イラスト&小冊子付き
俺が泣き虫だってことを、きっときみは永遠に知らないままだろう。
作者様の作品はこれが初めてです。
ネタバレありです。
攻め 暁天
受け リン
攻めの兄 瑛仁
受と攻の兄は不倫関係。
攻の兄が既婚者。
<お気に入りのポイント>
兎に角、攻めは受けに執着していて、受けに相手にされなかったといって、簡単にへこたれない。執着といっても、ネチネチやメンヘラタイプのものではなく、どちらかと言うと、硬派で優しいオサーンが頑張ってる感じ。
受けは、最初は攻めにドン引きしてて、関わりたくなかったので、辛辣な言葉を吐く。私はネタバレ無しで読んだ為、隠された事情を知らず、心の中で、この不審者(物語の攻めなんですけど、、)にもっと言ってやれ!警察に突き出せ!と、受けに加担しながら読んでました。
このお話で一番ときめいたのは、攻めが必死に受けにアピールしている場面です。そういった攻めが受けをデートや行事に誘う場面は多々あります。その時の2人のやり取りが大変良い。そして、受けは段々と恋に落ちていく。
攻めが何度でも受けを探して好きになってくれるなんて、ロマンチックです。
<悔しいと思ったポイント>
このお話では、登場人物が皆幸せになるハピエンです。それはそれで良かったものの、個人的に、奥さんに不誠実で、受けを利用してた攻めの兄には、正直ムカつきました。利用してたと言っても、受けを酷く扱っていた訳ではないので、周りからドン引きされる訳でもなく、そこがまたずるいというか。受けも無実では無いが…。
不倫は奥さんも納得した上での関係ではあるけど、攻めの兄は結局、美味しい所どり。本人も色々悩んでいたのは分かる。しかし、男との関係も楽しんで、彼と別れて、最終的に妻も子供も手に入れた。良かったねと素直に言いたい所だけど、酷い奴じゃなかったのなら、もう少し受けに優しくして欲しかった。特に、別れる際にはもう少し気の利いた事を言って欲しかった。それが無かったので、受けも別れた前も後も長い事苦しんでて気の毒だったし、攻め兄に対する悪印象が残りました。…そう思うのは私が卑屈な人間だからかもしれないですが…。
そんな理由で、攻め兄と彼の妻視点の章は早回しで読みました。
初読みの作家様です。
はっきり言って文章はそこまで上手いとは思いません。物語の進め方も始めの方はなんだか冗長で、「あー失敗したかも…」と思ってしまったくらいです。各章の一人称もみんな「俺」で、誰が語っているのかが読み進めないとわからない。一人称語りで、見たこともないような難しい漢字の形容詞?がいきなり入ってきたり。
現代ものなんだー、と思っていたら、怪しげな事を言い出す攻めの弟が登場。再び「失敗か…」と思いつつ読み進めると…。
ここまで純粋に、愛し、愛される二人を描いた作品はないのではないか?とまで思えるほど入れ込んで最後まで一気に読了。
ファンタジーといえばそうなんですが、もっと普遍的な、「愛」を伝えてくれる物語でした。
YOCO先生絵師本をコレクションしているため、ブックオフで購入。
凄く分厚い本。小冊子がついていなかったので、電子版を購入。重いので、電子版のほうが楽。
あとがきにある「あめが消えるところ」も、読んでみたい。
「天使だった男と紡ぐ、永遠に続く幸福への旅路。」
「人間の幸不幸を学ぶ必要のある者が天使に選ばれる」
「涙は魂の叫び」
・・・意味不明な説明文だけど、とにかく読んだ。
主人公のリンは心臓病、短命を覚悟している。
リンには相愛になれない恋人が居る。恋人には妻がいる。
ある日、恋人の弟から「俺のところへおいで」と声をかけられて、恋人の弟と交際することに。
天使だった恋人の弟、暁天曰く、
瑛仁の弟、暁天の前世は天使。そして今世は人に生まれている。
何度生まれ変わっても、リンを見つけて恋をして、リンを看取ることの繰り返し。
譬え肉体を持っている時の交際期間が短くても、それで十分幸せなのだ
・・・と、リンとの関わりを説明する元天使。
既婚者の兄とリンの不毛な恋は、暁天と出会うきっかけに過ぎなかった。
リンが発作を起こす、余命は僅か。
弱ったリンの枕元で、また生まれ変わってリンを見つけて恋をする、と言い切る元天使。
それを聞いたリンは、死への恐怖が消える。
やっと、二人の来世は明るい人生になりそう、という示唆を置いて完結。
寿命が長ければ幸せ、じゃなくて、生きる時間の密度に意味があるんだなと思った。
「またいつか会える」と思えば、死に別れても、絶望はしない。
「死んでまた出会う」約束を交わした二人にとって輪廻は長い長い旅に過ぎない。
輪廻と時を経た再会の約束は、とても仏教的。
何度生まれ変わっても必ず恋人と出会えるリンは、もの凄く幸せな魂の生涯を送っているのかもしれない。
あ~、リンが羨ましい。
編集機嫌切れなので、ここにメモ。
構成がすっきりしないで、経緯を把握しにくい。
作中、主人公二人にとって脇役の藤岡瑛仁の同級生の美少年や妻の明美についての説明と過去が盛り込まれれているが、どうして必要なのか疑問。
生きていれば、色々なことが毎日起きるので、凛を取り巻く人達について書いて、別れた後も心配がないということや、
タカさんと出会う為の切っ掛けとして、藤岡瑛仁が必要だったのかもしれないけれど、
物語の展開上、重要な要素ではないので、別の番外編で書いたらスッキリしたんじゃないかと思う。
物語の流れの淀みになっているように感じて不快だった。
凛が再生して、タカさんとの出会いを思い出す為に、どうしても必要な事項ではないと思う。
それよりも、小冊子で別にした内容のほうが、本編に入れるべき内容だったんじゃないかと思う。
病弱で一途な子。凛の最初の印象。
可哀想だから、瑛仁との関係が凛にとって良い方向へ向かいますように。と、思いながら読んでいました。だって、表紙の2人でしょ。
でも、違った!
あれ!?天使?何このせつない2人。。。
一気に瑛仁との関係を打ち切って貰いたくなり、瑛仁がひどく嫌な人間に思えてきました。
でも、読んでいて自分の気持ちがコロコロと変わり、嫌な登場人物だなぁと感じても、朝丘先生の作品は、一人ひとりの人格をしっかり作り込んでいるので、最後にはそんな気持ちはなくなるのです。それも、わたしが朝丘先生の作品を好きな理由なのかなぁとこの作品を読み感じました。
リンが暁天と出会い、生きることを明確に考えるようになる姿は今までと別人!
暁天は何があってもリンが好きで、一緒にいようという気持ちは揺るがないので、後半幸せに浸りながら読むことができます。
出会って一緒に住んで、たぶん2人でいられた時間は5年ほど。。。
その短い幸せのために、暁天がどれだけ必死にリンを探し、長い間一人でいたかと思うと切なすぎる。
そして、来世でも同じようにしようと思ってる愛の深さ。
この先も2人が出会い結ばれることを願ってしまいます。出来るなら早くに出会わせて、一緒にいられる時間を多くしてあげたい。
読み終えて、思い起こすと後からジワジワとくる作品です。
残酷な運命を抱えた2人の輪廻転生、そのいくつもの物語のひとつを覗いている。
妻を持つ瑛人を好きな凛、そしてそこに突然現れた瑛人の弟、暁天。
初めは暁天の意味不明な発言と行動にもやもやとした疑問を抱えながら読み進めることになると思いますが、その言動の意味が物語の途中で明かされた時、きっともう一度彼の発言を読み返したくなります。
ページ数が多く手に取るのを躊躇する気持ち、私自身そうだったのでよく分かるのですが、実際読んでみると本当にあっという間です。あっという間ですが、心に残る余韻が半端ではない。
読み終えた時、誰もが彼らの幸せを願わずにはいられないでしょう。
(以下ネタバレ注意……というか読了済でないと分からないかも)
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今回メインとして語られた“暁天と凛”の話でも、いつか凛に『終わり』が来ることが分かっていて、それぞれが抱える運命がある限りそれは変わらない。けれど、2人がその運命を持って生まれてくるからこそ、次の輪廻を、再会を信じて、光のある『終わり』を迎えることができるのですね。
小冊子の最後、次の2人は高校の同級生。前世よりずっと早い出会いで、しかも前世ではあんなに離れていた歳の差が無い。2人で過ごす時間はきっと初めよりぐっと増え、輪廻を重ねる度に2人を取り巻く環境が良くなって行っているのが分かります。
きっとこの世界でも凛の『終わり』が訪れる日は来るのでしょうが、この先この世界の2人が積み重ねる沢山の幸せな思い出たちも、きっと次の輪廻へと繋がっていくのだろうと思いました。
いつかの凛が言っていたように、輪廻を重ねた先で彼の病気を完治させられる技術が生み出され、2人が病気によるものでない幸せな『終わり』を迎えられる日が来ることを祈らずにはいられません。
瑛仁さんの漢字を間違えておりました、瑛人ではなく瑛仁です。申し訳ない……