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作者買いで読んで以来何、度も読み返している作品です。繊細な筆致と、人の息遣いが感じられるような心の機微を拾う言葉。気をつけて理解しようとしないと、この物語のストーリーも、登場人物たちの言動もきっと不可解に写ってしまいそうな危うさがありますが、きっとそれは現実世界でもあり得ることだよなあと考えてしまいます。
幼い頃に両親が不在になって親の愛情が欠けた幼少期を過ごした小林先輩と、家族からの愛は受けたが好きな人から愛してもらえなかった海くん。
つっけんどんで他人を寄せ付けない態度の先輩は、愛されることを諦めて、他人を必要としない生き方を選んだ。へらへらと軟派な態度の海くんは、本気で人を好きになったら傷つくから一度きりの関係を繰り返す。
心の傷を癒せず、覆い隠すことばかり身につけて自らもその傷と向き合うことやめた二人が、お互いに傷を理解し癒す救済の物語だと思いました。
自分が理解できないからと諦めてしまうのではなく、知りたいと思う気持ちが相手に優しくなれる。そして他人に優しくできた経験が自らの傷を認めてあげる気持ちの余裕に繋がるんだろう。そんな臆病で優しい複雑な作品でした。
エトランゼと先生の絵が大好きで、雪の下のクオリアも読みたいと思って買いました。
買ってもう数年経ちますが、未だに読む度に気づきがある作品です。
(ああ、そっか)が2人分あるのに気づいた時は感動しました。
最後の外でご飯するシーンでは、本当に先輩の表情が明るくて、景色も子供たちも明るくて、優しい気持ちになります。
最初読んだ時は、ゲイビデオみたけど無理だわの話から、恋愛とは別の、2人だけの関係性を築くのかなと思いましたが、
「なんか優しくしたくなるよ
なんでだろうな」
からの
「俺の事は〜好きになんなくていいんですぅ〜って言ったのお前だろ」
で繋がって、ああ先輩も中身がどうであれちゃんと海くんが好きってことを海くんに伝えてたんだなあと気付きました。
この後体の関係を持たずに2人で2人だけの関係を作っていくでも、海くんに絆されて身体の関係を持っても、どっちでもすごく素敵だなと思える作品でした。
これからも何度も読み返していきたい作品です。
初読み作家さんです。絵柄に惹かれて購入しました。
ストーリーの ”器” は良いが、開けてみたら中身が意外と空っぽ…
そんな印象でした。
キャラの心理描写とか感情の流れが全体的に薄かったです。
まるで未視聴の連続ドラマの総集編みたいで、
最後まで感情移入できませんでした。
特に会話がぎこちない。なんか無理に話を進めている感じ。
ほぼ他人に内情を打ち明けたり、変なタイミングで話題を変えたり、
普通はこんな話方しないだろう。
あと、お互いの好きになる瞬間も掴めませんでした。
ずっと辛口ですみません m(-_-)m
紀伊カンナ先生は『海辺のエトランゼ』で知りましたが、繊細な絵のタッチとセクシュアリティに悩む人々の心情を上手く描くのが印象的な漫画家です!
『雪の下のクオリア』は、人を愛する怖さを知りながらも、人の温もりを求めずにはいられないという弱さを持つ後輩・海(受け)と性に奔放な彼に対して偏見を持ちながらも、同じアパートに住む海の甘えを受け入れてしまう先輩・小林明夫(攻め)の間に生まれる、愛と呼ぶにはまだ未熟な名前のない感情を育む物語。
過激な性描写はありませんが、最後は温かい気持ちになりたい人にはおすすめのBLです!
登場人物達にも、そして私自身もトラウマがあり、思い出しては不快な気持ちになる事があります。
嫌悪感から強い固定概念で決め付けてしまっている事って少なからずあると思います。
その結果行動が世間的には多数では無い選択をして生きていて、孤独を感じたり
これを読むと何かに傷ついていたり、トラウマのせいで自己が歪んでしまったと感じている方の心のしこりが少し溶けるような、そんな気がします。
深く傷ついていた事を自覚した海を包容してくれる明夫。
でもその明夫も自分の固定概念で嫌悪していた事を別の方向から見る事が出来て消化していきます。
海が救われるシーンで私も勝手に救われていました。
エトランゼシリーズも勿論好きなのですが、この漫画が本当に好きです。
読んで良かったと心から思える作品です。
