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ふたりにとっては課題の残る終わり方で、ハッピーエンドといえばハッピーエンドだけれども、なんとも言えない苦しさがあるこの終わり方が良かったです。
初めての先生でしたが、文章が読みやすく素敵ですね。気取ってないけどオシャレ。
ただ!この作品、設定があったり、過去の回想があったりでスラスラとは読めませんでした。でもストレスはなかったですよ。
一読して、疑問に思うこともいくつか出てきました。もう1回読んだら何かわかるかしら。ちょっと考察要素もあるお話だと思います。先生は解釈は読者に委ねているのかな。
恋愛要素よりもふたりの運命やこれまでの背景に切なくなるお話でした。
積読していたので本作の情報はきれいさっぱり忘れていましたが、読後に作品ページを確認してみて購入動機は教師×生徒とヤンデレだったことを思い出しました。
ネタバレを見ずに読むことをおすすめしたいので、未読の方は読まない方がいいです。
上記のようなことを書いておいてなんですが、情報ゼロの状態で一章を読み進めるのはなかなか辛かったです。なぜ陽斗が悪魔を呼び出したのかも分からなくて、物語に入り込むまでに時間がかかりました。
時折回想を挟むので陽斗が松宮を好きになっていった過程は理解できましたが、天使や悪魔といった特殊設定や子供なのにかわいげがない沙帆の登場、そして何より松宮があまりにも陽斗に対して突き放すような態度だったので、いつまでも松宮にこだわる陽斗にまでモヤモヤしてしまいました。
とはいえ一章の終わりで陽斗と松宮の関係性が分かって感激したので、話の構成としては間違っていなかったと思います。
ただ、一章はページ数の三分の一以上を占めており、その一章の終わりまで(今思えば途中で松宮が陽斗にただならぬ想いを抱いているような描写はありました)核心にふれられないので、私のような察しが悪い読者にとってはそこに辿り着くまでが少々長すぎたかもしれません。
でも松宮が恋をした相手が陽斗であることが分かった時は本当に感激しました。
二章は陽斗の空白の過去編で、松宮と取引きを結んだ恋人関係だったことが明らかになります。
やきもきしながら一章を読んだご褒美と思いながら二人の恋人としてのひと時を楽しんでいましたが、松宮は悪魔としての役目を果たすために陽斗に甘い言葉を囁いていたのが少し残念だし、松宮が陽斗に恋しているのを自覚してからは陽斗に本当の名前を呼ぶなと言ったり遠ざけ始めるので、結局切なかったです。
寒いと感じることは寂しいことだと、そして寒くなくなるまでずっと一緒にいると言った陽斗に松宮は無自覚に恋をしますが、陽斗に近づく者全てに嫉妬する一面に萌えました。
せっかく本格的に甘い関係になろうとしていたのに、陽斗を大事に想う松宮は悪魔としてあるまじき行動をとり、天使である沙帆の協力のもと陽斗の恋人期間の記憶を消すことで悪魔との取引きを強制解除し、陽斗の死後の魂が孤独にならないようにするのです。
確か三章で、悪魔は前世の記憶がないと言っていたので、松宮にとっての記憶は松宮怜(人間)としての生活が全てと解釈して良さそうですよね。だから孤独だった松宮は、初めて温もり(愛)を与えてくれた陽斗に惹かれたのでしょう。温もりを知ったことで孤独の寒さが辛いことだと身をもって知ったからこそ、愛する陽斗に孤独になってほしくないと願うのは共感できます。
陽斗との強制的な取引き解除は、悪魔である松宮にとって、これ以上ない愛ある行動だったと思います。しかし切ない。
以下、本格的なネタバレ注意です。
本作の疑問は、なぜ同僚の小原の告白には職場恋愛はしないという理由で断り、教え子である陽斗の告白(好きとは言ってないけど)は断らなかったのか。
自分を好きだと言ってくれる相手なら魂を予約できる好機だと思いそうですが、祖父の一件を踏まえると「悪魔」とじゃないと成立しないんですかね。個人的には松宮が陽斗との時間を人生で一番心地よく感じていたからという説を希望します。
もうひとつの疑問は、陽斗が記憶をなくした間は本当に取引き解除になっていたのか。
陽斗は前々から松宮を好きだったので、記憶を消しても松宮への想いは消えてなかったし、松宮も陽斗との思い出の場所へ出向いて感傷に浸るほど陽斗を好きなままでした。
甘い匂いは魂の腐敗臭だと言われていたけど、記憶を消したら陽斗の腐敗臭は消えていたのでしょうか。
どんなに想い合っていたとしても、陽斗が松宮の悪魔の名前を忘れてさえいれば取引きは解除されていたと解釈しておきます。
あと、猫(アザミ)は何者だったのか。私は最初猫が天使(北斗)だと思っていましたが、それは沙帆でした。
悪魔には縄張りがあると言っていましたが、沙帆が陽斗の友達の妹という関係性を思うと天使にも縄張りが存在する可能性があります。なので猫は別の天使でもなさそうですが、かといってただの猫という風にも見えず、意味を含ませた存在に見えました。
本作の神様と天使と悪魔は、神様>天使⇔悪魔のような位置付けでしょうか。神様と悪魔ではなく天使と悪魔が対極っぽかったですよね。
タイトルは「神様の庭で廻る」なので、身も蓋もない言い方をすれば、陽斗も松宮も沙帆もしょせんは神様の手のひらの上で転がされているのでしょう。その神様とは一体。とても安易な考えですが、私は猫だと思っておきます。陽斗は神のご加護を受けているから死後も何とかなる……はさすがにご都合主義にも程がありますかね。
余談というか願望ですが、北斗が最期に頼った悪魔が松宮の前世で、無意識に記憶を継承した松宮が無意識に陽斗へ近づいていたらおもしろいなと思いました。
賛否ある終わり方でしたが、最善策がないまま終わったのが現実的で私は良かったと思います。
むしろ死とは無縁の今が一番幸せなはずなので、現実逃避的な意味でも二人の甘々をもっと見せてほしかったです。
松宮は陽斗が死ぬ前に自殺して取引き解除することが最善と思っているようですが、さすがに陽斗に気付かれるでしょう。
沙帆は前世(北斗)の記憶の影響で陽斗を案じているので、沙帆が天使特有の短命でも来世でその記憶が引き継がれ、また陽斗の元へやって来て味方になってくれるような気がします。
とにかく長生きしてほしい。ただそれだけです。
おそらく二周目ありきの物語だと思うので、再読したら今よりも評価が高くなるのは間違いないです。
しかし、あえて初見の感想として「萌」にさせてもらいました。
少し期間をあけてから、陽斗と松宮の気持ちに寄り添いながら再読したいと思います。
※辛口注意※
綾さんは私の中で好き嫌いが分かれる作家さんなんですが、今回はいまいちでした。
悪魔な教師×悪魔と契約した生徒の話です。
現在と過去の話を交互に挟む形でストーリーが展開していくので、それが苦手な方は要注意です。
私は理解力が乏しいので、何度も遡って確認しながら読む状態でした。
なので電子書籍だと少し読み辛いかも……。
攻は悪魔、受は攻に片思いしてる普通の人間で、悪魔である攻と恋人になりたいという望みを叶えるために契約をします。まぁ結果としてはハッピーエンド? なんでしょうけど、色々とモヤモヤが残ってしまい、消化不良で終わった感があります。
因みに受の父親は天使で、天使と悪魔には役割があってと設定盛りだくさん。
盛り盛りすぎて設定を生かし切れていなく、面白くないことはなかったけど、BLで割と重要な【で、なんで好きになったの?】が最後までわかりませんでした。
一応その理由っぽいものはありましたけど、え? その程度で好きになるもん? とモヤモヤ。攻も攻で、え? いつ受のこと好きになったの? とこれまたモヤモヤ。
気がつけばいつの間にかふたりで良い感じに盛り上がっていてくっついてました。
面白くなくはない、というのは設定の話であって、恋愛ものとしては面白くなかったです。
この練りに練った設定を見て! という作者の思惑が透けて見える上、そっちに筆が乗りすぎて恋愛の醍醐味のようなものが感じられない。
なので全く感情移入もできず、ただただ話を理解するために1冊の本を行きつ戻りつ捲っていただけの印象でした。
それと文章と絵が噛み合ってなくて話に集中できなかったです。受はともかく攻の絵がミスマッチすぎて文章と結びつかない。
しばらく寝かせてもう一度読むと、萌に変わる可能性もあるかもという感じでした。
『イエスタデイをかぞえて』が良かったので楽しみに読んだのだが、
正直期待はずれだった作品。
現代物のファンタジー。
孤独な陽斗が恋したのは、高校教師の松宮。
高校を卒業しても諦めきれない恋を抱えながら、
悪魔を呼び出したところ、やってきたのはその松宮だった……
天使、悪魔、輪廻、記憶喪失などの設定は嫌いじゃないが
あまりにちっちゃな世界観な上、
記憶に関する扱いが手垢がついた感じで、
簡単に見当がついてしまう上に、蘇るのがとても安易な印象。
過去と現在を行きつ戻りつ、その中には改竄された記憶もあり
ちょっと複雑な構成になっているのだが、
そのあたりの表現もすんなり落ちてこない感じがあり、
最後まで物語に入り込めず、消化不良気味に読了。
そもそも、何故相手を好きになったのか……がよく分からず
お父さんも、友達の妹も、猫も、生かし切れていない気がする。
こういうテーマが書きたいんだろうな、というのも分かるので
もう少し全体に緻密に練れていれば、面白くなったののに……と
思わずにはいられない。
最後はやや曖昧なハッピーエンド。
作品としてはそれ故に却って切ない余韻があっていいかなと思いますが
そもそも、それは、そこまでの話に引き込まれていればの話。
そこが個人的にはのれなかったので、残念な思いでした。
初読みの作家さんです。
レビューを拝見して、とても気になっていた作品。
長めの物語ですが、文章は読み易く会話も多いため
一気に読み進めることができます。
父親の書斎で見つけた一冊のノートを手に
大学生の陽斗が取引をするために”悪魔”を呼び出すと、
そこに現れたのは想い人で高校時代の副担任・松宮だった。
魂と引き換えに”付き合ってほしい”と取引内容を話す陽斗だが、
悪魔・松宮に拒絶されてしまう。
でも、どうしても松宮をあきらめられない陽斗は―
人間の愚かで切実な願い、魂と引き換えの悪魔との取引、天使の介入...
ファンタジーを軸にした作品なのですが
現在と”ふたつ"の過去が交錯するように描かれているのが魅力的。
時間軸を行き来するたびに、驚きや胸を突く切なさと共に
現在に至った事実が少しずつ明かされていき
長い物語も読み手を飽きさせることはありません。
父親の失踪、母親の不在という複雑で寂しい陽斗の心に、
まさに魔が差したように入り込む悪魔の甘い誘惑。
一見穏やかでやさしい松宮の、悪魔としての本性の描き方が
きれいなアザミの花にある棘のように生々しく描かれていて、興味深い。
あと、個人的に松宮の嫉妬深さ(猫にまで!)にはかなり萌えました♡
(セックスシーンの描写は一度だけですが、中々濃密でした。)
又、悪魔の甘いささやきに対し、”ちゃんと考えて”と介入してくる
天使・沙帆は、悪魔に魂を引き渡す本当の意味を陽斗に諭し、且つ
陽斗の父親の想いを託された、重要で独特な存在感を見せていて
見た目が可愛らしい子どもというギャップも良かったです。
松宮と陽斗がそれぞれ選んだ結論は
お互いが大切に想い合っているからこそ辿り着いたものだけど
ふたりのこれからの本当の最期を想像すると
完全なハッピーエンドとは言い難く、
切なさややり切れなさが込み上げてきて、複雑な気持ちになります。
沙帆の”賭け”は、希望論にすぎない。
それでもそこにあってほしいと願うのは、
希望という名前を持つ神様の存在なのかも知れません。
ファンタジックなベースながら、
人間、悪魔、天使、魂の意味や意義が象徴的に巧く描かれているし
そういったものを越えたふたりの愛情にも魅せられました。
『神様の庭で廻る』というタイトルも良い。
評価は、希望を込めた萌×2です!
冬草さま
コメントありがとうございます(*^^*)
わたしの意味をなさないレビューで一冊お買い上げ頂けるとは!(*^m^*)
あの裏主人公って、作者さんが誰を主人公に据えているのかによって違うのかなあと思ってまして。
もしもカップル二人ともを主人公と規定しているならば、あれは松宮のことではないのでしょう。
ただ陽斗だけを主人公だとなると、松宮が濃厚なのかなあ…
それか猫(笑
何かの化身とか、考えてしまいました。
沙帆の場合は女の子という時点で、BL作品から外されているのかな。