23歳サラリーマン。48歳パンチパーマ会社社長(ハゲ)。職を取るか真実を語るか、選択の末に二人がたどりついた結末は!?

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表題作LOVE&CATCH

渋谷守,ペット専門の葬祭会社 新入社員,23歳
堀内芳郎,ハゲ(パンチパーマ)の社長,48歳

その他の収録作品

  • その後のLOVE&CATCH
  • あとがき

あらすじ

渋谷が就職した先は、社長を含めて従業員4人という小さなペット専門の葬祭会社。従業員同士の仲もよく、居心地のいい職場にひとつだけヒミツがあった。
それは、社長の頭はハゲで、パンチパーマはカツラだということ。違和感満載のパンチをカツラだと気づかない者はいないのに、社長は誰にも気づかれていないと思いこんでいた。
知られたら寝込んでしまうくらい繊細な社長を気遣い、周囲の細心の注意を払っていたが、偶然ハゲを見てしまった渋谷は従業員で唯一カツラだと知っている~けれど誰にも言わない~
ことから社長に慕われるようになり……。

作品情報

作品名
LOVE&CATCH
著者
木原音瀬 
イラスト
彩景でりこ 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
ISBN
9784883864393
3.6

(65)

(24)

萌々

(13)

(17)

中立

(3)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
21
得点
226
評価数
65
平均
3.6 / 5
神率
36.9%

レビュー投稿数21

ガッツリギャグ

脱帽です。先生は苦しい悲恋な作品を書かれる印象でしたが、ギャグもイケるとは…カツラが吹っ飛ぶ度に笑ってしまいましたw
数少ないハゲ受。この作品以外では朝田ねむい先生のスリーピングデッドしか知りません。正反対な作品w
酔っ払いの容赦ない言葉とイジりもリアルでハラハラし、渋谷の葛藤や心の中の悪態はひどいなと思いましたが、現実だったらそう思ってしまうんだろうと、やっぱりリアルだなぁと引き込まれてしまいました。
ハゲでギャグなのに尊さを感じさせられるのは本当に流石です。

ハゲズリ…本当に他で見ないような作品を書かれるとしみじみ…

0

結構面倒くさい小柄ハゲおじさんと世話焼き若年寄

俺が欲しいのはハッピーエンドじゃない、引導だ!

「NOW HERE」「鈍色の華」「深呼吸」と
一見どこにでもいるおじさんが、読み進めるうちにどんどん愛おしく好きになっていくのは木原さんの作品の魅力のひとつですが、そのおじさんキャラの中でも一番ハードルが高いであろう今作はハゲでカツラの50前の堀内。わちゃわちゃなイラストとコメディを楽しみに読みました。
ペット葬祭が舞台というのも面白いです!

堀内の繊細すぎる性格と付き合い出してからの自惚れ、また相手の渋谷が後半まで自分の気持ちに気づいていないからか、おじさん的魅力は上記3作よりは爆発していないように思います。というかカツラを隠し通せている体を崩せないので面倒臭い!
読んでいる自分も、仕事で疲れて帰ってきてこのおじさんを読むのか…と、途中までの渋谷の気持ちが理解出来たり出来なかったり。

けれど何かあるとすぐ泣くし、若い渋谷と付き合ってご機嫌になったり落ち込んだりする堀内はかなり人間味があり、飼っている猫の懐き方や、渋谷へのメールのお誘いにも性格が表れています。動物愛や健気さが強く、モヤモヤしても的確な言葉を発せる人なので、ペットを亡くした人達への対応に評判がつくのも納得です。

他の方も仰る、坊主頭での…はそこまで引かずに読めました(笑) 頭皮の質感や体温の触感は確かに良さそう。でもハゲにムラムラする渋谷は末期ですね、良いオチです。
おっさん受けとは、年齢差を自覚させて萎縮させたり言葉責めにしたりするのが魅力、なのか…?と分析してみたりしました。

挿絵の、勘違い健気な堀内と若年寄り渋谷の絵柄が明るい雰囲気で楽しめました。いまいち想像できない(若年寄というワードも)ところを上手く挿絵がカバー&アシストしてくれていました。

そこまで地獄描写はないのですが萌えもかなり人を選ぶので「しゅみじゃない」評価にしましたが、読みやすい作品ではあります!

0

斬新です

木原先生の作品でなければ一生手に取ることのなかった気がするハゲたおじさん受け…。

結論から言うと、むちゃくちゃ面白かったと同時に、どこに感情を落ち着ければいいか苦しみました。

ハゲ、カツラとなかなかデリケートな題材を見事なドタバタギャグセンスで書いてくれているので、盛り込まれがちな頭ネタに口をおさえて笑ってしまいました。楽しいです。

懸念していたハゲたおじさんな社長受け。
萌えるか萌えないかと言われればやっぱり後者寄りなのですが、この社長がとってもピュアで可愛いんですよ。
良い人ですし…自分の会社の社長と変わってほしい(笑)

だけどそんな社長も恋に溺れ…元からガラスハートな部分も相まって女々しくめんどくさくなってしまうところも愛らしく…

先生の書くキャラなので、リアルな中年男性感あっていいんです。
女性が好む物語に出てきそうなキャラらしい無駄にハイスペックだったり人生経験積んでる紳士要素…なんてものは微塵もなく…まぁ容姿の時点でお察しですよね(笑)

ただ致命的なのは、攻め渋谷の社長に対する恋愛感情が死んでいること…。
社長のまさかの勘違いからはじまった二人のピンクな関係ですが、真実を言おうと思いつつもなかなかうまくいかない。
それは社長に惹かれはじめた…などではないところもまた酷な話ですよ。

そんな冷めきった渋谷とは裏腹に、一人恋に燃え頑張ろうとする社長がとても心苦しく…でも二人の仲を応援したいわけでもないので感情のもっていき方に困りました。
正直胸糞要素はなくもなかったと思う。


結果的には渋谷の性癖も開花し見事なハピエンなので、まぁ丸く幸せにおさまったならいっかー。

0

笑いと涙の果てには幸せが

パンチパーマかつら社長・堀内と、新入社員・渋谷。年の差20歳以上。誤解から始まった男同士の交際が、両想いにたどり着くまでの物語。
堀内と渋谷が深刻に悩めば悩むほど、切ないのに、二人のかみ合わなさが可笑しくて。コメディなのか、シリアスなのかハッキリして!と思いながら、最後まで一気に読んでしまいました。木原先生、ギャグも容赦ないのですね。ジーンとなる結末にとても満足でした。

渋谷が勤めるペット葬儀社は、社長の堀内の優しい人柄が評判で大繁盛。問題は、堀内の悪趣味でしょっちゅうずれるパンチかつらを、社員たちがかつらだと知らないふりをしなければならないこと。客の子供に「かつら?」と指摘されただけで寝込んでしまうほど堀内は繊細で、かつらは社運がかかった大問題。
あるとき堀内のかつらが渋谷の目の前で外れる事故が発生。堀内が渋谷だけに知られたと勘違いしたことが、後に二人が付き合うきっかけに。

どこをどう考えたら二回りも年若い男が自分を好いていると勘違いできるのか。堀内は、渋谷の前では無邪気で泣き虫で、幼子のようです。「嫌いにならないで」と渋谷にすがる弱弱しさもかなり気持ち悪いです。でも、それらを差し引いても、裏表のない優しい人柄が憎めませんでした。
なんといっても、好きでたまらない渋谷が自分と別れたがっていると知り、渋谷に気付かせないように身を引く優しさに本当に胸を打たれました。
また、風邪で寝込んだときに、渋谷にアイスクリームを食べさせてもらい泣いてしまう場面では、純真さに萌えそうになりました(笑)。

渋谷は母子家庭の長男で、弟たちを懸命に世話してきたせいで我慢が身についてしまいました。これがあだとなって、大人の関係になりたいという堀内の気持ちにも応えてしまいます。でも恋人関係が我慢で続くわけがなく、渋谷は堀内に別な女性と付き合うよう仕向けて、自分たちの関係の自然消滅を図ります。
ひどい男です。だいたい、堀内と付き合い始めたときの渋谷の心境が、「会社のスムーズな運営のためこの関係が必要なら、受け入れよう。本当に愛する人ができるまでの間は。」ですからね。
渋谷の傲慢なこの気持ちは、ずっと堀内を傷つけていました。「私のことなんて好きじゃないんだろう。最初からそんな感じだった。好きなのかそうじゃないのかよく分からなくて…。けど優しいから、だから…。君といると自分が惨めになる。自分で自分が気持ち悪い。」
堀内の思いやりで別れられたのに、堀内の本心を暴いた上に、こんな風に言わせてしまう渋谷は、本当にひどい。

でも堀内との関係をずっと切れなかったのは、見捨てられない、なんとか慰めてやりたい、という気持ちもあったからで。そのお兄ちゃん気質で堀内と付き合ってきたはずだったのに、堀内と一緒にいるととても安心できたことを、失って初めて知って。世話好きなのに寂しがり屋で甘えたい。渋谷はなんとも厄介な性質です。
だから、渋谷の心を満たせるのは、仕事ができて親みたいな優しさがあるのに生活面では頼りない堀内しかいないのだと思います。渋谷が自分の気持ちに気付いて本当によかった。
絶対にくっつきそうにない二人がめでたく結ばれて、読むほうも幸せ感が尋常でなかったです。
だから、渋谷の言葉攻めとかハゲ頭のプレイとかは、二人が幸せならいいかなと(笑)。

二人のその後のショートストーリーの中で、堀内がつぶやく言葉にジンときました。
「すべてを受け入れてくれる恋人ができたおかげで、自分の禿げた頭を人目にさらすことを躊躇わなくなった。……ありのままの姿でいられること、それを受け入れられたことで、すごく気持ちが楽になった。」
こんな幸せを相手にあげられるなんて、二人の関係がとても素敵です。
ショートストーリーは堀内の視点から書かれていて、渋谷の気持ちは書かれていませんが、渋谷も間違いなく幸せなのでしょう。彼がどんなふうに幸せを感じているのかも、ぜひ聞いてみたい気がします。

3

笑いとリアリティーのある生々しさが絶妙

堀内のことを嫌いにもなれないけど、好きにもなれない渋谷(攻)と一応付き合ったはいいが、好かれていないのではと不安な日々を送る堀内(受)。
付き合うきっかけはありえないのに、二人のやりとりは人間らしい生々しい部分があるので惹きこまれます。そして受けは禿のおっさん(笑)コンプレックスを笑ってはいけないと思いつつも笑ってしまうし、いい年したおっさんの乙女のような恋心は非常に痛いです。
この二人が本当に惹かれあるのか、心配になりますが、無事にハッピーエンドになりますし、禿頭にアレを擦りつけるプレイは変態すぎて笑ってしまいました。胸キュンではないけれど、面白い。こういう作品もアリだと新境地が開発できてオススメです。

5

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