電子限定おまけ付き
“処女"のスパダリなんてーー重いかな!?
ガタイが良い男同士の新婚さんにコミカルなタイトル。
しかもどちらもスパダリと来たら、これは読む以外の選択肢がないやつだ!と手に取ったのです。
ですが、うーん…読み進めても読み進めても、私が認識をしているスパダリも居なければ、新婚さんでもありませんでした。
タイトルと設定に惹かれたものですから、ちょっと残念。
35歳という大人の男同士で、高校時代から付き合いがあるよく知った仲の弓削と冬人。
お互いの今までの人生はもちろん、恋人遍歴もなんとなく知っているような関係性はおいしいです。
そして、理由あってのことなのですが2人とも元ヤリチンという…スパダリとは…?ここはちょっと疑問だったかな。
元同級生で付き合いの長い2人がようやく付き合ったところから始まるお話としてはありでした。
ただ、そこから終始受けの冬人視点で誤解と思い込みとすれ違いが続くので…すれ違い成分を多めに楽しみたい方や気が長い方であればもっと楽しめたのかもしれません。
個人的には、あまりコミカルな雰囲気にはならない中で冬人の健気さと自信のなさがぐるぐると低空飛行を続けていて、これは萌える展開は来るのだろうか?と、途中で休み休み読んでしまった1冊だったかなと。
誤解と思い込みとすれ違いはすごくおいしい食材なのだけれど、その焦ったさも料理の仕方次第というか…
受けが脳内でぐるぐるとする切ない成分が多すぎると、攻めが何をしようとしているのかが読み手には分かることもあって、ページをめくりながらいつまでぐるぐるするんだろう…なんてもどかしく思ってしまう自分がいました。嘘なんてつかなければよかったのに。
切なさ多めのエンドレスぐるぐるも、合間にどかっと萌えるようなエピソードが落ちていれば全く気にならないですし、むしろそうであればあるほど誤解が解けた瞬間が最高に気持ちが良いものになったと思うのです。
もうちょっと、もうちょっとだけ浮上出来るなにかがほしかったなあ。
この2人、種明かしをしてみればまあなんともピュアで。
「実はこうでした」がティーンエイジャーのようでもあり、30過ぎた大人のティーン返りがかわいらしく見えた部分もあったからこそ、不器用同士だったのは仕方がないものの、長い両片思い状態を抜けたその後が読みたかったです。
新婚さんは…というタイトルなので、すでに出来上がった二人のお話かと思いきや、かたち上は恋人同士、同棲もしているし、、、なのに「お試し」の一言が、そして冗談ぽくしかアプローチ出来なかったツケ?が回ってきてしまうという。
もう、お互いのすれ違いや思いの深さを勝手に決めつけてしまっている(互いに自分の方が本気で重い愛情を持ってると思い込んでる)のがもどかしくもあり、萌えるところでもあります。
蓋を開けて見れば、二人ともが両思い、どちらもほぼ一目惚れ。
なんて長期間のすれ違いなんでしょうね。でもうまくまとまって良かったよ。馨の体から入ってしまえ!という勢いがなかったら、進まなかったよねきっと。冬人は抑え込みきっちゃうタイプみたいだし。
思いの丈を告白し合うシーンはキュンキュンしました。だってすれ違いの答え合わせがね、ゲイビの思い出とか。
電子で読んだので限定SSも読んだのですが、最初は恐ろしかったよ〜、あり得るシチュエーションですしね。途中でお母さんや銅婚式とか出てきたので、そりゃないかって思ったけど。二人が金婚式を迎えるまで仲睦まじく元気でラブラブでいて欲しいな。
面白かった。
・・・こういう行き違いって、案外身近に起きているのかもしれない。
すれ違う二人の心理描写が秀逸。・・是非読んでみて、面白いので。
---面白かった所の覚書。
芸術家の馨と会社代表後継者の冬人。 才能が有って、容姿に優れた美男同士。
お互いに片思いだと思っている。
冬人は、喜怒哀楽を表に出さない性格、馨に告白して拒否られた時の痛手が怖い。
奔放で奇抜な馨の行動を理解できず、このまま親友でよいと思っている。
でも二人は実は相愛で、運命の出会いは高校の入学式。美少年の冬人への馨の一目ぼれだった。
有名な彫刻家になった馨が誘って冬人と同棲が始まる、でも二人は本心を交わせない。
意思疎通出来ず、誤解したまますれ違いが続く。
ついに奔放な馨を許せなくなった冬人は同棲を解消、実家に戻り母親に勢いに任せてカミングアウト。そこへ、手作りの婚約指輪を携えて馨が迎えに来る。
二人とも大真面目なんだけど、誤解して気持ちのすれ違いを繰り返す様子はコメディ、笑っちゃう。
実は馨は何度も必死でアピールをしていたのに、馨の本意に気づけない冬人。嫉妬していたのは実は、馨。
恋って面白い誤解を生むもんだな、と面白かった。
両片思いが好きなら買いです。全力で布教したい。
やんちゃ系スパダリx正統派スパダリ
高校時代からずっとお互いに執着してるいい男二人の両片思いから新婚さんになるまでのお話です。
お互いの執着っぷりも、それを相手に隠そうとして隠しきれない感じも、受のいい男感も、攻めが受の前でたまに可愛くなる感じも、もう本当に!本当に!!良いんです。
執着心、男前受、両片思い、幼馴染あたりが性癖な方には本当におすすめです。
個人的には小中さんを作家買いする決定打になった作品の一つです。続編とか読んでみたい…
「新婚さん」とタイトルにあるし、表紙も爽やかエレガント。順風満帆風。
なので、もう出来上がっている二人の話なのかと思ったら…新婚どころじゃなかった。
付き合っているのに、付き合ってないです。
一応恋人という枠組みで同棲しています。
身体の関係もお互いへの好意も確かにあります。
でも、心が通じ合ってない状態なんです。
受の冬人は御曹司で会社社長。馨と付き合うまで攻の経験しかなかったゲイ。責任感のある努力家。料理上手。まさにスパダリ。
対して攻の馨は有名彫刻家として世界に名を馳せる天才人たらし。バリタチのバイ。これまたスパダリ。
受の冬人の視点で話は進みます。
二人は別々に恋人や遊び相手を持ちながら親友のポジションを長年キープしていました。
それがなんの気まぐれか、「お互いフリーだし付き合っちゃおうぜ☆」的なノリで馨に誘われ、あれよあれよと同棲まで。
冬人は昔から馨のことが大好きだったから恋人同士は嬉しい一方、
馨の恋人のサイクルが激しかったり、昔から浮気性だったりで「いつまでこの気まぐれな関係が続くかわからない」といった心配が尽きません。
でもそんな本音は言わない。言えない。嫉妬なんておくびにも出さない。
それがこの関係を長続きさせるコツだと信じているから。
そんなこんなで本音と建前でぐらぐらしている新婚風生活。
二人の心の間には見えない壁が何重にも隔たっています。
早く壁破ってぶつかり合って!と言いたくなるくらい、もどかしく、切ないです。
冬人は頑張り屋さんだから、馨の過去とのやり取りや恋人遍歴などあらゆる傾向を分析して、彼の恋人ポジションを維持できるように必死に自分を演出し駆け引きしようとしています。
でも本音を偽り続けるのは難しく、苦しくなって結局自爆して自分から別れを切り出しちゃいます。
からの…怒涛の攻の告白&誤解解きタイムが快感。
雨降ってやっと地固まります。
拗れに拗れた原因が受にも攻にもありすぎてすごいです。
どっちもどっちというか。
まず攻が「自分男もイケますよ」アピールをするために男の子と遊びまくっている申告をしていたこと。
受が攻のことをタイプじゃないと予防線を張ってしまっていたこと。
「お試しで」「情熱はなくても」
→「(俺はお前のタイプじゃないらしいし、お前が俺に対して)情熱がなくても」という相手へ譲歩した口説き文句だったこと。
それを受がネガティブに誤解したこと。
あとはもう二人の遊び過ぎた過去ですね。
一読目は攻の行動がわからず、受と一緒におろおろしていたんですが、
最後の告白から一転、解決してみると、
ただただ受が保守的かつ攻のアプローチの仕方が不器用だったんでしょうね。
それそういう意味だったの?わかりにくいよ!そりゃこっちもそういう態度とっていたけどさー的なフラグ回収が始まります。
嫉妬させようとして失敗して拗ねていたところも可愛い。
そういう斜め上の発想も芸術家らしくてキャラに合うなと。
片や自分に気がないであろう長年の思い人を必死の思いでかき口説くスパダリ。
片や遊び人が何の気まぐれで誘ってきているんだと不安になるスパダリ。
悩みもがくスパダリは大好き。しかも受攻二人分も楽しめて2周目も面白い構成でした。
お互い遊んでいた過去を冗談で詰りあうのも個人的にツボです。
過去の恋人、遊び相手全員当て馬状態なのもいいですね。
あと、イマイチな指輪でプロポーズっていうのも新鮮笑
壁を破ってここからがスタートライン。
表紙のような幸せな二人になってください。
独立・対等な男性同士が好きな方にはスパダリ×スパダリ一択ですね。