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雑誌はハマるのが目に見えているので手は出さず、コミックスで完成版にお目に掛かるのが常なのですが、色々な作家さまに出会えると思うと雑誌購読したくなっちゃいますね。朝田先生はインパクトのあるカバーだったデビューコミックス既読で、地味に織り込まれたユーモアのセンスとツボを押されるストーリー展開で次作が気になっていました。
二作収録。ほぼ同程度のボリュームです。
『Dear, MY GOD』はロース司祭が町に買い出しに行った先で、少年による強盗現場に居合わせたことから始まる物語。少年は十七歳のリブ。彼はその悲惨な生い立ちから救いを求め、怪しげなタン導師が率いるカルト教団に囚われている身。ロースはリブの極端な傾倒ぶりを不審に思い、彼を車で送りがてら様子を窺おうと教団の拠点へ向かう。リブが盲信する導師の教えに従い二人は「つがい」となるが、ロースは教団から彼を保護しようと目論んでいた。
リブの身体にはこれまで彼が信じてきた「神さま」のタトゥーが入っていて、そのどれもに裏切られてきたとロースに告白するシーンが切ない。そんなリブに心を懸けながら神に貞節を誓っているロースの葛藤に胸を打たれます。目に見えない神の姿を身体に刻むという行為が、捉え難い愛というものをセックスという形で相手の存在を身体に刻む行為と呼応する。自らを痛めつけるような暴力的な身体の扱いは、却って生きることに対するフェティッシュな執着を思わせ、その背反性がエロティックに感じてしまいます。リブもロースもとても純粋で、信仰をテーマに盛り込みながら重くもグロテスクにも転ばず、あまつさえ清潔感すら感じさせる作風に完全にヤラレてしまいました。しかもリブとロースって肉の部位ですか?人物のネーミングにも遊び心があって、そういったところに軽妙さが生まれるのかもしれません。
「はなばなし」。飲みの帰り、酔っ払った勢いで近所の花屋の店頭にしまい忘れていた鉢植えを持ち帰ったハナ。家に帰ると植木の花が喋り出す…。シュールな展開ですが、エンディングでそういうことだったのか、とちゃんと落としてくれる寓話のようなお話です。泣けました。(涙脆いのでアテにはなりませんが…。)
どちらも不思議と無理にBLにしたような不自然さがないのに、愛があってラブストーリーしています。最初のページを繰った途端、世界に没入。独自の路線を突っ走っていらっしゃるなぁという印象が強くなりました。で、こういう作家さまに実に弱いのです。
もう、何回も読み返してます。素晴らしい…!
表題作の「Dear,MY GOD」
カルト信者×神父の話。
こ、この二人どうなるの…ってもうドキドキしながら読みました。
読めない展開、そしてラストは美しい映画のワンシーンのようです。
それにしても攻のリブがかわいすぎる…!目のクマ、髪はぼさぼさ、体のあちこちにある傷痕、歯は抜けてて、でもすごくかわいい。そして何より盲目的なほどの純粋さ、一生懸命さ!
その純粋さ、ワンコさにロースが舞い上がっちゃうのもわかる。
Hシーンは、多くないというか抑えた表現ではありますが、リブが「あ¨ーー」ていいながらするところ、ジャンキー感出てて好きです。えろいです。
「はなばなし」
サラリーマンの「ハナ」と拾った鉢植えの話。
拾った鉢植えがしゃべり、さらには人間に変身してしまって、戸惑うハナ。しかも見た目は、ハナの苦手な花屋の「ミキ」そっくり。
ラストはそうきたかー!と唸らせられます。あまりBLっぽくないなあと思ってたけど、描き下ろし「その後のこと」では、二人の関係に進展が…?とてもニヤニヤできます。
朝田ねむい先生の話は展開が読めないですね。あと、キャラクターの背景を説明しすぎないというか、想像の余地があって、何度も読み返してしまう。ハマると抜け出せないです。
体格下克上が好きなので、神父受けと聞いて購入しました。
攻めのリブが本当に可愛くて可愛くて……っ。
ジャンキーらしい粗暴さも有りつつ精神的な幼さの目立つリブが、喜んだり驚いたりする様がどんどん愛しくなります。
受けのロースが、どんどん慈愛の目を向けるようになっていくのも納得です。
可愛い攻めがお好きな方で、表紙にグッときたのであれば間違いないと思います。
魂の救済かと言われると、個人的には首を傾げます。
沢山の人の感想を読みましたが、救済としている人も居れば、本当に救われるのはこれからだとする人も居るし、ぞっとしたという人も居ます。
けれど、総じて読後感は良かったと口にしています。
淡々と洋画のように物語が進み、静かに着地した場所でほっと息を吐いて、読後感に浸りながら、さて結局どういった話だったのか自分なりに考える。
そういう楽しみ方が出来るBL作品は、まだ余り多くはないと思います。
噛み締めるほどに見方の変わるお話です。是非、自分なりに「これはどういった結末なのか」答えを出してから、もう一度読んでみて欲しいと思います。
尚、同時収録の「はなばなし」とは同ボリューム程度です。
両作品とも書下ろしが入っていて、それがとても良いので雑誌で読まれた方も損はしないと思います。
初めて読んだのが雑誌掲載の日常話で、とても好みだったのでコミックスを買ったら絵は大好きなんですが、ちょっと地雷なネタでションボリだった事を思い出しました。あの職業、駄目なんですよ。
なので今回はそんな事もなく、ほぼ同時発売のもう一冊の新刊共々素晴らしかったです!
題材はカルト宗教でかなり重いですが、そこまで鬱々する事なく読めました。
しかし、まあ司祭もリブの事は少なからず好きなのだろうけれど、救済だけの為だったらかなり重いですね。
ほだされ受けになるのだろうか。人生かかってて、ちょっと怖い。
個人的にはもう一作のお花の話が、現代のおとぎ話で好きです。
話せる花と主人公のお話。
花が本当に可愛い。
正直、人型になる前のが好みなのは置いておいて(BLにならない!)オチもよかったです。
本当、絵も話も上手い作家さんなんで、今後も追っかけていきたいと思います。
傑作。
今まで見たBL漫画の中で一番良かったです。
私が黒髪オールバック寡黙受けが好きだからというのもありますが、それを差し引いても神評価。
ドラマチックな展開で切なく、心が締め付けられるような話。BL漫画というよりは、社会派映画の中にラッキースケベがあったくらいの感覚です。
攻めがまた可愛くて…。ドラッグだったりレイプだったり監禁だったり、まあ散々なことを受けにするんですが、根は素直な子なので本当に悪気がないんです。救われたくてやってるんです。まあ性欲はあるんでしょうけど…。
だいぶ病んでるけど、ありがとうもごめんも言える良い子です。
攻めは幼い頃から宗教の世界しか知らず、昔信仰していたタトゥーを消すために肌を傷つけた痕が多数あります。
受けの神父さんも、そんな攻めに同情して憐れみから受け入れます(本当は宗教上の関係でそういうことは禁止されているのですが)。
受けは優しい聖母み溢れる人物ですが、昔ワル(?)だったようで…ドラッグを嗜んでいたという過去が。だからピッキングしたり相手を気絶させたりすることもお手の物、明らかに怪しい導師に会っても物怖じしない度胸があったんですね。惚れる。
本当は攻めと監禁場所で添い遂げようと思ってたけれど、攻めの人生を救うことに決めた神父さん。心情の変化が見てとれます。見れば見るほど男前すぎます…。最高。神父さんを受けにしてくれてありがとうございます…。
受けの背後から光が差し込むシーンは本当に圧巻でした。攻め視点で、本当に神に見えました。ああ、リブ(攻め)、ここで救われたな…と。
どうなるんだろうと不安になりながら読み進めましたが、最後はハッピーエンドで良かったです。今まで受け入れる側だった神父が、自らキスをするんです。泣きそうになりました。
攻めの純真さがぞっとするくらい深く、可愛い。攻めは言われたことをまっすぐ受け止める子です。言われなきゃわからないタイプ。
受けもあまり思ったことを言葉にしないタイプなので、たくさん好きと言ってあげてほしいなあと思いました。
これから二人の行く末が気になります。どうか幸せであってほしい。
エロなくても全然素敵な作品なんですが、欲を言えば逮捕されて更生した後のエッチも見たかった…っ。
同時収録のはなばなしも面白かったです。大抵、表題作が好きだと同時収録はイマイチってことが多いんですが、これはどちらも良かった。
花屋の前で拾った花とのお話。
二作とも「神様」がキーワードになってるのかな…。不思議な世界観でした。こんなBLは見たこと無いってくらい奇抜で、素敵。
次からは作者買いしてしまいそうです。