電子限定描き下ろし付き
「自分が必死にやってきた唯一のものは
生きていく上で何の役にも立たないと」
Kindle Unlimitedにてあまり期待せず読んでみたものの、心を持っていかれて読みながら泣き、思い出しては枕を濡らしました。BLだと思って読む作品ではない気がします。
青年漫画の雰囲気もあり、夜読むと滲みるように静かだけど笑えます。
地雷のある方は必ずいくつかレビューを読んで確認してから。
表紙やタイトルから想像出来ない、それぞれの人生の絶望や闇、後悔と小さい希望が描かれています。はじめの香月の、“頑張ってきたものは意味がないものだと知る”あらましは少し残酷でもあり誰もが何かしら感じることではないかと思います。ふとした時に思い出すような過去の挿入がすごくいい。(というかそういうのを挙げていくとキリがなく全て許せて全て良いんです…)
会話の緊張感、的確で切ない言葉の選び方、それぞれの目が雄弁で、良い作品に出会えてしばらく胸いっぱいでした。
さくらは危険が及んでも動じない、感覚が麻痺している、自分の価値を求めても進んで卑下はしていない。
香月は人を見ないメガネ君だったところからさくらと出会い、自分の目で映し出す。
要の鋭い目付き(好き…笑)
彼らの毛色の違う孤独は重いのだけど、その描き方がとても好きでした。お話が終わった後も続いているような存在感に、何故だか安心させられます。
そして最後にタイトルが分かる演出が優しくて素敵過ぎて…
はぁ、どんな風に書けば誰か読んで下さるだろう。こんなに自分のレビューの拙さが歯痒く思ったことはない。
この1冊で、内容がビッシリ詰まってた。
とても、良かった。タイトル通り!
登場は少ないけど、要さんの存在が大きかった。春が危機的状況の時に必ず現れて救う。決して甘い言葉をかけず、それでも隣で見守る姿が印象的でした。
FTM設定のコミックを始めて読みました。
現社会においても、セクシャリティについては浸透してきて居るので、これからも作品に反映されたら嬉しいですね。
さて、全くタイプの違う楓と春の出会い。
楓が、風俗すらマトモに入れないのか!は、ここだけは泣き顔込で、笑ったwww
けど、高学歴はあったとしても何の役にも立たない事に気付いた時のセリフは、楓のこれまでの人生を全て否定して切なかった。
でも、楓は自分自身の問題だからこれからどんどんストーリー状で変化して行く事に期待しました。
問題は、春・・・これは、辛い・・・
思春期〜真っ只中、クズ父からのDV、売春させられ、挙句に刺されるとか・・・
心の拠り所だった、初恋であろう〜先生に買われ、弄ばれいた事。
この、二重の裏切りは暗い影を落としましたね。
楓からの告白の時に、その影は現れた〜幼く辛かった時のもう1人の春が、大人になった春に問いかける、同じ事を繰り返すの?と。
その後、春は自分の本名を楓に教えて〜受け入れ〜踏み出した所が、この作品の中で1番好きなシーンでした。
楓と春のその後の、日常をもっと読みたかったな!
もちの米先生のストーリーは、読ませてくれるなぁ〜これからも、期待しています。
可愛い表紙とは裏腹に読み応えガッツリ重系ストーリー……
ガッツリストーリー好きなので嬉しい誤算でした。
お話は偏差値偏重環境で育ったため学歴ばかりで柔軟な「社会」に適応できない攻め様が、人間らしくなりたいと風俗に行くところから始まります。ふらりと入ったのでゲイ向け風俗で、なんだかんだ受け様の接客を受けます。一目惚れ(多分)して通うも、人との関わり方がガッタガタなせいですれ違ったりすれ違わなかったり。
そんな感じで、風俗勤務だけど聖母な受け様に救われる話かな〜と思いながら読んでたら、おやおや、なんだか受け様、訳あり…………?攻め様の無償の想いをすごく嬉しがるな……?
と風向きが怪しくなってきて、実は受け様はもっと精神構築する年齢の頃からえらいことになってた!
ハピエンだったからよかったけど!!けど!!!
攻め様、昨今話題によく上がる高学歴だけど仕事はできないの典型みたいな感じですかね。この前もツイッターでそういう人見かけた気がするな……なんて。
そんな攻め様ですが、風俗店で受け様に惚れてそこから受け様の気持ちを考えるようになるの、人間的成長が見えてよかったです。あと割と思い切って行動するタイプなのですかね、後半の方はグイグイ行く感じでよかった!受け様のこと、救ってそのまま二人生きて行ってくれ……
で問題の受け様、この方の生い立ち云々のおかげで読み応えが倍増してると思う。
子供の頃に教師に性的虐待受けてたけど、父親にもひどくされてたおかげで、教師の方は甘言があるぶんそれに縋るしかなかったように思います。おかげで本人の中では"他人に認められるためには痛みが伴う"みたいな認識になってしまってるんでしょうね。
その教師を拒否したら愛されたこともなくなってしまう。認められるには奉仕と耐えがなければならない、みたいな。
結局風俗業につくも、すべてのやり取りは金銭の上に成り立っていてただ闇雲に認めたり、愛されたりと言うのはないから、それ以外がわからない。
そこに現れたのが無償の想いを授けてくれた攻め様で、あとから中盤の駆け引きを見るとなんとしても離したくなかったんだろうな……となんとも胸が痛くなります。
攻め様、受け様のことちゃんと叱るし、大事にするし。独占欲と履き違えてても受け様は自分を思ってくれるだけでまず嬉しいんだよ……!
攻め様も受け様も、人との関わり方の精神的な部分は未開拓すぎて、これからも壁が立ちはだかるんだろうなと思いますが、根底は純粋に思いあってるから大丈夫と信じて、二人の幸せを願いたいです……。
これ二巻でガッツリ描かれてたら私の心中もっと抉られてたな……
描写的に地雷ある人もいるかと思いますので人を選びますが(蝋燭責めって言うんでしたっけ?非SMで見るのは初めてかも……)、単巻でシリアスなお話読みたい方にはオススメです。
絵柄は終始ほんわかにもありそうなタッチで良いです!笑
レビュー読んでこの作家先生の第一作と知り、驚きが隠し得ない……もちの米先生、今後も追いたいと思います……!
テストで一人満点をとった日から典型的ガリ勉の香月楓は俯き友人も恋人も…人としての当たり前を全て(勉強)に捧げて来た。が そんな楓に残ったものは恋も人間関係も築けない情けない自分だった。
人間関係を疎かにしてきたツケを払わされる羽目になった就職。
何とか入社したがそこでの関係も上手くいかず投げやりになっていた楓は自分が今までやってきた唯一のモノは生きていく上で何の役にも立たなかったことを思い知る。
そんな時に偶然見つけた風俗店。
彼はそこで美人の(さくら)というゲイヘルスボーイと出会う。全てが未体験の楓にとって さくらは未知数の魅力的な人だった。
解れたマフラーをキッカケにお礼のお礼…を続ける内に楓の心に体験した事の無い感情が生まれ[発作]だとおもっていた想いは「ソレは恋だ」と同僚に断言されてしまう。
そう言い切られると風俗店で他の客を相手にしていると思い始め、一旦思い知ると歯止めが効かなくなり…。
そんな時期に さくらがストーカー被害の標的になっている事を知り…
境遇は違えど香月楓と桜井春は、誰かの為になっている実感が欲しくて、人並みに感謝されたかったに違いない。
ただそれぞれがその(術)が分からなかったから自分が唯一出来ることのみをして生きてきたのだ。
そしてそれぞれに小さいながらも救いはあった。
楓には喜んでくれる両親や 少し外観を変えただけで側にいてくれる会社の人間。
さくらには受付のヒメや幼い頃から気に掛けてくれている要が。
それは気付かないくらい些細な事だったのかもしれないが…誰もが[独りじゃない]と思わせてくれる。
自分がこの作品で一番気になったのは要だった。
金で教師に売られていた春を引取り育てた要。
(彼)は春の叔母で改名しているかもしれないが(要子)という名のFtMだろう。
初めて春と風呂に入った時の会話で「母ちゃんの腹の中で身体間違えちまったんだ。男なのにちんこがなかったら変か?女が女を…男が男を好きになったら変か?」と尋ねる要に春は躊躇なく「全部変じゃない」と答える辺りでグッときた。
MtF(男→女)はメディアでも世間にも周知されていると言っていい昨今。
だがその逆 つまり要の様にFtM(女→男)は未だにオナベ等と呼ばれ周知どころか存在している事すら知られているかも怪しい。
他のレビューを書かれた中にも不思議がっている方が多いのがその証拠だろう。そんな現在にBLでしかもかなりの重要な立ち位置での登場はとても心強い。
この作家様はコレがデビューと知り感服した。
絵柄も抵抗なくかなり万人受けする様に思うし 設定もテンポも新人とは信じ難い厚みのあるストーリーで攻めてきた方だ。
今後は物語・キャラ設定重視の作品を生み出してくれそうで目が離せない!
個人的には楓と春の後日談と同じ位、要のストーリーも是非読んでみたいものだ。
ガリ勉ぼっちいじられキャラ、仕事でも上司から叱られ、女性社員からも軽く扱われるいわゆる陰キャの攻めが、せめて人間らしいことをしよう。とたまたま目に入ったヘルスに入るがそこはゲイ向けヘルスで、という始まり。
そこで出会った受けにしてもらう…はずが風俗店すらまともに入らないのか、と大号泣。
いや、大丈夫かこの人…手を握られて焦るピュアっぷり。
手の暖かい人は心も暖かい、と一言。そこで受けの心が傾いたのかな、と後から思う。
しかし受けからのキスでメガネが外れて、攻めの素顔はイケメン。ピュアピュアなイケメンですよ!
家事全般得意のようだけれど自分に自信がない攻め。スパダリスペック持ってるのに活かしきれていないのがきっとこの攻めのいい所だと思う。
受けのことを考えると動悸がするようになるけれど、それが何故かはわからないまま、借りたマフラーを返すために受けの働く風俗店へ。
仕事帰りの受けに会えて嬉しいと伝える攻め。
何もしないで感謝をされたのは初めてと答える受け。
なんでもないシーンかもしれないけれど、1番ここが好き。
この後受けのストーカー騒ぎや過去の虐待のエピソードが入るので、再読すると余計にグッとくる。
受けも攻めも人づきあいは苦手で、他人を信用できない受けと自分に自信がない攻め。そんな2人が誰かを信じて自分を好きになるようにと進んでいく姿が読了後よかったー!ってなりました。
余談
とある脇キャラがBLで出てきそうで出てこないタイプだったので新鮮だった。自分が読んだ中では初めてかも。
扱いが難しいのかな? でもいても不思議じゃないと思う