと思います。

1

イラストが救いだった。

遂に読んでしまった。
遂にというのは、意図して読まないでいたためです。

木原さんなかなか自分には厳しい為進んで読むことはありません。
ただ、この作品はいつか読みたいなと思い発売時に購入したものの
読まずに今日までおりました。

読んだ感想はやはり後味悪く、
読まなくて良かったかなと思ってしまう自分もいましたが

今回は糸井さんのイラストいいやされました。
村上はきっと将来女性とつきあい
結婚するような気がします。
村上が酷いとは思えなかったです。こんなもんじゃないの?と思いました。

宇野は別れてもきっと村上のことだけ思って一生を過ごす気がします。

小説を読めば感想が変わるかもしれませんが、小説は読みません。
木原さんの文章はやはり私には辛いです。

宇野を愛してなくても必要なのは
正直な気持ちだろうし
俺は忘れられたくないという
村上の言葉はずっしりきました

昔となんらかわらずそばにしても心地が良い宇野は、村上にとって
心地よい場所であって
愛情をともなう安らぎ場所ではないのだと思う。

それはこれからもかわらない気がする。

感謝はしても愛せないってあると思った。

5

相手が落ちぶれようが思い続けるのは、純愛か……

原作小説とのコラボ作品。
まずはコミック版から読んでみました。


主人公の片方ずつが小説コミックそれぞれの表紙になっているが、
こちらの表紙の宇野くんは、大学時代輝いていた同級生の村上に密かに恋をし
卒業して6年経った今も忘れられずに思い続けている。

きっと仕事でも活躍して幸せに暮しているだろうと思っていた村上が
借金を重ねていることを昔の仲間から聞いたその後、
偶然彼は浮浪者となった村上と出会う。

自分の想いを終わらせる為に、村上を拾って連れ帰る宇野。
そこから共同生活が始まるが、彼の荒んだ酷さを目の当たりにしても
なお想いを断ち切ることができない……


……痛い痛いと言われる木原作品。
熱烈なファンも多く支持されているが、
私にとっては痛みというよりは、心がざらつき不快な気分なってしまうことが多い。
それだけ人間の醜さや弱さを描けているという評価もできるだろうけれど、
これは好みの問題としか言えない。

この作品はコミカライズだった為か、今まで読んだ木原作品の中では読み易かったが
あまり見たくないものを見ている感覚はやはり健在。
愛……というものについての捉え方が違うのかもしれない。

後半、村上に追い詰められて、宇野が固く心に秘めていた想いを漏らす場面では
宇野が痛ましくてならず、抱きしめてやりたいような愛おしさを感じたが、
それは彼の愛に心うたれたというよりは、彼の孤独にうたれたのだと思う。

その孤独を埋めるのは、どうして村上なのだろうか……
そして、村上は何故宇野を受け入れたのか?
彼だけが自分を見捨てなかったからだろうか?

自分勝手な村上、そんな村上を想い続けしがみつく宇野。
そもそも、嫌いになる為に異臭を放つ浮浪者を拾うというのがよく分からない。
落ちぶれ果てた彼を見た時点で、幻想が崩れて恋を失うか?
あるいは、どうかに自分が更正させて愛を獲得する期待があるか?
はたまた、人として可哀想で救ってやりたいと思うか……
そうじゃなかったら拾わないんじゃないだろうか?

そんな建前と本音、甘えと執着、挫折と劣等感。
そういうものがどんより漂う感じは、切ないというよりは痛ましい。

すっきりしない終わりは、小説を読むと少しは解消されるのだろうか?

糸井のぞさんの作品は初読み。
彩度の低い全体の印象や、宇野ののっぺりした感じが合っていたと思うが
村上の浮浪者ぶりは、あの独特の臭う感じはせずインパクトが足りなかった気も……

7

村上はBLの敵!!!

私はコミック→小説の順で読んでみました。
以下両方読んでからの感想です。
(ネタバレ満載なので閲覧注意でお願いします)

コミックは小説と全く同じ内容で、しかも忠実に描いてあるので、
同時購入をされる方はコミック→小説の順がおすすめです。
その次に小説の「ひとでなしの恋」「ふたりではんぶんこby糸井のぞ」を読むと良いかと思います。
小説の「期限切れの初恋」はコミックと同じなので、確認程度に読むか面倒臭い方は読み飛ばしても問題ないです。

さて、こちらの内容は小説の内容で言えば前半部分に当たるような内容です。
このコミックだけでは二人の関係の落ちどころがはっきりとしないまま終わります。
そして結局小説も合わせて読まなければならなくなると思います。
ですが、小説の方を読んでもすっきりとするかどうかの保証は・・・。

コミックは小説とは違って目で見て奥行をリアルに感じられるのでこれはこれで良いなと思いました。
宇野や村上の表情、村上の落ちぶれぶりがリアルでした。
人によってはキツイと感じるだろう内容ながら、
糸井先生の線画に暖かみがあることと絵がさらっとしているので、
それに助けられる部分もあるかな、と感じました。

しかし糸井のぞ先生、小説の再現力が半端ないですね。
木原先生は「自由に描いてください」と言われたそうですが、
それなのにこの原作に忠実な再現ぶり!
糸井先生の丁寧に原作を読み込んでそれを表現する力に脱帽です!

内容については、村上がひどい!!
コミック終わりにある小説を読んでも村上は宇野に対して女の子に抱くような感情を持っていない。
つまり恋愛感情はないけれど、宇野をつなぎとめるためにセックスをする。

宇野は「こんなことをしたら僕はもう君を一生忘れられない」と言っているのに、
村上は「俺は忘れられたくない」と言うあたりがもうBLの敵!!
なんて酷い男なのー!

ここまでくると脚色が強すぎてあまり感情移入できなかったです。
これを感情移入して読んだら大変なことですね~…
あと木原先生の作品をほぼコンプしているので慣れがあるんだろうと思います。
だから引いて見ることができるというか。

木原先生が炸裂しているのはファンとしては嬉しいんですが、
毎度のことなので変に理解できてしまう分、痛くない。
でもそう感じるのは、それだけの理由ではなかったなと思いました。
そちらについては小説の方で触れたいと思います。

内容的にはキャラ萌がなかったので中立くらいなんですが、
糸井先生の再現力がすごいと思ったので+評価で萌にしました。

10

萌えはないけど

まだ漫画しか読んでいない状態ですが。
漫画+オマケ小説で感じた事を。


宇野にとって理想の先輩、村上は。
格好いい外見。
爽やかな笑顔。
沢山の友人。
可愛い恋人。
積極的な行動力。
人目をひく実行力。
時々細やかな失敗をして、まわりを笑わせる。
端から見たら、完璧な人。

でもそんなものは、社会の波や環境変化で、あっという間に崩れてしまう。
失うのは容易くて。
キャンプで一人の時、静かな横顔。
宇野といる時の静寂を、心地よく思うところ。
中身は、理想と現実の自分の間で揺れているのかな。
本当はとても弱く脆い人なのだな、と感じました。

宇野は、新しい恋へ踏み出そうとしない。
過去の先輩、過去の思い出の中に生きている。
普通の作家さんの本なら、一途ね、となるけど。
そこは木原先生ですし、読む側もつい、斜めに読んでしまいます。
これ、一途…なのか?と。
一途というより、執着、という気がする。
そこからの変化(新しい恋をする事)から、ただ逃げてる?

この二人の恋、…変?
お互いが相手に依存している気がする。

何もかも失った村上を支えきれず、別れた雛乃は。
もう、前へ向かっていて。
沢山の友達も、人生の次のステージに移行していく。
理想の人に執着する宇野と、全てを失った村上は。
同じところから動き出せずにいて。
新しい人生へ向かう勇気など無くて。

そんな二人が再会してしまった。

宇野は、村上の理想の部分にばかり目が向いていて。
そんな理想の先輩が弱っているから独占できる事に、喜びを感じていて。
だから元気になって、独占できず自分から離れていくかもしれないとなると。
突然突き放し、自分を守ろうとする。
先輩の様々な心の痛み。
そういう中身の繊細な部分に、真剣に向き合う気がない。
依存と独占欲に支配されている。
宇野には、相手の幸せを願う気持ちが欠如している感じがしました。

それがすごく人間らしくていいなぁ。

村上は、宇野が今までどんな生活をしてきたとか、興味を持たず。
自分に都合のいい相手を見つけたとしか思っていない。
まるでヒモだ、時々甘い言葉と餌をまくだけの。
特にあの、初エッチの前の表情。
なんて冷たい表情なんだろう…と思わずにはいられなかった。
そこには立場の変化があるだけで。
愛情が欠如している。
最後はハッピーエンドのようにも見えましたが。
モヤモヤしたものが残りました。

そして巻末のショートストーリー。
小説の予告のような展開…?

小説はさらに続きがあるみたいですが、とてもモヤモヤしそうな気がします。
という事で、小説買って更にモヤモヤしてみようかな?(笑)
木原音瀬先生は本当に、人の心の表裏や人生の浮き沈みを書くのがうまいなぁ。
糸井のぞ先生は、表情や空気感がすごくうまい。

色んな意味で、静かに感動しました。


※勢いで書いたらちょっと不適切かな?と思う部分があって、少し変更しました。

3

焦れったい

木原さん、糸井さん両者初読み。私ももれなく漫画と小説両方を予約購入しました。読みやすい漫画から拝読。

表紙惚れや作者買いで、あらすじをよく読まない私。読む直前まで、学生時代に好いていた人とは別の同級生とくっつく話だと勝手に思い込んでいた。

読んでみて、あれ?初恋の人となのねぇと途中で気づきました。過去と現在が交差しながら進んでいく。あまりにも物静かで長年初恋の相手を思い続けている受けの宇野。いつも人々の中心にいて、他人から否定されることに過敏。今は廃れてしまった(受けと再会して更生)攻め村上の物語。

落ちぶれていた村上が、宇野と再会して更生していく過程の魅せ方が良かった。学生時代の場面では、物事に対し自分の意見で突っ走る傾向があるのに、結構周りを観ていて少しの変化も見逃さない所(優男的部分)にもキュン。

しかし、番外編SSでの未練タラタラな一面が嫌いです。そんな自分を宇野に知られたくない。人に嫌われる経験をもうしたく無くないだけで身体を繋ぐのか。ハッキリしない所が焦れったかった。

小説に続きがあるので、果たして村上の心は決まるのか、読みどころです。

4

小説から読んじゃった者です

これは、皆様がおっしゃっていらっしゃるようにコミックから手を付けるべし!
小説を先に読んでしまったんで萌えが『普通の萌え』になってしまっただよ。

しまった~!!

後悔。遅すぎ。
でもね、じわじわくる。このコミックの後の内容が知ってるだけに。
どれだけ好きな間柄でも立ち入れない踏み込んじゃいけない触れちゃいけないとこってあるからね。
ましてや片思い中の相手、ズカズカ言えないし聞けないよね。
難しいよ。人の気持ちは。

小説もあわせて読んでグダグダと悩むべし。

3

あーもう!こっからって時に!

小説と漫画の同時発売。
最初は漫画から……。

この漫画を開いた時に、タイトルとか先入観とか
全くなかった割にドキドキしなかったのが印象的だったのです。

「このふたりくっつくのかしら?ドキドキ」とか
「これからすれ違うのかしら?ワクワク」とか
多少なりとも、本を読むときに感じる興奮が
あまりなかったのです。

理由が分かりました。

主人公がかなり無機質だったからなんじゃないなか?と。

これは斬新です。

人間誰しも欲があると思うんです。多少は。
でも、欲を感じづらいビジュアルとかスタイル。
だから、結構温度差があって客観的に見れてしまったので
そこまで高揚したり興奮したりしなかったのかな?

マンガで読むと、かなりあっさりした印象でした。
しかも最後では「ここでおわりー??」な感じでw

さて、小説はどうなんだろう??

2

どこがいいのか…

読みやすいかなと思い、まずはコミックスから。
読み入ってしまうんだけど、やはり私の中ではありえない男・村上でした。
ついでに言えば宇野の方もちょっと…こればかりは性格だからしょうがないのかな??

読み終わってすぐに思ったのが、宇野以外に自分を支えてくれる人間が現れたら
すぐにそっちにいくんだろうな…てきな。
正直、宇野が好きなんじゃなくて、ただ都合のいい存在にされてしまってるよね?
なのに宇野の方も最後まで本当に拒絶できないから、余計に村上の傲慢さに腹が立つ!!

好きなのはわかるんだけど、1度は拒絶できたんだから頑張れ宇野!!
宇野には幸せになって欲しいけど、村上は嫌だ。

小説にはその後があるらしいので、村上がちゃんと宇野のことを好きでいる事を願おう。
じゃないと宇野が浮かばれないよ。

8

期限切れから始まる恋

ノベルズとコミックとどちらから読もうかな~と思いましたが、コミックから・・・。
糸井さん、初読み作家さんでした。
絵柄がお話にとてもあっていたと思います。
表情から宇野の切なさが伝わってきました。
対する村上の転落振りもすごかった。
物語の終わりはけっして幸せではなかったけれど、前途も多難そうだけれど、今は、この関係が大事なのだと思わせるラストでした。

余談ですが・・・コミックから読んでしまったので、ノベルズのカバー・・・この綺麗な男の人はいったい誰?
村上だとわかってはいても転落していた頃の村上の印象が強すぎました(笑)

3

ずっとジクジク、ヒリヒリとする。

小説への導入部分のコミカライズなのですね。
読みながらずっと胸が鈍く痛いというか、
萌えどころは感じられませんでした。
正直、続くノベルズのほうを
読むかどうか迷っています。

村上に再会してしまったことは、
宇野にとってよかったのか。
見続けて忘れられなかった恋も終わりにできず、
告げられないまま生殺しのような状態のまま、
失望したくないから期待しないと思い込む。
宇野が村上との繋がりを手繰り寄せずに、
想いを告げないまま、どうにか消化できていたら
どんなに良かっただろう。
叶わなかったことがこんな風に
感情を伴わずに結果だけ叶ってしまったら。
今度こそ宇野の想いは
行き場をなくしてしまうじゃないか。
ラストまでの村上を見て、本当に人間はこんなにも
弱くなってしまうのかと思う。
これが現実なのかと突きつけられて辛い。
そこにはBLらしいラブファンタジーが無い。
幸せになってほしい、と思うけれども
不穏な余韻というか、
残したくない後味が取れない感じが残った…。


読後思わず無言になってしまう作品でした。
きっともっと抉られてしまうであろう
ノベルズのほうを読み切るべきなのか
読了直後から本当に悶々と悩んでいます。

作画の糸井のぞさん、
気になっていたのですが
このさらりとしながらも独特な、
情緒的な線やカラーの柔い切なさが良かった。
あとがきで、のぞさんが
「ふたりにもっといろんな話をしてほしい」
と書いていらして、それに共感しました。
体を重ねることで何かを解決したように感じても
実際は分からないことばかりだ。

5

響律

わー!かちゅさん!
今、がっつり背中を押されました…
…確かにこのままじゃ消化不良でもある。
ぐったりする予感たっぷりですが、
思い切って読んでみます!

かちゅ

是非読んでほしーですノベル!!
村上視点からの宇野はつらいんですけどね・・・。
すんごい疲れるんですけどね・・・。
あれは2冊で1つなんですよ・・・。漫画のラストがあって小説のラストがより際立つんですよ~。そして感想読みたいですー

喪失の、その先に。

 僕はもう君を 一生忘れられない



淡い植物のような印象の宇野と、誰からも好かれる太陽のような村上


宇野はずっと村上のことが好きだった。
忘れられない恋だった。


しかし、数年ぶりに出会った彼は、全てを失いホームレスになっていた。
村上を拾い、一緒に暮らしはじめる宇野。


無償の愛を与え続ける宇野に、次第に心を取り戻していく村上。
しかし、次第に立ち直っていく村上に孤独を感じる宇野。



 これ以上 君のことを 好きになりたくない



宇野の思いを知る。
今までの優しさは、すべて「愛されていたから」だと気づく村上。



 俺は 忘れられたくない



そんなこと言わなくたって、
宇野はもう村上を忘れられるわけないのに。


村上は誰からも好かれ、孤独で、傲慢で、ズルい男だ。

8

こっちから読めば良かった

コミカライズと知っていながらノベルを先に読んでしまった後悔が先立ちます。
そして、コミックスはノベルの表題のみのコミカライズだったので
個人的には萌えどころを探す事が出来なかった。
宇野視点でのコミカライズですから暗く撃沈してしまった。

宇野の気持ちが切なすぎて、なんでこんな男を好きになってしまったのかと、
学生時代の輝きを失って、見るも無残な小汚い男に成り下がった片思いの相手
初めはそんな姿を見れば胸にしまったままの想いが消えてくれるのではと言う
願いも虚しく好きの気持ちが募るだけ。
本当に相手から愛が、想いが返ってこないと知りながらも尽くしてる宇野が憐れ、
やっぱり心情的に好きになれない作品になってしまいました。

10

リア充と負け犬

『泣けるBL』に掲載された作品のコミカライズ。
citron掲載も既読だったが、やはりいつも単行本になると全てが繋がって作品の魅力が見えてくる。
読む順番としてはどうでしょうか…
①小説→コミック→小説? ②コミック→小説→コミック→小説?
自分は①の順番になりましたがどちらも行けると思いますので、これは好き好きで大丈夫と思います。

大学の頃からずっと持ち続けた片思いの相手との6年ぶりの再会。
明るくていつも人の輪の中心にいたその人物はホームレスとなっていました。
彼を家に連れ帰った主人公は、そのうち彼が自分のお金を持ちだしていることに気がついていましたが指摘することができなかった。
それは、言ってしまうと自分の手元に舞いこんで来た彼が、自分の元からいなくなってしまうのではという恐怖となっていたからです。
6年間こじらせた初恋と、負け犬の気持ちを知らなかったリア充が負け犬になった時の落差の姿と。
原作小説を上手くまとめあげていると思います。

コミカライズの良いところは、絵となり具現化された登場人物が心情と共に見せる表情にあると思います。
荒んだ村上の姿。
作者さんがインタビューでも臭いと何度も言われていましたが、その表情はまるで死んだ魚の目でそんなに汚く描かれていないのに臭うような気がします。
そして、宇野が村上を怖いと思いますが本当に怖いです。
それが変わっていく姿がありありと絵で表現されることにわかりやすさ、的確さを見ます。
小説を読んでいるから、知っているから移入してわかりやすいという部分はあるかもしれないですが、きっとコミックが最初という方にも充分に伝わってくるのではないでしょうか?
糸井のぞさんの絵自体が肉食を感じさせないあっさりした感の絵を描かれる方だと思うので植物系と比喩される宇野にぴったりでした。

大学時代、ずっと見ていることしかできなかった坂本が自分の手元に落ちてきた。
何もかも失い荒み、借金まみれで友人からも恋人からも見放され、そんな彼に何も言わず家に置いた宇野は彼に期待してないと思いながら充分に期待している。
リア充だった時、彼は自分に見向きもしなかったが今は彼にとって自分だけが頼り。
彼が立ち直ったら、また自分の元からいなくなってしまう恐怖。
この話の上での結末は、坂本もまたよりどころを失う恐怖からのそれなら抱けばいいんだろう的な、捨てないでくれという懇願のセックスであり、そこに愛情はない。

この本の憎らしいところは、その続きは小説で・・・というところ。
しかし、概してコミカライズはそういう作品が多かったりするので、このコミックはここで終わりと割り切るしかない。

掲載されている短編小説は、その後の事であるがそれは小説のほうにある村上視点の「人でなしの恋」に繋がるものでもあると思います。

この評価は、あくまでコミカライズとして優秀であったという原作の再現と表現に対するものです。

7

この組み合わせだからこそ

コミカライズと小説版、一緒に届いたけど、まずはコミックの方から読みました。

大学時代に片思いして、その思いを引きずったままだった宇野。
その気持ちにケリをつけようと、村上に会うつもりで地元での大学時代の友人の結婚式に出かけていくのですが、、、。

花見の席で、偶然見つけたホームレスに落ちていた村上を、宇野は拾って帰ります。
そして始まる二人の奇妙な共同生活。
この宇野の対応が、拾って来て、自分の部屋に住まわせただけで、それ以上のことは何もしない。
着替えもなく、風呂にも入らない村上の臭いを、気にしつつも、村上の不在時に部屋に消臭スプレイをするだけで、それ以上のことはしない。
むしろ、その臭いで村上の存在を強く感じてよろこんでいるような。
また、家に置いたままの現金が、減っていっても見て見ぬふり。
そんな宇野の態度に、村上は自ずから自分の生活を立て直していくのですが、それが引き金になって、宇野は村上から離れようとします。

宇野の、村上が「観葉植物」と評した静謐さ。
糸井さんが描く、実に地味な宇野の姿が、この、不気味な位の愛の深さにとても似合っていて、
原作とコミック、このお二人の組み合わせだからこそ、より作品世界が深まって、よかったのだなあと感じました

15

これからな2人

読み終わった感想は
タイトルな通り、これから初まるこれからな2人。

評価が中立なのは、これが二人の幸せのピークだと感じなかったからです。
☆の数でいうなら☆☆☆☆☆くらいです。

小説から読むか・・・漫画からか・・・悩んで漫画のほうを先にしましたぁ。
イメージを掴んでから小説へいったほうがよりわかりやすいかなぁと思って。
木原さん本当に本当に・・・落ちた人を書くのがすごい・・・。
ラストのその後の村上視点から書かれたお話がひどくせつなかったです。

漫画は、宇野視点から進んでいきます。
大学時代、いつも輪の中心にいた村上、優しくて人懐こくて、ひどく傲慢な男。
村上に彼女ができたことによって気づいた恋。
ただ、見てるだけでよかった。
その気持ちは卒業しても変わることはなくて、、、。
村上が借金をかかえて行方不明としった矢先、見るも無残な姿で酔っ払らった村上を偶然見つけ拾うことにした宇野。

2人の不器用な同居がはじまる。
最初は、お風呂もはいらない、部屋は汚す、お金は盗む、そんな村上を見てたらいつか嫌いになれるかも?と思い好きさせていたけどいつか、村上がお金をこっそり戻すようなり、ご飯まで作ってくれるようなった。
そんな中宇野の今ある幸せが期限つきならすぐに壊してしまいたい。これ以上、幸せになったらこのあと村上がいなくなった時どうしようもなくなる。それなら今のうちに、、、。と村上と縁を切ろうとする気持ち痛いけどわかるよ。
どん底でホームレスでギャンブル依存でお金を盗んだのに何ひとつ言わずただ居させてくれた宇野に感謝とみんなが見捨てた中見捨てず拾ってくれたことで宇野に依存していく。
ラストの抱き合う2人はまだ未完成の愛の形かな〜と。
村上はこれからみんなに借金返す努力しなきゃだし、過去から進まなきゃだしきっと宇野とは甘いだけの関係じゃいられないんじゃないかな。と幸せになってほしい。って思うラストでした。

13

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