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表題作夏陰 -cain-

暴力団白神組代行 岡林裕司
大学生 沢田雪洋

あらすじ

早くに両親を亡くし、姉とふたり慎ましく暮らしていた大学生の雪洋。しかし、アルバイト先のバーで冷酷な瞳の男・岡林と出逢ったことで、それまでの平穏な日常はあっけなく崩壊する。雪洋の清廉な印象を持つ美貌と意外にも強気な態度に心惹かれた岡林は、その体を凌辱したばかりか自分のものになれと言い放ったのだ。暴力団の要人である岡林に刃向かう術もなく、雪洋は決して逃れられない腕へと堕ちてゆくが──!? 小説ピアス期待の新鋭、渾身の書き下ろし長編が登場。胸に突き刺さる執愛の行方は……。

作品情報

作品名
夏陰 -cain-
著者
水原とほる 
イラスト
高緒拾 
媒体
小説
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
ピアスノベルズ
シリーズ
夏陰 -cain-
発売日
ISBN
9784914967352
3.5

(62)

(19)

萌々

(14)

(19)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
13
得点
213
評価数
62
平均
3.5 / 5
神率
30.6%

レビュー投稿数13

恐いくらいに・・・

水原とほる先生の本を読むのは、3冊目になるのですが、これがデビュー作・・・すごい圧倒されました。
--以下ネタバレと感想を含みます--
殴るだけじゃなくて、受けを流血させるほど暴力を振るって抱こうと、もうこの場合は犯すといった方がいいかもしれないですが(@@;)ぞっとするのですが、何故か続きが気になる。
あとでじっくり読むつもりで、立ちながら挿絵などをパラパラみていたつもりが、結局最初に戻って最後まで、必死に読んでいました。読み終わった後、数時間もそこで自分が立っていたことすら気づかないほど(////)(笑)

理由は分からないのですが、恐いくらいに惹きつけられるのです。怖いもの見たさなのか、自分がどこまで踏み込めるのか、綱渡り気分なのか・・・
この本と同じような感覚にさせるのが攻めの岡林裕司。やることは非道だし、許せないと思う。受けの雪洋のことを考えると、本当にありえないと思うんです。でも、攻めの岡林の過去を思うと、どこかやりきれないし、だからといって、やってる行為は正当化される訳ではないんですが(汗)

事件があり、それがショックでパニックになる雪洋に対して、岡林の「世の中はお前の常識だけで動いているわけじゃない」という台詞が、極道の世界のことを指しているのかと思いましたが、自分にも言われてる気がしてドキっとしました。世の中、自分の正義とか常識で計れないことが多くて、こんなの間違ってるって思うことがあります。でもそれは自分のそうであって欲しい世界と現実の世界の差が大きいからなんだと思います。それを受け入れられるかは別ですが・・・

そう思うと雪洋は、凄いな~と。お墓参りのシーンで特に感じました。凛としてる。現実と向き合おうとしてる。挿絵の高緒拾先生の描かれ方が、また一層そう感じさせられました。ここのシーンはブワっときました・゚・(ノД`;)・゚・

そんな非道の岡林も可愛い(?)ところがあったりして、
無理やり抱きすぎて失神した雪洋を見て「う、動かないんだ・・・」と慌てて木島(部下)に助けを求めたり。出掛ける際は、チューを求めたり(←他のレビューさんの話を読んで気づきました:笑)本当にどの面下げてやってんだ(笑)「縋るなら俺にしろ、他のやつの名前を言ったら許さない」とか・・・酷いことしてるのあなたよね・・・あなたに縋ったって助けてくれないの知ってるから!(=Д=;)他にも、あったり。普段が酷すぎるからか、ちょっとしたことに一瞬ときめくような・・・錯覚?

受けの雪洋は流されるというより自分で考えて、相手の性格を分析して、決断してる様に思えました。二人が幸せに・・・というか雪洋の幸せを願います(笑)

最後に一言、ケーキ入刀のごとくされた強要された、あれ・・・あれは・・・違うから。恐いです!!(;▽;)

7

住む世界が違うってこういうこと

凄かったです。出会いから圧倒的理不尽w
普通に生きていた青年が、偶然ヤクザに見染められ強引に囲われるというお話はいかにもヤクザ物っぽいなと思います。
しかし、”住む世界が違う”ってこんなにも話が通じなくてこんなにも理不尽なのかというのがとてもよく伝わってきました。
一般人とヤクザ世界の隔たりがしっかり書かれているので、酷いと思いつつも心のどこかで納得していました。
カリスマ的ヤクザの親分の岡林(攻め)は、自分の理解の範疇を超えたお方という頭で読まないとなかなか大変かもしれません。
服従を強いられる関係なんて、今の平和な日本に生きていて理解するほうが難しいと思います。
自分が納得できるできないに関係なく、岡林のような人間も世の中にはいるのだというのを突きつけられた気がしました。

雪洋の残された選択肢は”岡林に従うこと”しかないので、不運としか言いようがありません。
それでも、どうしようもない現実に目を開き、悩みに悩み迷いに迷いつつも自分なりに折り合いをつけていきます。
自分の人生に希望が残っているのなら誰しもがやっていることだと思います。
そして憎らしいことに、外見も中身も人を引き付ける魅力を持っている岡林。
雪洋は岡林を憎みつつも強烈に魅せられ、体の快感も知りまた苦悩。
ラストでいちおの着地点を見つけ甘めに終わりましたが、それは岡林が筋が通った人間で信頼できるという点だと思います。
魅かれてしまったという感情もあると思いますが、それ以上に愛することに決めたという感じがしました。

こんなに高評価になったのは、単純に水原作品と相性がいいということもある気もします。
好き嫌いが分かれるのは凄くよく分かります。

4

バイオレンスなデビュー作

1冊ぜんぶ表題作です。雪洋(受け)の視点でストーリーは進みます。

初版2003年とのことで、水原先生のあとがきもイラストの高緒先生も初々しいです。そして、お二人の現在の活躍を予感させる見事な1冊です。

滅多にモノを欲しがらない。
一度欲しいと思ったものは、どんなことをしても手に入れる。
そのかわり、欲しいモノを手に入れるといつまでも大事にした。

そんな岡林(攻め)はカッコイイですが、意思を無視して「欲しいもの」にされてしまった主人公雪洋には災難としか言いようがありません。

岡林がヤクザ者ということもあり、雪洋は暴力と脅迫で屈服されます。岡林の好き勝手に強姦される日々。そんな生活でも、年齢が近く友人になれそうな世話係もおり、「セックスより機嫌をうかがう方が難しいなんて」とストーリー中盤では出掛けにキスをするちょっとした甘い雰囲気も漂っていたのですが…その後は岡林が住んでいる「やるかやられるか」の世界と岡林の非道さがえがかれています。
そんな壊れた岡林を愛することを雪洋が決意したラストが良かったです。

高緒先生のイラストは、暴力的な場面もエロシーンも作品の雰囲気そのままで素敵でした。あとがきで描かれた長ドス持った木島のイラストも格好良かったです。

私は痛い系統は苦手なのですが、つい繰り返して読んでしまう作品です。
ただ、冒頭場面は本当に痛くて、読んでいてつい自分の鎖骨が折れそうで押さえてしまったこともある(雪洋が折ったのは助骨なので不思議ですが…)ので、痛いのが苦手な方はご注意ください。

3

冒頭から嵐のような暴力

2003年発刊のこの作品が水原先生のノベルデビュー作
・・・痛い物語だった。
あとがきに、短編のつぎはぎ云々とありましたけど、上手くまとまっていて文は読みやい。

表紙が綺麗な緑色の本を本屋で見つけて、中を確認しないで購入。
そのまま、二年読まずに積読したままだった。
何故なら、パラっとめくったら、雪洋が血まみれで倒れている挿絵が見えたから。

痛いBLに耐性がついた頃と思って、再読開始。
冒頭から、雪洋の美貌が災いして、一見でお店に入ってきた岡林の目に留まって
いきなり、店内で暴行される・・という、とんでもない始まり。

美貌の雪洋が岡林に凌辱され続ける痛い場面の連続。
雪洋は、勝手に一目ぼれされて、岡林の力と金に振り回されていく。
でも巻末まで読み進むと、雪洋は、岡林に好意を抱くようになっている。

共依存かな? 
雪洋、壊れちゃった?
貌も中世的な美貌だけど、気が強いけれど同性を受け入れる素養が雪洋にはあったのかな?

理解できない雪洋の心の変転。
続編があるので、怖いもの見たさで、読んでみようかと思ってます
・・タイトルと内容の関連が分からない。

夏の日陰というタイトル。
副題が「cain」:アダムとイブの息子で、嫉妬から弟を殺す。カインが受けた呪いの原因は嫉妬。

2

理不尽だけと惹きつけられる

小説の冒頭って結構重要だと思うんですよね。この小説は受けが理不尽な目にあうところからはじまります。理不尽なことをするのがヤクザの攻めです。結構衝撃的で、そこから物語に引き込まれます。

理不尽な目に合わせられた受けは攻めを嫌がっています。ですが、最終的には結ばれます。あんな酷いことされて、しかも攻めが無理矢理受けを攻めの世界に連れてこなければ、しなくてもいい辛い経験をしたのにも関わらず。
でも、違和感なく読めます。なぜかは正直わかりません。寂しいのが嫌だから?ずっと大事にされると感じたから?攻めに同情したから?色々思い浮かびますが、これがこうだからだと確証はないです。それでも、結ばれる結末に納得してしまうから不思議です。

物理的に痛い描写もあるので、それが苦手な方はお気をつけください!

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