電子限定漫画付き
初読みの作家さまですが、ちるちるさんの作家インタビューでお見掛けして、面白そうだなと思って購入してみました。
ゲイビ男優をしていた男が、若いナイスガイな男の子に言い寄られて、はじめは身体だけの関係のつもりが気持ちまでがっつり持ってかれちゃった話。
と、一言で言うとそういう話なんですが。
受けの螢がね、男前でした。
親の敷いたレールに反抗して家出して、ホストに。
そしてヤクザの親分に見初められ、愛人になり。
けれど親分さんの腹心の部下に嵌められ、ゲイビ男優として売られてしまう。
そこで出会った男にも裏切られ。
若さゆえに行き先を過り、そしてどん底まで落ちて。かなりヘビーな過去で、もしかしたら苦手な方もいらっしゃるかも。
けれど、それを人のせいにはせず自分で尻をぬぐおうと体を張る螢がとても男前で素敵でした。個人的にあまりに悲惨な過去話ってあまり好きではないのですが、螢の男気にあてられあまり気にならなかった。
そして、親分さんと見に行った映画のチケットの半券を捨てられずに持っているところが健気で泣けた。
健気なのだけれど、それだけではない。そんな螢がツボに入りまくりでした。
最後、映画のチケットの半券が増えていて、良かったなあとしみじみ。
美しいビジュアルが彼をどん底に突き落としたけれど、でも、その美しさゆえに岡崎くんとも出会えたわけで。
岡崎くんも、螢の過去のすべてを知って、なお受け入れようとする懐の広いナイスガイでした。一心に螢を求める、わんこの鑑のような攻めくんでした。
螢を囲っていたヤクザの親分。
親分さんの腹心の部下の波柴さん。
どうしても螢サイドから見てしまうのでひどい奴だと思ってしまいがちなのだけれど、彼らの立場に立ってみると、ああいう行動をとってしまったのも仕方がなかったのかな、と。
波柴さんに至っては螢への執着心から来た行動だったわけで、ある意味彼も螢に取りつかれてしまった哀れな男だったんだなと思うのです。
螢の回想から、少しずつ見えてくる彼の過去。
ストーリー展開がお上手で、彼の心をかたくなにしている過去がいったいどんなものだったのか気になり、ページを捲る手が止められませんでした。
『はきだめ「に」鶴」』ではなくて、『はきだめ「と」鶴』というタイトルも素敵だなと思ったりしました。
キタハラさんの、ちょっと気怠げな絵柄が、ちょっと病んでて哀しいストーリーによくあっていて、それがまた萌えをアップさせてました。
初読みの作家さまでしたが、ほかの作品も読んでみようと思います。
若気の至りで親に敷かれたレールを踏み外した美人な受(今は外見年齢不詳の35歳アルバイト)が、ヤクザに拾われたり壮絶な過去を実は持っていて…というお話。
全編にわたって薄暗いというかノスタルジックというか、な雰囲気なので、そういうのが苦手な人はだめかもしれません。
私はちょうどシリアスで泣ける作品を探していたので、試し読みでこれはと思って読んだら大当たりでした。
凪良ゆう先生のシリアスなほうの小説が好きな人は好きかと思います。
不幸な人生でも「自分で選んできたから後悔はしていない」という受けと、そのくせ全てを諦めたような諦観と、それを受け入れるほど包容力はないけど、受の本音や感情を真っ直ぐな言葉で引き出す攻めがよかったです。
どれだけ不幸でも「あなたは生きてきた」という言葉で受けと一緒に泣きました。
子供のまま大人になったような純粋な中身のまま裏切られ騙されて、それなのに受けは一度も死のうとはしていないんですよね。
いつだって怖がってはいたけど幸せになりたいという思いは心のどこかにあったんだと思います。
切なくて派手な見せ場もない淡々とした印象だけど、ノスタルジックなラストで小さな幸せが見つけられてよかった。
書き下ろしも可愛かったです。
表紙に一目惚れして買いました。
受けの子が35歳なのにかなりの美しさ!
しかも壮絶な過去持ちというとっても私得なお話でした。
ヘビーな過去を持っているからこそ影があり受けの子の綺麗さが際立っててよかった!
受けの子の過去回想がだいぶかわいそうですが泣き顔もまた萌えます。とても。
最初に攻めの子を誘う場面もエロくてよかったです。まとめると受けの子最高!エロい!きれい!ということになりました。
キレイめ受け、かわいそうな受け、シリアス系が好きな人にとってもオススメです!
蛍(受)の境遇と、蛍を抱きながら涙を流す準太(攻)の姿が切なすぎて、夜中に読みながらボロボロ泣いてしまいました。胸が痛い…
わんこ年下攻めの涙ーーー…!!なんだかこう、胸を刺すような痛みを感じちゃいますね。
親元を飛び出し、ホストになって酔い潰れたところをヤクザの組長に拾われ囲われ愛人として束の間の幸せを得るも、波柴の嘘により転げ落ちるように転落していく蛍の半生が痛々しくて、途中読み進めるのが辛かった、、
バイト先の映画館で落とし物のマフラーを見つけ、走って届けたことから繋がった準太との縁。
ごく普通の社会人として生きる準太の姿は眩しすぎるよね…
自分が蛍であっても、準太にものすごく惹かれつつも離れる選択をしただろうな、と思います。
蛍に冷たい言葉で突き放されても、どこまでも追い縋る準太に「よく粘った!!!」と声をかけて褒賞をあげたい気持ちです。
個人的に、”受けにすげなくされ、追い縋る攻め”が大好きなので、どストライクでした。
そして圧巻のラスト。冷蔵庫にたくさん貼られた映画の半券…最高の終わり方で、またここでも泣いてしまいました。こんな素敵なラストってないよー。。
切なさをぐーーーっと限界まで感じてからの、至福のラストに胸がいっぱいになりました。
はあ…キタハラ先生大好き。。
不幸な人生を生きてきてなんだか諦め気味な受けが、攻めと出会う事によりやっと人並みの幸せを手に入れる事が出来るというお話です。普段、割とコメディ調の物を好んで読んでいるので、とても重くて辛かった…。
映画館でバイトとして働く澄川(受け)が、客として映画館に通っている岡崎(攻め)に告白され、関係を持ち出した現在から過去編、そしてまた現在と続きます。
が、しかし、過去編がとにかく辛いのです。居場所の無い実家から飛び出す、ホスト→組長の愛人→捨てられ騙されてAV男優→やっと借金を返してボロアパートに住みながらフリーター、そんな感じで読んでいて辛すぎる…。(ノД`) 途中で何度も「もう、止めてあげてー!」と叫びたくなりました。
そんな不幸のオンパレードだった澄川ですが、芯が通った強い人です。「自分が選んできた事は受け入れてきたつもりだ」等、台詞の一つ一つが心にささります。そして組長の愛人という普通なら辛い事を、この世の春だと思えたというあまりの不幸っぷりに不憫でならない…。誰からも必要とされていないと思っていた自分を、愛人という形であれ欲しがってくれた彼の事を、まだ心に残しているんですね。
そして現在、ひょんな出会いから一目惚れしたいう岡崎に告白されますが、今までの経験から受け入れる事が出来ず、体だけの関係を持ちます。そんな時に過去の複雑な人間関係が絡んできて…という展開です。
とにかく登場人物が多く、すごく複雑に絡んでくるので読み応えがあります。組長も、澄川を陥れてAV男優にした波柴もそれぞれ酷いのですが、最後の最後で彼らなりに澄川を愛していたんだと救われる部分があったり。そして岡崎が、その純粋で真っ直ぐな愛情を注いでいく事により、やっと過去の呪縛から解き放たれて、素直に愛する事が出来るようになるという…。
描き下ろしで甘々の二人が見られますが、眠りから覚めた澄川が「…手、握って」という場面は心に沁みました。幸せになれて本当に良かった!!
ちょっと残念な所が、澄川の過去に重点が置かれているため、攻めの割に岡崎の影が薄い…。組長や波柴がインパクトがありすぎるので、余計にそう感じます。岡崎の内面も丁寧に描かれているんですが…。
読んでいて重くて辛いですが、深く感動も味わえる素敵な作品でした。