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「あなたに抱かれるたび、俺の体まで血に染まる気がするよ…」
もう、すげぇとしか言いようのない作品でした。
これがノベルスデビュー作らしいですが、水原ワールドはこれ一冊で十分に分かります。今後の作品に繋がるものがすべて詰まってます。レイプ、残虐なセックス、支配、少しずつ囚われてゆく心、生まれる共依存関係。
笑えないです。
主人公はかなり可哀想です。
が、水原とほるさんの作品に慣れてからこのデビュー作を読んだからか、私、たまに声出して笑っちゃってました。私が病気なのかも(涙)
訳わかんないままヤクザのバシタ(女房)にされ、どう反発しようが相手には一切通じず、そのヤクザの親兄弟に女房として紹介されて目をシロクロしてるしかない主人公が、あまりにも悲惨で、悲惨すぎて笑えてしまう。
共感を覚えるとか泣けるとかじゃなく、世界観に引きずりこまれる感じでした。
バーでバイトしていた雪洋は、顔立ちのキレイさがあだになり、岡林というヤクザに見初められてしまいます。
暴力とレイプで始まった岡林との出会いが、雪洋を平凡な大学生から一転、ヤクザの伴侶(囲われ者)になります。
脅迫、暴力、恥辱など、次々と雪洋を苦しめる岡林との生活。
どんなに抵抗しても、冷血で非情なヤクザを前に凡人の常識は通用せず、恐怖と緊張とセックスで縛られる日々を送るのですが。
もともと両親を事故でなくし、姉と二人支え合って生きてきた雪洋。
岡林の雪洋に対する異常な独占欲と保護欲は、孤独だった雪洋の気持ちを揺さぶります。
付き人を通して垣間見える岡林の優しさや弱さが、雪洋に「守られる安心感」を芽生えさせ、岡林の愛情に依存していくのです。
甘ったるくないハードなヤクザモノ。
血なまぐさいシーンも多々ありますので、この手の話が苦手な方も多いかと思います。
セックスにいたっては、相手の同意など全く無視した岡林の威圧的な繋がりが多い。
でも、嫌々言ってた雪洋も、困惑しながら快感に溺れ淫乱に染まってしまう。
人によって、好き嫌いが激しく別れる作品だと思います。
私も読み始めたときは「ちょっと苦手かも」と思ったのですが、スピーディーな展開と非情なヤクザの世界観に魅せられて、どっぷり読んでしまいました。
本棚に残っていたので、かなり気に入った作品だったのだとは思う。
2003年発売、当時すぐに買って読んだのだと思うが、どこが良かったんだろう自分。。。
でもこれで水原さんの作品を作家買いすることになって、この本が水原さんのノベルズデビューなのでその後ほとんどの本を読んでいるはず。
でも今読み返すとなんでそんなにはまったのかわからない(苦笑)
推測するに、BLにあまりないハードさに惹かれたのだと思う。
きっと当時は学園ものとかのあまあまばかりが氾濫していたのかしら?(笑)
ここ数年はBLもけっこうハードな内容が多かったりするから目立たないかも知れないけれど、それでも暴力描写は読み返してもけっこう本気だぁ……と再確認。
苦手な人にはNGです。
特に受けがけっこう本気で殴られちゃってる、それもBLの攻めにありがちな心配でついマジギレしちゃいました、の愛ある暴力でなく、SMなわけでもなく、純粋に攻めから受けへの暴力(脇キャラじゃなく本命からのマジ暴力だし)
自分の思うとおりにならないからって……そりゃファンタジーではなく本物極道です。。。
今思うと水原さん凄いな。
いくらピアスノベルスとはいえ、勇気ある(編集さんも)
もしかしたらこの辺の勇気が気に入ったのかも知れません。
これ読むと最近の水原さんはあまあまなんだと思ってしまう。
最後はハッピーエンドなので、跳ねっ返りの強情受けとほんまもんやくざ?のバトルを興味を持って読める方にお勧め。
現実にこんなことがあったらどうしようと本気で雪洋の立場で考えちゃいました。「俺のモノになれ」で監禁生活はよくある話ですが、本気の暴力・脅迫・快楽攻めで縛りつけようとする岡林の鬼畜極道ぶりは甘さがなくひたすらビターです。雪洋が岡林が傲慢に力まかせ強引なほど受け止められないのも無理ないです。
それでも愛されていることを時間をかけて消化し今後を思い行く先がどこにあるのか。
一方的で強引な愛を受ける立場になってしまった雪洋の苦悩が思いやられます。
おもしろいというのでもないし、萌る話とも違うような。しかし引き込まれて忘れられない作品になりました。一読必見というところでしょうか。
萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
白神組代行・岡林×美貌の苦学生・雪洋の、ヤクザの一目惚れ激愛話だよ♪…と思わず茶化して濁したいくらい、同じような設定のヤクザ攻めものとは一段階も二段階もシビアだし痛い。
甘いヤクザものに慣れていると、ちょっとしたパンチを喰らう。
マイ陵辱クイーンの座をずっと温め続けている水原さんですが、改めて目を通してみればこのデビュー作からすでに貫禄が…。笑
大筋は、ヤクザの岡林が気まぐれで入ったバーで見初めた従業員の主人公・雪洋を、犯罪でしかない力技で手に入れるという、雪洋にとってはハタ迷惑でしかない受難物語。笑←本編は笑いごとじゃない空気です。
レイプから監禁(という名の同居)、体の関係を強要されるうちに絆されていく受けという流れも予想に違わないんだけど、このシリーズのポイントは他の作品ではオブラートに包まれがちな攻めの徹底した極道らしさにあると思う。
そもそも最初のレイプからして悲惨。
尊厳も人格も全否定した暴力行為だということをまざまざと見せつけられます。
同居するはめになる経緯は本当に理不尽でしかないし、雪洋の怒りや恐怖をしっかり書き込んでいるから読み手には結構キツイ。
外見に反して結構気が強い雪洋は、殴られるのも構わずに岡林に反抗する。
そして岡崎は、そんな雪洋に対して脅迫と暴力まがいのセックスというダブルコンボで屈服させます。
「お前は俺のモノ」という台詞はよく見かけるけど、この男の場合真実文字通りなんです。
欲しいものは力ずくでも手に入れる、そして手に入れたものは徹底して自分の庇護下に置かないと気のすまない支配者。
服従させるというやり口は心底ヤクザらしいけど、従う者には庇護を与えるという表裏一体のやり方は、強者としてある種の美学があります。
そういう恐ろしくもあり甘美でもある男の強烈な愛情に、雪洋と同様に読者も引き込まれるんではないでしょうか。
岡林との生活を続けることになる雪洋ですが、彼の本質的な強さはむしろ後半に見られる気がします。
なぜなら個人的な印象でいうと、雪洋の変化は一種のストックホルム症候群にも思えるから。
選択肢は他にないからこその生存本能の現れ…というのはちょっとビターすぎる解釈ですかね?
でも、逃げ場のない環境の中で生き延びるためには、心が柔軟というのは最大の強みだと思う。そして水原作品にはそういうタイプの受けが多い気がする。
ハッピーエンドの裏側に感じられるその際どさが、個人的には好きだったりします。
ここまで痛いエピソードが盛り込まれていても、悲惨なんだけど不思議と悲壮ではないんですよね。ラストは甘いし!だから読める。
次巻『箍冬』もあります。