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表題作ねくたいや

永瀬一仁,百貨店の紳士服売り場勤務
有働友久,元同僚,ネクタイ専門店ねくたいやを開業

その他の収録作品

  • ねくたいや ことんことんと 1~4
  • ねくたいや おまけ(描き下ろし)

あらすじ

「告白したの憶えてる?」
「…憶えてる。どこがよかったんだ」
「全体。おまえと一緒にいるとしあわせを感じる」

永瀬は同僚で同期の有働に惚れていた。
告白するものの「社内恋愛は嫌だ」とあっさりフラレてしまう。
それから五年ーー有働が独立してネクタイ専門店「ねくたいや」を開業した。
永瀬は有働に会うため「ねくたいや」に通っているのだが……。

有働に片想いし続ける一途な男・永瀬(保証書付きの超ドヘタレ! )の
諦めることもできない恋の行方はーー!?

作品情報

作品名
ねくたいや
著者
歩田川和果 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
シリーズ
ねくたいや
発売日
ISBN
9784403664427
4

(44)

(13)

萌々

(24)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
13
得点
177
評価数
44
平均
4 / 5
神率
29.5%

レビュー投稿数13

初読みです。

不思議な雰囲気の表紙と「超ヘタレ攻め」に惹かれて購入。
博打だったのですが、大当たりでした!
正直なところ、絵の癖(口かな?)はかなり苦手なのですが、読み進めるうちに全く気にならなくなりました。
何でしょう、この素敵な会話のテンポ。
ほぼ二人で会話しているだけで、さほど大きな事件も起きません。
強いて云うならば、当て馬(?)が出たくらい。
彼も別に想い人がいるので、少し二人の仲をかき乱した程度でした。むしろ応援していたんですかね、あれ。

攻めくんが云うほどヘタレでもなく、ひたすらいい子でした。
嫉妬深い攻めは結構萎えポイントなので、妬いていてもあまり表に出さないで笑ってみせる感じがたまらないです。

どうやらこの話は比較的読みやすいとのことなので、他の本も読んでみます!
しかしこれ、掲載誌はディアプラスなんですね。
それに一番驚きました。

2

近くて遠い恋人との距離

「有働に片想いし続ける一途な男・永瀬(保証書付きの超ドヘタレ! )」
とあるけど、そんな超ドヘタレじゃないと思うな。
だって、かつて同僚だった頃、有働に告白したことがあるし…。本当のヘタレは告白すら出来ないと思う。
告白するも「社内恋愛は嫌だ」と振られて以来、5年間片思いしている永瀬。有働が開いたネクタイやさんにお客として月に一回通うのが精一杯。

実は有働も永瀬のことが好きな事が判り、その後、有働のねくたいやで店員として一緒に働くようになった永瀬。
一階が店舗、二階が作業場、三階が有働の私室なんだけど、この三階に一度も足を踏み入れた事がない永瀬。二階の作業場ですら永瀬が立ち入るのを嫌がる有働。三階も物だらけだからとやんわり拒絶されてしまって以来、永瀬にとってこの三階が近くて遠い。

この三階までの階段・距離が、心理的な象徴としてとても上手く使われていました。
ようやく恋人同士になったからといって、一挙に距離感がゼロになるわけではない。良いところばかりを見せる訳にはいかないし、知りたくない過去だって知ることになる。

相手に良く見られたい、嫌われたくないという思いを抱える有働が呟く「恋人ってこわいんだな」という台詞がなんとも良かった。

有働が天邪鬼なツンデレでちょっとメンドくさいのだけど、ようやく聞き出せた本音が可愛い。社内恋愛を断った理由も、3階に入れたくなかった理由も。
「好きだから腹をくくった」有働を優しく包み込む永瀬。この構図に萌えました。

ただし当て馬にもならない環が少々出しゃばり過ぎな気がしました。
スピンオフの「しあわせのはなし」での環と有働兄は更に輪をかけて面倒な二人で「ねくたいや」のほうが、永瀬が何不自由なく愛情いっぱいすくすく育ったキャラのおかげで読みやすくて好きです。

答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
教えていただいた三冊と、もう一冊読みましたが、こちらが一番好みでした。教えてくださり本当にありがとうございました。

2

素晴らしく深いストーリー!!!

こちらのサイトの好きなレビューアーさんが神⭐︎評価されていたので読みたくなりました。
1年半前に購入して読まずにしまい込んでいたのを思い出し未読のBLコミックの山から探し出す。
その時はア◯ゾンさんのレビューを拝見して購入していました。
レビュー通りの素晴らしい作品で大感動!!!
せつないストーリーですが、読んでいて辛くならない。歩田川先生の独特の柔らかく優しい線と描写、手書きのモノローグ(セリフも)で、私の気持ちが救われる。
歩田川先生が登場人物の全てを深く理解して大きな愛情をもって描いておられると感じました。
続編の『しあわせのはなし』も共にクローゼット本棚で眠らせていたので一気読みします!
天才⭐︎歩田川和果先生の作品と出逢えて幸せです!

0

好き、だから…

前作の「大きなサボテンの木の下で」では、
受けが浮気しまくりなのにかなりイライラ&苦しくなってしまったので、
コチラの本はおそるおそる手にしたのですが、大丈夫でした~~~。
相思相愛ゆえのもろもろが描かれた本で、
ちょっと切ないけど、基本ほのぼのテイストな1冊だと感じました。


百貨店の紳士服売り場で同期だったふたり。
ふたりともゲイ。
攻め→受けに告白したこともあるけれど、社内恋愛は嫌だと断られた。
でも、攻めはそれ以来ずっと…5年も受けの事が好き。
そしてその想いは、
半年前に受けが独立して、ねくたい専門店を開業してもずっと続いていて、
月に一度はネクタイを買いに行く……

一途なんだけど、
合コンには行っていて、受け曰く「ちゃらい」要素もある攻め。
そして、ヘタレ。
好きだからこそ、受けの気持ちを考えちゃってあまり強気に出れない。

そんな攻めを、実は受けも想っていて…

意外とアッサリくっついて、
セックスもしたし、お付き合いもすることになったし、
攻めは受けの店で働くことにも…
すごく順風満帆なようでいて、
相手がすごく好きなゆえに自分を曝け出せなくて、
相手の自分への気持ちがどれくらいか測りきれなくて、不安…

そんな中、
受けの幼なじみの男が店にやってくる。
受けを下の名前で呼び、キスしようとするし、
聞けば十代の頃からセックスしていた間柄だと……

始めてセックスした時に、受けが言った言葉が思い出される、
「禁欲はしていない、おまえは良いところしか見ていない」と。
その時は、
「余所見されないように頑張る」と答えた攻めだけど……


どんなCPにもありそうな感情が丁寧に描かれて、
互いの本音が少しずつ少しずつ明らかになっていくのがいい。
そして、
話が進み色々明らかになると、
メインだけでなく、脇キャラもが愛おしい存在に見えていくのが素敵。
派手さはないけれど、
絵柄と雰囲気が好きなのもあって、じわじわと良さが沁みてきて、
読み終わるとすっかり虜にされちゃった感じです。

この本によると、聞くと意外と、
ネクタイへの「こうだといいのにな…」という希望は多いらしい。
それって、恋人への要望に似てるのかな?とも思ったり…
なんとなく手近にあるからこれで我慢…じゃなくて、
ちゃんと向き合って話し合って、かけがえのない存在になれるといいよね…
そんなことを感じた1冊でもありました。


とても存在感があって、その後がどうなったか気になる幼なじみの話も、
ぜひスピンオフで描いてほしいなぁ~~
そして、
「ねくたいや」みたいなネクタイ専門店、ホントにあるといいのになぁ!

5

全てをさらけ出して受け入れる時

ディアプラでの掲載、雑誌は購読していないので単行本で初見になります。
実は、すごく心配していたのです。
独特な雰囲気、そして世界観。
それらがメジャー誌に掲載になることによってどうなってしまうんだろう?
よくある、好きなものは人に知らせず自分の懐に大事にしまっておきたいという妙な独占欲かもしれませんが。
それまでの作品に比べると大変に解りやすく、そして実に甘い作品が出来あがっていました!(驚)
うん、それでもやっぱり歩田川さんだ!すごいな~と再認識したのでありました。

百貨店の同期で、方やスーツ担当。方やネクタイ担当。
ネクタイ担当の有働に恋したスーツ担当の永瀬は、思いを告げてふられてもずっと片想いしつづけている5年間。
有働は自らネクタイ専門店を立ちあげて、もう同僚ではないが永瀬は頻繁に有働の元に通ってくる。
有働が長瀬を拒否したのは、名目上、職場恋愛をしたくないというものだがその実は、自分の夢・目標であるネクタイの店を持つ事が、永瀬がいることでずっと一緒に店で働いてもいいかなと、思えてしまった事だという。
そう、とどのつまり両思いだったのです。
かくして、永瀬は百貨店を辞め有働の店で働き始め、そして恋人という立場になるのですが・・・

それが導入部分です。
そこからがこの物語の本質と本題!
有働の臆病さを、まっすぐで思いやりのある永瀬の優しさが本物の恋人として出来がる為に、
有働が長瀬を入れたがらない店の上の部屋へつながる階段を、二人の距離?有働の壁として表現してそれが取っ払われるまでが描かれているのではないでしょうか?

そこへ至る段階には、決してじれったいものは何もありません。
中途で登場する有働の幼馴染でもありイワクのある男性が登場して二人をかき乱したりもしますが、それすらも有働の隠したい本音を出させるのに、とてもウィットある役割を演じさせています。

マッチ棒のような人物なのに、何故かそこにある色気は、
表情がアップになった時最大限にその魅力を発揮して、コイツ、このぉ♪と思わず心の中で突っ込ませますw
そんな人物の魅力も変わらずに、むしろ解りやすく描かれた事で非常に魅力増ししているかもしれません。

好きなモノへの欲目でしょうか?
しかしながら、一つの絵、一つのセリフ、一つのコマ。
どれをとってもしっくりとぴったりと自分の感性にフィットしてくるのです。

4

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