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逃げるか堕ちるかふたつにひとつーーー。
巽が三木への執着を自覚し、
涼馬がストーカー行為の上、その対象者の巽に夜中に電話をするといういちばんヤバい奴だと思った上巻。
下巻で巽が涼馬と体の関係を持っていて「え〜?!」と声に出てしまいました。
巽は自分のことを最低だと自覚しているからまだマシですが。
しばらくぶりに三木に会えて喜ぶ巽。
三木に義兄を殺してほしいと言われ、その気になるのが巽のモノローグでなんか納得してしまうのがおもしろいです。
でも巽がホームセンターでいきなり三木にキスするのはまた「え〜?!」と声に出てしまいました。
涼馬やっぱりヤバい奴でした。
気の毒に。
獄中の涼馬、三木の姉に上っ面なやさしい言葉をかける巽。
どういうつもりなんですかね。
涼馬へは罪滅ぼし? 三木の姉には三木の代わりにできることをしたいということ?
ならもうちょっと本音っぽく話すような…この辺よくわかりませんでした。
三木が巽の前に現れてから、やけにご機嫌だったり饒舌だったり、情緒不安定に見えたのはなんだったんでしょう。そのままの意味ですかね。
三木姉の息子が髪の色が薄くて三木が父親?と思わせるのもよくわからない。
巽の心理、今後どういう行動をとるかなど謎めいたエンディングにしたかったんでしょうか。
と思っていたらあとがきで迷走されていたとあり妙に納得しました。
一本の映画にできそうな重いストーリーでした。実際映画化できるかといったらハードなプレイが多いので難しいとは思うのですが…
受けの三木が笑うと可愛くて、巽さん(攻め)がんばれ!もっと笑わせてやれ!という謎の応援をしている自分がいました。
2人の年齢さえも明かさない、職業や三木の生い立ちなど必要な情報しか開示しない潔さが心地よく、重いストーリーなのに読みやすかったように感じます。暗い設定の中で2人が結ばれてひとときの幸せを噛み締めるというシーンが大好物なので、ラストシーン直前のプチ同棲期間みたいなところでニヤニヤが止まりませんでした。
ふう…。
読み終わってからしばらく、頭の中がからっぽなのに、胸の中だけがうるさい状態が続きました。
まさかそんな…。
どこまでをネタバレと感じるかは人それぞれなので、一応ネタバレチェックは入れましたが、ネタバレしない方向でいきます。
もしかしたらレビュータイトルや、「まさかそんな…」の一言でも、「ネタバレしないで!」と感じる方もいらっしゃいますよね、きっと。
ネタバレしたら台無しなので、読んでくださいとしか言えません。
ただ読むと決めたなら、そこからは自己責任でお願いします。
読み終わったあとに、本当にぼーっとしたまま、なかなか戻ってこられません。
人の情や業というものは、本当に恐ろしいですね。
作り笑顔すら自然に見える人もいるし、その内側で何を考えているかなんて、周囲の人間には知る由もありません。
そういうどろどろをすべて見せられたような気持ちで、どう処理していいか悩みます。
ただ、嫌な気持ちにはならなかったのは、作者さんの見せ方のおかげだと思いました。
ミスリードを巧みに使って、最後までそれをうまく利用してくれたおかげで沈み込むことなく読み終えることができたのかな。
胸にぽっかり穴が空いたような気持ちではありますが、どこか晴れ晴れとした気持ちもあって、何だか言葉で言い表せない複雑な気持ちです。
ネタバレしない、と言いつつ、ネタバレになってしまっているかもしれませんが、ぜひとも読んでほしい。
同時収録もありますが、こちらでかなり救われます。
ポップでコミカルな短編、しかも勘違いスパダリと不運な僕ちゃんという、可愛らしい話なので、重くなり過ぎた気持ちが軽くなります。大丈夫です。
さらに言うなら、あとがきも結構ラフな感じなので、相当救われます。
本当は本編についていーーーーーーーーっぱい言いたいことがあるのですが、もし未読の方がここを見たときに、ネタバレを見てしまうと、わたしが感じたような気持ちにはなれないと思うので、この辺で。
未読の方、しつこいようですが、ぜひと読んでみてください。
「スピンアウト」下巻です。
上巻にて、感情の迷路に落ちた巽。
自分だけを慕ってくる頼りない跡取り・涼馬を大切に思っていた。
同時に仕事の全くできない涼馬を支える事で感じる抑えきれないストレスを、三木へのSM的なプレイで発散していたが、いつしか三木本人を気にかけるようになり。
勘の良さで巽と三木の関係性に気付いた涼馬坊ちゃんが三木に近付く…
そして巽と三木が2人で会っているホテルの前で待ち続ける涼馬。
…と思いがけない上巻ラストからの下巻です。
下巻ではなんと、巽と涼馬は肉体関係になっている…!
涼馬からは巽に恋愛感情。しかし、巽は以前とは真逆。三木を思いながら涼馬を抱く、だけど未熟な涼馬では三木の穴を埋めようにも埋められない。
ここから三角関係のもつれに?と思って読んでたけど、意外な方向に行きましたね…
というのは、三木が姉の夫を殺してくれ、と言い出す。
破滅型の三木に引きずられて三木と巽が手に手を取って転落か…そうではなかったんです。
三木は破滅型でも魔性でもなく、ごく普通の気弱さを持っていた。
そして誰かへの殺意なんてモノを手放して巽との一歩を、というところでそれを打ち砕くのが涼馬だった…
塀の中の涼馬の変貌の痛々しさ。そして優しいようで涼馬を突き放している巽の…なんと言うんだろう?怖さなのか冷たさなのか?
弾け飛ばされて脱落して行ったのは三木と涼馬。だけど時間をおいてこれから巽も墜ちていくのでしょうか?それとも小さな蓉介くんに救われるのでしょうか…
「人生はドラマチック」
「スピンアウト」とは全然違うテイストで、頭が切り替わりません…
お見合いを断るがために甘味処のバイト君を女装させて連れ回すイケメン。
というコミカルなお話。
この話に罪ないんだけど、「スピンアウト」と合わなすぎる〜
巽、三木、涼馬、それぞれ異なる魅力を持ち得体の知れない面白さがあったからこそ、この展開は消化不良に感じてしまいました。完全なるバドエンとも言えない、気持ちのやり場をどこへ持って行ったら良いのか分からない感じ…。虚無感漂う物語、救いようのない展開は大好きなのですが、そこまででもなく。死が絡んでくるのに死んだ本人が死後も、妄想の中での話ではあるけれど、普通に登場して会話するので死んだという実感もあまり湧かず…。
結局三木の姉とも、その息子とも、因縁の旦那とも、そして涼馬とも、何も決着が付かず、私には国枝先生が最終的に何を描きたかったのかよく分かりませんでした。行き当たりばったりの結末を、虚無感を楽しむものとして受け入れるには、まだ私の読解力が足りないのかも。スピンアウトというほど、3人が外道になったようにも感じない。皆一時的に狂気を見せてはくれたけれど、総合的に見たら結構普通の人間だったように思います。ただ、この行き場のない感情を狙って描いたのなら、ある意味成功とは言えるのかもしれません。