ボタンを押すと即立ち読みできます!
読む前はまったくピンとこなかったのだけど、読み終わってみたらこれ以上素敵なタイトルはない!!と思うようになりました。
受けの杏里が惚れ惚れするほど男前で、そこがすっごーーーーーく好き。
この神評価は男前の受けに対して捧げられています。
杏里はハーフで海外育ちということもあり、広い視野を持つ自由闊達な青年です。
そして大学生でありながら世界を舞台に踊るプロダンサーなので、プロとしての矜持、鍛え上げられた肉体、誰もを魅了する優雅な容姿を持っています。
そして名家の子女が通うことで知られている大学でも名門中の名門として異色の存在感を放つ江神。
彼が所属する社交ダンス部にコーチとして呼ばれた杏里と、ダンス部のトップである江神は最初反目しあうも、試しにペアを組んでみたらあらびっくり、相性抜群。
尊大な江神VS率直な杏里なので、口を開けば険悪になりかけるのだけど、一緒に踊ればこれ以上ないほど相性抜群で、杏里が思わず気持ちが高揚していくところがとってもいい。
ここが妙にエロティックなんです〜。エロの気配もないんだけど。
お互いが持ち合わせている根源的なリズムが本能にピッタリくるとかエロすぎる。
だって、めくるめく世界が待ち受けてるのは間違いなしだもん。
そして杏里は、無理な注文も難なくこなす江神が実は非常な努力家で、「持つ者」としてのあれこれに雁字搦めになっている孤独な王様である事も見抜いていきます。
そんな王様が、恋(初恋)に落ち、不器用に、そして人間臭くなっていくというかヘタレた姿を見せてくれる攻め視点の「スワロウテイル」もすっごくいい。
江神の婚約者騒ぎが原因で杏里から距離を置かれてしまうんだけど、突如江神が悟るんです。
杏里を手に入れたのではなく、彼が彼の意思で自分の腕の中に収まってくれているだけだということを。
そして自分がいくら名家の出とはいえ、親に養われている身であるのに対し、杏里は自由でその気になればいつでも世界へ行ける人間であることを。
そして焦る江神……。
ここのシーン、好きです。
そしてタイトルに繋がる「きみを攫いにきた」と言う杏里が痺れるほど男前なんですーーーー!!!
作中でここが一番好き。
義理としがらみで雁字搦めになっている王様の目の前に立って、「王様、お手をどうぞ」とばかりに手を差し伸べる。
かっこよすぎるーーー!!!
そして、そんな凛々しい受けを前に「どうか見捨てないでほしい」と懇願する王様という構図もこれまた壮絶においしい。
男前受けが好きな方でしたらすごく楽しめると思います。
軽やかに、そして優雅に、攻めよりも半歩先を進んでいるような受けです。
夕映先生のブログに番外編SSが二つ掲載されていますので、そちらも読後に是非!
夕映先生は、文章が丁寧で読みやすい。
そして、読者サービスもマメな方だった。
この作品のSSは、ブログに投稿されています。まだ閲覧可能。
★『王様お手をどうぞ』SS
http://yueinfo.blog.fc2.com/blog-entry-60.html
クリスマスには素敵なダンスを
★王子のキスと王様のキス ―『王様、お手をどうぞ』SS
http://yueinfo.blog.fc2.com/blog-entry-34.html
こんなに面白い作品を描いていた夕映先生が、突然亡くなったのは、昨年。
おもしろかったー!
一気に読んでしまいました。
社交ダンスで始まる大学生同士の恋愛です。
最初は、攻め江神のまさに王様然とした傲慢な態度にムカムカしますが、それを補って余りある受け杏里の魅力ときたら。
生命力に溢れ、まるで内側から発光しているかのような杏里の描写に、とても惹き込まれます。
吸引力があるんです。
そりゃあ、王様江神も陥落しますよ。
とにかく素敵!
あぁ…杏里を絶賛する語彙力がない私。
伝えきれなく、もどかしいです。
このもどかしさを分かち合いたいので、ぜひぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
そんな杏里に恋をし(なんと初恋)、気持ちを浮き立たせる江神が、もうねー。
だんだん角がとれて丸くなっていく過程が自然で、本当におもしろ…いや、甘くて幸せな気持ちにさせられます。
後半あたりでは、最初の頃のふてぶてしさが跡形も無い状態。
もう一度アタマから読み返して「こんなオトコが、あんな感じになっちゃうんだぜ…」と思わず遠い目になってしまいました。
杏里と江神は、互いに手と手を取り、未来を共に生きていけるんだろうなと確信できる、とてもスッキリとしたラストでした。
社交ダンスの描写が随所に織り込まれ、華やかな印象の残る作品です。
いや、もう、この作品の魅力はひとえに「受け様の魅力」でしょう!!!
自分の芯・核となるものを持っている人の強さ・格好良さを、まざまと見せつけられた感じ。
杏里!!!大好き……ああ、この気持ちを十分に表現できる語彙力が自分にあれば、、と残念でなりません;
自分を支える「ダンス」という核と、ブレない強さ。
「俺が受け側で固定なの?」とストレートに聞き、「俺は抱きたいが…」と怯む攻め様に「抱き合えるならどちらでもいいんだ」とあっけらかんと言う、その真っ直ぐさ。
で、見た目は身長180センチでストロベリーブロンドの髪を持つ王子様・:*+.
気になるものがあると、じっと見つめてしまうのが癖。
……こんなん、「好きになるな」っていう方が無理だよね!!!!!
”家柄”というものにがんじがらめになっている江神が、それこそ磁石に吸い寄せられるように杏里に夢中になっていく様にも、大・納・得!!です。
そして二人を繋ぐきっかけになり、杏里を支える大切な存在である”ダンス”。
夕映月子先生ご自身も社交ダンスをされていたか、またはとても綿密に取材をされたんだろうなということが分かる詳細で美しい描写に、挿絵がなくとも二人の踊る姿がイメージでき、うっとりしました。
先生がお亡くなりになっているため、この二人のそれから…は永遠に見られないのだなと思うと、本当に悲しく残念でなりません( ; ; )
別の作品のレビューにも書きましたが、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。。
登山、歳の差2作、と来て今作は ええー!これが夕映月子さん!?と思うほどにキラキラして、甘くて、
あとがきに”脱地味”なんて書かれてましたが(笑)ハイ、確かに脱地味できてましたよ~♪
でも、ぴったり凹凸がはまる感じのとても良いカプが主人公のお話に思わず引き込まれました!
やっぱり夕映さん作品、好きだなぁ☆☆☆
思わずドキワクしちゃったよ。
幼い頃外交官の父親に連れて行かれたお城で、双子の姉とこっそり覗き見た大人のダンス風景にダンス講師でフランス人の母親から聞かされていた王子様とお姫様を見て、それからプロダンサーとなり日本に帰って大学生でもある杏里。
彼が母親やパートナーでもある双子の姉と共に、由緒正しい家柄の子女が通う名門私学の社交ダンス部の講師に招かれる。
そこで目を奪われたのは、王様然とした風格を漂わせその場の中心であろうと思われる江神という男だった。
しかしこの社交ダンス部は名ばかりの唯の「社交部」であり、杏里らは唯の名目上として呼ばれただけだという。
何とかダンスの練習にこぎつけたものの、異性でペアを組むなんてとんでもないと言われ、そこで仕方なく同性ペアで練習をすることになるのだが、
江神と組んだ杏里は、彼とのダンスで相性の良さを感じ、そして彼の仏頂面の影に隠れた笑顔を見てみたいと思うのですが・・・
この杏里と江神の対比が非常に解りやすくよい組み合わせでしたね。
父親の仕事のせいで海外を転々とし自分が何人なのか国籍が不明な不安定さの中で生きてきた彼に培われた強さ。
欧米的な立ち回りと論理的な思考で良く考えている。
江神は生まれの為もあり家柄に縛られ、無駄な事だと色々を諦めている感じ。
この由緒正しき家柄、という部分の典型な人として描かれている気がします。
そんな江神の殻を破るのが杏里なのですが、
それがダンスを通して触れ合いが生まれることで、段々と開かれていくのがドキワクを呼ぶのです。
男同士のダンスシーンに萌え~とかあったりはしますが、そういう事よりもやはり魅力的な、そしてとても前向きで男前な杏里にこのお話は目を奪われます。
もちろん、悩み苦しみもあったりはしますが、決して弱音を吐かない。
ポジティブな面がすごく好感が持てるのです。
そんな彼だから、江神が惹かれていく様が面白いようにわかって、楽しくなってしまう!
どちらかというと江神が杏里にメロメロな感じがするかな?
セレブ設定、ハーフ、社交ダンス。こうしたキラキラ要素だけで話がキラキラするわけでなく、キャラクターの魅力がキラキラしているのがいいのです♪
次にある【プリンス・スワロウテイル】では江神視点になります。
部の合宿で出た江神の婚約の噂。
それの誤解を解けずに杏里が海外遠征へ行ってしまう。
江神が杏里が好きでたまらない様子がまるわかりになり、一層江神のちょっぴり不自由で不器用で、でも王様な感じを崩さないメロメロぶりが露わにされましたv
初めての恋に江神が自分で考えて、行動する。
江神の成長もあるのですね。
最終的に、自分がどうしたいのか、どうあるべきか、
自分で決断をして妥協でない生き方を決めるという方向性も、自分にはとても好ましい要素でした。
ロマンチックもあり、現実も背負いながらシリアスもあり、
浮ついた感じがしない作風に希望があっていいな~