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表題作翻訳家は愛を知る

永倉啓一,異動で翻訳児童書担当になる編集者26
庄野智久,翻訳家で古書店店主28

その他の収録作品

  • 翻訳家は愛を知る second story
  • あとがき

あらすじ

週刊誌の編集である永倉は、顔もよく処世術にも長け、プライベートも相手に困ることのない華々しい日々を送っていた。
けれどある日突然下りた辞令――それは児童書の『翻訳編集部』への異動。
そこで出会った翻訳家の庄野は人嫌いで気難しい変わり者だが、翻訳した本は必ず売れる実力者。
自分が気に入った本しか訳さないという彼から仕事を取るため、庄野の元に通う事なり! ?
チャラいイケメン編集者×繊細で気難しい翻訳家のアダルトラブ♥

作品情報

作品名
翻訳家は愛を知る
著者
 
イラスト
小路龍流 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
翻訳家は愛を知る
発売日
ISBN
9784796405980
2.9

(10)

(0)

萌々

(2)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
26
評価数
10
平均
2.9 / 5
神率
0%

レビュー投稿数5

凍った心を融かすには…?

“人タラシ”と呼ばれる程のアポ取り名人、永倉は、出版会社の編集者。
見た目の華やかさをフルに活用し、時には控えめに、
相手次第で臨機応変に接する事のできるコミュ力の持ち主です。
バイセクシャルゆえ相手に困る事もなく
両親の夫婦として冷えた関係性を見てきた過去から、
誰にも執着せず、楽しい恋だけをしてきた男が
はてさて、永遠を信じたくなるお相手とは…。

児童書の翻訳って、きっと小難しい感じではないので
実のところ私も「そんなに難しくないんじゃないかな?」って思ってしまったのですが
ナルホド、ちょっとしたニュアンスで別モノになってしまうんですね!
週刊誌を以前担当していて忙しすぎた永倉が、
最初児童書翻訳を甘く見ていたのに、
もうこれ以上冷たくされる事はないって言うくらいの初対面から
徐々に努力して距離を縮めようとする姿に好感が持てました。

本当に冷たかったんですよ、取りつく島もない翻訳家の庄野が!w
美人だから尚更冷たさが際立っていたんじゃないかなぁ…。
永倉の百戦錬磨、見事撃沈!は、正直ちょっと楽しかったですけどもねw

庄野には庄野のワケが有り、永倉には愛を信じられない理由が有り、
それをお互いが上書きしていくという
わりとしっとりしたお話でした。

流れがスムーズで読みやすいのですが(以下めっちゃネタバレです!)↓

ストーカーから庄野を守る、永倉刺される、入院、退院後庄野が看病。
庄野の初めての相手が永倉に似たタイプで云々は
予測出来る展開だったので新鮮さは残念ながら感じられませんでした。
(すみません!!)
あの時こうだった、などは「うんうん、そうだろうねー」ってなっちゃったので…。
意外さを求めないならば、“頑なな態度の美人受けがついにデレを!?”
というのを楽しめる作品です。
あまりにも度々庄野がピンチの時に永倉が現れてくれるのでw
そうでなくちゃ庄野も心を開いてくれなかったかもですが…。

ただ、永倉が庄野に対して誠実な態度だったり、
おばけや幽霊の類が苦手だったのは可愛かったしかっこよかった!
自分よりも庄野を優先して感じさせたりね……って
そこでそれが嫌だって言う庄野がまたかんわいい!!w
付き合ってもでれっでれにならないので、
その匙加減が美味しい二人でした!

5

日常描写がステキ

バイで人タラシの週刊紙編集・永倉(攻・26歳)は
翻訳編集部に異動となった初日、
アメリカの児童書の仕事を任される。
腕がよいと評判の翻訳家・庄野(受・28歳)を訪ねるも
気難しい彼を怒らせてしまい…。


永倉(攻)は『人タラシ』といってもチャラい印象はなく
仕事に真面目で気配りもできる男前。
浮気症の父親と家にいない母親に
子供のころ何度も寂しい思いをさせられた影響で
人を愛したり信じたりすることが苦手で
適当な恋愛しかしてこなかった人です。

庄野(受)は、古書店をひっそりと営む翻訳家。
両親を事故で失い、遺産目当ての親族たちの争いを
目の当たりにした経験から人間不信気味で
初体験の男(永倉似)に裏切られたことから恋愛にも臆病で
…というかなりの苦労人です。


二人の距離が縮まっていくきっかけや、それぞれの言動に
ちゃんと理由が説明されていて、とても分かりやすいです。

たとえば永倉が庄野の家に出入りするようになるきっかけは
庄野がストーカーにあっていると知り
昔インタビューしたストーカー被害者の女性のことを
思い出し、庄野が心配になったため。

庄野が永倉につれないのは、
初カレに捨てられたトラウマから
重い面を見せて永倉に愛想をつかされるのが怖いため。

エピソードのひとつひとつから
永倉の優しさ、庄野の可愛さがさりげなく窺われ
読み進めるほどに彼らに対して愛着が湧いてきます。


また、永倉はホラーが苦手。
普通なら「可愛い」で終わってしまいそうなこんな一面も
永倉に子供時代のエピソードを語らせることで
物語に切なさをプラスしていて、上手いなと思いました。

後日談の、永倉の元カレのエピソード
(彼の母親が父親からのDVに苦しんでいる)は
この頁数でやるには重すぎたような?
でも、元カレの母親のため奔走する永倉の人の良さは
伝わってきました。


コロッケが美味しい近所の肉屋さん、
怪奇書が充実した古書店、
犬の出てくるアメリカの児童書…。

アイテムのひとつひとつにリアリティがあり、楽しい。
こんな人たちがご近所にいそうな、
自分もこの物語の世界の一員のような身近さを感じる一冊でした。

3

翻訳家物が読みたくて・・・

なぜだか無性に翻訳家の出るBL小説が読みたい!!という気持ちになり、ちるちるサイトで検索しヒットしたのがこの作品でした。
表紙のイラストがきれいだな~、というのと、あらすじも興味深かったので読んでみることにしました。洸先生作品も初読みです。

処世術にたけた軽い男の攻め様が、引きこもり気味の翻訳家である受け様を(翻訳の仕事を受けて欲しいと、)仕事で口説き落としている内に、本気で受け様に恋をしてしまうのですが、受け様がなかなか気難しくて・・・

受け様がゲイと自覚していて、そのことを悩んでいる訳でもなく、更にはどうやら経験済・・・というのが私的には途中ちょっと萎えポイントだったのですが、実は不器用で純な受け様の姿がどんどんあらわになっていくにつれて、また気分も盛り上がってきました。
攻め様と受け様の初Hの際も、初々しさを感じさせるようになっていて、その文章テクニックに感心しました。

1

美しい男に恋をした軽い男

洸先生の作品は2作目。はじめに読んだ作品はテロ捜査員の男臭い硬派ものだったので、本作は随分タッチが違うなぁと驚きました。
2人がバイとゲイの設定なのがまず拍子抜け。
出版社社員・永倉が翻訳編集部に異動になる。初めての仕事は児童書の翻訳依頼。
だが永倉はイマイチやる気なし。
児童書なんて。
だが、依頼に行った翻訳家の庄野にそんな本心を見透かされ、いきなり口喧嘩をして怒らせてしまう。
人タラシとして有名な自分としたことが!
…とここでもう「第一印象最悪の2人が恋に落ちて」パターンね…と思ってしまった。
しかも庄野は美形なのです。
そりゃあ今まで狙った男も女も食ってきた永倉ならねぇ…的な?
ところが、初めから永倉は庄野に誠実なのです。
遊び人に恋して苦しんだトラウマ持ちの受けと、永遠の愛なんて信じなかった攻めが心の距離を狭めて行って…という恋物語で読後感は決して悪くない。
でもなんか足りないんだよなぁ…
私的には、ちゃんとその大元の児童書作品の内容や、翻訳の仕事、編集の仕事も絡めて欲しかったかも。
お仕事BLの要素が少なかった。

「翻訳家は愛を知る second story」
永倉と庄野が恋人になって3ヶ月。
永倉にとってはそろそろお付き合いの最長記録が近づいてきて、今度は本物の恋なんだ!と気負っている…
だがデート中などに以前のセフレと鉢合わせたり、高校時代に付き合ってた同級生なんかが現れる!
ここは正直、波乱のための波乱という感じ。
そして予想通り「雨降って地固まる」だけど、庄野には可哀想だったかな?

イラストは小路龍流さん。非常に美麗で麗しい絵柄。
ですが美しすぎて特に受けの庄野がイメージと違った。

1

気づいたら読み終わっていました

電子書籍で読了。挿絵、あとがき(洸さんだけでなく小路龍流さんのイラストあとがきもありました。これが可愛らしい!)あり。

自分で付けておいてこう言うのもなんですが、ちょっと評価が辛いかも。
辛くなってしまったのは、読み終わった後の『肩すかし感』が大きい様に感じちゃったんです。
好きな要素がいっぱい入ったお話だからなんだろうと思っているのですが。

「キラキラしい世界で仕事をしている仮面夫婦の父母を見て育った所為で、同じ人とずっと続く関係を信じられない」という人誑し編集者の永倉も、恋愛に傷ついた過去を持つ美貌の翻訳家兼オカルト専門古書店店主の庄野も、私の好みのど真ん中なんです。
出会いからして最悪だったこの二人がどうやって心を通わせていくかにすごく期待したんですが。

何が私に合わなかったのかなぁ……
色々なエピソードが詰まっていて、それ自体は可愛らしかったり男気を感じたりしたのですが、そのエピソードを通じて二人の心が動く様が今ひとつ『ガンと来なかった』とでも言いいましょうか、その部分を『さらっと読んでしまった』のです。

根が単純な所為か「ここで盛り上げますよー」というサインが派手に出ていないと、物足りなく感じてしまうのかも知れません。
個人的な感想をひと言で言えば「なんか、惜しい」。

2

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