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表題作five senses

隈恵輔、美大講師、36歳
白本晃太郎、美大生、21歳

同時収録作品コール ミー メイビー

セイジ
山吹、ジムのインストラクター

同時収録作品夢現

常盤、香料会社の営業
赤根、調香師

あらすじ

「試しにさ、脱いでくれる」

ヒモとして暮らしている美大講師・隅恵輔が、
パトロンとのセックスの間にも考えていること。
それは、15歳も年下の男・“しろ"を描くことだ。
一方、“人を描けない"美大生のしろも、
躰を這い回るような隅の視線を浴びている内に、
ほの暗い欲望が、自分の中で膨らんでいくのを感じ――…。

美大講師に視姦される美大生、
夢の中で後輩に何度も犯される研究者、
テレフォンセックスにハマるインストラクター…
5種の官能が交じり合うエロティック・オムニバス!!

作品情報

作品名
five senses
著者
桃子すいか 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルールコミックス
発売日
ISBN
9784040681412
3.8

(32)

(11)

萌々

(7)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
120
評価数
32
平均
3.8 / 5
神率
34.4%

レビュー投稿数5

擦られて絵になりたい...

桃子さんの振り幅の広さに感嘆としました

前作の「雨だれの頃」で大好きになり作家買いでした
ひりひりするような真っ直ぐで不純物のない友情から
恋に変わる前作の物語から一変した今作

五感を使って表現される世界観
エロティシズムと純粋な想いが混沌とするモノローグが秀逸でした

表紙からも五感を感じ取れる多彩で淡い色使いが素敵です

表題作は、美術講師とその学校の生徒の話でした
見目麗しいしろを描きたいと初対面でいきなり
「お前かかせて」と言ってきた先生
モデルを勤めるしろ

しろは描いても描いても足りなくて
いっそお前を構成する粒子を絵の具にしてそれで描いたら... 
しろの容姿に惚れ込む先生

でも、ここには美しさに抗えない純粋な画家としての
感性が現れてるように思いました
人よりも優れた容姿を持っている事を自認してるしろ
でも、その容姿のお陰で醜く卑猥な感情を向けられる事が多かった
でも、先生から容姿を褒められることは嫌じゃない、むしろ...

そして、ある日、ヌードモデルをお願いする先生
承諾し脱ぐしろ
先生が凝視し描く
その先生の視線に「しろ おまえ興奮してる?」

少し前から おれも 先生も おかしい
おれは先生に見られたい

二人の関係に空気に変化が生まれます

桃子さんの素晴らしい才能の一つは
このモノローグだと私は思います
少なく飾らない言葉で伝わる繊細な感情
空間を上手く描く絵
何もしてないのに、見られてだけのしろなのに
視覚的官能が伝わるんです すごく しっとりと エロく

もう、うわぁぁとなりました
いいな めっちゃいい桃子さん!!

紆余曲折あり結ばれた後にしろが
「おれは鉛筆になりたい 先生の手の中で紙に擦り付けられて
絵になりたい」と言うセリフにエロティシズムと純粋な想い
相反する2つの意味を感じました
安っぽく猥褻なものではない
五感に素直に響くエロティシズム
純粋な想いが胸に響くモノローグ
これが桃子さんの世界観のエロスなんだなと
大大満足な一冊でした
二度三度と読み返す毎に味わい深くなります

桃子さんの描く世界観で色んな話をみたいと思います
好きだな 桃子さん

補足 桃子さんの描く裸体の量塊感が凄くいいんです
    あの柔らかい線のままなのにいい感じな男感 
    エロいんです 
   

3

5つの官能は全て感応する。

桃子すいかさん、初めて読ませていただきました。
とっても瑞々しいお名前ですねww

絵柄の印象は柔らかいなという感じだったのですが
お話はほのぼのとしているだけでは無く
せつなさ満載です!
心情の変化に無理矢理さも無いので
すんなりストーリーに入っていけます。

「鉛筆とダイヤモンド」(視覚・触覚)
最初は純粋に“描きたい”と思ってモデルを頼んだ美大講師と、
見た目ばかり褒められてきたことに
コンプレックスのようなものを抱きながらも
先生には見られたい、描かれたいと思うようになるしろの恋。
先生にはパトロン的存在の女性・ルリコさんがいるのですが
これがなんとなく私は好ましくなくて…。
いえ、物語では、先生にとってしろが特別な存在だと気付いて
ちゃんとしなくてはと思うようになったから
絵描きとモデルの関係性に変化をもたらす人物の位置で
重要ではあるんですけども…。
すみません、うまく言えないのですが…。

ただ、人物画を描けないしろが
実は家で先生を描いていたっていうのがすごく胸にキました。
しろが徐々に募らせた想いも
先生の、しろをモデルとして描きたいだけではない気持ち、
丁寧にえがかれていたと思います。
初めて先生に触るシーンのときめきは素晴らしかった!!
最後に、ダイヤモンドより鉛筆になって先生に描かれたいしろと
綺麗なしろをダイヤモンドにしたい先生、
どちらの愛もわかるような気がしました。

「コール ミー メイビー」(聴覚)
ジムのインストラクターをしている山吹は、
ノーマルだけど興味本位で試した男とのテレフォンセックスにハマり
言葉責めされて耳で感じ過ぎちゃいますww
見た目は短髪だしがっちりしているのに
電車で聴く美声にまですっかり感じてしまう変態さん!!
でも、一番はやっぱりセイジといういつものテレセのお相手。
ある日山吹をご指名の新規のお客さんがジムに来て
ストレッチの段階で既にいい声がこぼれてきます!
しかもセイジさんに似てるイイ声!?
仕事中なのにHな事考えちゃってマズイ!!のですが、
オチは山吹が可愛くて、このお話大好き!!!

「夢現」(嗅覚)
調香師の赤根は、何も変化がない生活を繰り返していましたが
後輩で営業の常盤に抱かれる夢を見ます。
その夢には煙草と体液のにおいが伴うもので
いつしか眠ることもままならなくなり体調を崩します。
そんな中でも嗅覚だけは冴えわたっていて…。
煙草のにおいが常盤の吸っている銘柄のものだったとわかった時の
赤根の反応がリアルでこういう描写がとてもお上手だなと思いました!!
無駄の無い回想シーンで、ああ、こういう事が…と理解出来ましたし
人懐っこい常盤がそんな…っていうのと、
赤根が心の底で本当は壊れたがっていたギャップが
とても良かったです!!
終わり方も余韻を残しまくりで、
常盤視点でもじっくり読んでみたい!!!


「おいしい時間」(味覚)
「鉛筆とダイヤモンド」の描き下ろしです。
好きな人と味わう鍋はありふれているかもしれないけど
しろが知る苦いウイスキーも、自分の体液がまずい事を知るキスも
それらはすべて甘いひととき。
そんなしろが愛しくてたまらない先生ののろけでした←

カバー裏の4コマはコミカルで可愛かったです!
「コール ミー メイビー」の山吹のとこ、
そこ重点的にお願いします……!!!

5つの官能、感じさせていただきました!!

2

五感から解きほぐされていく男たち

◆視覚/触覚『鉛筆とダイヤモンド』
 桃子先生の軽やかで繊細で儚いタッチが、存分に活かされている作品でした。生徒のしろを無性に描きたいと思う先生。最初は服を着たままだったのが、ヌードにまで到達し。しろは誰をも寄せ付けない冷たいキャラのように見えたのですが、先生と一緒の時間を過ごすうちに、彼の先生への想いはとても分かりやすいものになってきて、それがとても愛おしかったです。先生のちょっとした一言に赤面してしまうところも年相応で。その美貌で損をしてきたという彼が、ようやく温かでまともな恋に出会えたことが嬉しかったです。

◆聴覚『コールミーベイビー』
 テレフォンセックスを淡々と官能的に描き出した作品。顔も知らない男の声に包まれて、呆気なく達してしまう山吹がエロかったです。日常でも良い声をした男性に遭遇すると、いつの間にかその男に犯される自分を想像してしまうようになるのが、やらしいですよね。結末をぼかされていたところも余韻が残って良かったです。

◆嗅覚『夢現』
 後輩の常盤に犯されている自分は夢なのか、現実なのか。現実での彼はこんなに先輩想いで爽やかな後輩なのに、夢の中での彼は、自分を拘束し支配する。最後までどこまでが夢でどこからが現実なのか、赤根も読者も分からないようになっているのが、常盤のみぞ知る、すべて常盤の手の内にある展開という感じで、萌えました。

1

遺灰からダイヤモンド、なりたい

初読みの作家さんです。五感をテーマにした短編集なのですが半分くらいは美術講師の先生と美大生しろの話です。
でも、この二人の話が一番好きでした。ゆっくりと流れるデッサンの時間にだんだんと見られて興奮してくるしろ。自分は人の顔が描けないと言いつつ、こっそりと先生の顔を描いていたんですね。しろは徐々に自分の気持ちに気づいているのに先生はしろと連絡がとれなくなるまで自分の気持ちに気づかない鈍感さ。パトロンという存在はなんだか不潔な感じで好きじゃないけど、いいきっかけになりましたね。死んだらその遺灰からダイヤモンドが作れるという話から、しろはダイヤモンドより鉛筆になって先生に紙に擦り付けられて絵になりたいって言う台詞があるんですが、なんて素敵な発想でしょう。好きと言う台詞は、結局出てこなかったのですがそれ以上にしろの先生に対する穏やかな愛情が感じられる台詞だと思いました。

聴覚の話はよくよく考えたら、電話だけの付き合いのはずがGYMにまで来られちゃったら怖いわと現実的に考えてしまいました。嗅覚の話も夢と現実がぐちゃぐちゃになって、私は一回ではよくわからなかったんですが、あれ、実は周到に毎夜後輩がやって来ていたと言うことならかなりのオカルトだなと思いました。

ほんわりした恋愛からちょっと変態チックなものまでいろんなタイプのお話がぎゅっと詰まった一冊です。

1

五感がテーマの短編集

まさに感性で描いたような短編集です。表紙の通りの雰囲気。

表題作 隈(美術講師)×しろ(美大生)
攻めと妙齢の女性との絡みがあるので苦手な方はご注意を。
ダイヤより鉛筆になって最後には絵になりたいと言ったしろに、安易に同調するわけでもなく、それでもダイヤにしたいという先生が好きでした。それにたいするしろの「えー」も含めて、たわいもない睦言を美しく切り取っています。

局部の描写は消して多くないのに、全編官能的です。感性に訴えるタイプの官能ですね。桃子すいか先生、作風が幅広いわ!

0

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