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あれ?
全体の評価は高くて、レビューも多いのに『神評価』は私だけなのね……
確かにLOVELOVEしくはないお話だものなぁ。
でもね、心の全てを山に奪われている2人が、その心情を最も解り合える人に強く焦がれるのは、恋のひとつの形だと思うんですね。
小田切も佐和も、とことん山に魅せられている。
彼らの一番の恋人は、まず『山』なんだと思うのですよ。
でも、山はただ優しいだけの恋人ではないのです。
自分に力がなければその懐に入れない。優秀なアルピニストであったはずの小田切の叔父のエピソードに示される様に、非常に気むずかしくて無慈悲な一面を持っています。
だけど、って言うか、だからこそ彼らの山への熱愛は募ります。
彼らにとって、生きること=山に挑むことになっちゃっている様に思います。
そんな山に挑む時に誰とバディを組みたいか?
登頂した素晴らしい空気を誰と一緒に味わいたいか?
これって、何よりも大切な選択じゃないかと。
だって自分の一番大切なものを、自分の生きる意味を「シェアしたい」と思うことですから。
表だって見える訳ではなくても、実は、とても激しい恋だと私は思いました。
『激しい恋』なんて書いちゃったけど物語の中で2人がするのは、目指すものに対して同じ方向を向いて、お互いに尊敬し合って、相手の傷に気づいた時には大げさに手当をするのではなくそこにそっと手を当てる様な、静かな恋愛です。
そんな風だから、余計痺れちゃったのですよ!
目標を持って努力する人の、ストイックな恋愛模様がお好きな姐さま方に自信を持ってお薦めします。
とても好きな作品です。
山でしかうまく息ができない男とその男の隣にいることを選んだ男。
登山を全く知らなくても緊張や景色が感じられました。
偶然、SSを目にしてこの作品と先生に出会えたことをありがたく思います。
登山?全然興味ないし……と思ってたんだけど、読んでみたら、ナニコレ!萌える!素敵!が続出でした。
考えてみたら危険と常に隣合わせの登山でパートナーを組むって命を預けるじゃないけど運命共同体みたいなもので、そこには予想もしてなかっためっちゃアツいものがあって目から鱗というか、登山いいわ〜!!山男同士いいわ〜!!と、新しい世界を開いた気分です。
幼い頃から父に連れられて山を歩いていた受けが、学生時代に山で見かけた攻めに憧れ、彼だけを目標にしてひたすら背中を追い続け、どうしたら一緒に登ってくれるか四六時中考えてるうちに恋に変わっていく……
そこに不自然さを感じませんでした。
ノンケが男を好きになるって現実は無理だろ……って思ってしまう自分がいるんだけど、彼の側に居たくて、登山のパートナーとして選んでほしくて寝ても覚めても考え続けているとか、もう恋と同じようなものでしょうと思えたし、その熱さが次第に恋に変わる過程がBLファンタジーではなく血肉の通った感じがして納得できちゃいました。
そして美しい風景描写がとても良かったです。
山に登らずして山の魅力を味わうことができました。
特に夜から朝へと刻々と変わっていく山の景色のシーンが好きです。
その天空のスペクタクルをただひたすら二人で見つめて、言葉を発したのはようやく30分も経ってから…というところが痺れた。
楽しくお喋りができることよりも、沈黙を共有できる存在って何よりだと思うので、この二人の関係性、尊い…と。
幼稚園生でも登れるという山くらいしか登ったことがないので、二人が歩く「奥穂高のジャンダルム」とやらをググってビビりました。
どひー!人間ってこんな所、歩けるんだぁ……みたいな目が点&尊敬の念。
一冊めちゃくちゃ楽しめたのですが、すんごく色気のない感想を一つだけ。
最後にようやく二人が体を重ねるシーン。
登山の途中で悪天候のためにテントを張った中で行われるんだけど、この人たち登山してから何日目?お風呂何日入ってないっけ??というのが気になって仕方なかったです……。
下山してお風呂に入ってからでも良かったと思う……。
登山を軸に佐和のおおらかさで、頑なだった小田切の心を解してく。
命を預け合う、山の美しさや達成感を共有したい、そう思えるのは特別な相手だからこそ。山岳バディとしての信頼関係を築く過程、この気持ちの意味を考えちゃいけない、でも目を反らせない…と恋を自覚するとこ、しみる!
佐和の負けん気が強いけど素直で無自覚なこと言っちゃうとこ、時おり見せる無骨な小田切の穏やかさ、ストレートに煽っちゃう佐和、むっつりな小田切!!甘いわけじゃないのに二人のやり取りに魅せられる。山の雄大さも素晴らしくて素晴らしくて、爽やかな充足感!!木下けい子先生のイラストも雰囲気に合っててとっても素敵でした。
これ、好きです!
こういう世界もあるんだなぁ、男同士の楽しみ方だなぁ……と、登山という未知の世界に引き込まれました。
景色やシチュエーションの描写が素敵。
ご来光や星空、明け方の空、夕焼けの空。
どの描写にも心躍りました。
男が男に惹かれる。
ノンケ同士なのに、それを当たり前のように感じさせてくれた所が素晴らしかった。
小田切と叔父の叶、佐和と小田切、叶と佐和。
それぞれの関係性にグッときてしまって、ラストの小田切と佐和の約束には涙が出ました。
小田切は、ずっと叶を探してたんですね。
そんな小田切が佐和に心動かされ、そんな自分を簡単には受け入れられない……といった、心の葛藤や変化が分かりやすくて共感しやすかったです。
しっかりと心に残る作品でした。
他の作品も読んでみようと思います。