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「天国」という無法地帯で生きる殺し屋と記憶を失くした少年。
BL版LEONかな?純愛かな?と思ったらどうやら単純な話ではなさそう。
これ↓構成通りではないので名前とか思いっきりネタバレなんですけど、世都に関わる人物を時系列で。
虐待する母親、その後「天国」に捨てられホームレスとなった世都(セツ)、
その世都を拾った立夏(リーシア)、
立夏後の世都を拾ったロマネ、
殺し屋になった世都と少年シン、
その後のそれぞれの現在、となります。
世都の多重トラウマがエグい。どこかで何かが変わっていればこうはならなかったのかなー。
虐待の影響?色覚障害とフラッシュバックあり。
立夏後というのは世都が立夏を殺…。この話悲し過ぎる。
唯一ロマネとの殺し屋修行がキュンあり一息つけた。世都も人間らしくて良かったのに何故一人にしたのかなぁ、解せぬ。
一見楽しそうな世都とシンパートも、実はシンの両親を世都が殺…。記憶が戻ったシンとの別れも後味悪い。
償いをしたい相手(シン)に償いをしたい人(立夏)の名前を付けるってのもなぁ。
世都さん自分が赦されたいばかりの弱い人過ぎないかな?
数年後シンに赦すと言われた後も、過去と現在がないまぜになった世界を彷徨っている世都。
余韻の残る終わりと言えばそうだけど
どう捉えたらいいのかよくわからない、が本音です。
世界観が出来上がっていて絵も素敵だしストーリー重視の読ませる系。
ただ、わたしにはキャラの行動や感情が掴みにくくほぼ2巻分のボリュームで次々明かされる悲惨な過去話はページ数以上に長く感じてしまいました。
全体を通してとても重厚感のある物語でした。この作品でいう「天国」というのは、他の地域よりずっと治安が悪くて、犯罪が蔓延している上にそれが当たり前で誰も文句を言わないようなエリアです。ファンタジーではないのにどこか異世界チックな雰囲気が漂っていました。
読み終わった後に、この作品は登場人物の世都の過去を清算することがストーリーの主軸だったのかなぁと感じました。母親に天国でなら存在することを赦されると連れてこられ、彼女に鋏で全身を傷付けられトラウマ化し、その後に出会った自分を気にかけてくれた礼夏を死に追い込んでしまい、それを償うために拾ったシンに自分を恨むよう仕向け自分を殺させることを計画するという、とにもかくにも壮大で救いようのない人生。
ただ、発想がすごいなぁとは思うのですが、そもそも母親が世都を傷付けた理由が明確にされていないことが気になったり、自分の贖罪をまったく関係のない第三者を巻き込んで果たそうとする考えがいまいち腑に落ちなかったりして、あまり世都に共感することができませんでした。世都が礼夏を殺してしまうほど大切に想っていたらしい父親とのエピソードもありませんし、個人的にここは大事な部分だろうと思うところが描かれなかったり、ふわっと匂わせる程度にしか描かれていないことが何度かあった気がします。おかげでシンは世都と出会えたので結果論的には良かったのでしょうが。でもやっぱり、世都にとっての礼夏と、シンにとっての世都が同一化することはありえないですよね。そんな世都の独りよがりなところこそが魅力なのかもしれませんが、なんだかすっきりしませんでした。
ちょうど去年の今頃出会って読んだ作品なのですが、その時の衝撃といったらなかったです。
そこから何度も読み返し、レビューを書いては消し、書いては消ししているうちに1年が経ってしまいました。
万人受けするとは言い難く、ハマる人/ハマらない人がハッキリ分かれる類いのお話だと思いますが、私は全力でオススメしたい!
犯罪者やはみ出し者が集う、法も秩序もない街「天国」。
そこで殺し屋として生きる全身傷だらけの青年〔世都/セツ〕と、セツに引き取られて暮らす記憶のない少年〔礼夏/リーシア〕
そして、セツの過去を知っていてセツを救いたいと思っている〔ロマネ〕
3人の物語です。
良い意味でまったくBLの域を逸脱しているような作品。
愛とか絶望とか贖罪とか希望とか、そんなキーワードが散りばめられていて、「儚げで綺麗な表紙だなー」で読み始めると、しばらく現実に戻ってこれないくらいガツンとやられます。
読み終わった後、「救い」という言葉の意味について深く考え込んでしまいました。
この作品がハッピーエンドなのかそうでないのかを考えることは、あまり意味のないことのように思います。
むしろ、そのことを教えてくれている作品なのではないかな。
ロマネがセツを想って考えた「幸せ」な未来は、セツにとっての「幸せ」ではなかったし、シン(リーシア)が外の人たちから与えられた「幸せ」な生活も、シンにとっては「幸せ」ではなかった。
「幸せ」というのはその個人のものであって、幸せの定義は他人には決められないんだよ、と。
だけど、そう解っていても自分の幸せの定義を他人に適用しようとするのが人間で、なぜかと言うとそこには相手の幸せを願う愛があるから。
「愛」ってなんだろう
「幸せ」ってなんだろう
自分にとっての「天国」ってどこだろう
人によって答えの変わるこれらの問いは、感受性の強い人ほど苦しめられると思うのです。
槇えびしさんが考え、出した一つの答えが〈chapter1 ...a wonderful day.〉で始まって〈chapter0 wonderful days.〉で終わるこの作品なのかなと思いました。
作中では「愛す/愛されたい」の同義語のように「赦す/赦されたい」という言葉が使われます。
帯に大きく書かれている「僕を愛して」の文字は、そのまま「僕を赦して」なのだと解釈しています。
表紙のセツが流す涙は赤から透明に変わっていて、贖罪に生きたセツは過去に流れ去ろうとしている。
それならラストシーンのセツの穏やかな表情とシンの幸せそうな笑顔がきっとこの物語のすべてで、セツの赤い涙が全部流れ去った時、新しい希望(chapter1)が始まるはず。
カバー下に、ほっこりするようなその後の3人が少しだけ描かれています。
3人がどういう関係になったのかは分かりませんが、楽しそうに暮らしていそうでホッとしました。
英語の訳としては正しくないかもしれないけれど、
a wonderful dayが1日1日積み重なってwonderful daysになるという解釈以外に、誰かと誰かのa wonderful dayが集まってwonderful daysになるんだという解釈もアリなんじゃないかなと私は思っています。
【電子】ebj版:修正-、カバー下○、裏表紙×
前作のBLを読んで以来、BLはかかれないのかしら?と思っていたのですが、この本が刊行されると聞いて、浮かれて購入。
あ、厚い!
まず厚みに驚きましたが、制作期間も10年かかってるのですね。
なのに、絵がほとんど変わらないっていうのもすごいです。
ああ、やはり皆さんロマネ×セツ推しですか。
私は最初から育ったら礼夏×セツになるんだ!とワクワクしていたので、シン×セツであって欲しいと思うのですが、あのエンドだとどうだろう。
何か三人で暮らしているみたいですよね。
うーん。
結局のところ、ハッピーエンドなのかそうでないのか全くわかりません。
そこは読者に委ねられるのかなあ。
長い映画のような一冊でした。
1度全て読み終わった感想は、恐ろしい作品に出会ってしまったというものだった。
BoysLoveというだけで、読者が限られてしまうのが勿体無い作品だ。絵の美しさもさることながら、ストーリーが表紙の美しさの如く、深いもので、何度も読み返してしまう。まるで長編映画のようだった。
この作品は一切のネタバレを見ずに読んでもらいたい。