特典付き
表題作+短編が2作です。
痛くてダークな共依存ものの表題作に、それぞれリバとショタの短編2作と、明らかに読む人を選ぶ作品になります。
でも、個人的にはめちゃくちゃ好きなんですよね。
これだけ衝撃的な作品てなかなかお目にかかれないので、大変滾りました。
共依存は愛では無いと言う意見もおありでしょうが、私はこれも愛の形だと思います。
とりあえず「こうゆうの苦手だけど、なんか面白そうだし」くらいの覚悟で読むのは止めておかれた方がよろしいかと。
「薔薇とヘドロ」
どうしようもないクズの大我。
学園のキングで幼馴染みの理人の庇護の元、自由気儘に振る舞っています。
ところが理人の彼女だと知らずに学園一の美少女をレイプした事から、その立場は底辺へと堕ちー・・・と言うものです。
こちら、死ぬほど痛いしダーク。そしてメリバです。
理人の掌の返し方が凄まじくてですね。
これまで散々甘やかして大我を調子づかせていたのに、今度は殴る蹴るの暴力にレイプ、自身の尿を飲ませて、手下に輪姦させる。
あと、人目のある所で自身の彼女に土下座させと、もうこれでもかと大我を痛めつけます。精神的にも肉体的にも。
希望を与えては打ちのめすと言う繰り返しがまさに鬼畜。
また、理人がこれほど大我を痛めつける原因となった彼女の「レイプ」事件。
これも実は理人自身がそうなるよう仕組んでいて・・・と言う流れ。
で、理人にどれ程酷い仕打ちをされようと、「理人くん、理人くん」と泣きながら許しを請い、以前のように優しくして欲しいと願う大我。
この理人の名前を呼びながら泣く大我がですね、めちゃくちゃ可愛いのです。
自分でも如何なものかと思うのですが、理人の気持ちが分かるんですよ。
「理人くん、助けて」と涙を流してる大我にゾクゾク来る。
自分だけを盲目的に信じて縋ってくるて、最高じゃね?みたいな。
そんなの愛じゃ無いと言われるかも知れませんが、徹底的に追い詰める事に悦びを感じる愛もあると思うんですよね。
いやもう、大我が自分のものだと確信するたびに見せる、理人の表情が狂気を感じさせます。
で、この後、理人にとって自分はオモチャなんだと絶望した大我が自殺を図りと言う流れ。
ここで滾るのが、理人が改心してなんてならない所。
最高にダークで(二人にとっては)幸せなラストです。
二人だけの世界で、末永くお幸せに!!
「幼なじみ」
こちらは短編。
幼馴染み同士でエッチもする関係の二人。
しかし攻めの尊が彼女を作り、受けのハナとのエッチを練習だと言った事から、怒ったハナが尊を犯し・・・と言うものです。リバです。
ちょっと展開が強引ですが、リバ最高でした。
ハナの泣き顔も可愛いです。
「片恋トライアングル」
こちらはショタ攻めになります。
親友が好きな高校生・瞬。
親友を想いながらアナニーしてる所に、瞬に懐いてる近所の子供・京太が遊びに来て・・・と言うものです。
アタフタしてる所に、瞬の好きな親友が遊びに来る。
慌てて京太と二人で押し入れに隠れた所で、体勢上、京太のが瞬にインしてしまいて感じです。
ショタ苦手なのですが、コミカルテイストでショタの方が攻めだったため、普通に読了。
京太は将来いい男になりそうです。
好き嫌いは分かれると思いますが、好みの方には堪らない作品だと思います。
忍者の二次創作以降、天河先生の本は読んでいなかったのですが試し読みでこれは…!と思ったので購入しました。
私の性癖に刺さる執着攻め×クズ受けで大変良かったです〜!こういう話をもっと天河先生に描いて欲しい…!!アナログで多分描いていらっしゃると思うのですが、線がすごく綺麗で1ページ1ページじっくり見入ってしまいます。お話もすごく面白いのでみんな読んでみて!!!
同時収録のショタおにも良かったです。天河先生の描くショタはやはり可愛い…
ただ出版社の意向なのか、ち●ち●など卑猥な用語を●で隠す表現がめちゃくちゃ萎えるのでやめて欲しいと思った。それさえなければ本当に本当に良かった!モブレとかあるけど、そういうの大丈夫な人ぜひ読んでみてください!
お題アンソロ『極悪BL』の短編がはじまりでした。
ただ痛いだけに思われたバイオレンスなストーリー、でも最後の1ページで、それまでの痛みに理由をつけて、物語をひっくり返す!
その見事な展開にテンションが跳ね上がったのを覚えています。
その続編、期待もありつつ、あのゾクゾクする〆が台無しになってしまわないか正直怖かったのですが、まったくの杞憂でした。
続編では狂気の中にある極めつけの”愛”を見せられ、全身が逆立つようです!
●「薔薇とヘドロ」
大我は、学園キングの理人にかわいがられているのをいいことに、人の女を寝取り、妊娠したかもって女にも自分で処理しろと言い捨てるクズ野郎です。
でも理人のことだけは大好きで、理人も大我のことは甘やかしている。
最初は兄弟のように仲の良い幼馴染に見えたのですが、、、
大我が襲ってヤリ捨てた女が、理人の彼女だったことから、大我はその報いを受けることに…
タバコを手で受け、口をトイレ代わりにされ、自分が理人の彼女にしたことを、今度は自分が理人にされる。
理人の凶暴さは、力づくでモノを壊すのを楽しんでいるよう。
その理人が望んでいたものとは…
続編で語られるのは理人の狂気。
近所の子供・大我のなにげない一言に捕らわれ、自分の理想に現実をムリヤリ当てはめていこうとする。
大我の報いを受ける日々は続いている。
大我は昔のように理人にかわいがって欲しいのに、理人だけでなく、理人の仲間にまでオモチャのようにひどく卑猥なことをさせられる…
理人は大我に執着しているのに、大我が他人に抱かれるのを興奮して見つめる。
きっと理人は大我をどこまで意のまま扱えるか、どれだけ理人が自分のものであるかを確かめたいんだ。
だから大我がひどく扱われることに耐えれば耐えるほど、自分のモノだと実感が湧いて興奮するんだ。
でも大我は理人の本心は知らない。
自分はただのオモチャで、理人に嫌われていると絶望した大我は生きる気力をなくして…
その大我の極限の行動は、理人が最も求めていたもの!
理人は大我しか欲しくなくて、大我は理人に愛されていればそれでいい。
狂気のなかにある ”愛” は怖くもあるけれど、望みを叶えた二人は、二人だけの閉ざされた濃密な世界の中でとても幸せそうです。
例え狂気のなかにあっても、本人が幸せだと思うなら、それも ”愛” のカタチのひとつ。
●「幼馴染」(『リバBL』掲載)
エッチもしてる幼馴染。
受けは攻めのことが好きなのに、攻めに彼女ができて、自分はただの練習台だったと知ってブチ切れ、彼女の前から攻めをさらって、今度は自分が攻めを犯す…
この後の二人はリバり合いながら、恋人セックスを楽しんでいきそうです。
●「片恋トライアングル」(『開花BL』掲載)
友達に恋しちゃってる男子高生、その男子高生にめちゃくちゃ懐いているチビッコ。
ある日、友達を思って穴をいじってる時に、チビッコがやってきて…
その大変な時に友達もやってきたから、男子高生は下着を履かないままチビッコとクローゼットに隠れると、チビッコが興奮したようでそのまま…
ショタ攻め好きにはたまらないお話かもしれません。
私はショタに興味がないので、チビッコがチビッコすぎて、今の時代にこれいいの?って驚きしかありませんが…
友達とは両片思いっぽかったので、もし続きがあるなら、コミカルな三角関係になりそうです。
ページの関係とか、収録の都合とか、いろいろ出版事情があるとは思いますが、表題作だけの本であって欲しかった。
テイストが違う収録作で、表題作の余韻を邪魔されたくなかった…
それくらい表題作が秀逸だったってことです。
痛々しくて万人受けするストーリーではないと思いますが、ダークでもシリアスでもなんでもこいって方にはぜひ読んでいただきたいです。
そして表題作が心に刺さった方には、『極悪BL』も粒揃いの短編が揃っていてオススメです。
表題作の薔薇とヘドロのみレビューします。
以下、ネタバレ含みます。
うーん、すごい。ここまで振りきれた作品は初めてでした。でも、中途半端じゃなくとことん振りきれてるところが、すごい好きです。作品の完成度も半端ない。
自分自身、暴力、凌辱は地雷でした。全然共感できないし見たいとも思わない。
この作品も暴力、いじめ、レイプ、一通りひどいこと全部やってるんですけど、結局のところ、これは理人が大我を精神的に支配するための手段なんですよね。弱いものイジメとか単なる性欲処理のためのレイプじゃない。すべては理人の手段でしかない。だから、最後まで読めたと思います。
大我はまったく共感できないドクズ。でも、育ってきた生育環境はとても悪く、そこはかわいそうなんです。愛されて育ってないから、他人を平気で傷つけるし自己中心的。
一方の理人も歪んだ愛情をかけられて育ち、虐待されていた様子。幼い頃の二人の生育環境は最悪です。
誰も信じられない、親さえも自分の味方になってくれない孤独な環境のなか、唯一自分を必要としてくれた大我に異常な執着心を持ち始めます。
理人は中学生になると身体も大きくなり、両親を虐待しはじめ、家族すべてを支配していきます。
高校生になると学園のキングに。非常に頭が良く、最高のイケメン、誰もが一目置く支配者です。
そこから、理人が大我を支配するためにあらゆる罠を仕掛けて、精神的、肉体的にどんどん追い詰めていきます。この追い詰め方、追い込み方。理人の異常さが本当に容赦がないんです。ここまで描ききれるのがすごい。
理人は大我に自分の彼女にわざと手を出させ(その彼女も理人が大我を追い詰めるために利用しただけ)、そこから歯車が狂ったように理人の手中に転落する大我。
でも、理人からすれば、すべて計算通りの展開で逃げ道を一切作らないかたちで、どんどん追い込んでいきます。
理人の本当の目的がわからず混乱し、毎日身体を支配され続けた大我は、精神不安定となり、カッターで自分の首を切りつけ、自殺をはかります。
一命をとりとめた大我。この事件は理人の予想外の展開で、大我が自ら死を選んだことに大きく動揺する理人。大我は単純に理人に自分を愛してほしかった。自分が愛されてないのなら、死んだほうがマシ。病室で理人は大我に『好きだ』と伝えますが、これは恋愛感情からくる告白ではなく、大我から好きと言ってほしいと言われ、もはや大我の生死さえも自分が決めるのだということを言い聞かせるためのものでした。もう、ここの理人の動揺と異常なまでの執着心の描きかたが、ほんとすごい。手を抜かない徹底さに恐怖すら感じます。
執着心って誰にもあると思うし、好きな人ならなおさら。私自身も執着攻は大好きだし、大好きな人に執着されるのって、少なからず、そうされてみたいな~っていう気持ちが誰しもにあるからだと思います。
この作品はその究極を描いたもの。人間の業の究極の形とでもいうのか、とにかくここまで描ききる描写力に圧倒されました。
書き下ろしでも、理人の執着と独占欲は想像を絶する。でも、この二人のなかでは正解なのかな…。
なんか、すごいものを見せてもらいました…と読むカロリー消費が半端ない作品でした。
ヤンデレ、共依存、メリバ!
まさにそんな感じで、個人的には大好物ですが人を選ぶ作品だなと思いました。他人には薦めにくいですが、ハマる人にはかっちりハマる作品です。
表題作の衝撃が強すぎて残り二つの短編の印象が薄くなってしまう。それほど強烈でクセになる味でした。
簡単に言うと性癖に刺さる!その一言!