おまけ付きRenta!限定版
「バラ色の時代」が読後しばし呆然とするぐらいの圧倒的神作でした。
本作はその攻めである組長の息子2人、智巳(ともみ、弟)x巽(兄)と、巽の友人であるチンピラ辰吾、計3人にまつわるスピンオフです。
果たして巽はどちらを選ぶのか。
スピンオフ元を読まなくても楽しめるとは思いますが、あちらの受け(右介)も出てくるし、もちろん読まれた方がより深く理解できます。
愛するとは、愛されるとは、純愛とは…そしてなぜ主人公たちがそうなったのか、父親(スピンオフ元の攻め)は関係あるのか?…コマの一つ一つに意味があります。
この頃は著作にドロッドロの三角関係やダークな描写が多く、ごりっごりの「闇シビト時代」なので(勝手にそう呼んでる)、暴力や近親相姦、モブレなどの歪んだ愛欲表現を含み、どちらもかなり読む人を選びます。
ですが、特に上述のスピンオフ元はMy神作でものすごくオススメなので、ご興味ある方はどちらもぜひ。
主人公のスマホ着歴に「溺れる」の2人、ハチとハセオの名前があるので友人なんでしょう。
んで朝からカツ食う弟がくっそイケメン。
ちなみにこういう系統がお好きな方には「シュガーダーク」もオススメなのでぜひ。
半グレ集団のリーダーの辰吾と実弟の智巳、
二人の男の間で揺れ動くヤクザの跡継ぎの巽。
一向に満ち足りることのない心。
求めていたのは男の腕に抱かれること、愛されること。
辰吾に抱かれて巽はそのことに気がついてしまう。
辰吾は優しく、孤独な巽の唯一の理解者のように思われた。
けれど、巽が辰吾を抱きしめる背中でこっそり暗い笑みを
浮かべる辰吾にぞわりとした。
そして、そこから始まる辰吾の暴力。
辰吾の元から逃げ出してきた巽を弟の智巳は優しく抱く。
傷ついた巽を癒し、強さも、愛も、求めていたもの全て与えてくれる。
そんな智巳の無償の愛こそが自分の求めていたものかもしれない、と惑う巽。
けれど、そんなとき、父の愛人の右介に人それぞれの愛の在り方を
諭されて自分の心が向いているのが誰なのか、気がついてしまう。
巽が衝動的に向かった先は辰吾の元だった。
純粋に心が、体が、辰吾を求め、ただ辰吾に会いたかった。
そんな巽を試すかのように暴力をふるい、
残酷な笑みを浮かべながら乱暴に巽を抱く辰吾。
辰吾のそれは暴力と痛みを伴う不器用な愛で
そういう風にしか誰かを愛せない、孤独を抱えていた。
結局、巽はそんな辰吾を受け容れてしまいます。
求めるではなく、愛を与えることで満たされようとして。
正直、本編を読み終えた時点ではこの結末が
ハッピーエンドなのかはわかりませんでした。
だけど、描き下ろしの最後に嬉しそうに微笑む巽を見て
ようやく巽にとってはこの結末が幸せなものだと思えました。
すごく歪な愛情だとは思うけれど。
巽も辰吾も智巳も、その心情を理解しようとしても一筋縄ではいきません。
読み込んで、考えて考えて、そういう愛もあるのか、
と強引に飲み込むことにしました。
みんな愛に飢えていて、しんどかったな。
辰吾は巽から愛されることが出来たけれど、智巳はどうなるんだろう…
はじめは智巳の兄への執着は嫉妬だと思っていたけれど、
兄を恨みながらもそこには家族愛や性愛の情も込められていて、
母親から与えられなかった愛を兄に求めていたのかな。
そう考えると、巽の選択ってすごく残酷です。
どうか、今度こそ周囲に認められ、自分の居場所を見つけられますように。
前作『バラ色の時代』を未読のまま本書を読んでしまったので、
突然の右介の登場に誰?となりはしたものの、読んでいなくても
特に本作を読む上では支障は感じませんでした。
読んでいた方が楽しめるとは思います。
うーん、業を感じますね…
ヤクザの組長を約束されているのに、違うものを求めている巽。
一心に、兄の巽を好きな智己。
半グレの辰吾。
これ、読んでいて気づいたのが名前。
巳と辰の間の方角が、巽なんですね。この名前からも3人の関係性がわかる。
読み終えた感情は、複雑です。闇の中だとすがるものは、光だけじゃないのだなぁと。酷くされても、巽が辰吾に引寄せられて行くのは何でなんだろう?
もちろん、一心に愛してくれる智己も弟ですから明るい光に何か薄がかった感じですしね。
何を持って人は満たされるのか、わからなくなりますね。
巽と智己の父、情人の右介が登場していてちょっと安心しました。こちらは、穏やかに過ごして居るのでしょうかね?
読み終えたけど、決してすっきりしません。でも、白黒つけなくていーんですよね。きっと。
一気に読んでしまいました。
『バラ色の時代』の大和の子・巽と智巳が登場します。
ガチ兄弟だけど色々してます。
しかし、巽が選んだのは、半グレの辰吾。
この辰吾が人を信じられない男で、
巽にひどいことをするのだけど、
巽は辰吾を愛しています。
全身全霊かけるような巽の愛で、少しは辰吾も変わることができたのかな?と思う描き下ろしに救われました。
智巳は可哀想でしたが、下の者に慕われているのは次男の智巳です。
きっと、大和の跡を継ぐのでしょうね。
しかし、菊池も右介も老けましたね……
大和が出てこなかったのは残念でしたが、
別宅で右介と幸せに暮らしているのかな?
海外にはいけなかったのかと思うと、少し寂しいです。
『バラ色の時代』のスピンオフだったんですね。まさにあの父親にしてこの息子あり。妻がいながら男の愛人をつくり、その愛人に対して傍若無人に振る舞う父親がずっと反面教師のような存在だったのか、自己主張が控えめですべてに受け身な巽。一見父親とは正反対のように見えるけれども、最終的に愛に生きることを決断したのは父親譲りであるとも言えるんじゃないでしょうか。父親は家族を捨てまではしなかったけれども、人生の本当の伴侶には愛人を選んだ。私にはこの2人が、どうしようもなく愛なしには生きられなかった似た者親子に見えました。
巽が愛した辰吾は最後まで巽を痛め続けます。モブ姦は萌え要素になるけど暴力にはあまり萌えないので、萌えたとは言いにくいのですが、ストーリーには引き込まれました。弟はこんなに優しく愛してくれる、でも、巽が求めるのはそれではないのです。被虐嗜好があるから物足りないとかいう話でもなく、巽が自らその孤独を埋めてあげたい、愛したいと思うのは辰吾ただ1人なんですよね。相手が優しいかどうかで好意が変わるわけじゃない。穏やかに愛してくれる人を自分も好きになれたらいいけど、そんな簡単な話じゃないから恋は苦しい、でもだからこそ愛の尊さが増すんだとも思います。辰吾が巽を愛していることはちゃんと理解できました。お互い納得するまで、とことん相手の愛を確かめればいいと思います。