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表題作その胸の赤を

中曽根星子(なかそねせいじ) トマト栽培家
及川真 高校生→調理師専門学校生

その他の収録作品

  • あの赤を越えて【シリーズ続編】
  • 海を繋ぐ赤は[前・後]【シリーズ続編】
  • 島に満ちる赤と【シリーズ続編】

あらすじ

慣れない離島での暮らしに鬱々とする真。トマト農家の中曽根家、なかでも星子に温かく迎えられ心ほどいてゆくが…。初コミックス!!

作品情報

作品名
その胸の赤を
著者
黒田リサ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344831667
3.4

(19)

(5)

萌々

(4)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
62
評価数
19
平均
3.4 / 5
神率
26.3%

レビュー投稿数8

物語りたいこと

結局の所、この1冊しかコミックスのない作者さんの本。
このコミックス、丸々1冊費やしても、星子と真の二人の関係をなぞるのも駆け足で、二人それぞれの、家族との関係とか過去とか、いろいろ語り足りていないところもあるけれど、それでも、これだけは伝えたいんだっていう、物語りたいことがはっきりしているので、読後の満足感は高い。
絵も、はっきりいって、きれいとか、こなれているとかとは言いがたいけど、ストーリーを追う方に心を持って行かれるので、細かいことは気にならないかな。
エロやいちゃいちゃを求める方にはお勧めしないけど、こういう作品、私は結構好き。

2

壮大なストーリー

壮大なストーリーだなと思いました。

父親は真を放置で仕事人間。

義理の母は若くて遊んでばかりだけど、少しは真のことを気にかけている。

真が家族のことで悩み、星子の家族が暖かくてずっと島で暮らしたいと思っていたところに父親が海外赴任から帰国で家族3人東京で暮らすことに。

父親が少しは父親らしくするのかなと思ったけど、3人でご飯食べたりするけど真が進路を決めて父親に話しても話はそれだけか?で終わり。
この父親はいったい何がしたかったのか。

高校卒業 専門学校に通って調理師の免許を取得。
島で星子の作ったトマトを使いお店を出したいというのが真の夢。

星子の家族はみんな応援してくれてる。
でも、星子と真が付き合ってると星子の母親にバレて説明はしたもののすぐには受け入れてもらえなかったりと波乱もあり。

でも、最終的にはハッピーエンド。

わからないのが…
島に戻ってからの金髪っぽい女の人って誰?
義理の母?一緒についてきたの?
真の本当のお母さんの話とか、幼い頃の回想シーンには出すのに親が離婚した理由とかちゃんと描かれてなくて中途半端だなと思いました。

星子の双子の弟の空、体が弱くて死んじゃったらしいけどそこもちょっと中途半端かなと思いました。
まあ、トマト嫌いの星子がトマトを作ってるのは初めて作ったトマトを空が食べて美味しいと言ってくれたかららしいけど。

色んな人と出会って、真の人生の壮大なストーリーだなって思うんだけど、中途半端に描かれてるところも多くてわからないところもけっこうある。

でもイラストも内容も嫌いじゃないです。

2

胸に染み入る赤

原色のカバーにはどうしても目がいってしまいます。
厚みがあるので(あとがき含め255ページ)時間があるときに、
と思いとってありました。

きっかけは「トマト」で出会うふたり。
新しいだれかに出会うことで自分にはなかったものを感じ、そのよさを知ってしまったら、うらやましいし、やっぱりそれをほしいと思うことはシンプルに人間らしい。いろんなものを巻き込みながらも自分なりの愛を返していくことで、また愛を得る成長ストーリー。大切な人はきっとどこかで見ていてくれるし、その大切な人にこそ伝わる本気が気持ちよかったです。

大人数が揃って床に座り食卓を囲むページが印象的なのですが、そこから、ふたりのページ、ひとりのページへと移るとこちらまで急に寂しくなるんです。めくるたび、心情の変化がみえるような一冊でした。
真の家族のことはあまり語られないところがかえってトマト一家を大きく見せ、早く会いたいなと思わせてくれる。その大家族についても、決して細かく説明があるわけではないけれど、この案配がよかったのかも(ただでさえ自分は家族ものに弱いので偏りすぎてしまいそうです)。

ところで。表紙を見ると手前に写っている真ちゃんは子供みたいに小さいようですが、私のイメージではまぁ華奢ではあると思うがそんなに小さくはない。そんな情報はありませんが女の子にも普通にモテそうな。そしてこの後ろのビッグガイは、星子と書いて「せいじ」でステキな名前なんですが、後半になっても「ほしこ」と読みかけてしまうのを勝手に楽しんでおりました。星子が190㎝あるんだよねきっと(笑)。星子は年齢もイマイチ掴めない感じですが20代前半でしょうか。これからもふたり一緒にゆっくりと成長していってほしい、とっても純愛なふたりだったのです。

3

鍵となる赤

波乱含みの内容を上手く淡々と描ききった、
そう言う作品だと評者は読み取りました。
淡々とした理路整然の中に句読点として
折々に登場するトマト。
その意味する所は物語の中でさりげなく
語られていて、総タイトルに更なる深みを
与えています。
カバーと帯の赤のさりげない違いは偶然の
産物なのでしょうが、そこにも何かが込められて
いるのだろうかとふと考えてしまいます。
同じ赤。でも違う赤。だから恋をする。
そう言う風に評者は装丁に対して勘繰りました。
正解ではないでしょうけど。

3

かぞくのはなし

トマトが食べたくなる(*´ω`*)
こちらのレビューを拝見して読んでみたいと思って購入。
これはBLなんだけど、それより家族の話って感じがした。
みんなが笑っていられますように(*´∀`)

メイトで分厚さにびっくりしたけど、厚さを感じさせない内容だった。
むしろもっと高校時代のエピソードあってもいいのよ?って思ったくらいw
あと中曽根家の家族それぞれもうちょっと詳しく知りたい。

1

孤独な心が帰る場所

真っ赤な表紙がまず目を引きます。
トマト農家が出てくるということで、 河馬乃さかだちさんの『トマトのてのひら』と似た路線?(なら面白いかも…)と思い手にとってみました。


義母に連れられ、都会から離島へ越してきた高校生の真と
トマト農家の長男・星子(せいじ)の約4年の軌跡を描く作品。

意外な展開もHもないシンプルな話ですが、
登場人物たちが本当にいい人で癒されます。


家族がバラバラで一人ぼっちの真。
独りでも平気と強がっていたが、星子とその大家族に温かく迎えられ、心のよりどころができる。
そして、誰より美味いトマトを作る星子が
亡くなった弟のことがありトマトを好きでないと知り、
今度は自分が星子の力になりたいと自ら動く。

居場所ができたことで
強く優しく変わっていく真の成長が良いです。

やがて東京に戻る真が、調理師としてまた島に帰ってくる、
ここで店を開くと星子に語るシーンには
自分の居場所を得た者特有の強さが感じられ感動的。

真が東京へ戻ってからは、付き合う前の微妙な距離感
(互いの合コンや見合い話を電話で聞いてこっそり凹む)
に萌えました。
星子は年齢のわりに全く性的な欲が感じられず
ちょっとキレイすぎる違和感はありましたが、
作品のカラーにはマッチしていたと思います。


非常に今の日本でウケそうなタイプの作品と感じました。
古きよき時代の朝ドラに似たノリかもしれません。
田舎の人びとは(一部を除いて)皆優しく実直で温かくて
誰かが困ったときは皆ほっとけなくて
秘密や恋も皆で共有して大団円。

あまりに理想的な田舎・家族像は
やや古くステレオタイプ的にも思えますが、
癒しを求めるときには大変お薦めの作品です。

4

みんなが笑えるように

 舞台は離島のトマト農家。11人の大家族。義母と2人で越してきた主人公の孤独な心と島の人達との交流。大切なものを見つけて、それを守るために自分がどう成長できるか。いい事ばかりじゃないけど人の数だけ暖かみがある物語でした。

 表紙のどぎつい赤と大きく描かれたタイトルには雑な印象を受けましたが、中身は素朴で丁寧。白を基調とした扉カラー絵のほうが作品のイメージに合っていて好きでした。2人の笑顔と少しだけ触れている手にぬくもりを感じ、トマトの赤とネクタイの赤とひっそり添えられたタイトルに力強さを感じます。

 家族がバラバラになり現在は義母と2人暮らしの主人公・真と、大家族の中で育った星子(せいじ)。
 2人の出会いと、少しずつ通う心。離れて揺れる心。恋心に気付いて戸惑い、弱くなったり強くなったり。覚悟と決意。心の動きが丁寧で優しく、押しつけがましくなく自然だけど芯のあるストーリーに慰められ、力づけられました。
 離島の風景描写が美しいですし、ゆっくりと惹かれあい、じっくりお互いの将来を考える2人の真摯さが絵柄によく合っています。

 約70ページの描き下ろしでは、星子の両親が見せた甘やかさない優しさに心うたれました。
「みんなが笑える選択を」
 家族を傷つけないよう、お互いの気持ちを犠牲にしかけた2人。けれど母の望みはそんなことではなくて。家族のために2人が我慢するのではなく、「みんな」の中には真と星子も入っている。狭い島の中で2人が愛し合って生きて行くのは容易ではありませんが、暖かい愛情に包まれて安心できるラストでした。

6

家族になる

すごく拙い感じのする絵。題名もまるで手描き。
でも、赤がとても印象的でそしてこの本の厚み。期待していいんじゃないだろうか?
・・・ああ、今自分が欲しているお話でした!
最近ルチルのコミックは現在の自分のツボど真ん中を突き刺す作品が多くて、こういう誠実系にはまる時期がめぐってきたんだな~としみじみ実感します。(歳のせいかw)


父親の海外単身赴任で、義理の母親と離島にやってきた高校生の真。
しょっちゅう、船で本土へ遊びに出かける義母に一人ぼっちで取り残される真はトマトを盗もうとして、その家人に呼び止められ家に連れて行かれる。
そこで待っていたのは島の特産であるトマトを作っている3世代の大家族。
大勢の家族に囲まれ歓待され面くらう真だが、次第にうちとけ、長男である星子(せいじ)と近しくなっていく。


島に来て2年、更にその先2年、さらにその未来のお話もあり、じっくりとじんわりと2人の仲が葛藤や迷いを経て進行していくのがよい。
恋愛の元にある、自分に何ができるか、何をしたいか、そういった地に足のついた着実なモノの下、家族も含めて2人のあるべき姿へといざなわれていく展開が、自分のツボにはまったようです。
こうやってみると、すごく色々な要素がテンコ盛りで入っているのに、散漫な感じがしなくて、芯が一本きちんと立っていてそれに肉付けがされている様子が伺える。
それがぶれない引きこまれる魅力になっているのかもしれないです。

真の家族は個々がバラバラで心の交流がない感じがします。
義母の様子も、最初の頃のだととてもいい加減で仕方なしにという感が満載で、父親はどうしてこんな女と?と思うほど。
その父親がまた冷たそうな人で。
本当の母親とは離婚したようなのですが、そこでの母親の幸せな姿を見て真がショックを受ける様子も挟みこまれていて、彼の寂しさが一層倍増しに強調されているような。

星子は、いや星子も始めきっと両親も星子の弟を亡くした事を忘れられないでいて、それにこだわっている部分が伺える。
特にそんな亡き弟へのこだわりを、真がとっぱらってくれた。
彼の真摯で一途な想いが星子の心を動かしたのが、真を特別にかわいいと思えるきっかけになったのだと思う。

島の段階ではまだ特別な友達のような存在。
真が大好きになった島に戻る為にどうしたらよいか、自分で考えて行動して自分で切り開いて、そんな一途さがとってもよかったのです。
雑誌掲載は、2人が晴れて好きという思いを通じ合わせたところで終わっていたようですが、描き下ろしにてその後が描かれました。
これがあって、すごく完結したなという満足に繋がります!
大家族だからこその、避けて通れない家族の問題。
上手くいきすぎではなく、親もちゃんと考えて悩んで若者たちに答えを出させるという、その展開がとてもよかったのです。

キュン萌えとかそういう次元を飛び越えて、ストーリーとして登場人物達全てが愛おしいような、そんな物語。
家族のアリガタミ、そんなものも感じさせる大きな愛がそこにありました。


9

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