大好き同士のピュアで甘い恋♥

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作大好き同士

矢口宏伸,24歳,事務機材リース会社の営業
飯塚真人,24歳,照明デザイン会社のデザイナー

その他の収録作品

  • 初心者同士
  • あとがき:野原滋/八千代ハル

あらすじ

高校時代、大好きだった親友・矢口と喧嘩別れしたまま卒業してしまった飯塚。
六年後、偶然再会した二人は、また親友としての時間を重ねていくことになった。
嬉しい反面、自分の恋心を知られてはいけないと考える飯塚は、
あえて矢口と距離を置こうとする。
しかし矢口は食事に行こう、土日に遊びに行こう、泊まりに行っていい? と、
無邪気な顔でグイグイと強引に迫ってきて!?

作品情報

作品名
大好き同士
著者
野原滋 
イラスト
八千代ハル 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048932943
3.6

(68)

(16)

萌々

(26)

(16)

中立

(3)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
10
得点
235
評価数
68
平均
3.6 / 5
神率
23.5%

レビュー投稿数10

リアル

初読み作家さまでした。
事務機材リース会社の営業×照明デザイン事務所のデザイナーの組み合わせ。
学生時代に喧嘩別れをしてしまった親友だった同級生と社会人として数年越しに再会して…というお話です。
好き嫌いがはっきりと分かれる作品かもしれません。
私は少々辛口のレビューとなってしまいました。
以下、ネタバレを含む読後の感想です。



「大好き同士」と、甘い予感がするタイトルに再会もの!と惹かれて購入したのですが…苦かった!
途中途中で挫けそうになり、なかなか集中出来ず…
というか、終盤まであまりキャラクターに萌えられなかったんです。
好きな設定だらけのはずなんですけれど。

まずはじめに、真人の容姿に対しての表現がくどすぎた。
どれだけモテたのか。それで今まで困っていたこと。外見の派手さで誤解され、内面との違いに苦悩していること。
美しいのは分かりました。苦悩も。
ただ、ちょっと長いかな。

高校時代の喧嘩別れの原因になった出来事について。
親友の口から後輩の男子生徒の話が出た瞬間に、思春期の多感な時期にゲイである自分が「普通」から外れてしまっている事に焦りと負い目を感じていた真人にとっては、本当に身も凍るような思いだったのだと思います。
過剰に反応して言いすぎてしまった真人も決して良くはないのですが、しかしそれ以上に矢口の相手を試したり反応を面白がっているような態度がもう、若いにしてもどうにも鼻についてしまって。
期待した反応が返って来ず、勝手に失望して去って行く。
矢口……
再会後の俺と遊べ!状態も、高校生ならまだ懐く犬のようで可愛らしくも思えるかもしれません。
ところが残念なことに、大人になっても自分勝手に真人を振り回し続ける姿が学生時代と全く変わらず、むしろエスカレートしている。
真人がほだされるのを分かっていてぐいぐい来る感じが萌える強引さではなかったのですよね…
後に矢口の言い分も分かるのですが、それにしても好きな相手の仕事相手にまで暴走している姿にはなんの同情の余地もありませんでした。
もう、スマートで物腰の良い水沢さんとくっついて欲しい!と思ってしまった。
正直、水沢さんが居なかったら途中で本を閉じてしまっていたかもしれない。

くっついてからもまた問題ありでして。
ゲイである真人が、元々女性と付き合っていた事もあるヘテロの矢口と付き合うのって物凄く不安で勇気がいる事だと思うのです。
誰とも付き合った事が無いから男同士の挿入を伴わないSEXを詳しく知らない、抱き合った事もないと言う真人に対して、話を最後までろくに聞かず誤解をしたまま「許してやる」といった感じの、もうすっかり旦那気分でいる矢口の傲慢さが本当にだめでした。
真人も問題ありとはいえ、真人視点ゆえに尚更矢口の勝手さが目立つんですよ。
誤解とすれ違いは好みだけれど、このすれ違いには萌えなかった。
けれど、いわゆるスタンダードな展開とは違い、心情の生々しさがある意味リアルで痛い描写なので、こちらは他の作品ではあまり見られない表現かなとも思います。
萌えるかどうかは別として、こういうのもありだなというか。
うん、リアルで良かったです。

さて、この時点で私の中での攻めへの好感度はマイナスに達しています。
が、真人も自分の勝手さに気付き、懸命に矢口を追い掛ける終盤近くになってようやくページをめくる手が早くなった気がします。
矢口は矢口、真人は真人でお互いが身勝手で相手のことを本当の意味で理解出来ていなかったと反省し、話し合いで誤解が解けて「大好き同士」がくっついてからがすごく良かったのです!
特にベッドシーンの矢口が良くて!
ついさっきまであんなにこの攻め苦手だなと思っていたので、あの矢口なのに良いだと…?!と、悔しさすら感じてしまう。
なかなか挿れられない事に萎縮する真人に、準備するのが楽しいよと何でもない事のように言ったり、真人の体調を見たりと、かなりの思いやりを見せるんですよ…
互いへの思いやりと優しさが溢れるSEXで、なんだか本当に良かったんですよね。
悔しい事に矢口に萌えました。
矢口だけが先にイってしまうのがまた良い。

巻末のSSは攻め視点。
過去の自らの行いの数々に反省しつつ、どうしようもなく真人に心惹かれて溺愛している様子が見られます。
このお話、両視点だったら矢口にも共感が出来てもっと面白かったのかも?なんて。

途中まではしゅみじゃない寄りの中立でしたが、終盤以降の矢口の起死回生の巻き返しと、2人が心を重ね合わせていく描写が丁寧で素敵だったので、中立寄りの萌評価です。
そして、八千代ハル先生の挿絵がとても可愛らしくて、真人の容姿についての説得力が更に増すかのようでした。
これを機に作家さまの他作品も読んでみようと思います。

1

なんだか女子同士の友情のこじれみたい

2017年刊。
高校三年、二学期終了間際のケンカ別れからその後六年も音沙汰がなかったのに、偶然の再会をきっかけにして復活した友達付き合い。
密かに憧れていた友人・矢口は屈託なく飲みや遊びに誘ってくれるが…

高校生の頃と変わらずグイグイと押しの強い矢口だが、いくら好きな相手でも四六時中べったりと一緒に居たがる姿に少~し鬱陶しさを感じてしまった。
更に、真人の先輩がゲイに偏見はないと言いつつも口が軽かったり、真人自身も矢口が好きなのにいつも自分からは行動を起こさずにと、苛つきは募っていくばかり。
これでも最初のうちは、どーしてさっさと告白しなかったのさ!?って思っていたのに、次第にこりゃぁ高校生の頃にくっつかなかったのも頷けるなって気持ちに傾いてしまったのだった。

18歳でケンカ別れしてから24歳の再会までの六年間、違う大学に進学して就職したのだから、逢えなかった間に成長して大人びた一面の発見というのも見たかったのに、この二人にはそういったものがなかった。
些細な言い合いから始まる口喧嘩みたいな応酬も、何だか女の子同士の友情のこじれみたいに感じてしまった。

当て馬役の真人のクライアント・水沢のほうがしたたかさは隠せていないが割り切って付き合えそうな人だし、本気の恋愛感情でも受け止めてくれそうよ?
とは思ったものの、最後にやっとこさ二人が恋人同士として踏み出せたなら、まぁこれでいいのかな…(´・ω・)

言い合いからの一悶着が起きる前に回避できるコツを掴んだのは、矢口のほうが早かったみたいだ。
恋人同士になってもグイグイとリードするのも矢口のほうみたいだね。
真人のほうも何らかの成長ぶりが伺えたほうが良かったな…と思えてしまう。

0

現実的、だけど甘い

印象的だったのは、ふたりが言い合いをするシーンです。

愛し合っていれば目を見て心が通じ合うとか、キスをして肌を合わせればわかり合える、そういうファンタジーな展開にはなりません。
お互いに「どうして信じてくれないんだ」という思いをぶつけ合います。
受けでゲイの飯塚からすれば、ノンケの彼と分かり合えないと無意識に壁を作ってしまうのもわかるし、
攻めの矢口からすれば、ふたりでどうすればいいか考えて乗り越えていきたいと思っている、
片方ずつの立場から考えれば、確かに相手のその言葉は腹立たしいよな、とそれぞれの言葉にリアルな心情を感じました。
その後の仲直りのシーンはまるでドラマのワンシーンのようでとても素敵です!

当て馬ポジションの水沢は、二人の仲を引き裂くような間男ではなく、完全に相談役かつスマートな大人だったので、安心して読めました!

2

いつまでも学生のような二人

デザイナーの飯塚真人(受け)は事務所に来る営業マンの引き継ぎで高校時代に喧嘩別れした親友・矢口に再会します。矢口は喧嘩したことなど無かったかのように、高校の時と同じように頻繁に連絡してきます。
楽しく遊びに行ったり食事に行ったりしていた真人ですが、高校の時好きだったという気持ちが再燃してきたことに気付いたため、以前のようにケンカ別れしてそれっきりになるのを恐れ、あまり頻繁にならないよう距離を置こうとするのです。

真人は派手な外見で目立つ容姿ですが、性格は地味で真面目です。ただ、外見と性格が合っていないことを周りには理解してもらえていません。それというのも入社早々誤解を招く事件があったからです。偏見のある人がいないなかったのは幸いでしたが、誤解を解くことはできず、ゲイの遊び人というレッテルを貼られてしまいます。
矢口とは高校2年から2年間親友として親しくしており、恋心を抱いていましたが、矢口が後輩男子から告白されたことを聞かされ、自分がゲイだということがバレたくないばかりに過剰反応してしまい怒らせてしまいそれっきりになってしまいます。進学し東京に出てきてからは、意外と自分と同じ志向の人間が多い事に気づき、そういう場所に出入りしては羽をのばしていましたが、矢口以上の人は見当たらず誰とも付き合わないままきました。


執着とか再会とか大好きなんですが、今回のはどうも「再会」というのがあまり仕事をしていなかったように思います。
高校生の時の些細なことで喧嘩してというのは、若いのだから仕方ないとしても、6年も経って再会したのに、やっぱり二人は子供のようで、もうちょっと成長してたら良かったのにと思いました。特に矢口、高校生の時とあまり変わってない。
大体、高校の時の喧嘩だって真人は自分が悪いと思っていましたが、試すようなことをした矢口の方が悪いと思う。真人がどういう反応をするか知りたいからといって、後輩の真剣な告白を利用するなんて最低です。それも真人の反応が楽しむかのようにニヤけながらなんて、それを聞かされた真人が自分がゲイだと知られたらこんなふうに人に言われるのではと警戒するのも当然なことです。で、真人の反応に怒ってそれっきりって、なんて自分勝手なんでしょう。再会してからも、二人でいる時は高校時代のようなじゃれ合いをずっとしているし、わがままを言っては真人に付き合ってもらっているという状況がずっと続き、あまりの変わらなさにちょっとイラッとしました。学生時代の友人と会うとその時代に気持ちが戻るのはわかるのですがそれにしても子供っぽい。
よくわからないけど自分を優先してくれないと嫌だと駄々を捏ねるなんて子供すぎる。
他の人と親しくしてるのをみて、相手が仕事相手だというのに逆上して失礼なことをいったり社会人としてもどうかと。そんな子供っぽい態度が続くせいで矢口のことは好きになれませんでした。

当て馬としてでてきたレストランオーナーの水沢の方が相手ふさわしいかというと、それはそれで真面目な真人には遊び慣れた水沢は合わないだろうと思うのですが、私としてはもう少し早くに水沢に出会っていて、少しは付き合って、でも忘れられずに別れたけれどまだ付き合いがあるという状態でこの話が始まるというほうが好みだと思いまいた。自分の性格をちゃんと把握してくれている水沢といると楽だと真人が言っていたように、一回ちゃんと甘やかされる期間が彼にあっても良かったんじゃないかなと思うのです。
結局、再会と出会うタイミングはほぼ一緒だったせいで水沢は当て馬と相談相手にしかなれなくてちょっと気の毒だったと思います。

二人が付き合うようになってからは、女性としか付き合ったことのない矢口と全く経験がないため怯える真人との間でセックスがらみですれ違うのですが、ちゃんと話し合ってからは矢口も真人の事を考えて動くようになり、やっとこの二人がくっついて良かったと思えるようになりました。
ただ、矢口のことを引きずって誰とも付き合わなかった真人と違って矢口は女性と付き合った経験があるので、そのことがちょっと引っかかりました。
最後のSSで矢口が真人に今メロメロなのはわかりますが、他の男は無理だけど真人だけ別枠と言っていても、女性と付き合えるならいつかそちらへ行くんじゃないかと心配してしまうんですよね。子供なんかがネックになってバイの人に裏切られる話がよくあるから。セックスができるから大丈夫みたいな感じの言い方なのがちょっと心配。すごく気の合う親友がゲイであるとわかったせいで誰かに取られるくらいならと思ったようにも見えなくもない。
せめて、女性と付き合ったけどやっぱり違ってたとかの言い訳があればよかったのに。
矢口が真人を怖がらせないようにゆっくりゆっくり何ヶ月もかけて関係を深めていくところはとても良かったので、本当に惜しいなと思いました。

イラストはとてもお話でのイメージぴったりに書かれてあり、とても綺麗で良かったです。

10

親友同士の再会愛

タイトルどおりお互いのことが大好きな高校生同士が、とあることから仲違いしてしまい、6年後に再会して…というお話です。

甘くて切ないすれ違い、と言えばそうなのですが、とにかくお互い子供だなぁ…という印象でした。
高校時代、別の男子生徒に告白された攻めは、何となく受けにヤキモチをやかせたくて、男に告白されたと打ち明け受けの反応を見ようとします。一方攻めへの気持ちを隠していた隠れゲイの受けは、自分のセクシャリティがバレるのが怖くて同性愛に対する暴言を吐いてしまい、攻めを怒らせます。
特に攻めの身勝手さがウザかったです。人を試しておいて、思うような反応が返ってこないと怒るのは子供だと思います。

大学生になれば同居しようと言っていた約束もなくなり、縁が切れた2人が社会人になって再会。そこからの攻めの態度もすごく子供でした。攻めには攻めの言い分もあったのですが、その時点で空気の読めない身勝手な男にしか見えず、萌えからは程遠かったです。受けに言い寄る当て馬の水沢氏の方がよっぽど大人で、受けを幸せにしてくれそうだったので、余計に私の中で攻めの株が下がりました。
あと、経験が豊富だと誤解されているけど本当は経験ナシ、という受けの設定が大好きで、それが「おまえ…初めてだったのか」みたいになるのを楽しみに読んでいたのに、それが機能しなかったどころか諍いの原因になったのがすごくマイナス点でした。

相手を試したり、ごまかしたりするキャラがあまり好きではないこともあって、正直くっつくまでは中立以下くらいの評価でした。
ですが、くっついたあとのエッチがなかなかにツボで、それまでは「キスやエッチもしたい」と盛ってるばかりな印象だった攻めの意外な忍耐や、受けを思いやる気持ちなんかがすごく萌えました。やればできるやん…何で今までその忍耐を発揮できなかったのか。
まあそんな感じで、出来上がってからの2人の様子と、エッチの萌え度で評価上がって最終的には「萌」で。あとイラストが可愛かったです。

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP