愛ってなんだろう? 亜希生の愛はハルにとって苦しくて痛くて、でも離れられない。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作シュガーダーク

亜希生
ハル
無職、20歳

同時収録作品シュガーダーク

(仮)夏彦
和菓子職人
(仮)ハル
無職、20歳

同時収録作品シュガーダーク(亜希生の生い立ち)

亜希生
(若い頃)
亜希生の兄

同時収録作品男は月曜日にゴミを出す

可燃
イケメン会社員
バーで会った青年

同時収録作品愛すべき馬鹿供の平和な日常生活

倉持心
藤島涼平
高校時代の同級生

あらすじ

ハルと亜希生、その関係は…言い表すのが難しい。
恋人でも友人でもない、お互いの淋しさを嗅ぎ合いあたためあうだけ。
次第に深まる二人の関係をそのままに、ハルは亜希生とは真逆の優しい夏彦に出会う。
感じたことのない温かさに惹かれるハルだったが…

三人の男の愛の物語。

作品情報

作品名
シュガーダーク
著者
恋煩シビト 
媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
ISBN
9784758073233
3.6

(53)

(8)

萌々

(22)

(18)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
15
得点
186
評価数
53
平均
3.6 / 5
神率
15.1%

レビュー投稿数15

「幸せ」とは?ものすごく深い作品。ドロッドロの△□関係お好きな方はぜひ。

一昨日の11月に読破。
「あの素晴らしい愛をもういちど」から少し作風が変わり、明るめの印象を受けるお話が増えたシビトさん。
本作はその前なので、ドロッドロの「闇シビトさん時代」(とわたくしが勝手に呼んでる) にガッツリ当たる著作でして、以下計3つのお話が入ってます。

①表題作(全4話):「独特の雰囲気が漂う男 / 優しい和菓子職人x無職」。
単純な三角関係と呼んでいいものか迷う。
タイトル(甘くて、暗い)が多くを物語ってますね。
シビトさんの表紙ってほんっといつも色使いや構成が素晴らしいんですが、今回裏にもちゃんと仕掛けがあって、つながってます。
本命はどっちなの?表紙なの?裏なの?という…。
35ページでやっと、もう一人の攻め初登場。
2話の扉絵もですが、ただ立ってるだけなのになんという圧倒的存在感…!
この2カットを含む、数々の妖艶な亜希生シーンが見られただけで、私的には元が取れたようなもんです。大大大満足。
(※注意:ガチ兄弟セッ描写、暴力描写、攻めxモブ女性のセッ描写含みます)

②「不思議な雰囲気の、クールな黒髪リーマンxバーで会った青年」。
めちゃくちゃ短い。かなりのブラックユー…あーなにを言ってもネタバレになる!
主人公の髪型といい、目つきといい、可燃さんというブッ飛んだ名前といい、Bar Burnable(可燃)といい、私はこの作品嫌いじゃないw
後からじわじわとやってきます。スルメ作品(噛めば噛むほど、という意味で…ちなみに当方、一応ファンです)。

③DK同士「彼氏がいる男性x黒髪の浮気相手」。
まさにこれ。闇シビト節炸裂、ドロッドロの三角関係、いや四角。
実はシリーズもので、「図書委員の恋」にこの前作が入ってて、「窓際の林檎ちゃん」他に続編があって、計5話なんです。
ぜひこの順番↑で読んでみてほしいので、本ページの関連作品欄からどうぞ。
(いつか1冊にまとまるといいなぁ)

以上、本作は「三色混ざれば黒になる」などの闇シビトさん時代の著作を堪能したい方向けです。
私が利用した電子書籍販売サイトでは試し読み部分が常に41ページもありましたので、サイトによって無料分が若干違うようです。

1

ビターではなく、ダーク

「しあわせになりたい」
そう思わない人なんて、いませんよね。
誰だってしあわせになりたい。
でもしあわせの形は人それぞれということを、再認識した作品です。

母親に見放され、帰る家もないハル。
心酔するほどに憧れていた兄に裏切られた亜希生。
野良猫のようなハルを家に入れてくれた和菓子屋の夏彦。

暴力で押さえつけるような亜希生の愛し方に窮屈さを感じて、甘い匂いに誘われて、たまたま盗みに入った和菓子屋で、ハルは夏彦と知り合います。
最初はハルの生い立ちに同情的になって、夏彦のところへ行けばしあわせになれるのにと思うのですが、読み進めるうちにシビト流「人間の怖さ」が見えてきます。

中盤で出てくる亜希生の回想シーンは本当に痛い。
兄の底の深い闇に翻弄されて、家族はおろか他人なんて信じられなくなるのも、誰にも執着できなくなるのも頷けます。
そんなところにすっと入り込んできたハル。
自分を欲しがって貪欲に迫ってくる女性たちとも、自分を支配しようとする兄とも違うハルに、亜希生が見つけたものは果たして本当に愛だったんでしょうか。

主導権は亜希生が握っているようで、実はハルがそう仕向けたというのが、本当に怖い。
相手が100%自分に向かっていないと満足しないハルと、愛したらその人以外はいらなくなる亜希生は、似たもの同士のようで違っていて、ハルは仕掛けるけど、亜希生は受け身。ハルはわりと自由だけど、亜希生は自由じゃない。
ハルとのことも亜希生から始めたように見せているけれど、本当は違う。
ハルにとって失敗だったのは、亜希生の並外れた執着とそこから生まれる苛立ちを見抜けなかったことだけど、それと同時にここまで自分を愛してくれる人はいないことも気付いているんだよなあ。皮肉なことです。

夏彦の存在は、カフェの女性たちが語る甘味の話に見事に投影されていました。
こういう手法も見事です。

ハル、夏彦、亜希生という名前にも意味がありそうだけど、そこまで掘り下げるとものすごく長くなりそうなのでこの辺で。
「しあわせは 自分の心が 決める」と相田みつをさんは言っていましたが、その通りだなあとしみじみ思いました。

同時収録が2篇あります。
ちょっとゾワっとする話と、ぬぬぬ!?となる話でした。
ぬぬぬの方はまた語ると長くなりそうなので、やめておきます。ぬぬぬ!?です。

甘いの逆は苦いだけれど、この作品はあくまで闇。
2つの闇が合わされば、1つの闇になるように、どっちの闇がどっちを飲み込んだのか。
不幸に見えて、本当は不幸じゃないような、深い作品です。

3

表題作の閉塞感が好き

◆シュガーダーク(表題作)
 もっと読んでいたかったので萌評価にしましたが、この終わり方自体は嫌いではありませんでした。爽やかで誠実で人間の出来た夏彦に、盗みばかり働いていたハルが良い影響を受けて、さらには2人が恋にも落ちていくのかと思いきや、ダークホース・亜希生の存在感が相当増してきて、物語は逆方向に動き出します。ハルと亜希生の話を読むと、確かに亜希生だけがクズな男というわけではないんです。亜希生をそんな男にしたのはハル自身。なのに、そんな亜希生を差し置いてハルだけが明るい陽の光の元に出ていくというのは、かなり酷い仕打ちに思えてくるんです。

 亜希生はただのDV男ではない。彼はハルが他の男の匂いを纏って帰ってきた時だけ暴力を振るう。もちろんそれも褒められたことではないけれど、でも、他の理不尽なことでハルを殴ったりはしない。ハルに愛されたいばかりでもなく、彼自身もちゃんとハルに愛を注いでくれている。それは歪な形かもしれないけれど、相手に愛を与えたいという気持ちは誰よりも強い人なんですね。彼の背景を知ると、どうしようもなく彼に温かな愛が与えられて欲しいと願ってしまう。だから、ハルが最後に彼の元に戻ってきてくれた時、私は嬉しかったですし、たとえ陽の光の下を歩けなくてもこの2人なりの愛の巣を築いていって欲しいと思いました。もし夏彦が同性OKでハルと恋人になったとしても、夏彦が亜希生ほど他を味見できなくなるほどの甘さをハルに与えられたとは思えない気がします。

◆愛すべき馬鹿供の平和な日常生活
 真人から遠ざかった心の物語。時系列や相関図がややこしいので、できればこのシリーズは1冊にまとめて欲しかったなぁというのが正直なところ。5冊に亘ってあっちやこっちに散らばっているのはちょっと読みにくいですね。心も涼平も常に真剣に恋をしているけれど、2人を想う人は他にもいる。不毛な関係を続け、上手くまとまらないところにリアルさを感じました。

1

そうそう、そうこなくちゃ!と思える唯一の作家さん

【シュガーダーク】
荒んだ生活をしているハルが忍び込んだ和菓子屋でどら焼きを貪り食うところからスタートするお話で、そこの和菓子屋の後継息子の真っ当な感覚に、我が身を振り返り始めるハル。
普通なら和菓子屋の後継息子・夏彦と一緒に頑張って更生しましたという着地になるんでしょうけど、シビトさんなのでそうはいきません。
亜希生というダークな背景を持つハルの男が登場。

私は健全なハッピーエンドが好きなので、他の作家さんがこのストーリー展開を描いたら、うわー…ナニコレ…とドン引きすると思います。
しかしシビトさんに関しては、その歪みっぷりを期待して手に取る唯一の作家さんなので、この着地に納得です。そうそう、そうこなくちゃ!的な。でもたまに読むからいいんだと思う。

半年ぶりに読み返したら、亜希生のガチ兄弟の絡みをすっかり忘れてて、うわぁ!となりました。
自分用覚書:和菓子屋 三角関係 ガチ兄弟あり

【男は月曜日にゴミを出す】
イケメンだから色んなことがなんとかなると思っている男のお話。
短いけど、最後にものすごくダークなことがサラリと描いてあってゾワっ。

【愛すべき馬鹿共の平和な日常生活】
これ三角関係どころか どっちにも彼氏がいるので四角関係。同人誌の作品でこれだけ読むとなにこれ?と思うかもしれません。

布団干したりしてくれているという心の彼氏の真人が「図書委員の恋」に登場した表題作シリーズの主人公・桜井真人です。とにかくだらしない心のために文句を言いながらもあれこれ世話をしています。【愛すべき馬鹿共の平和な日常生活】だけを読めば、ふーん、涼平と心この際付き合っちゃえば?と思うかもしれませんが、「図書委員の恋」での真人の一連を知っていると、とにかく真人が可哀想でなりません…。
この短編の続きは「窓際の林檎ちゃん」の中の【足りないものそれは真心でした】そして涼平については同じ一冊の【ループループループ】に描かれています。
仕方なかったのかもしれませんが、三冊に渡ってちりばめないで、一冊の作品としてまとめてくれれば良かったのになぁ。。。

2

DVもあるけど意外と明るさのある話

恋煩シビトさんの描く美しい男が好きだ。なにかこう秘密めいて、蛇のような男たち。
「シュガーダーク」は甘い男と苦い男を比べてどっちを選ぶ?という話ではない。
ハルの恋人は亜希生。亜希生はハルに執着して、時に殴ったり。
ハルも亜希生も根無し草で。
ある日ハルが出会う夏彦は、家業の和菓子屋を継ぐために修行をしている真っ当な男。亜希生とは正反対で、なんとなく惹かれ何度も会いに行きもう一歩で恋になりそうな予感もあったけど、ハルは自分で苦さを甘い美味しさに変えていく決心をする。亜希生に感じる苦さはハルが作ってきたものだから…

「男は月曜日にゴミを出す」
「世にも奇○な物語」とかの原作になりそう。話のオチが見えないと思って読んでると、急転直下のホラーテイスト。あー気味悪い。

「愛すべき馬鹿共の平和な日常生活」
事の発端は高校時代。友人が同級生(男)を好きだと言い出し、それで自分もその彼を意識するようになって…という背景なんだけど、かなりな短編のため話の整合性よりも不条理を強く感じる。何がどうなる、を読むよりも複雑で不穏な空気を感じるべきお話。

2

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP