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作家志望の路郎(受け)が骨折入院させてしまった高校生の蓉平(攻め)から出された詫び条件は「一年以内に新人賞を獲ってその賞金を慰謝料にしろ」というもの。
そして「文章を見てやるから毎日5枚以上のSSを持ってこい!」と言われていろんなお題のSSを書くことになる……というお話なんだけど、このSSのトンチキっぷりが笑えました。
なにしろ最初のお題は「『星ミチル』という源氏名のオネエキャラの一人称で自分の半生を書け」というやつ。
面白いんです。
作家が書くプロ志望のまだ未完成ぎみな文章っていうのが。
本当に書いてるのはもちろん小林典雅さんなんだけど、あくまで書いてるのは路郎という作家志望の青年というところが。
おまけにこの路郎ときたら、超ボケボケキャラ。
「保守的」というお題でなぜか時代物の百合SSを書いてきちゃうわ、下心満載で出した「羞恥プレイ」というお題には、毛穴パックをしたままバイトをする羽目になったSSを書き上げてくるわ……
対する攻めの蓉平は、路郎からこっそり「ツンツン坊主」と命名されるほど毒舌。
だけど、小憎たらしい言動からごくごく僅かだけど路郎に対する思慕がうっすら透けて見えるので、そこが萌える。
そして路郎のあまりのボケ鈍チンっぷりに業を煮やした蓉平が、途中からどんどん押せ押せになって、挙げ句の果てに「ミチルン」「蓉たん」などあだ名で呼び合いたいと言い出す蓉平。
おまえ、そんなキャラだったのか……!みたいな。
この路郎は、作品にリアルな社会悪や悪役を作中に登場させないというポリシーの持ち主なんですね。
痛くて重い高尚作品のほうが評価されやすいのもわかってる。
でも「人生はそんな甘いものじゃない」とすべての小説で言わなくたっていい、
現実世界で充分つらいことがあるから、深みとか重みとかなくてもほっとできるような、心地よく読める話が書きたいと。
これはまさに小林典雅さんの作品そのものだなと。
そしてこれに諸手をあげて賛成!です。
こういうフフっと笑えて楽しく読める作品が無いと困ります。
この作品に深みとか重みとかは皆無だけど、こういう斜め上の突拍子もないものは小林典雅さんしか書けないと思うので、神です。
おおやかずみ先生の挿絵に小林先生の年下攻めという私にとって素晴らしい一冊です。
某ドラマを見て年下攻めに再熱し再読しましたが萌えが詰まってました。
泉野くんのハイスペックさと優しさとツンデレ加減にキュンキュンしまくりました。
攻めも受けも良い子で優しい世界です。
エロシーンは少ないですがキュンが止まりませんでした。
おすすめです。
小林先生の作品って、blとして萌えたい時よりも元気を出したい時に読むことが多いのですが、今作はそのどちらも満たしてくれる作品でした!
クールだけど本当は年相応な部分もあるかわいい攻め×無自覚天然受け
って感じでして、この攻めが良かった。普段は年上の受けに対して、やれやれしっかりしてくださいよ、のポーズを取ってクールぶっている攻め。だけどアプローチに全く気づいて貰えていなかったとわかった時のションボリ加減や素直に甘えてくる所にキュンキュン(もちろんbl的な意味で)してしまいました。
受けの天然ぽやんぽやんしたところも可愛かったのですが、年上らしくしっかり振る舞おうとする一面もあって、途中でキャラのパワーバランスが変わる場面があり、なるほどそう来たかと思いました。
受けの語る作品への想いはそのまま小林先生の気持ちそのままなのでしょう。もちろん全部の作品が楽しいだけの作品になっては味気ない。だけどしんどい事も多い世の中、小林先生のような気持ちで作品を書かれてる作家さんがいるということに、私は大いに元気付けられました。
ビタミンbl、今作も最高でした!
どんなに心で思っても、言葉にしなきゃ、自分の気持ちは伝わらない。
小説家を目指している路郎は、コンビニでのバイト中も、道を歩いているときも、小説の構想を頭の中でこねくり、こねくり。
今日もポヤンと歩いてて、うっかり車道に出てしまい、そこをイケメン高校生くんにすんでの所で助けられたけど、代わりに高校生くんが骨折してしまい、、、。
入院した高校生くんと話しているうちに、路郎は彼に毎日小説の習作を書いていって見せることになります。
主人公が小説家を目指している設定なので、主人公が書いてくる、ちょっととんちきな短編小説がおもしろい。
この辺は作者の小林先生も大いに楽しんで描かれたようです。
で、この主人公の路郎が、小説家なんて言葉を使う仕事を目指している割には、人の言葉の機微に疎いというか、ツン過ぎる蓉平のアプローチに全く気付かないし、
小説家なんて仕事を目指してるだけあって、すべてを自分の頭の中だけで自己完結しがち。
どちらも、一言ちゃんと言葉にして口に出していれば、些細なことですれ違うこともなかったのに、、、。
まあ、お話としては、ちょっとぐらいもめてくれないと盛り上がらないからね。
さて、はたして路郎の心の叫びは届くのか!
待ちに待った典雅さんの新作!
私が典雅作品に求めるものは、肩の力が抜けそうな笑いと癒しなので、この作品も、充分期待に応えてくれました。
典雅さんの作品に多く見られる「本筋とは関係ない小ネタ」は、今回は主人公の書くSSという形で出てきますが、これがまた期待を裏切らない。
ホント、BLでこういう「ぷっ」「くくくっ」と言う笑いをあやまたずくれる作家さんは他にいないと思いますし、ぶれずに姿勢を貫いてくれるので安心して読めますよね~♪
実際、今作でも、何回声に出して笑ってしまったか!
擬人化SSも笑いましたが「百合じゃないですか」のツッコミにも吹き出しましたし、ネタだけの「柑橘擬人化お笑いコンビもの」も読んでみたい!と悶絶しそうでした(笑)
主人公の天然ボケっぷりも、さすが典雅さん!の安定感。
たいてい主人公の心の中で展開されているツッコミが、今回は攻めのツンデレ台詞として展開されます。余計な一言てんこもりのツッコミにも何度も笑いました♪
後書きにありましたが「すこしでも元気な気分になるビタミンBL」を狙っている典雅さん。
ありがとう、元気になれました!
一週間くらいおいて、また読んで、気持ちも新たに笑いたいと思います^^