電子コミック限定特典付き
先輩を追うストーカー×先輩に変身できる不思議生物!?
先生作品初読みです。
□表題作
豆腐になるシーンからどういうこと? と不気味なんですけど、プヨプヨと景介のことがわかってきて。
プヨプヨの描かれ方がちょい怖〜と思いつつ、そんなプヨプヨを飼う景介のストーカーっぷりが十分怖くて、プヨプヨを飼うくらいの人だもんな〜と妙に納得してしまいました。
ラストのコマが怖かった。
□サーカスも夜半過ぎには
わかりやすい設定で、怖いのくるぞくるぞと身構えながら読みましたがそこは想定内でした。
結果ハピエンでよかったです。
□noisy jungle
SFっぽくてこのお話がいちばん好きでした。
アンドロイドが飼うペットが人間だとだんだんわかってくるのがぞぞぞとしましたが。
ユメオの目が見えにくくなっていく描写も怖かったです。
「この顔だったら愛してくれる?」
帯の不穏など執着な雰囲気に惹かれ、あ、マージナル…人外ファンタジー…と躊躇いながらも読んでみたら不思議な感性にどっと引き込まれました!!
先輩に固執して雁字搦めになってる景介の行動は行き過ぎて見てる方はしんどいんだけも、それを見守ってるリク(謎の生命体)の行動や2人の漫才みたいなやり取りがおかしくてユーモラス。リクの気持ちは真っ直ぐ健気で純愛でした!何にでも化けれるから、えぐいオナホにもなれるし、このままで平気な仕様だけど、オナホやないんやからって景介が言うのはリクを個として大事にしてるのが感じれて、気持ちの通わせ方が良かった~
他もちょっと不思議で毒もあり、でも愛が詰まったあと引くお話!ストーリー構成が面白かった!!
◆とろける恋人(表題作)
人間にも豆腐にも変身できるこのブヨブヨは一体どこで生まれて、どういう生き物なのか?という質問はとりあえず置いておくべきですね。なんとも不思議な受けでしたが、思ったよりは人間らしい物語だったかなと思います。リクは最後までほぼ景介が片想いしていた先輩の姿に擬態していましたが、先輩の姿のリクを好きになることこそが本気で先輩への失恋を乗り越えることになるのかもしれませんね。
◆サーカスも夜半過ぎには
『残酷な神が支配する』を彷彿とさせる作品でした。優しく親身だと思っていた団長ですが、ルーチェには別の一面を見せ始めます。慕っていた人に裏切られ、心身が削られていくルーチェの表情の変化が悲しかったです。猛獣使いであるヤンとの交流によって、最後はルーチェが無理強いされない優しい愛に触れられたのでほっとしました。
人外にはまだこんなモノがあったのね… comic marginal か…と納得。攻めてるネ。
3作品収録。
「とろける恋人」
一種衝撃的でした。
豆腐、のくだりでハテナ〜?と驚いて、え?あ?そういう人外、アリなの?アリね…
これは言ってみればエイリアン系なのかな。
ブヨブヨに動じず、変幻自由に動じず、それなら大好きな先輩の姿になってくれ、という主人公・景介の頭の中がヤバい。
と感じたヤバさは本物だった。彼はストーカー。
満たされぬ一方的な恋心と自分の事しか考えない利己心。
ブヨブヨのリクが景介を救うけど、景介にそんな資格あるか?リクの健気が不憫だ。
「天国の底」
これがまた奇妙な話。
人外モノ的には「天使」だから無くはない設定ではあるけれど、彼は天使というよりはやはり「死神」的な存在だったのか?
なんというか…恋や愛というより死の印象が強い。これからの2人はどうなるんだろう?
「サーカスも夜半過ぎには」
ボリューム的にはこの作品が一番長いかな。
舞台はサーカス。猛獣使いの男性が実は人狼。これはまあ見たことのある設定。
そして、新入りの少年が団長から性的に支配されて苦しむ…みたいなのも既視感があった。
苦しみを抱える2人が近づいて心寄せて…というお話。
「noisy jungle」
人外モノとして言うなら「アンドロイド」もの。
面白いのは、もはやアンドロイドの方が多数派になっていて、人間や性的な接触が希少なものになっている…という世界観。
それでも「恋」は同じなんだね…
やはり何と言っても個性的なのは表題作。
これに意表を突かれて、後の作品はこれ以上のナニカは感じられなかったのが残念。
相手が人間ではないことの驚きはそれとして、次は「見たことのない恋の形」を読んでみたい。
たまたま人外もののコミックを読むことが何冊も続いたのだが、その中で本作がダントツに面白かった。
中でも謎の生き物(ブヨブヨ)との日常を描いた表題作と、アンドロイドが人間に恋してしまう「noisy jungle」がお気に入り。
表題作の主人公(人間)は、ノンケの先輩に片思いしていて、過去にはっきり気持ちを拒絶されている。そんな彼の前に現れた謎の生物ブヨブヨは、どんな姿にも変幻自在。先輩の姿になったブヨブヨは、主人公に抱かれるうちに恋心を抱くように。
とにかく、ブヨブヨの一途さ、健気さが切なくてたまらない。
ブヨブヨが主人公の好きな人の外見になれたからいいけど、これ、ずっとブヨブヨのままだったらどうなってたんだろう…。
しかし相手がなんであれ、自分を情熱的に想ってくれるその気持ちを受け止めてやる、というところに深い情のようなものは感じられた。
「noisy Jungle」はちょっとブラックな世界観が面白い。アンドロイドが世界の中心で、人間はなぜか知能が退化していて下等な存在。
主人公のアンドロイドは人間の男の子「ポチ」をペットとして飼っているんだけど、ポチのことを可愛がるうちに、なぜだか性的な意味でも好きになっちゃう。
アンドロイドは生殖行為はしないが、進化の過程で、コミュニケーションとしてのセックスを機能としてあえて残しておいたらしく、主人公はある日とうとう感情の赴くまま、ポチを抱いてしまう。
人間と機械の恋愛はよく見るテーマだけど、愛に目覚めた機械の視点からそれを描いているのは珍しいのでは。
ポチが可愛いしほのぼのと終わってるけど、機械の命はきっと永遠で、人間だけが歳を取っていくんじゃ…と不穏なことをつい考えてしまった。テンポがよく、こちらもほのかな切なさが残る読後感がよかった。