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表題作早く大人になりたい

高緒・高校生・17歳
薫・陶芸家

同時収録作品追い風1.5M

同時収録作品レット・ゼア・ビー・ラブ

その他の収録作品

  • 早く海に行きたい

あらすじ

ひとりでいるのが当たり前、予定も服も自分で決める、おやすみのキスはもういらない。

陶芸家の薫と彼に懐く高校生の高緒。鬱屈した日々を明るく照らしてくれる高緒に、次第に心惹かれる薫であったが――。
未成年とオトナの、純粋でフクザツな想いを描いた金魚鉢でめ待望のセカンドコミックス。

作品情報

作品名
早く大人になりたい
著者
金魚鉢でめ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
ISBN
9784864422925
3.3

(20)

(2)

萌々

(8)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
63
評価数
20
平均
3.3 / 5
神率
10%

レビュー投稿数8

何度も読む一冊になりそう

お名前もそうですが「一度読んだら忘れない」そんな作品を描かれる方だと思います。
読み切りがまたステキなんですよ、一冊まるごとのお話もぜひ読んでみたいなぁ。
約100ページの表題作(描き下ろし含む)のほかに、短編(どちらも高校生のお話)が2つ。

■『早く大人になりたい』(表題作)1~3話+描き下ろし
高校生ワンコと、寂しさに気づかないでいた陶芸家の恋。
<表紙のふたり>
左:薫(陶芸家)。縁側のある家に白い猫ちゃんと住んでいる。家ではメガネ。
右:高緒(高校生)。薫に懐いてしょっちゅう遊びに来る。薫の体調を心配しご飯を作ってあげたりやさしい子。早く免許取りたい、早く大人になりたい…。家に来ては「センセー!センセーッ!!」と呼ぶ→「うるさいこのクソガキ!!!」と薫に言われる。

イントロで、この人はこの友人らしき男に長年片想いなのかな?とか、師匠(陶芸)の存在が出てきたときはああ!その人に?なんて思って...(だからページめくって笑ってしまった)。でも、そんな予想も全部裏切られました、読み進めるのが非常に楽しかったです。高校生の高緒が背伸びしてなくて、そこもいいんですよね。仕事との向き合い方を見つめ直させてくれたのは、その高緒のまっすぐな言葉。寂しさや人恋しさに気づかせてくれたのも高緒の存在だった。まだ始まったばかりのふたりの恋ですが、安心感のあるカップルに、温かい気持ちになれた作品でした。

■『追い風1.5M』
高校の陸上部...なんですが、ワケあって、部活サボってふたりだけで練習するんです。これ何度でも読めますね。周りには見えなくても、ふたりの中でわかっていることがあるー。こういうのに自分はすごく萌えるのかも。ああ、一冊分読んでみたい作品でした。キラキラしてた!こちらの作品には、褐色の双子が登場しますよ(片方がメインのひとりです)。

■『レット・ゼア・ビー・ラブ』
片想いしてきた幼なじみが好きなのは、自分とそっくりな顔をした"姉"のほう。そんな姉の結婚式を前に、ふたりは・・・。Cabで読んで好きだなぁと思っていた作品です。また読めてうれしい...しかしまた読んでもやっぱり、このせつなすぎるエンディングにぎゅーっとなってしまう。

一冊通しての感想としては、恋が始まった or カップルになってからのふたりの日常が、もっと見たいなぁと。一方で、この余韻が感じられるエンディングがとても好みではあるんですけどね。「神に近い萌2を3つ付けたい」とデビューコミックスで思いましたが、本作もそうでした。こちらも、気づけば本棚から出してきて、何度も読む一冊になりそうです。作者の描く男子高生の制服の着方がお気に入り。

初回封入ペーパーがあります。カバー下でそれぞれの"視力"が判明するので(なんとなく予想通りでうれしかった)、その後に読むと楽しい内容だと思います。そういえば表題作のにゃんこの名前...薫が姿を探すとき「もち太郎か?」って言った(笑)。もち太郎・・・かわいい。


メモ「装丁:長谷川晋平(ハセプロ)」
帯や目次に使われている赤色は猩々緋(しょうじょうひ)というそうです(あとがきより)。

5

金魚鉢でめさん。

まだ2冊目ながら、画風が変幻自在な作家さんだなぁ、と思います。ベースとなる絵柄はあるのですが、作品ごとにタッチを使い分けているので、物によっては随分と印象が変わる。そもそも表紙絵からして、前作はベタ塗り気味で色使いも含めてポップな画面、今作はややダークトーンな色使いで、描き込みの細かい繊細な画面と、方向性としては真逆です。モノクロ画面だとやや荒さを感じさせますが、カラーを見る限り絵師としての引き出しは多そうなので、今後に更に期待。

内容的には、表題作「早く大人になりたい」3話+番外編と、短編2本同時収録。表題作は年下ワンコ×めんどくさい大人(と言うほどめんどくさい人ではない)の恋をゆっくり描いた作品ですが、すみません。あんまり印象に残りませんでした。なぜか2話の表紙をバーンと飾る、ハイヒール男子はものすごいインパクトでしたけれども……(受けは女装子でもなんでもないのに、何故……?)。
表題作より、恋愛未満の関係に止まっている、短編2本が良かったです。

「追い風1.5M」は、憧れから始まる、まだ恋すら始まっていない2人の共有する、特別な空気を捉えた作品。匂い系作品好きの私にはグッと来ました。「レット・ゼア・ビー・ラブ」は、恋にさせてもらえなかった片恋の話。顔のよく似た姉に恋する幼なじみに恋をするというのは、BLにはよくあるシチュエーションですが、それだけに切なさは鉄板です。新鮮だったのは、ふざけて告白(?)をした主人公を、幼なじみくんが容赦なく張り飛ばしていたところですかね。ちょ、その顔好きなんじゃないの!?と、見てるこっちが慌てました。

前作でも、恋愛未満のバッドエンド気味の短編がとても印象に残ったのですが、もやもやエンドやアンハッピーエンドを嫌味なく描ける作家さんは貴重だと思います。いずれ、そういうカラーの作品を、長編でガッツリ描かれたものが読んでみたいな、と思いました。

3

作り事めいていない、リアルで等身大な作品

前作の、可愛らしい男子高校生のストーカーものが面白かったので購入しました。
今回も可愛らしいお話が揃っていました。

表題作は、高校生×陶芸家というカップリングの年下攻め。ツンデレとクーデレのちょうど中間みたいな感じの陶芸家の元に、近所に住む男子高校生が入り浸るように、というお話です。

攻めと書きましたが、エロはなし。インタビューで作者さんが「高校生×陶芸家」とおっしゃっていたので上下は確かですが、攻めがまったく男くさい感じじゃなく、天真爛漫なキャラだったので、何となくダブル受けな雰囲気がありました。
受けは大人ぶってはいるけれど、小柄で大人げない陶芸家。食にあまり執着がないので、それを心配した攻めがせっせとご飯を作っては食べさせています。

ラブな雰囲気は薄いのですが、ほのぼのとした空気感にとても癒されました。タイトルのとおり、攻めは早く大人になりたくて、それは家庭の事情だったり、受けに早く追いつきたいという気持ちだったり。その気持ちが健気で、車の免許にこだわるくだりなんかがすごく可愛かった。


他に2作品入っていました。
1つは陸上部で孤立している高校生2人のお話。仲良くて可愛くて、キャラもとてもよかったのですが、ラブが始まるかな〜というところで終わってしまいました。この先が読みたいんじゃ! …という気持ちになりました。


もう1つは、自分の姉に片思いしている幼なじみのことを好きな男子のお話でした。綺麗な顔の男の子で、姉にそっくりなのになぜ自分は対象外なんだろう、と悲しんでいるのが切なかった。幼なじみにムカムカしました。

1

好きです

表題作(全3話)と読み切り短編が二つ、計3つのお話が収録されています。

表題作は、年下わんこ攻め×ツン?クール?デレの陶芸家。
子供扱いにむくれて早く大人になりたい!と願う年下わんこ攻めらしいお話だけど、正直あまり印象に残ってません….わんこ大好きなんだけどなぁ…。

一番印象に残るのが【レット・ゼア・ビー・ラブ】
みつが片思いしてきた幼馴染の浩太。だけど浩太が好きなのは自分の姉。そんな姉が結婚することになり…。
みつの恋心に気づきもしない浩太が残した「俺たちはこれからもずっと親友だから」というメッセージ。
自分に恋してるとはまったく思っていない相手に振り回されてしまう残酷さや、土俵にも上がらせてもらえない片恋の切なさ。そういうものを描くのがお上手だなぁって思います。
デビュー作「僕のかわいいストーカー」の収録作にも【はなむけのうたを、】という成就しなかった恋を描いた作品があるのだけど、この作家さんは交差する事のない想いを描くのがお好きなのかな?
私は基本ハッピーエンド・成就するお話が好きなのだけど、こういうのもいいなぁって思います。

【追い風1.5M】
恋愛未満の初々しい二人が可愛らしくて好きだぁ。
皆と一緒にではなく、部活をさぼってこっそり二人で練習しちゃうとかいい。
で、最後におまじないと称してオデコにチューしちゃうのがかわいい。
はぁ、可愛い。「オデコに」がいいよねー。

1

ショートフィルムの味わい

始まり方が粋でした。
3ページほど現在のシーンがあってから♯1の表紙が入って話が続く。この表紙の入り方が絶妙で、冒頭シーンがあってからタイトルコールみたいな感じがして、ショートフィルムを観ているような気分になりました。

陶芸家と高校生の話です。
田舎の一軒家に窯を構えて陶芸をしている薫。
そこに毎日ごはんを作りにやってくる近所の高校生・隆緒。
年も違う、価値観も違う、だけど毎日一緒にごはんを食べる。

隆緒が無邪気なわんこ。どんなに憎まれ口を叩かれても「このひと!」と決めた飼い主に尻尾を振ってついていくようなまっすぐな子で、表情もくるくる変わって可愛いのです。
頼んだわけでもないのにやって来る隆緒を疎ましいと思いながらも、何だかんだと積極的に遠ざけはしない薫はまあ、素直じゃないです。捻くれてます。「先生に会いたいからに決まってんじゃん」と臆面もなくあっけらかんと言う隆緒に面食らいつつも、だんだん隆緒のいる生活が当たり前になってきているのに認めようとしない。意地っ張りだなあ。

だけどグループ展の出品作を製作するにあたって師匠の目を意識しすぎて我を忘れたとき、「先生は誰のためにお皿つくってんの?」と隆緒に言われてハッとするんですよね。そこから作品も変わるし、少しずつ素直になっていく。計算のない真っ直ぐな言葉の力ってしみじみ偉大ですね。

この後はつらさのオンパレードでした。
あまり細かく書くと未読の方がもったいないので思ったことだけを。
素直にぶつかってくる、怖くてもぶつかっていけるのって若さ持つ力なんですよね。大人になって経験が増えていくと、ぶつかったら痛いことを知っているし、砕けたら死ぬほどつらいことも知っている。痛いのも死ぬような思いも避けて通れるならしたくない。
自分の心を守ることだけに必死で、薫は素直に気持ちを伝えることができないまま、「忘れてくれたらいい」なんて言うけれど、隆緒の幼馴染がいじわるだけどgood jobだったおかげで、ぶつかる勇気を取り戻した場面は感動しました。
ラストも本当に良かった。この2人はずっとずーっとこんな感じでいてほしいなあ。好きだー。

他に短編が2つ収録されていました。
発表年はそんなに変わらないのに「追い風1.5m」だけ画風がずいぶん違う印象でした。
陸上部の先輩に目をつけられたフォームが綺麗な同級生と、親しいわけでもないのにその子をかばった子の話。画風のせいか、あまり何も思うことがなく…。
もうひとつの「let there be love」は一方通行の想いの話。ずっと好きな幼馴染が見ていたのは自分とそっくりな姉だった。自分が女だったら…、という切ない話でした。
言える距離だからこそ言えない、自分じゃないひとを見続ける相手の横顔を見るつらさ、胸に沁みました。

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