恋は、一ヶ月の嘘で終わるはずだった

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表題作夜明けの嘘と青とブランコ

眞山聡士 大学3年生21歳
楠木志生 大学1年生19歳

あらすじ

昔、友人を傷つけて口下手になった志生は、大学のサークル勧誘で、そっけないけど気優しい先輩・眞山と出会う。
部員から眞山はゲイで傷心の身だと聞かされ、「期間限定でつきあってやって」と囃されても不快じゃなかった志生。
だが、ある日眞山との会話でまた失敗をしてしまう。それを機に交換日記を始めたふたりは、
お互いを知るうちにやがて惹かれあい、一ヶ月の約束で恋人になるが……。

作品情報

作品名
夜明けの嘘と青とブランコ
著者
朝丘戻 
イラスト
カズアキ 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
シリーズ
夜明けの嘘と青とブランコ
発売日
ISBN
9784861348457
4.1

(111)

(66)

萌々

(22)

(5)

中立

(7)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
11
得点
440
評価数
111
平均
4.1 / 5
神率
59.5%

レビュー投稿数11

純粋過ぎる恋。純粋過ぎる愛。

第一印象は「分厚っっ!!」でした。
これでお値段がそこまで高くないのは、
なんとも嬉しい事だったのですが、
果たして、この本を読破することができるだろうかと
不安を抱きながら本を開きました。
…その思いは完全に裏切られ……冒頭から一気に物語に
引き込まれました。
興味をそそる冒頭、著者の朝丘戻さんの力量を感じます。

それからも飽きさせることなく、物語にグイグイと引き込まれ、
気がついたら、一気に読んでいました。
大人でも子供でもない、幼さと大人らしさが混在したふたりの
純粋過ぎるラブストーリーでした。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

《CP》
1か月限定の恋人でサークルの先輩・眞山 × サークルの新入生・志生

大学でサークルに入った志生(受け)は、
サークル内でゲイだとカムアウトしている眞山(攻め)と、
周囲に囃し立てられ、流れで1か月限定の期限付きで恋人となります。
皆のからかいを、冷静に冗談と見ている眞山と、
真剣に恋人になろうとしている志生の対比が面白く読める冒頭です。

主人公はどちらとは決まっていません。
章ごとに志生→眞山→志生…というように変化します。
どちらの心の微妙な動きも追うことが出来、感情移入しやすかったです。
でも、どちらかと言うと志生(受け)が主人公っぽかったかな~。
重要なシーンではいつも志生視点だったので。


人と付き合うのは初めての2人。
お互いにキスすらしたことがありませんでした。
そんな2人のファーストキスのシーンはとにかく萌えました!!(><)
キスシーンだけでこんなに萌えたのは初めてかも知れません。

期間限定の恋人になって11日目。
キスをしたいといったのは、志生(受け)からでした。
しかし、志生に惹かれながらも、まだ静観をしていた眞山(攻め)。
ファーストキスは、大事に取っておきなさい、と諭す眞山。
それに対し、志生が言った言葉がとにかく凄くて印象大でした。

「……ぼくもゲイに生まれたかった」

かつて、こんなことを切望した登場人物はいただろうか。
ノンケに生まれたかったというゲイはいくらでもいただろう。
しかし、その逆なんて……。
驚いて、言葉も出ませんでした。

その言葉にひどく心を動かされた眞山は、不器用なキスを志生にして……
くうぅぅぅぅ!! たまらーーーーーん!!
萌える! 萌えます! モダモダします!><


交換日記という時代遅れの2人の遣り取りも面白かったです。
志生(受け)も眞山(攻め)も普通の恋人のように
メールのやり取りをしているにも関わらず、
その間に交換日記を描くなんて可愛かったです。
お互いの心をつぶさに追うことが出来、とても良い小道具だと思いました。

あと笑ったのが「はんこ注射」。
BCGの跡が、まだ志生には残っていて、それをストーリーの
最初から最後までコンプレックスにしているのが可笑しかったです。
「僕なんて、はんこ注射」っていう卑下がなんとも志生らしく、
可愛く思えました。o(^-^)o


眞山(攻め)が実は勃起不全だと知った時、
一緒になって心を痛める志生(受け)が、嬉しかったです。
眞山の傷を一緒になって、分かちあおうとしている姿が健気に見えました。


そして、問題の1ヶ月がどんどん近づき……。
周囲でいろいろな問題が起き、
ついには交換日記で志生に別れを告げる眞山。
そしてそれを信じようとしない志生。
志生はこれからもずっと、眞山とこんな幸せな日々が続いていくのだと
信じていました。
志生も眞山も、それぞれの事情があって……
でも相手のことが好きで好きでたまらなくて……
だからこそ眞山は身を引き、志生はそれを信じずに食い下がる…。

1ヶ月の嘘で終わるはずだった期限付きの恋。
たかが1ヶ月。 されど1ヶ月。
2人の愛を育むには、充分な時間だったのだと思います。


エッチシーンは1回だけ。
挿入は1回だけですが、1回という気がしないです。
2人とも「好きで好きでたまらない」という感情が
本の最初から最後まで溢れていて、イチャイチャしてばかりなので、
どこからがセックスでセックスじゃないのか、
境界線があやふやなシーンがありました。
でも「イチャイチャ」といっても嫌なシーンではないです。
お互いがお互いを好きでたまらないという気持ちがいっぱいの、
幸せな気分になれるシーンの連続…とでも言えばいいのでしょうか。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

読んでいて、とにかく「この人が好き!」という感情が
どのシーンも溢れていて、嬉しくなると同時に萌えまくります。

ピュアな恋。 ピュアな愛。
一直線で、決して偽ることが出来ない…相手に対しても、周囲に対しても。

「好き」という気持ちがこんなに愛おしいなんて、
この本が改めて教えてくれた気がします。

長い愛と恋の物語ですが、是非皆さんに読んでもらいたい1冊です。

26

甘酸っぺぇな!

いやー甘酸っぱい。きゅんきゅんしてしまいました。

周囲の提案で、お試しで期間限定でのお付き合いを始めた
眞山(攻)と志生(受)。
お互いが愛の告白をしたわけでも無いのに、読んでいるだけで
お互いのことが好きで好きで仕方ないという気持ちが伝わってきて
悶えました。いいなー 私も混ぜて。
年上である眞山(攻)が照れ隠しでなのか、会話の中で志生(受)を
”さん”付けで呼び、敬語になるところが大好き。胸キュンよ もう。

初めてのお付き合い、交換日記、キス、そして ゆくゆくはゴニョゴニョ…
手探りで奮闘する純粋な2人にほのぼのしました。

眞山(攻)も志生(受)も過去の出来事で心に傷をもっていていますが
志生(受)は聡士や周りの人々のおかげで克服し
その原因となった友人とも割とすんなり和解します。
一方、眞山(攻)の方は、当時のことを自分なりに消化してはいるものの
バイト先でのトラブルなどがきっかけで、自身がゲイであることで
一生つきまとう問題を再認識し、志生(受)を不幸にしてしまうと
大いに悩みます。さらに志生の兄(ブラコン気味)からも2人の関係を
否定され、志生(受)のために別れを選びます。

いちゃいちゃシーンが大好きだったので
眞山(攻)が悩み、落ち込み、別れを選ぶシーンは辛かったですが
サークルのメンバーからのフォローやら
志生の兄が別れろって言ったってすんなりバラしちゃったりやらで
よりを戻すお膳立てはバッチリで、別れてから再びくっつくまでが
割と短くてストレスなく読めました。

また、なんといっても志生(受)がまっすぐで素直で前向きなおかげ!
ネガティブ聡士さんに体当たりで思いをぶつけ、めでたく本当の意味での
お付き合いが始まります。

読んでいて、大学生って成人してるけども、親の庇護下にあるっていうのが
どうにももどかしい!と感じました。
社会に出て、自分で稼いで自分の責任で生活して…っていう状況だったら
また違ったんだろうな。どうかな。

とにかく不器用で純粋で心優しい2人が
どうか末永く幸せでありますように!

ふぅ〜…… もっかい読も!


9

澄んだ空気が、文章から伝わる素晴らしい作品

私の中で、一番のBL小説です!

あらすじは上記を見てください。

表紙に惹かれて購入し、始めは読みやすい作品だなぁと思いながらページを進めました。
次に、ただ可愛いだけでない志生の性格が徐々に見えてくるので、私も聡士目線で「こんな可愛い彼氏たまらない!」と言ってしまいそうになりました。
二人の交換日記を挟んで、聡士目線での話も順にあるので、お互いが相手をどう思っているのかがわかり、イチャイチャ?っぷりに、読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。
ホントに、幸せなお話で、このまま何もなく二人がいられたらいいのにと思うくらい。

でも、中盤あたりから、幸せの中にも寂しさが出始めます。それでも読む事を止められないくらい、引き込まれました。
あぁ、ゲイであるが為の苦しみって、こんななんだ。。。と、沢山のBL作品を読んできたくせに、今更気づかされたような気がします。
若いからこその危うさや、真っ直ぐな気持ち、嫉妬、初めてだから色々考えて、二人で築き上げていく事など、心に残る場面が沢山あります。

後半何度も泣きそうになり、最後のページで涙が溢れました。

表紙が本当に作品と合っていて、読みながら何度も見てしまいました。

是非、読んで欲しい作品です。

7

受けの強さに救われる

初読作者様です。

大学3年生と1年生のCPで、何ていうか…とてもリアルだなと感じました。お互いに中学時代にトラウマがあって、そこを克服しながら成長し、お互いになくてはならない存在になっていくお話でした。

きっかけは強引な提案から始まったとはいえ、人ってこんなふうに人を好きになるんだなっていうのがほんとにリアルに丁寧に描かれていて、自分まで学生時代に戻ったような、くすぐったい、甘酸っぱい気分にさせてもらえました。こんなネットやSNSが発達してる時代に交換日記とか萌えしかないです!!

でもお互いのトラウマやゲイに対する世間の目の部分ではそこもやはりリアルで、何度も涙をこらえながら読んだし、もう許してあげてよって気分でした。

でも最後は受けが強かった。過去のトラウマごと攻めを抱き込んであげるんだけど、でもそこまで受けが強くなれたのもやっぱり攻めのおかげで。このお話の核になる部分は1ヶ月という短い期間なんだけど、それでも2人ともすごくお互いに影響を与え合いながら成長していて、眩しくなりました。

辛さや悲しさも大きいけど、2人の成長を見守ることができたし、改めて他人を傷付ける反動や重さみたいなものも教えてもらえたような、自分への戒めとしても繰り返し読みたいと思える1冊となりました。そして他の作品も読んでみたくなりました。

2

甘々で優しいお話でした

朝戻さんの作品は、思いやりのある、優しい登場人物が出てくるイメージが強いのですが、この作品もそうでした。

中学生の時に親友に恋をして、自分がゲイであることが周囲にばれ転校した経験を持つ眞山。
眞山と同じく、中学生の時に友達を傷つけた過去のトラウマから人づきあいが苦手な志生。
トラウマを持つもの同士の、優しい恋のお話でした。

二人が付き合うようになったきっかけが、志生が二人の所属するサークルの仲間から「ゲイで恋愛経験のない眞山と1か月限定で恋人になってあげて」と言われたことから始まった関係であること、お互い相手を想う気持ちが強いことなどから、ゆっくりと二人の距離が近づいていく過程がとても良かった。
そして、まれに二人にきつい言葉を投げかける登場人物も出てきますが、基本的に二人を取り巻く人たちは優しく思いやりのある人たちばかりであることも加わり、全体を通して甘く、優しい空気の流れるストーリーでした。

ただ、それ故に上滑りしている部分も。
志生のトラウマになった過去は、そんなに引きずることじゃないんじゃないのかな、と思ったり。
「おためしで付き合ってやって」と言われて付き合い始めるのはありだと思うのだけれど、そこから二人の気持ちが近づいていくのが急速すぎて「??」と思ったり。
裸の写真をメールで送り合うのも「んん?」と思ったり。

お互いに、相手に少しずつ寄り添っていこうとする気持ちがある一方で、急に展開が早くなる部分があってちょっと混乱したりしました。
眞山の抱える身体的な問題からセックスシーンはちょびっとだけ。それは別に全然いいのですが、じりじり進んでいる割に、『なぜTkbの写メを相手に送れるんだろう…」とかね、思ったりしました。

あと、ごめんなさい。これはまったくもって好みの問題なのですが、絵柄がちょっとストーリーに合っていないというか。
セリフとか、考え方が年齢の割に大人びている二人なのに、絵柄が可愛すぎちゃって…。あと、志生が女の子に見えて仕方なかった。

けれど、ゲイならではの葛藤や、家族愛なんかもきちんと書き込まれていて、王道ならではの萌えがぎっしり詰まっていました。

個人的に最後の志生の交換日記がとても良かった。7年後、っていうのが。すっと幸せな二人でいてほしいなと願っています。

3

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