妖精と人間が共存する世界に迷いこんだ高校生――傷つき死さえ覚悟した心が、あたたかく解れていくファンタジックLOVE!!

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表題作親愛なる僕の妖精王に捧ぐ

ウィー、優翔を助けた妖精族の王族の末の王子、17~
篠崎優翔、自殺しようとしてトリップした高校生、16

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

この世界から、消えてしまいたい──親の離婚、義父の蔑み、学校での性的虐めに傷つき、海に身を投げた高校生の優翔。ところが目覚めると、背中に透明な翼を持ち、銀髪で桃色の瞳の王族の少年が、自分の顔を覗き込んでいた!! そこはなんと、妖精と人間が共存する世界――妖精といってもサイズは人と変わらず、先天的な者や後天的な者など様々らしい。王族最後の生粋の妖精だというウィーのもとで、しばらく暮らすことになって……⁉

作品情報

作品名
親愛なる僕の妖精王に捧ぐ
著者
月東湊 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009198
3.7

(30)

(8)

萌々

(14)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
106
評価数
30
平均
3.7 / 5
神率
26.7%

レビュー投稿数8

攻めが愛おしい。

あらすじにもある「親の離婚、義父の蔑み、学校での性的虐めに傷つき、海に身を投げた高校生の優翔」という部分がかなりの過酷さ&具体的で、しかも彼らに制裁があったかどうか書かれていないのでちょっとモヤぁ…が残りましたが、全体的な雰囲気はとても優しくて好みでした。

なんといっても攻めが好み。
優翔は強姦されそうになったトラウマゆえに人に触られることに恐怖を覚えるようになってしまったんだけど、そんな優翔のそばで穏やかにじっと忍耐強く佇んでいる様子に萌え。
じーっっと数年間我慢し続けててえらい!
優しいし、泣いちゃうようなところも愛おしい。
数年分なので出会った当時の無邪気で幼い様子から、妖精王として成長した様子まで楽しめました。
巻末に収録されていた「愛しい片羽の君に捧ぐ」は多分電子の特典SSだと思うんだけど、攻め視点SSで出会いの様子や、理性を総動員して優翔のそばで我慢する様子などが綴られていて萌えました。

ここが桃源郷か?!と思えた妖精の世界にも陰の部分があったりして、諦めつつ終わりに進んでいるような状況だったけれど、優翔の決意がきっかけで好転していく様子が良かったです。


2

捧げ愛

色々乗り越えて感無量!

はぁ〜、大作でした。
性的イジメが大の苦手で序盤はキツかったですが、ユウトが妖精の世界に来てからは一気に引き込まれました。

優しいウィーがいつもそばにいてくれて、ユウトはトラウマや過去の自分を乗り越えて。
ウィーを大切に思う気持ち、こんなに強い気持ちは初めてだね。

ユウトの決断や川の氾濫の危機や妖精と人間との交流。ユウトがこの世界に雪解けをもたらしましたね。

さて、すごく感動していいお話なのですが、あの〜そろそろエッチの方は…?と思ってたら!あらまあ。
てっきり二人とも性欲ないかと思ってた!
ウィーの嫉妬も可愛いですね。

二人の支え捧げ愛ですね。

1

一方、残された人たちは

ここのレビューや、電子書籍のレビューから、優翔が海へ身を投げるほど酷い目に遭わせた同級生たちがどうなったかは書かれていないと分かっていたので、身を投げるシーンまで読んでてもやもやしました。
その後は異世界でがんばる優翔に物語の中へ引きずり込まれ、読後は、優翔とウィーの作る2種類の妖精族と人間の世界が今後どうなるかの方が気になるようになりました。

しかし、ちょっと想像してみます。
優翔は校長室へ連れていかれる最中に逃げ出しますが、校内で見つからないので、学校側は義父と警察に連絡します。優翔は16歳なので警察はちゃんと捜索します。上履きのまま電車に乗ったので、目撃者は多数、警察は行きついた先に崖があれば学校から逃げ出した優翔がどうしたか想像するでしょう。ただし、優翔は異世界にトリップしてますので死体は見つかりません。
義父は優翔が怪我をさせた生徒の親から慰謝料の請求をされますが、それを突っぱね、最近優翔がいかがわしいサイトに書き込みなどされていたことを警察に話します。
サイトの書き込みや、怪我を負った生徒が受け取ったメモから、優翔が誰かにいじめられていたことが表面化し、警察と学校は犯人捜しをします。優等生のクラスメイト達は自分が疑われることを嫌がり、上田や美冬、山城達の名をあげます。学校は私立の進学校なので、醜聞を避け彼らを退学にします。
義父は空っぽになった家に住み続けるか、再婚するか、ともかく優翔が自殺したかもしれないということを一生引きずるのではないかと思います。

0

ふわんふわんの綿菓子のようなファンタジー

陰湿ないじめや親からのひどい仕打ちで辛い状況にあって追い詰められた主人公が命を捨てた時、妖精の住まう国に転移してしまったところから物語は始まります。

妖精の出てくるファンタジーとくれば、不憫な少年が美しく高貴な妖精に愛されて幸せになっていくストーリーかなと思ったのですが予想とはだいぶ違いました。
傷ついた主人公が強く生きていこうと努力して行く姿に触発されたもう一人の主人公や周囲の人たちを巻き込んでいく成長物語でした。

愛される努力や理解を得る努力をせずに愛されたいと願い、わかってもらえないと悲しむばかりでは何も得られないと気がつけた主人公に好感を持ちました。
待つばかりの受け身ではなく行動することで道は拓けると思わせてくれる展開がよかったです。

0

これが本当のセックスなんだと思った。

この一言に辿り着くまでにどれだけの物語があったか。
文庫1冊に収まった壮大な異世界トリップファンタジー。
でまとめてしまっていいものか悩むほどに、面白かったです。
ただ、タイムリーな題材で。
世間で最近よく耳にする虐待やいじめ問題・豪雨による被災状況を思い出し
てしまう程だったので、人によっては今は受け付けれない
かもしれない話かと。


受けさんのユウトは、
両親が離婚・母親が再婚・母親に置いていかれ義父との二人暮し
という、置かれた状況が本当に悲惨で。
そのうえ賢かった事が同級生の嫉妬を受ける火種となり
義父と関係があるという噂から、出会い系サイトに勝手に登録され
散々な目に遭ってしまい、
心身共に疲れたユウトが崖から飛び降り自殺を図ると
目の前には妖精が…!

という、始まりは本当に辛いです。
何もそこまで苦しめなくても…と思うほど、いじめの内容が酷です。
自殺未遂?後の妖精国での生活を通して段々と元のユウトらしさを
取り戻していく様や、更に心の成長もしていく様に
本当に良かった…と、心からほっとしました。

ただ、そんな素晴らしい妖精国にも影があるわけで。
子供が生まれなくなった事で人間族との間に出来た歪みだったり
茶色の妖精と桃色の妖精の関係だったり
いつでも元気な様子を見せるウィーの心に抱えた闇だったり…。
”いいことばかりでないのはどこでもなんでも共通”
だと学ばされ。
日本にいた頃に負った精神的苦痛により
他者との触れ合いを出来なくなったユウトが
報われた最後のシーンは
純愛とは何かを改めて気付かされ。
色々な題材が詰め込まれたこの1冊に、
少なからず学ばされ気付かされる事があると思うので
読める機会があるならばオススメしたいです。

6

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