電子限定描き下ろし漫画付き
シビト先生の作品の中では珍しく未来に希望が持てるような最後だったと思います。
攻めが単純で表情豊かだったのに比べて、受けが無表情でいつも悲しげな表情だったのが印象的でした。
学生時代の初めての恋人に借金を負わされ逃げられた過去を持つ受けでしたが、体当たりで自分を大切に扱おうとする攻めに惹かれて行くのは必然だったと思います。
2人が結ばれた途端に元恋人が現れて受けに言い寄って来ましたが、薄っぺらい態度に気がついて攻めの元に戻って来たのが良かったです。
学生でまだお金は無いけど攻めはきっと良い男に成長すると思いました。
新刊の発売予定一覧で目に入った「あの素晴らしい愛をもういちど」というど直球なタイトルがすごく印象的で購入を決めてました。
ただシビトさんなので要注意というか「素晴らしい愛」というのが、本人たちにとっては素晴らしい愛かもしれないけど、周りから見たら歪な愛を描いているんだろうなぁ…と思ってたんだけど、この表紙見て驚いた。
すっごく綺麗ーーー!!!そしてなにこの初々しくキスを交わす二人。
ただただ美しくピュアなんですけど…。
2019年アワードで表紙部門に推したい。
この表紙見ただけで今までのシビトさんとは違う作品なのでは??と思ったら、本当にその通りというか、王道正統派のラブストーリーでした。
しかも私の好きな年下ワンコ攻め!しかも駄犬ではなく純情(DT)かつ誠実な超良質ワンコ。
一度も恋したことがなく恋する自分というものも想像できない攻めが受けと出会ったことにより、恋に夢中になってまっしぐらワンコに変身。
対する受けは、初めての男に愛を囁かれ信じたせいで借金を背負うことになった過去を背負う薄幸美人さん。
いわゆる良質ワンコが過去の傷を抱えた美人さんの心を包み込んでまるっと救うという王道ワンコ物語で特に目新しさはないんだけど、これをシビトさんが描いている!ということが私はすっごく新鮮でした。
私は表紙にもなった水族館デートのシーンがとても好き。
会話はないんだけど、ワンコが受けを見て「綺麗だな…」「好きだな…」「触ってみたいな…」「キスしてみたいな…」と思ってる様子が、目で、指先で、全身で表現された末のキスシーン。萌える。
途中、過去に受けを騙した元カレが登場するんです。
美形だけど目の奥が笑っていない男で、こいつが登場すると、ものすごーーーく不穏な空気が漂うあたりがさすが。
そして、受けがワンコを捨ててこの男の元に戻ってしまうのではないか…ダークサイド堕ちするんじゃなかろうか…とかなりハラハラしました。
健全な菓子屋の男ではなく、ダークな背景を持つ元カレと元サヤに収まってしまった「シュガーダーク」の例もあるので、最後の最後、読み終えるまでどこかで落とし穴があるんじゃないか…と半信半疑で読み進めていったのだけど、本当に何もなく、奇をてらうこともなく真正面から愛を描いていました。
超王道と書いたけど、水族館シーンのようなピュアでキラッキラしたものと、過去の男の、あの暗い靄が噴出されてるようなダークさとの対比が見事だと思うし、やつが登場するだけで緊張感を漂わせることが出来るのはやっぱりシビトさんの絵だからだと思うんです。
そして、あの黒さがあるからこそ、キラッキラが一層尊く輝きを放つんだと思う。
でも何でかなぁ、何度繰り返し読んでも、どっぷりと安心して読むことができないのは…。
シビトさんということで何か勝手に心が過剰反応して、ビクビクしながら読んじゃう自分がいます。
あとがきで、デビューして10年、倒錯的で痛い愛をなにかと描きがちだったけど、昔のトレンディドラマのような感じ、温かい気持ちになるようなものを描きたくなったとあって、なるほどー!と。
次回作もこういう路線になるのかなぁ。それとも一冊描いたら気が済んだ…と元の路線に戻るのかなぁ。
どっちにしても、シビトさん、次も買いますので楽しみにしてます。どっちでも私は好きです。
作家買い。
表紙がとにかく綺麗。色遣いもいいし、しっとりした絵柄になんとも萌えがたぎります。そして、この本、袋に入ってるんですね。一枚破くのが手間だなあ…、と思いつつ袋から出したのですが、この外装にバーコードがついてるんです。カバーにバーコードがついてないんですね。
なんという神カバーか…!
とちょっと感動しました。バーコードがついていないので綺麗な絵柄が堪能できてちょっと得した気分。版元さん、ありがとうございます。
と、カバーだけに萌えているわけにいかないので感想を。
主人公は大学生の恵。
恋人はいらない、恋愛なんてくだらない、と思っていた彼ですが、友人に連れていかれたゲイバーで、そこで働くバーテン・ユキに一目ぼれ。素気無くされても振られても一途に想いを伝える恵ですが、ユキは過去のトラウマから恋ができなくて…。
というお話。
一途に受けを想う攻めに、その愛情によってトラウマを昇華していく受け。
という、ある意味王道なストーリー。さらに言うと、突っ込みどころも満載。
恵が、なぜそこまでユキに惚れちゃったのか、とか。
ユキはなぜ、薬剤師(薬学部だったという過去がある)ではなくバーテンとして働いているのか、とか。
ユキが恵におちるのが早いなあ、とか。
べたな、と言ってしまっていいのか。
カバー下でシビトさん自身あとがきとして書かれていますが、「昔のトレンディードラマのよう」な作品。
けれど、シビトさんのちょっと退廃的な雰囲気を纏う絵柄がこのストーリーをドラマティックな作品に仕上げているように思います。可愛い絵柄では、この作中に漂うダークな色香は表現できなかったんじゃないかな、と思うのです。
一途に受けを想う、年下わんこ攻め。
非常においしい設定で萌えまくりでした。
ユキの元カレは最低な男ですが、基本的に嫌な登場人物は出てこないので、そこもよかった。ゲイバーのママ(マスターだろうか)が、めっちゃツボでした。
本編通してずっとシリアス寄りな展開ですが、その分描き下ろしの甘々な二人に思わずクスリと笑ってしまいます。
マーキング。
良いよね!
ごちそうさまでした。
シビト先生の描く美しい男が好きです。
本作も、主人公の一途なワンコ・恵ちゃん、影のあるゲイバーのバーテン・ユキ、ユキを見守るゲイバーの店長・愛、ユキの初めての男・尊(たける)…みんなそれぞれ魅力的です。
そして、シビト先生の描く少し歪んだ愛の形が好きです。
執着だったり、破滅的だったり、そんな痛みを感じさせるようなシビトワールド。
さて、本作はそんな今までのシビトワールドとは少し作風が異なります。
カバー下のあとがきにて『温かい気持ちになるようなものを描きたくなってきた』と心境の変化を語っておられます。
本作では、美しいユキが過去に色恋絡みで借金の保証人になってしまった事から人間不信になっている様、というのは以前からのシビト作品に漂っていた空気感を感じますね。不穏で、痛くて。それでも優しくて一途な年下男性からアタックされて心がほどけていく様は希望があり、ユキは蛇のような男から無事に逃げ出せるんです。
このキレイなハッピーエンディングが「新生恋煩シビト」、なのかな…
以前からの暗い淵に引きずり込まれそうな危うさと、新たに獲得した温かみのある透明感。
シビトワールドの転換期に立ち会えている、そんなことを感じました。
純情で誠意溢れるDT君でした。過去に悪い男に弄ばれ裏切られた美人泣き虫バーテンダー、ユキさんが色っぽかったです。酷い目にあったので人間不信の根は深かったけど、心優しい攻めの直球攻めで落とされていく様が良かったです。
悪い過去の男は再登場しますが、どうしてあんなことをしておいて許されると思ったんだろう。本当にダサい男。ユキさんに振られる場面はざまあみろ!とスッキリしました。やはり学生なのに薔薇一輪じゃなくて花束でくれて「あなたに似合う」なんて言われてユキさんもキュンときたんだろうな。
表紙の水族館の絵も涼しげでとっても素敵でした。